現在地-アルトリア砂漠-詳細不明
「此処は何処だー!」
とりあえず、叫んでみた。
砂漠に入って既に2日。
頭上にはギラギラと俺を焼くように輝く太陽、辺りは灼熱の砂山ばかり。
「アノン!ポム!パノ!キャノ!ウト!ティピ!アーリア!」
仲間の名前を叫ぶが、返事は来ず、俺は一人で砂漠に立ち尽くしていた。
何故一人で遭難しているのかと言うと、それは一時間前くらいの事だ。
皆で砂漠を歩いている→突如砂嵐が発生!→飲み込まれる→皆バラバラに飛び散ってしまった。
以上の理由で、俺は一人で此処にいる。
水は皆に持たせてたけど食料は俺が持っているのでこのままだと皆飢え死にするだろうな…早く見つけないとな。
「くそっ…熱い…!」
ともかく皆を捜さないとな…水飲み場のような岩場があればそこに集まる可能性が高い…洞窟の中とかにある水飲み場を探そう。
ザッザッザと砂を踏みしめる足音しか聞こえず、前にあるのは青い空に砂ばかり。
「ハァ…ハァ…」
砂漠の照りつける太陽が、俺の体力をどんどん奪っていき頬を伝った汗が砂に落ちて消える。
「…熱すぎるせいで幻覚が見えてるのか…?さっきまで右にあった太陽が左に見える…」(さっきと反対方向に進んでいる)
暫く進むと、岩場のような場所が見えてきた。
「ちょ、丁度いいや…あそこで休憩してくか」
岩場の下まで行くと腰を下ろして腰の水筒から水を飲む。
しかしその瞬間、地面から何かが突き出てきた。
「なっ…!?」
「フフフ…おしまいよ」
眼前に迫る針の様な物を回避する為に、少々惜しいが水筒を捨てて横に跳んだ。
「…!」
「今のを避けるなんて…人間にしてはいい動きをするわね」
俺に襲い掛かってきた奴は薄緑の肩より少し下まである髪に褐色の肌…そして何よりも目を引くのは下半身である。
蠍だ…さそり…うん、サソリだ。
「水を落としちゃったわね?私に大人しく従えば…私の住処に招いてあげてもいいわよ?」
こいつ…俺の命の源でもある水を奪っておいて反省の色はなしか!
「…れ」
「あら、何か言ったかしら?」
「そこに直れぇえええええええええええ!!!」
「ひゃっ!?」
俺が叫ぶと、怯んだ様に少し下がる。
「な、何よ?人間の分際で…」
「黙れぇええええええええええ!俺の水を返せこのサソリがああああああああああああああああああ!!!」
「ひぃっ!?」
「いいか!?砂漠で水は人間にとって無くてはならん物で……その名の通り命の水だぁ!そんなことも分からんのかっ!?」
「ひぃいいいい!?ごごごごゴメンなさいぃいいいい!」
「まだまだァ!」
この後、俺は三十分は説教を続けた。
現在地-アルトリア砂漠-詳細不明
sideパノ
「あっちー………」
「そんなに熱い熱い言うんじゃないよ」
「でも本当に熱いです〜」
あたい達は砂嵐でバラバラに吹き飛ばされてしまった。
運良く、あたいは姐御とアノンと同じ場所に倒れていたので三人で行動している。
それにしても兄貴とキャノとウトとアーリアとティピは大丈夫かな…砂漠はこんなにも熱いし、ずっと彷徨ってると干からびて死んじまう…。
「兄貴ー!何処にいるんだー!?」
叫んでみるが、あたいの声は青い空に吸い込まれていき、消えた。
「こんなに広い砂漠で叫んでも無理だと思うけど〜」
「姐御!諦めちゃそこで試合終了なんだよ!」
「叫ぶと体力使うと思うぞ」
アノンの突っ込み通り、あたいは喉が渇いていた。
「アノン……水くれー…」
「ったく、一口だけだよ」
水筒を貰って一口…そう、口いっぱいに含んだ。
「あ!こらパノ!一口がでかい!」
「ひふぉくひふぁひとくひふぁ(一口は一口だ)!」
そのままごくりと水を飲み込む。
「ん…んぐっ!?ぶえっ!ゲホゲホッ!」
でも少し気管に入ってしまいむせてほとんど吐き出してしまう。
「あ!どうして吐き出したりするんだい!?」
「ゲホゲホッ!む、むせた…」
「あ〜あ…もったいないなぁ…」
あたいが吐き出した水は砂に染み込んですぐに乾いちまった…。
「う…ごめん…」
シュンとすると、砂山の向こうから声が聞こえたような気がした。
「なあ、今なにか聞こえなかったか?」
「え〜?」
耳を澄まして聞き取ろうとするとやっぱり少し声が聞こえる。
「誰かいるんだ!行くよ!」
アノンを先導に砂山を越えるとそこには……
「おーい!皆ー!」
「なー!」
叫び続けるウトとキャノ、岩陰で休んでいるティピとアーリアだった。
「お、見つけた!」
「よかったね〜」
砂山を降りてどんどん近づいていくと、向こうもこっちに気がついた。
「アノンさん!パノ!姐さん!」
「さん〜!」
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