現在地-ダダイル-宿屋の庭
ガッと鈍い音が響き、俺の足とカズマが振った木刀が衝突する。
少々衝撃が足に来るが問題ない。
「どうした、その程度か?」
「舐めるんじゃねえっ!」
試しに挑発してみると、凄い勢いで乗ってきた。
「オラオラオラオラァ!」
凄まじい剣撃だが、足や腕で捌く事で1撃も喰らっていない…攻撃が単調すぎるな。
「こんの…!チョコマカとぉ!」
痺れを切らして思い切り頭上から振り下ろしてきた木刀をバックステップで避ける。
そしてカズマは今の攻撃で勢いが付きすぎてしまったのかバランスを崩して前のめりになっている。
「隙あり!」
「うがっ!?」
その顔面に跳び蹴りを放つと、それは直撃してカズマは面白い程吹っ飛んでいった。
少し強すぎたか?
顔を抑えて地面をゴロゴロ転げまわっているので、近づいて無事を確認する事にした。
「おーい、大丈夫か?」
「大丈夫な訳あるか…!鼻血出たわ…!」
確かに鼻血が出ているが些細な事だろう。
それにあれを喰らった後でコレだけの口を叩ければ上出来だ。
「はは、その内止まるさ…それでお前の戦闘力だが…はっきり言って微妙だ」
「なんだとコラァ!?」
今の言葉でガバッと起き上がって俺を睨みつけてくる。
「そんなに睨まないでくれよ…攻撃が正直すぎるんだ…アノンやポム位のパワーがあれば問題は無いんだがな」
「んな事言っても向こうは魔物で俺は人間だぜ?大体お前の脚力がおかしいんだよ」
「これは昔から訓練してたらこうなったんだ…俺に文句言われても困る」
「チッ」
バツが悪くなったのか、舌打ちして顔を逸らすカズマ。
「ま、兎にも角にも武器を買わないとな」
木刀じゃいざと言う時にも困る。
「お、何を買ってくれるんだ?」
「まあ武器屋に行ってみて色々見てみないと分からんし…武器が無いパノも誘って行ってみよう」
こうして、俺とカズマとパノは武器屋に行く事になった。
現在地-ダダイル-大通り
「ふふふ〜♪どんな武器にしよっかな〜♪」
パノは機嫌が良さそうだ。
て言うか前のパノの棍棒壊したのは俺だからな…もうちょい早く買ってやるべきだったかな。
「パノはやっぱり棍棒系の武器がいいのか?」
「ん〜、そうだな…今回は鉄の打撃武器が良いかもな〜」
ルンルンと足を進めていくパノに遅れを取らないように俺とカズマも足を速める。
「カズマ、お前は?」
「あん?やっぱし剣か…あれば刀も欲しいかな、刀」
まあ、木刀持ってるくらいだしな。
「ま、そんなに高くなければ大丈夫だ…皆で稼いだ金もあるしな」
そんなこんなをしている内に武器屋へと到着…中へ入る。
中には、鉄の鎧が飾られ、壁には剣や槍がかけられている。
「おう、らっしゃい」
店長は髪の毛が抜け始めた初老の男だった。
「まずはパノの武器から選ぶか…打撃系の武器は向こうだな」
打撃系の武器があるコーナーに行くと、そこには木製の棍棒を初めとして金属製のハンマーにでかい木槌のようなハンマーもある。
「武器はやっぱし実際に持って振ってみた方がいいんじゃねえか?」
「そりゃそうだろ、パノ、気に入ったのがあったら持ってみろ…決まったら言ってくれ」
「おう!」
まずパノは以前と似たような木製の棍棒を持つと、軽く振る。
「…駄目だ」
しっくりこなかったのか、棍棒を元の位置に戻すと今度はモーニングスターと呼ばれる金属の棘付き球体に棒が取り付けられたハンマーを持った。
そして今一度振ってみる。
「…これもちょっとな」
モーニングスターも元の位置に戻すと、迷っているようでキョロキョロしている。
俺もパノに合いそうな武器を選んでみる事にした。
ふむ、このハンマーは柄が長すぎるな…こっちのも駄目そうだ。
すると視界の端に、少し小ぶりだが2本持てるほどの大きさの金属製ハンマーがあった。
これならパノの小柄にも合うだろうし重量も問題ないだろう。
「パノ、この武器はどうだ?」
「お、ありがとう兄貴」
見つけた武器を差し出すと受け取って振ってみる。
「お、おぉ!すっげー振りやすいぞ!」
その調子で少し強めに振っている…物とか壊すなよ。
「じゃあ次はカズマだな…剣のコーナーは向こうだな」
今度は剣のコーナーに行くと、壁にかかっているのは結構高い武器だ。
安いのは、置いてある木箱や樽の中にある奴だな。
「じゃあ、こっちの木箱の方から選んで…」
「お、壁にかかってるので刀あるじゃん♪」
聞けよ。
「そっちは値段が高いからこっちの木箱の中から選んでくれよ」
「ハァ?こっちに刀があるんだぜ?武器は男のロマンだろ…好きなの選ばせろって」
「お前の金なら文句は無いが俺と仲間達が稼いだ
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