(に〜ちゃぁぁ〜〜…)
朝っぱらから、いつものように間延びした声が聞こえてくる。
大事な妹分…と、俺が一方的に認定させられた女の子の声だ。
(にいちゃあぁ〜…!)
声はどんどん大きくなってくる。猪のように猛然と、俺の家に走ってきているのだ。
ちょっとぼんやりしてるというかオツムが弱いというか、あの少女はしょっちゅうトラブルを起こす。そして解決してほしいと、兄貴分の俺に泣きついてくるのだ。
勘弁してほしいと思う事もあるのだが、可愛い子に頼られるのは悪い気はしないし、他人に迷惑をかけるようなトラブルでもないので、毎回なんだかんだ世話を焼いてやっている。
…だが、子供の起こしたトラブルと高をくくることは決してできない。
特にこうして家に押しかけてくるほど切羽詰まった状況ならば、可及的速やかに出てきてやらねばならないのだ。(そしてこの時の俺は、完全にその事を忘れていた)
なぜなら…
(CRAAAAAAASH!!!!!)
「うえぇぇぇ〜〜ん、にぃちゃぁぁぁぁん……」
彼女は小さな体で、鍵のかかった家の扉など容易くブチ破る腕力を持っている…
…つまり、人間ではない生き物なのだから。
「…で、今日は一体どうしたんだ?」
「えぐっ…うん、あんね、あんねぇ…」
粉々に破壊された戸口のことはいったん忘れて、彼女…名前を『ミリハ』が起こしたトラブルについて尋ねる。
顔立ちだけを見れば、どこかのご令嬢かと思ってもおかしくないような美少女なのだが、今はその美貌も涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。
「その…“てした”の子と一緒にね、森の奥の深いとこ行ってね、木になってるの、さいしょはリンゴだと思ったの。そんでサウちゃんに肩車してもらって、すごいなーって思って、服が木の枝にひっかかって脱げちゃったんだけど、そんでね…」
要領を得ない説明で、ところどころ話が脱線してしまうが、辛抱強く聞く。魔物とはいえ、幼い子に理路整然とした説明を求めるのは無理があるというもの。ましてや今彼女は絶賛パニック中で半泣きだ。
十数分ほどじっくり話を聞き、どうやら手下(という設定らしいが、要するに友達)と一緒に、近くの森の奥深くまで探検して、そこでリンゴに似た果実を発見した…という所までは把握したのだが、その直後、ミリハは驚くべき行動に出た。
「んでね…んでね。
それ食べたら、ミリハのおっぱい、こんなんなっちゃったの…」
ミリハはやおら衣服を引き上げ、自身の胸をさらけ出したのだ。
その…同年代の人間の子供ではありえない、どころか人間の成人女性でも滅多にないほど巨大に発達した乳房を。
これまでに語った特徴に加えて、さらに側頭部から生えた不揃いな二本の角という特徴を語れば、魔物娘に詳しい人ならすぐに気づくだろう。
ミリハは、魔物娘の中でも割とありふれた小鬼ゴブリン…その突然変異種『ホブゴブリン』であるらしい。
…だが、今そんなことはどうでもよかった。
彼女の、全体の大きさに反して小さく淡い色の乳頭からは、純白の雫がこんこんと湧き出ているのだから。
「おっぱいからどんどんミルク出て、パンパンで、いたくてくるしいの…
にぃちゃん、ミリハ、びょうきになっちゃったよぉ…」
母乳と同じくらいに涙をこぼしながら訴えかけてくるミリハ。
だが正直俺としても、どうすればよいのかわからない。
「それとも、にぃちゃんよりもお医者さんに言った方がいいかな…?」
「だ、駄目だッ!!」
この町の医者といえばもう結構な爺さんだが、それでも男。こんな格好のミリハを見せたら何があるか分からない。…どちらかというと、性的な問題よりも、刺激が強すぎてポックリ…という可能性を危惧している。
「その…親御さんには話したのか?
そういえば、しょっちゅう色々俺に頼るけど、そもそもお前のお父さんやお母さんって、一体どうしてるんだ?」
「んぇ?パパとママ?ここからお山をみっつ越えた所に住んでるの。
ミリハ、もう“ヒトリダチ”して、今は“てした”の子たちと一緒に住んでるんだよ」
「そうなのか!?独り立ちって…ミリハ、いま何歳なんだ?」
「えっと…いち…にぃ……じゅっさい!」
「10歳…」
「あ、まだきゅうさいだったかも…もうちょっとしたら、じゅっさい!」
「9!?」
まだ9歳でこのおっぱい…じゃなくて、9歳で親元から離れて生活とは。魔物娘というのは、人間よりもたくましい生態を持つらしい。
とにかく、親御さんに相談できないことはわかった。医者もとりあえずダメ。
そうなると、やはり…
「えーっと…その…く、苦しいなら、まずは搾ってみたらどうだ?」
俺の口は何を言っているのか。
「うん…でも、ミリハの手じゃうまくできなくて…
にぃちゃん、ミリ
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