現在地-ダダイル-宿屋
……妙だ。
早朝に起きてから体と言うか…なんだかおかしい。
こう…なんと言うか満たされてはいるんだけど妙に違和感を感じる。
そう言えば昨日は激しかった。
特にポップがまあ健気で…。
それはともかく…。
「どうなってるんだ?病気か?」
体調はおかしい所は何もないんだがな。
「む、兄様起きていたのじゃな」
コロナか。
「なぁコロナ、少し体調がおかしいんだが…」
「何!?兄様…!すぐに病院に行くのじゃ!」
「あ、いやそうじゃなくて…なんだか体に違和感を感じてな…こう、満たされているんだが微妙におかしいと言うか…」
「ふむ…」
コロナは考えるように手を顎に添える。
「もしかしたらそれは兄様がインキュバス化したのかも知れぬ」
「インキュバス?サキュバスの男版みたいなものか?」
「平たく言えばそう言う事になるのう。魔物と交わり続けると魔力の影響を受けてインキュバスになってしまうのじゃ」
なるほど…そんなもんか。
「で、人間の頃と何か変わるのか?見た目は変わらんが…」
「うむ、サキュバスのように性欲が高まったり…精力が人間の頃とは桁違いになる程度じゃ」
それじゃあ、枯れる事は無いな。
「それなら大丈夫そうだな。この違和感にもすぐ慣れるだろ」
「うむ、そうじゃろうな…じゃがインキュバスは魔物とも分類さるので教団に見つかると拙いので気をつけて欲しいのじゃ」
「ああ、了解だ。だけど見た目は変わってないしよっぽどの事が無けりゃ分からないだろう」
「まあ魔具を使われなければ大丈夫じゃろうな」
「じゃ、飯にするか…皆を起こすぞ」
そんなこんなで、俺のインキュバスとして人生が始まった。
現在地-ダダイル-ギルド
「では、センのインキュバス化を祝して…」
「「「「「「「「「「カンパーイ!」」」」」」」」」」
ギルドの酒場で酒の入ったジョッキ、水の入ったコップを持って打ち付ける。
「いやー、センも漸くインキュバスになったね」
「もう少し早くなっても良かったと思うんですけどね〜」
「ま、なんにしても我が夫もこれからより激しくヤれるという事だな」
好き勝手言うなよ…てかこれで宴会とかっていいのか?
また昨日稼いだばかりの金が消えちまいそうだが…ま、飲むんだったらとことん飲むか。
といっても今日は水だが。
酒は嫌いじゃないが、二日酔いは嫌いだからな。
「ゴクゴクゴク…プハッ!いやー…兄貴もインキュバスになるし、ジパングも近づいてきたし、旅も順調だよな」
「だよなー」
「そうね。でも、ジパングに着いて何をするつもりなのセン?」
パノとキャノは水だが、ヴェロニカは酒を飲んでいる…ってか何をするかなんて考えてなかったな。
「んー、傭兵団の名前を売って…美味い飯でも食って…」
「里帰りはしないのか?故郷なんだろう?」
アーリアのツッコミが痛い…どう言い訳するかな…。
皆仲間だし、もう異世界から来たって言っていいかもしれないが…言い出しにくい。
「ま、別にいいさ。男は此処に故郷があればいいのさ」
自分の胸を指してそう言う。
ヤベッ、超クサイ台詞だったな今の。
「主が、そう言うなら…私達も…構わない」
「そうだニャ…そう言えば傭兵団の名前を売り込むのニャら団の名前を決めておいた方がいいんじゃニャいかニャ?」
あー、そういえばそうだな。
いざって時に団名とかあると呼びやすいかもしれないしな。
「皆何か案はあるか?」
「やっぱり団長のセンの名前を取ってセン傭兵団でいいんじゃないかしら?」
「それは安易過ぎると思うが…」
ヴェロニカの出した案にアーリアが意を唱える。
「アーリア!貴様ご主人様の名前に文句があるのか!」
クーが食って掛かるが、正直俺も安易過ぎと思う。
「そうではないが…私ならばそうだな…飛地減残(ふちげんめつ)団!とかはどうだ?」
「「「…うわぁ」」」
「な、なんだその反応は!?」
今の発言に何人かは引いていた…少し良いと思ったのは黙っておこう。
「僕はセンさんの足刀に因んで白と黒の刃とか良いと思うけどな」
「へえ、結構いいかもしれないな」
「それはそれで安易だニャー」
う〜ん、結構決まらない物だな…。
てかぶっちゃけ名前なんてなんでもいいんだけども。
ふと脇腹を突かれたのでそちらを見ると、シャナが自分を指差していた。
「お、シャナも案があるのか?」
「ん」
コクコクと頷きながら返事をする。
すると椅子の上に立って口を俺の耳元まで持ってくる。
いや皆の前で言ってくれよ。
「sans rival(サンリヴァル)団…」
sans rival…どういう意味だ?
「何処かの言葉で…敵無し…」
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