あの凄まじく妙なパズルを購入して、早二週間が過ぎた。
その間、諦め悪くも『ご褒美』対策は続けていたが、やはり成功はしなかった。
一番いいのは、パズルを解かない事、箱を手放してしまう事なのだろうが…
正直言って、パズルそのものは、どれもよくよく練られたような極上の質なのだ。
自他共に認めるパズルジャンキーの俺に、そんな事はできない。
故に、どうにかして、一番問題の『ご褒美』だけを止める手段を模索し続けた。
まず、パズルを解いても蓋を開けないという方法をとってみたが…
なにせ彼女は、箱さえあればどこにでも現れる事が出来るのだ。
開けずに寝た二日後あたりから、家にいても、大学にいても、買い出しに行っても
(開けて!)
(開けて。)
(もう、開けてよう…)
と言わんばかりの、こちらをじっと見つめてくる謎の少女の目につきまとわれ、
そのまた二日後に、精神的にまいって結局開けてしまった。
…その日は涙目になった彼女に、かなり派手に搾られた。
それにやはり、新しいパズルができないのは痛い…この案は失敗だった。
次に、あらかじめ性欲をなくしておくというアイデアを実践してみた。
具体的に言うと、彼女の目がない風呂場でひたすら自家発電を行い、空にしておくのだ。
いくら何でも、勃たなければ諦めるだろう。
(キ、キツい…)
元々あまり性欲は強くない方だと自負しているし、
その前日も搾られているのに、さらに抜き続けるのは辛かった。
それにそもそも、発電しきる事そのものが、妙に困難になっていた。
いくら扱いても、一番お気に入りのオカズでも、全然出せないのだ。
まるで、彼女の素晴らしい技巧でないと、満足できない体になってしまったかのように。
…しかも、彼女のことが頭をよぎった途端、なぜか、少しだけ楽になってしまった。
(まさか…)
危機感を感じたが、今は抜く事が先決、脳内だけだしと自己弁護し、
彼女の顔と技を思い浮かべつつ、どうにか限界まで出し切った。
かなり疲れたが、これで大丈夫と安心し、喜び勇んで箱に入った。しかし…
「…ん?お兄さん。なんかヘンな事してない?」
…一瞬ヒヤリとした。
「……変な事と言えば、お前としょっちゅうやってる気がするがな。」
「…まあ、そうかも。」
「今日もするんだろ?」
「そりゃもちろんするよ。でも、今日はその前に、お話しない?」
「…何でだ?」
「考えてみたら、お互いの事、まだあんまり知らないなぁって思ってさ。」
「そう言えば…そうだな。まさかそんな言葉が出るとは…」
「失礼な。私だって、エッチな事しか考えてないわけじゃないんだよ?」
「そうか…悪い。」
「まあいいや。お茶って飲む?前の世界の友達が、いい葉っぱ送ってくれたんだ♪」
「じゃあ、貰おうか。」
「ありがと〜♪一人で飲むのは寂しいし、他の友達とはなかなか会えないから、
お兄さんと一緒に飲めるのは嬉しいなぁ♪それじゃ、お茶淹れてくるね。」
そう言うと彼女は、お茶を淹れるために、部屋の片隅にあるキッチンに向かった。
(ご褒美の事を除けば、この子も普通の女の子なんだよな…。
俺でよければ、話に付き合ってやろう。)
それに、別にすぐ回復するものでもないし、茶飲み話するぐらいなら平気だろう…
…この時は、そう思っていた。
「はい、どうぞ♪」
「どうも。……甘いな。匂いも、なんかホッとする感じだ。」
「でしょ?このお茶って、お砂糖もジャムもいらないくらい甘いんだ。」
「ほー…さすが別世界。」
「いいでしょ♪他にも色々、この世界にはない美味しい物とか色々あるよ。」
「ちょっと興味あるな。」
「そういえば、お兄さんの所はどんな物食べてるの?一度食べてみたいな。
もちろん、一番食べたいのはお兄さんの精だけど。」
「……。まあ、こっちのも凄いぞ。そっちでは多分作れないような物も沢山あるしな。」
「へぇー…あっ、そうだ!
お茶飲みながら、ちょっと教えっこしない?お互いに興味ある事。」
「なるほど…いいかもな。」
「何でも…は知らないけど、どんどん聞いてね。私もどんどん聞くから。
…私の目的については、まだちょっと教えられないけどね。」
「おう。色々聞かせてもらうよ。」
それから俺達は、お互いの事や世界について、色々な事柄を語り合った。
別に彼女の事が嫌いなわけではないし、可愛い子と普通に喋るのは結構楽しい。
その為、つい話し込んでしまい、ティーポットの茶がなくなるまで話は続いた。
「ありゃ?もう無いや…随分長くお話したんだね。
今日はこれくらいでお開きかな?」
「そうか…ご馳走さん。楽しかったよ。」
「私も。またお話しようね。
…それじゃ、ごほうびしよっか♪」
「……どうしてもか?」
「どうしても。欲しいの。」
「…だが
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