現在地-とある森林-街道近く
side???
「ハッ…ハッ…!」
くぅ…油断した…私達は通りかかった行商人の一団を襲おうとしたら、それは教団の人間の変装だった。
不意を突かれた私の仲間達は全滅…最近発情期で頻繁に人を襲っていたのがいけなかったのかな…。
「血が…止まらないよ…」
涙も止まらない…皆ぁ…!
私は剣で刺された脇腹を押さえて走り続けるが、段々と力が入らなくなる…目の前が霞む…私、死んじゃうのかな…?
もう、ダメ………
現在地-とある森林-街道
sideセン
すまない皆、初っ端から悪いが言わせてくれ。
「此処は何処だ?」
街道を歩いていた筈で、村人から教えてもらった道を進んでいた筈なのに…。
「ん〜…おっかしいな…やっぱりあの珍しい虫を追いかけてたのが駄目だったのか?そう言えばあの時の分かれ道反対に進んでいたような…」
どうするかね〜…辺りは何時の間にやら林だし…ま、街道はあるんだしこれを進めば何時かは町に辿り着くよな。
ん…?
「血の臭いだ…結構近いぞ…」
血の臭いを辿り、早足に進んでいくと、この茂みの奥から臭いがするようだ。
こっそりと覗いてみるとそこには犬のような黒っぽい耳と尻尾が生え、手や足も毛で覆われている女性が、脇腹から血を流して倒れていた。
「おい!大丈夫か!?」
慌てて抱きかかえ、状態を確認する…血が流れすぎてるな…兎に角止血しないと…。
俺は女性の傷の応急処置を行う事にした。
現在地-とある森林-川の傍
ふぃ〜、あぶねーあぶねー、何とか大丈夫だったな。
俺は川を見つけたのでそこで傷口を洗い、その後出血を抑えながら火を起こし、その火で傷口を焼いて止血した。
少々熱そうだったがあのままだと危なかったし、許容範囲内だろ。
その後、俺の和服を少し切り裂いて巻きつけておいた。
にしても傷からして何かに刺された感じの傷だったな…一体誰が…?
「ま、どうでもいいか…」
とにかく血が足りないし、肉とかがいるな…近くに町があればいいんだが…そう都合よくはいかないか。
とりあえず火を消して彼女をお姫様抱っこして街道に戻る。
「軽いな…と言うかコイツも魔物なのかね?」
そんな事を考えながら街道を歩いて行くと、突然気配を感じた。
数は六つ。
「何者だ?」
俺がそう言うと、前から三人、後ろから三人、白い鎧を着た男達が挟み込むように姿を現した。
「我々は教団の一員…そのワーウルフを渡せ」
教団…?そういや前の村で勇者を選ぶのが教団って言ってたような…まあどっちにしろヤバそうな感じだし素直には頷けないよな。
「やだね、怪我してんだし、おめー等みたいな怪しい奴に渡せるかよ」
「ならば仕方が無い…近づくでやらせて貰う!」
剣を抜きながら前から二人、後ろからも三人迫ってくる。
「いいぜ、力づくは…」
振り返ると同時に足払いをかけ、後ろの一人を転ばせる。
「嫌いじゃねえっ!」
そして転ばせた奴の顔面を踏んで三メートル程跳び上がる。
今踏んだ奴、顎に衝撃与えといたから脳震盪で暫く立てないだろうな。
まずは一人。
俺が高く跳び上がった事に衝撃を受けたのか、俺の背後側にいた残りの騎士は唖然としている。
その顔面を右足で踏み、続いて左足で踏む、それを繰り返すとフラリと騎士は倒れて起き上がらなくなった。
これで二人。
呆気に取られていた騎士も立ち直り、俺に剣を振り下ろす。
それを体を逸らして回避すると後ろからも剣が振られる気配がする。
剣が振られる前に跳び上がって両足を大きく開く。
前にいる奴と後ろにいる奴の首を同時に蹴り抜くと、その二人は倒れて動かなくなった。
こいつ等で四人。
チラリと後ろを見ると俺の背中を斬ろうとしていた残りの一人が見えたので着地と同時に振り返り、蹴りを脳天に喰らわせると、吹き飛んでいき、追撃としてコイツも顎を踏んでやった。
これで五人。
「で、残るはアンタだけだけどどうする?」
唯一かかってこなかったリーダー格の騎士に声をかけるが、奴は剣を構えたまま動かない。
「中々やるようだな…ワーウルフを抱えたまま教団の騎士を五人も…」
「脚刀流は、元々何かを持って守りながら戦う流派なんだよ」
「これは私だけでは勝てんが…教団に手を出したからには反魔物領では指名手配させてもらう…」
指名手配か…そりゃ困るな、言葉からするとその反魔物領以外では自由に動けそうだが行動範囲が制限されるのはな…。
「じゃ此処で息の根止めとくか♪」
俺はワーウルフの女性を地面に降ろすと、瞬時にリーダー格の男の背後に回りこむ。
「…え?」
男が完全に俺に反応する前に、右足の白地で首を刎ねた。
「残りの五人も殺っとくか」
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