商品No.2  謎の機械 ・・・・・・・・・・・・・ 銅貨5枚

 ん?その変な機械のことか。
それは「エンジン」とか言う機械で、元々この店はそれで動いていたらしい。
今はどうやって動いてるのかって?そもそも、この店って一体何物なんだって?
じゃあ、話してやろう。さすがに突っ込んだ話はできないがな。
まず、この店をどこで手に入れたか、だが……





 とある商人の下で修業を終え、俺一人で行商を始めて数年が経った。
こっから西のほうにある、親魔物領の『パンタリオン』って町のことは知ってるか?
町の中心に川が流れてて、結構キレイな町だ。でも、かなり祭り好きな所でな、
どんな祭りでもそりゃもう朝から大盛り上がりで、よそから見に来る奴も多い。
夜は夜で、町中の魔物と男が昼以上に盛り上がる…のは、親魔物の町のお約束か?
俺達も何度か見たことがあるが、ありゃ凄かった。それはまた別の機会に話すが、
お前さんも一度、実際に行ってみればどうだ?
…おっと、話がそれた。とにかく、俺はそこで道行く奴を相手に商売してたんだが…

「ほぉ…、お主、この辺りではなかなか珍しい物を売っておるな…」

 なんて言いながら、ものすごく怪しい格好をした子供が近づいてきた。

「えーと…確かにそうみたいだが…お前さんは何者だ?」
「何ィ?お主行商人のくせに、我ら『バフォメット』様の事を知らぬのかえ?」
「いや、知ってるけど…その格好じゃ、ただの子供…?にしか見えないぞ。
 って、全然『ただの』でも無いな…あー、えーっと……」

 そいつが着ていたのは、『特攻服』というらしいコートを羽織って、
頭に大きな赤いリボンがついた、ピンク色の熊の着ぐるみだった。しかも顔が怖い。

「この『レディース・ベア』の着ぐるみを着ていても、
 隠し切れずに全身から溢れ出すワシのカリスマ系オーラは分かるじゃろ?」
「どう見たって、変質者系のオーラしか出てないんだが…」
「仕方ないのぅ………ほれ、脱いでやったぞ。これでどうじゃ?」
「って、何でその下全裸なんだよ!?服を着ろッ!」
「あの着ぐるみの下に服など着たら死んでしまうわい。この世界の暦ではもう夏じゃぞ?」
「着ぐるみ着てる時点で相当暑いだろ!なぜ着た!?」
「勧誘のためじゃよ。最近この町によく人が来るようになっての。衣装はワシの趣…いや、
 このワシの魅力とマスコット的な可愛さが合わされば、もはや敵は無いと思うてな。」
「そのマスコットで片方潰れてたじゃねえか!しかもソレ可愛くもないし!
 つーか、いい加減なんか着ろ!人もだんだん集まってきたぞ!?
 自警団でも呼ばれたらどうすんだよ!」
「うるさい奴じゃな…。」

 着ぐるみを着直し、そいつは改めて俺に近づいてきた。

「さて…。いきなりじゃがお主、ワシのサバトまで来ておくれ。」
「本当にいきなりだな…。理由は?」
「ついたら話す。まあ心配するでない。襲ったり、お主にとって不利益なことはせんよ。」
「もう少しで俺を巻き添えに捕まりそうな事した奴に言われても、安心できないな……」
「全く、男なら細かいことをいちいち気にするでない!」
「行商人がそんな性格だったら危ないんだよ…」

 そんなやり取りの末に、俺は仕方なく付いていった。
そしてしばらく歩くと、サバトの…事務所?らしきデカイ館にたどり着いた。

「ここか…。」
「いやいや、そこでは無い。ホレ、看板を見てみぃ」

 その看板には『パンタリオン・シルヴィア博物館』と書いてあった。

「ほー、博物館か…。」
「ワシのサバトはこの隣じゃ。ささ、入るがよい」

 隣を見ると、博物館よりさらに一回り大きい館があった。ここがそいつのサバトらしい。
俺はそいつに引っ張られるように中に入り、中の客間のような場所に座らされたんだ。
そこには俺達の他に、熊の耳と爪を生やしたメイド服の女の子がいた。

「それでは、まずお茶でもご馳走しようかの…これ、ベリー!」
「はぁい、何ですのん?」
「このお客の為に、ハニーミルクティーを二つ淹れてくれんかの?」
「了解です〜」
「…なんか盛ったりしないよな?」
「……ベリー、やっぱり普通の蜂蜜で頼む。」
「あれ、普通のでよろしいんですか?」
「やっぱり盛るつもりだったのかよ!?何が『襲わない』だ!!」
「ジョークじゃよ、ジョーク。ロリリカン・ジョークじゃ。本気にするでない。」
「ロリリカンって何だよ…」
「ほな、淹れて来ます〜。」

「それにしても、熊が好きなのか?」
「クマちゃんは大ッ好きじゃ♪」
「だろうな。あんたの着ぐるみも熊だったし、この部屋にもテディベアが沢山あるし、
 あのベリーとか言う子もグリズリーだったしな。」
「乙女らしいじゃろ?ちと体調が悪いときも、熊の胆で治す位に大好きなんじゃ。」
「うん。そういう事を言わなきゃ、普通に乙女らしかったんだがな。」

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