回想前編

 …事の始まりは魔物と人間が争っていた太古の時代にまでさかのぼる…
 古代ジパングには神々に匹敵する力を持った龍[黄龍]が居た…その龍は人々を愛し、またその龍もジパングの守護神として人々から敬愛の念を抱かれていた。
 その竜は愛する人々を魔物の驚異から守り平穏な暮らしをさせるため、[水]、[炎]、[風]、[大地]の精霊達に己の力を分け与え、ジパングの四方を守護する四聖獣を作り出した。
 その五体の守護者達は人々を心から愛し魔物の驚異からジパングの地を守り続けた。人々は自らの身を挺してこのの地を守る守護者達を、敬愛の意味を込めて[五神]と呼び信仰した…。東方の守護者[水の化身【青龍】]、南方の守護者[炎の化身【朱雀】]、西方の守護者[風の化身【白虎】]、北方の守護者[大地の化身【玄武】]、そして四聖獣を作り、四聖獣を従わせる天空の守護者【黄龍】である。
 しかし、黄龍は魔物との長き激しい戦いで疲弊していき、ついにジパングを守る最後の決戦となった戦いで力の大半を使い尽くしてしまった。黄龍は四聖獣達にジパングを守る事を命じ、己は戦いで傷ついた体を癒すための長き眠りに付いた……。
 その命を受けし四聖獣は残りの全ての力を[宝玉]に封印し、その力をもってしてジパングを守る強力な結界を張り、黄龍が復活するまでの間、魔物から人々を守る盾とした。そして来るであろう次なる魔物との戦いに備え、四聖獣達は己らも戦いで傷ついた体を癒し、使い果たした力を取り戻すため、魔物との戦いの為に人々に作らせた四聖獣の力が宿る聖なる鎧と武器に自らを封印した。愛する人々の平穏な暮らしを望みながら…
 しかし五神達の予想に反し、魔物の大規模な侵攻はジパングには行われなかった…。しかし皮肉なことに五神達が願っていた[平穏な時の流れ]が続くにつれて過去の[事実]は神話と化し、かつて身を挺してジパングの地を魔物達の驚異から守り抜いた五神の事は徐々に人々の心から忘れ去られていった……
 そして魔王の世代交代によって魔物は人と共存出来る魔物娘となったのもあり、表向きは平穏な時代が続いた。しかし、裏では魔物娘の登場によって人々は魔物との共存共栄を望む親魔物派と、魔物を依然として悪と断罪する主神を崇拝する教会を中心とした反魔物派の分かれ、その間には軋轢が生じていった。そしてついにその軋轢は修復不能なほどの物となり人々は【人間同士】で争いを始めた。その混乱の中で[三個]の[宝玉]と白虎と玄武が封印されし[鎧]は何処かへ消え去り、ジパングには青龍の力が宿りし[宝玉]と青龍と朱雀が己を封じた刀のみが残された…
「……」
 ここはジパングで霊峰と言われる険しき山。奥深くには魔物すら容易には入れはしない。しかし、そこには何かを守るかの様に作られし社があった。その社も現在では人々から忘れさられ荘厳さは最早過去の物となり、太い柱さえ腐りはて今にも朽ち果てようとしている。しかし、満身創痍の騎士のがそれでも主君を守ろうとするかの様に悠然と建っていた。まるで自分が守護する者の[目覚め]を待つかの様に…
 その健気な社の裏手には洞穴が口を開けていた。その入り口にはしめ縄が張られており、不届きな輩が入るのを防いでいる。その洞穴の奥深くにはここが洞窟であるのを忘れさせるような広い空間があった。空間内は光を放つ結晶化した鉱物によって程好く照らされランプ等の照明機材は必要ない。
 その中心には四方10m程の立派な祭壇が作られ、その上には黄金色に光輝く1人の竜が眠っており、その放つ光は竜本来の姿をしてその体を覆っていたいた…
「…四聖獣達の気配がしない…」
竜が目蓋を開けるのと同時に覆っていた光は体と一体化し、 体からは微かにその光と同じ色の魔力が漏れだす。
「…こんな身体になってしまっているとは…何が起こったのだ…?」
身を起こして眠っている間に起きた自らの身体の変化に戸惑う。無理もない。誰だって、上半身が女の姿になり元々の姿とは似ても似つかない容姿になっていたら驚くだろう。
「我が眠っている間にいったい何が起こった?ジパングは現在どうなっている?」
魔力で幾つもの鏡を作り出し、そこに透視魔法でジパング各地の様子を次々に写し出す。情報収集をしているのだろうか。
「…成る程…魔王の代替わりがあったか…今度の魔王は、人と共存を望んでいる様だな…人の中にはそう思っていない輩もおるようだが…」
必要な情報は集まったのだろう。[彼女]は鏡を消した。
「魔物を全て女の姿にするとは…こんどの魔王はおかしな事を考えるものだ…」
眠っていた間に起こった事に苦笑いする[彼女]。因みに彼女は元から[雌]なのであしからず。
「しかし、これでより魔物と人は共存しやすくなったのも事実。現魔王には感謝しないとな…あのクソジジイは相変わらず
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