「何者だ貴様!!」
「残念ながら名乗っている時間は無いんでね!!」
そう言うとジョーは容赦なく引き金を引いた。
連続して3発の銃声が室内に響く…
問答無用で麻痺弾を撃ち込まれた3人は、
それ以上声を発することなくその場に崩れ落ちる結果となった。
もはや声を出すことも叶わない技師長達を後に続いて入ってきた
クノイチ達が素早く縛り上げる。
「こいつらが最後だな?」
「はい!!」
イアンから情報を貰っていたしぐれが素早く返答した。
「よし…隠密部隊はこいつらを連れて街まで撤退!!
化け物どもは俺達が始末する!!」
「え!?」
「し、しかし!!」
思いもしなかった命令にクノイチ達が仰天の声を上げる。
「お前達が言いたい事は分かる…」
「では何故!!」
「この言い方では酷かもしれないが…
今のお前達の実力と装備では奴等にとっては只の餌に過ぎん…」
そう言うとラプトル型殺戮者の攻撃を腕で受け止め、
ゼロ距離でP38を放つ。
電磁波の力で凄まじい加速度を得た「対殺戮者用の弾丸」はコアを跡形もなく破壊し
殺戮者の身体を貫通。
その後ろにいた者の上半身をも粉砕した。
「「「!?」」」
噛みつかれた腕のからは出血は全くない…
その傷口からは本来あるべき皮下組織ではなく、
金属の装甲板が顔を覗かせていた…
それを見たクノイチ達は言葉を無くしたが、
ジョーは整然と言葉を続ける。
「俺はこいつらとの戦いで片方の手足と…
多くの戦友を失った…
魔王軍との戦力差を簡単に覆せる程の
強力な武器を人類が手にしている世界での話だ…」
「「「…」」」
「いくら身体能力が優れている魔物と言えども、
生身では殺戮者は倒せない…
何よりも…
嫁入り前の乙女を俺の様な身体にするわけにはいかない。
お前達の家族や未来の旦那達に示しがつかんからな」
そう言ってジョーは苦笑いを浮かべる
「しかし!!」
「そして…俺は隊長や領主殿からお前達の命を預かっている身。
部下の命を無駄に散らせる行為は指揮官のやるべき事ではない。
撤退して、この事態を領主に伝えるんだ…
これは命令である!!」
(こいつらに『命令』を出したのは初めてかも知れないな…)
心の中でジョーはそう呟いた…
ジョーは『命令』と言う言葉が好きではなかった。
上官からの『命令』で幾人もの戦友が死んで行ったからだ…
軍人である以上…上官からの『命令』は絶対であり、
時には戦死が確実である事柄でさえも『命令』ならば遂行しなければならない。
そうして、自分の目の前で友人が、仲間が、そして愛する人までもが
『命令』を遂行するために命を散らせて行ったのだ…
だから…部下を持つ身になっても『命令』と言う言葉だけは
今まで決して口にすることは無かった。
(俺は…あの椅子にふんぞり返って兵を数字でしか見ない様な屑共とは違う…
俺は、むざむざ部下を死なせる様なマネはしない…!!
そんな『命令』だけは決して出さない…!!
出させはしない!!)
「…了解」
「分かりました。隊長は一度決めた事は絶対に曲げない人です…
此処で私たちが拒否しても無理矢理送るんでしょうから…」
「必ず帰って来て下さいね…隊長」
その心情が顔に出たのであろう…
それを察知したクノイチ達は命令に従い動き出す。
その顔に苦渋の表情を浮かべながら…
「死亡プラグを立てるな…大丈夫だ、
こんな所で死んでたまるかってんだ。
早く行け!!」
ジョーの命令に従い、
緊急脱出用に作られた簡易魔法を発動させて次々に脱出していく隠密部隊…
しかし最後に残った「しぐれ」だけは撤退しようとしなかった。
「命令が聞こえなかったのか?!早く脱出しろ!!」
破壊した扉から室内に入って来ようとする「ラプトル型」殺戮者を迎撃しながらジョーは叫ぶ。
「いやです!!貴方達だけ残して撤退するわけには!?」
バリーン!!
制御室正面の強化ガラスが粉砕されて複数体のラプトル型が飛び込んでくる!!
咄嗟にP38からビームソード内臓のUSP二挺に持ち変え、
侵入してきた殺戮者の唯一急所…コアを次々に撃ち抜いて行く…
しかしそれらは囮であり、すでに何体かのラプトル型は室内に侵入してしまっていた…
(くっ…これだけを狭い室内で流石に相手するのはキツい…
せめて、しぐれだけでも脱出をさせなければ)
背後に居るしぐれを一瞬だけ見るジョー
ラプトル型殺戮者…
コードネーム「セラミックラプトル」
体表はセラミック合金で覆われており動きは俊敏。
太古の小型肉食恐竜の「ヴェロキラプトル」に姿は酷似。
行動パターンも同様である。
常に集団で行動し、知能は殺戮者の中でも高い部類に含まれる。
性格は非常に狡猾で獰猛。
時には囮を使って獲物を誘導する事例も確認されている。
順応性
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