深緑の射手はケンタウロス

現在地-草原と森の狭間-街道

馬が手に入ってから格段に移動速度が上がっている。

だが流石に全員乗ったら馬も引けないので時々体力のある奴が交代で降りて歩いている。

「この調子なら3日かかる予定だったけど1日早く着けそうだな」

街に到着したらとりあえず仕事探すか。

俺は今荷車に乗っていて、地図を見ている。

胡坐をかいて座っていて、足の上にはウトが俺に背を預けて座っている。

「ん〜…センさんいい臭い…」

嗅ぐなよ。

「ぐぅ〜!ウト!じゃんけんで勝ったからって兄貴の臭いまで嗅いでいいなんて言ってねーぞ!」

「駄目だなんて言われて無いもん!」

「ウトちゃんいいな〜」

そう、ちびっ子組でさっきじゃんけんをし、勝った奴が俺の上に座れるという勝負をしていたのだ。

因みに俺の意見は無視された。

「くっ…今日ほど自分の体格が恨めしい日は無い…!」

「羨ましいニャ…ネコマタのように本物の猫にニャれたニャら…」

アーリアやシャムもなんだかブツブツ言ってるし。

あ、因みに今歩いてるのはヴェロニカとイオとポウだ。

「あ〜あ…私もセンの膝の上に乗りたいけど…この下半身じゃ無理ね」

「ぐぅ…ウト!そこを退け!」

「ご主人様は私の物ご主人様は私の物ご主人様は私の物ご主人様は私の物ご主人様は私の物ご主人様は私の物…いやむしろ私の全てはご主人様の物」

約1名黒いオーラを発しながらヤンデってる奴がいるがこの際気にしない方向でいこう。

「セン、この先の森の手前で一休みしないかい?」

「ん、そうだな…じゃあ少し休もう」

アノンの提案に、俺もガタゴト揺られて尻が痛くなっていたので森に入る前に休憩を取ることにした。

そして目の前に森が見えてくると、馬車の馬を止めて休ませ、俺たちも草原に転がったり座り込んだりして各自休んでいる。

俺はウトを退かすと草原に座って休む。

「俺は武器の手入れでもすっかな」

足から白地と黒空を外して刃毀れが無いかチェックする。

「ま、無いんだけどさ」

そう、今までも何度か武器のチェックは行ってきた2つの足刀には何の問題も無かった。

「これどんな素材で出来てるんだろうな?」

唯の鉄でないことは確かで、恐らく白地は斬る事に、黒空は破壊する事に特化している。

白地は重量は普通の鉄くらいだが、その刃の鋭さはかなりの物だ。

なにせ鉄だけではなくドラゴンの鱗をも引き裂くのだから。

黒空は普通の鉄よりも重いが、硬度は白地より圧倒的に高く、武器とぶつけ合って破壊する事もできる。

まあ黒空でも鉄斬れるけどさ。

「ねえセン、何をしてるの?」

俺が1人でブツブツ言ってるのが気になったのか、ティピが俺の方へ歩いてきてさっきのウトのように膝の上に座った。

チョロチョロ動く尻尾が頬に当たってくすぐったい。

「武器のチェックだよ。刃毀れしてないかとか」

「そっか…ねえセン、私どうしたらいいかな…?」

「は?」

急に顔を伏せて暗い雰囲気になるティピに戸惑う俺。

「だって私、戦える力なんてないから…傭兵団を作っても私なんて役にたてないよ…」

そう言えばラージマウスは大勢の群れで襲い掛かる事で戦いに勝つんだったな…単体の力はかなり低いらしい。

「別に傭兵団だからって戦う事ばっか考えなくてもいいんだぞ?」

「でも…」

「戦ってる奴の為に飯を作ったり、馬車の掃除をするとか、戦い以外にも色々やる事はある…お前に出来る事をしろよ。出来ない事を無理にしなくていい」

人には向き不向きがあるからな。

「…うん、ありがとうセン!」

「自分の女を励ますのは当然だよ」

ニパっと笑顔になると俺も嬉しくなり笑顔になる。

「あ〜、ティピちゃんズルい〜」

後ろからのんびりとした声が聞こえ、首の後ろにもにゅんと柔らかい感触を感じる。

「おいポム…」

「お兄さ〜ん…ティピちゃんだけじゃなくて私達も構ってくださ〜い」

ポムは俺の背中にしがみ付いてその豊満な胸を俺の首に押し付けていた。

あ、ティピが自分の胸とポムの胸を見比べた後一気に暗くなった…。

「どうせ私は胸がないよ…おっぱいのちっちゃいラージマウスですよーだ…」

めっちゃんこいじけてるな…。

「ふえ?ティピちゃんどうしたの〜?」

覗き見るようにティピを見るがその際に胸が揺れてティピは更に暗くなる。

「ポム、それ以上止めさしてやるなよ…」

「…?」

結局ポムは何のことか分からなかったみたいだ。



現在地-森-街道

荷車と馬車はガタガタと揺れながら先に進んでいく。

「どんどん暗くなってきましたね…」

「暗いの嫌い…」

ミンは俺の右側に擦り寄ってくると、腕を組んできた。

「むっ…ミン、退け…私が抱きつく」

「嫌」

イオがそれ
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