101発 One Chance

「ライぃ! セックスするよぉ!」

耳が痛い、声量的な意味合いでも内容的な意味合いでも。
家中、いや隣三軒くらいまでは響きそうなほど大きな声で最愛の妻・ワーウルフのセラはそう言った。
そして隣やらお向かいにも同じような宣言がなされたらしく声が聞こえてくる。

「……説明してくれ、サラ。いきなり何だ、昨晩もしただろうに」
「ん、それじゃまずさっきの集会で話し合ったことから話すね」

ここはワーウルフの夫婦が集まって住んでいる集落なのだ。
ときおり回覧板で周知してワーウルフ達が一か所に集まって話し合いなどをしている。
今日も集まりがあったのだが、帰って来ての第一声がただいまより先にアレだ。
説明を求めたくなる俺の気持ちも分かっていただけるだろう。

「じゃ、説明するね。ウチの集落って子ども生まれたことないでしょ?」
「だなぁ。毎晩どこの家でもあんなに遅くまでいちゃついてるってのにな」
「それで今回の議題が『子宝に恵まれるためにどうすべきか』だったのね」
「……で、セックスしろって? いや確かにすりゃ出来るだろうけど」
「ふふん、それだけじゃないのだなコレが」

そう言ってセラが取り出したのは何の取り柄もないただの板だった。
訝しげにそれを見る俺に説明を続けていくセラ。

「今都市で映画が公開されてるらしいのよね」
「ふぅん、なんて映画だ?」
「『101匹わん○ゃん』ってのみたい」
「セラ、今どうやって発音した」
「そこはまぁネズミ怖いから」

隠すにしてももっと他の字隠せよとかいう突っ込みは置いといて。
今その映画がすごく流行っているらしい。
わざわざ遠くの街から映画を見るためだけに訪れる人もいるほどらしい。

「でねでね、その映画って犬が出てくるでしょ?」
「見たことないけどタイトルから察するにそうだろうな」
「犬って言えば私達ワーウルフじゃない?」
「まぁ犬みたいなカッコだわな、耳とか」
「映画がヒットしたみたいに子宮にヒットしてくれるようにってゲン担いでみようって話になったの」
「……ムリないかその結論」
「細かいこと言わないの」

しかし子どもが出来ないし神頼みってのも悪くはない。
鰯の頭も信心からって言うしバカには出来ないよな……うん?

「ゲン担ぐのは良いけどよ、具体的にどうするんだよ」
「どうするって? セックスするんだよ?」
「いやそこは分かったけどよ、ここの集落にワーウルフ101匹もいないだろ」
「ふふふ、そこでこの板だよライ!」

そう言って手に持った薄っぺらい木の板を見せびらかしてくる。
30センチ四方程度の正方形の板が一体どうしたのだと疑問は増していくばかりである。

「その板どうするんだよ?」
「一回セックスするごとに印をつけて101個印をつけるんだよ!」
「あぁ、101回するのか……それを回覧板みたいに回していくのか、俺達が最初なのか?」
「? 回す? いや、私達だけで101個印をつけるんだよ?」
「あ、俺達だけなのか……はぁッ!? 全員で団結してとかそういう方向性じゃないのか!?」
「そんなんじゃ駄目だよ、集落には何組夫婦がいると思ってるのさ?」
「え、えーと……確か30ちょいだったよな」
「うん、正確には34世帯。全夫婦で合わせて101回じゃ一組多くてたったの3回じゃん」
「だからって各夫婦ごとに101は無謀じゃないかな……あぁ、無期限なら別に無理でもないか」
「まだ言ってなかったけど1週間後に皆で集まって飾るから♪」
「あぁ飾るの? まあ飾っても良いんじゃ……1週間後!?」

1週間、すなわち7日間。
101を7で割ると14あまり3……一日ノルマ14回ということになる。

「……セラ、俺ら結婚してまだ半年だぜ?」
「そうだね、ライと初めてのセックス今でも思い出すなぁ」
「露骨にエロ顔すんな。まだ俺ほとんど人間だから14発とかきついんだけど」
「大丈夫だって、14発くらいよゆーよゆー」
「いやいやいや死ぬって」
「どんだけセックスしても死なせないのが魔物娘なんだって魔王様が言ってた」
「死なないにしても死ぬほどきついって」
「どうにかなるって。決まったことなんだし男なら文句言わないの」
「えぇー……あぁごめんするよするからその振り上げた手を元に戻してください」

俺のとこに限った話ではなくこの集落に住む夫婦間では妻の言うことが絶対なのだ。
しっかし1日14回かぁ……体力持つと良いが途中で気失いそうだなぁ……。

「それじゃライ、さっそく脱いで♪」
「あーはいはい。セラも脱げよ」
「どうせたくさんヤるんだし最初は着たままで♪」
「……その胸や腰の布を洗濯するのは俺なんだが」

家事は交代でやることにしている、今月は俺が洗濯でセラが掃除、炊事は二人で一緒だ。
汗やら埃やらで汚れたものを洗うのは楽だが精液
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