現在地-詳細不明-詳細不明
「う…ぐあ…」
目を覚ますと俺は立ち上がる…。
「こ、此処は…」
周りを見渡すとそこは見知った場所だった。
「道場…!?」
そう、俺の実家でもある脚刀流の道場だ。
なんだか妙に空気が赤いと言うか禍々しい感じだが…。
因みに門下生は0人だ。
「どうなってるんだ…?俺はカズマに斬られて死んだはず…」
そして玄関側の襖がガラガラガラと音を立てて開く。
そこから道場に入ってきたのは…俺の親父とお袋…。
だが俺の親父とお袋はもう既に他界している筈…何故こんな所にいるんだ!?
「尖…お前のせいだ…」
親父は光を無くした目で俺を見つめると、屍のように力なく俺に歩み寄ってくる。
思わず俺は後ずさる。
「お、親父…面白くねーって…止めてくれよ…」
渇いた笑みと共に後ずさりするが、壁に背を預けてしまいもう下がれない。
「尖…貴方のせいで私たちは死んだのよ…」
お袋も近寄ってきて俺の頬に手を添える。
「ま、待ってくれ…!俺はあの頃はまだ子供で…!」
言い訳をしようとすると頬に添えられているお袋の手にグッと力が込められる。
「貴方のせいよ…!貴方のせいなのよ…!」
「ヒッ…!?」
その時のお袋の目は憎しみや憎悪などの感情に染まっていた。
親父も俺の髪の毛を掴むと引き寄せる。
「お前が俺たちを助けなかった…救わなかった!殺してやる殺してやる…!」
「そうよ!貴方なんて…死んで償いなさい…!」
「ハッ…ハッ…!?」
俺の顔を潰そうとでもしているのか2人の手に更に力がこもり、俺は動けない。
「コロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤル…」
「ツグナイナサイツグナイナサイツグナイナサイツグナイナサイツグナイナサイツグナイナサイツグナイナサイツグナイナサイ…」
俺の視界は赤き血に塗れた両親…。
そのまま俺の意識は闇に堕ちていった。
現在地-詳細不明-詳細不明
「うぁああああああああああああああああ!?」
バッと上半身だけ起こすと、俺は息を荒くして周りを見渡す。
「……ここは」
周囲は静かな森で、俺の傍には驚いた様な顔のティピ、アーリア、アノンがいた。
「どうしたんだいセン!」
「センお兄ちゃん、すっごくうなされてたよ?」
俺を心配してくれているのか、すぐに俺に近づいてきてくれる3人だが、俺は今域を荒くしていて、受け答えをするほど余裕が無かった。
今のは…夢、だったのか。
凄く嫌な夢だった……あれは間違いなく俺の親父とお袋……。
「ハァ……すまない皆、悪い夢を見てただけだ」
夢だと分かって落ち着いた俺は深いため息を吐いて漸く3人に対応する事ができた。
「ところで此処は?俺は確か…」
ハッとなって思い出す。
俺はカズマに斬られて気を失ったんだった。
「ここはダダイルを北に抜けた森の中だ。ダダイルを抜け出した私達はセンを守りつつ此処まで逃げてきたんだ」
「他の皆は?」
「偵察に出ている。これから逃げる先と追っ手が来ているかどうかの確認の二手に分かれている」
俺の質問にはアーリアが答えてくれた。
そこへ丁度、イズマを先頭としてゴブリン団の4人とポップ、ティピ、ヴェロニカ、ミンが戻ってきた。
「セン、目が覚めたのか!」
「イズマ達、帰ってきてもらって早速だが、このまま北へ進むとどうだ?」
戻ってきたのは先行班だったらしい。
アーリアが尋ねると、イズマは顔を少しだけ顰めた。
「このまま北へ進むと反魔物領の関所がある。やはり東へ逃げるしかないな」
「東に進むと崖があったけれど、一本だけつり橋が見つかったわ」
イズマに続いてヴェロニカが説明してくれる。
東か……親魔物領にはやいとこ入れるといいが……。
と、そこへポウを先頭にしてイオ、コロナ、ミスティ、クー、シャム、シャナ、ティファルナが戻ってきた。
多分後方班だろう。
「ご、ご主人様!」
「兄様!起きたのか!ワシも心配だったのじゃ〜!」
起きている俺を見るや否や、ポウとコロナが俺に飛び掛ってきた。
だが…
「いでででっ!ポウ…コロナッ……そこ傷口……!」
傷口に触って俺は悶絶していた。
「2人とも、嬉しい気持ちは分かるし、正直羨ましくもあるが早く報告を」
冷静を装っているつもりだろうが、尻尾がフリフリと動いているぞアーリア。
「それが……教団の兵団は少しずつ、だが確実に我々の後を追ってきている…恐らく、カズマだろう」
カズマの名前が出た瞬間、場の空気が一気に悪くなった。
「カズマが俺達の情報を教団に与えて追ってきてるのか……急いで東へ向かおう。つり橋を渡ればすぐに東の親魔物領に入るか
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