わたしの名前は、広上 乙女(ひろかみ おとめ)。
昔はめずらしかったみたいだけど、今は結構どこにでもいる『マモノムスメ』です。
しゅぞくはバブルスライム…あわがプクプク出るスライムです。
え?バブルスライムはくさいって言われてる?…そんなことないもん!
毎日キレイにしてるし、パパもママも、近所のおばさん達からも、メロンみたいでいいニオイって言われてるんだから!ウソだと思ったらかいでみて!ほらほら、いいニオイでしょ?
…でも、こんなにいいニオイなのに、男の人が来てくれないのがわたしのナヤミ。
なんでかって言うと、答えはカンタン。
うちの近所の男の人たちが、みーんな他のマモノムスメさんとケッコンしてるから!
探しに行こうにも、歩くのニガテだからあんまり遠くまで行けないし、このいいニオイも、いいニオイだけど、男の人をつかまえるコウカはあんまりないみたい。
学校にも通ってたけど、けっきょく卒業するまで男の人はつかまらなかった。
そういう時、パパとケッコンしちゃう子もいるみたいだけど、うちのパパはママにゾッコンだし、わたしもパパとケッコンするつもりはない。
昔はわたしも、パパの汗とか食べてたけど…大きくなったら、自分だけの男の人がほしくなっちゃったの。…ホント、ほしい。
でも!今度こそは、男の人が見つかるかも!
なぜなら今日は、あたらしい学校の入学式!あたらしい学校なら、あたらしい男の人もいっぱいいるよね!
…と、思ってたんだけど…
「まったく貴女達、大事な入学式で居眠りとは何事ですかッ!!」
「うぇぇ…ごめんなさい…」
あんまりながーくてタイクツで、ついでにあったかかったから、ちょっとウトウトしてたら…帰りのあいさつが終わったあとに生徒会長に呼び出されて、同じようにウトウトしてた人たちといっしょにすんごく怒られちゃった…。
わたしと同じマモノムスメなのに、生徒会長ってすんごくマジメな人みたい。
「おね〜ちゃ〜ん、いつもお説教長いよぉ…あたしらもう十分反省したよお…」
「反省した人ならそんな態度はとりません!
まったく…妹だけじゃなくて、貴方達もですよ!自分はまだまだ子供だって思ってるかもしれませんけど、あと何年もしない内に大人になるんだから、少しは真面目に…」
しかも、この生徒会長のお説教もまた、すんごく長いの!よくそんなに言葉が出てくるなぁって思っちゃう。わたしと同じスライムなのに、ダークスライムって、そんなに頭がよくなるの!?
わたし達といっしょに怒られてる妹さんは、いつもこんな風にお説教されてるみたい。
姉妹なのに、全然ちがう感じ…フシギだなぁ。
…なんて思ってたら、妹さんがわたしに話しかけてきたの。
(ヒソヒソ…)「ごめんね〜。あたしのお姉ちゃん、アヌビスさんみたいにマジメでうるさくて…悪い人じゃあないんだけどね…」
「え?ううん、怒ってないけど…お姉さんとあなたって、あんまり似てないね…」
「ウチのお父さんとはすっごく似てるんだけどね〜。お父さんもあんな風にマジメすぎで、昔は生徒会長もやってたんだって。
なのに魔物娘を2人もお嫁さんにしちゃうんだから、人生って不思議だよねぇ…」
「えっ、2人とケッコンしてるの?」
「うん。だからあたしとお姉ちゃんも、お母さんは別々なんだ」
「そうなんだぁ。お母さん達って、仲はいいの?」
「もちろん!この間も、夜にお父さんと三人で…」
「こらーッ!!私語はやめなさい!聞こえてるわよ!!」
「「はぁ〜い…」」
けっきょくその後も、ずーっとお説教されちゃった。
「親御さんが迎えに来た人もいるから、待たせないように」って先生が止めてくれなかったら、もっともっと続いてたかも…。
しかも周りを見ると、もう男の人といっしょにいるクラスメイトも沢山いた。
新入生が男を探すなら、入学式はゼッコーのチャンスだって聞いたことがあるのに、みごとに失敗しちゃった…がっかり。
でもその代わり、いきなりお友達ができたのはうれしかったから、まあいいかな。お姉さんの生徒会長のことは、ちょっぴりニガテになっちゃったかもだけどね…
家に帰ってのんびりして、パパが帰ってきたら、テレビを見ながら皆で晩ごはん。
その時に、さっそく入学式と友達の話をしてみた。
「…でもね、生徒会長もカワイイところがあるんだって。
その子が言うにはね、生徒会長、自分のクラスの隣の担任の先生のことが好きみたいで、毎日写真ながめてて…」
「へぇ、そうなの!結婚できるといいね、その生徒会長♪」
「だよね!そしたら怒られなくなるかも…」
「ハハハ、そうなるといいな。
確かに厳しいよなぁ…入学式なんて、寝るのが普通なのにな。
パパもそういう時は、いっつも寝てたぞ!」
「ママは学校行ったことないから分からないけど…
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