サラマンダーとの鬼ごっこ

   〜〜〜

愛する妻 ヒィカ へ

  家出しました
  探して下さい

     トシヤより

   〜〜〜





「さて、どうなるだろうか」

そろそろヒィカも、机にある置手紙に気付いて読んでいる頃合いだろうか。
いつもなら朝起きておはようを言う前にキスをして流れでハグしてそのまま朝一セックスに入ってる時間だ。
それなのに俺がいないもんだからきっと朝の一発をシたくて悶々しているだろう。
と言うか俺が悶々してる、やっぱ疑問解決なんてしなくていいから帰っちゃおうか。

「……いやいや、分からんことは追及するのが冒険者だ、帰っちゃいかんぞ俺」

まあ冒険やめて今はずっとセックスしてるんだからやっぱり帰っても良いかと思わないでもない。
けれども彼女と結婚してからずっと不思議に思っていたことに答えを出したいのだ。
そんな風に考え込んでいると後方から誰かが走ってくる音が聞こえてくる。

「トシヤぁぁ! なんでだぁぁ!!」

良く通る声も聞こえてきた、というか予想より気付かれてから追いつくまでの時間が短い。
後ろを見遣れば愛しの人、サラマンダーのヒィカが全力疾走してきていた。
普段出かけるときは髪を一つに結わえているが今はまとめておらず、走る動きに合わせて大きく揺れている。
大きく揺れていると言えば服装もお出かけ用のではなく寝間着のゆったりした服のままだ。
その服装のために豊満な胸が縦横無尽にばぃんばいんと揺れて眼福である。
……見惚れてどうするバカか俺は!
視線を彼女から外して俺も全速力で走りだす。

「ヒィカ! 服着替えてこいよ! パジャマじゃねえか!」
「トシヤぁ! 今胸見てたろ! 昨日おっぱいでしなかったから拗ねて家出したのか!」
「そうじゃねえよ! いやパイズリされるの好きだけど! そうじゃねえよ!!」
「今日は思いっきりおっぱいでシてやるから! 好きなだけ挟んでやるから! だから帰ってこい!」
「だからそんな理由じゃねえって言ってんだろ!」

ちなみに現在時刻は朝の6時くらいである。
大声出してご近所迷惑かとも思われるがここの人らはどこの家も夫婦だけの世界に入り込んでるから心配しなくていい。
心配すべきはこのままじゃ思っていたよりずっと早く彼女に追いつかれるということだ。
後ろを見ればいつもと同じ彼女の姿がどんどん近付いてくる。
このままでは距離も縮まっていずれ捕まってしまう。

「おっぱいじゃないのか! じゃあ何が不満なんだ!」
「不満があって家出たわけじゃないけどな! ちょっとな!」
「じゃあシてる回数か! 気付かなくてごめんなトシヤ!」
「人の話聞けよ、不満なんてないって言って」
「もっと増やすから止まってくれ!」
「増やすのか!?」

いやいや、いつもどんだけしてると思ってんだ!?
朝起きてセックスは当然、2時間ほどしてようやく朝飯を済ませたらまたセックス。
12時位に昼飯食おうぜって言っても「人間一日に二食で十分」とか言って夕方までセックス。
ようやく晩ご飯かと思いきや週に3,4回は「一食くらい抜いても問題ない」って寝るまでセックス。
なのにセックスを増やすのか!? 1週間の食事が朝飯が7回と夕飯が3,4回で10回くらいなんだぞ!?

「なぁヒィカ! 聞き間違いかも知れんが、増やすつもりか!?」
「おっぱいでシてあげる時間が取れなかったんなら、その時間を作るまでだ!」
「だから胸から離れろ! お前にとって俺はどんだけおっぱい好きなんだよ!」
「そんなこと言っても! トシヤは寝ている間ずっと胸に縋りついてるぞ!」
「え、は、マジ!?」
「寝言を言いながら頬ずりしてくるトシヤは可愛いぞ!」
「可愛いとか言うな!」

寝てる間の俺は何してんだ!
起きてるときにしておくんだった!
頬ずりだけじゃなくてむしゃぶりつきたい!
いやさっきから何を考えてるんだ俺は距離縮まってるぞ!?
振りかえってちらりと彼女の姿を見て、俺は検証したいことがあるのを思い出す。
ヒィカの尻尾の炎、距離が縮まったからだけでなく先ほどより確実に大きく見える。





そう、俺が不思議に思っていたのは彼女の尻尾の炎なのだ。
初めて会った時は冒険者稼業の最中で、彼女に決闘を申し込まれた。
決闘の間ずっと大きくなり、互いに武器が壊れ引き分けに終わった後も炎は燃え続けた。
決闘したのちに彼女に性的に襲われ冒険者稼業に終止符を打ち今の性活に至る訳だ。
初めて会った日以降、ヒィカの炎はあの時ほど大きく燃え上がったことはなかった。
調べたところ、サラマンダーの尻尾の炎は魔力が見せるもので、闘争心やらに比例して大きく燃え上がって見えるらしい。

闘争心に比例するならば、精神が昂っている間はずっと大きく広がり続けるのではないか?
たとえば、普段の日課のセックスの
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