―運命なんて、そんな物は信じてはいないが―
―本当にあるのなら、もうちょっとマシな出会いにしてくれよ、と思う。
春はいい。旅をしている俺としては、雪もなくなり寒さも緩むこの季節はどちらかというと好きな部類に入る。
まぁ、すぐにうだるような暑さの夏に入るんだけどな。まぁ寒いよりは暑い方がいいだろう。それよりも、今は少しでも歩を進めよう。
そんなことを思いながら平坦にならされた街道を1人歩いていた。地図を見てみると、この街道を辿っていけばそれなりに大きな町があるらしい。そこならまたギルドがあるだろう。
……まぁ、泣きたくなるぐらい遠いんだけどな。
確かに道のところどころに町はある。宿屋や消耗品については心配しなくてもいいだろう。しかし、目的の街まではかなりある。本当に。
―そういえば、途中には火山もあるらしいな。
さすがに火山の峠まで上りはしない。聞いたところによるとせいぜい1〜2合目ぐらいまでしか上らないそうだ。昔はかなり上まで上るルートもあったらしいが、人がほとんど通らない、本当に近道したい人のみが通るような道、とのことだ。
さすがにそこを上る気はしない。寒いのは嫌だが、さすがに暑すぎるのも遠慮したい。
―とか思ってたんだがなぁ…
なんでも落石が起こったらしく、街道の方が通行止めらしい。幸い人は巻き込まれず、又落ちてきた岩も撤去はできるレベルの大きさらしい。
ただ、その量が多い。
元からそこにありました、とでもいう風にちょうど谷間の部分を埋め尽くしており、何週間か、もしくは何ヶ月かは通れない、とのことだ。
つまり、先ほど話に出た登山道のみがあの街へとつながる唯一の道で、そこを通る人はいないということだ。
俺以外は。
「ったく、誰かが俺に恨みでも持ってるんかねぇ……」
どうでもいいことを口から吐きながら、1歩1歩山を登っていく。
どうも山は今のところ活動していないらしく、マグマが流れてくる、とかのアクシデントは今のところない。ただ暑いだけだ。
「むしろ、これは熱いといっても間違いじゃないだろ……」
ふとあたりを見回す。どうやらぼちぼち人は通っているらしく、どこを通ればいいのかわからない、ということはなかった。どうやらこの先は少し広くなっているようだ。日も落ちてきたし今日はそのあたりでキャンプを張ることにした。
「ん?」
日も落ちかけ暗くなり始め、飯を作ろうと火を起こしていると、道の向こう側に明かりが見えた。俺ランタンとか持ってないんだよなぁ。少しうらやましい。
とりあえずまずは火だ、と火をつける。火をつける。火をつけ……つかない。
それでもめげずにカチカチ火打石を打ち付けるが、なかなか火がつかない。
ふと頭を上げると先ほどの明かりの人が近くまで来ていたので話しかける。
「おーい、ちょっとすまないがそのランタンの火…を……」
その旅人はランタンどころか松明も持ってなかった。背中の方から火がついている。…いや、火がついているのは背中じゃない。腰のあたりから尻尾が生えているのだ。その尻尾から火が燃え上がっているようだ。そこまで考えて俺はやっと彼女が人ではないと気付く。
『魔物娘…!?だが、こんな種族いたか?リザードマンでもドラゴンでもないしイグニスでもない…くそっ、思い出せ、思い出すんd「どうかしたのか?」
やばい、考えていたらかなり近くまで近づいていた。距離は3メートルとない。相手さんは俺を見下ろすように立っているし、俺は座り込んでいる。戦いでは上になったものが勝つらしいが、確かにこのまま襲われたら不利だ。とりあえず、用件を伝える。
「あ、ああ。火を起こそうとしたんだが、なかなかつかなくてね。ちょっとランタンか何かの火を借りようと思ったんだが…まさか魔物娘とはね。ちとすまないが、火を少し借りてもいいかい?」
「ああ、それぐらいならお安い御用さ。1本、薪をもらえるかい?」
すまないね、と言いながら薪を渡す。どうやら話は通じるようだ。渡した薪を彼女が尻尾に近づけたと思ったら、すぐに火がついた。
「はい、これでいいかい?」
「ああ、助かったよ。」
薪の火をくべていたら、彼女はよいしょ、と隣に腰を下ろした。彼女もここで一晩過ごす気らしい。
彼女の種族が何だったか考えながらながら飯を作っていると、彼女から話しかけてきた。
「どうしたんだい?山登りなんて。途中に街道があっただろう?」
「あっちでは崖崩れが起こってな。いや、あの量は土砂崩れって言ってもいいな。とにかく、街道はしばらく使えないそうなんだ。」
「ああ、それでこの山を登ろうと。……待つ、って考えはなかったのかい?」
「生憎、暇つぶしなんて修行を増やすぐらいしか思いつかないからな。どうせならさっさと通った方がいいと思ってな。」
「ん?修行?…あんた、剣か何かでも振り
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