二つの白

そこは、高い山の麓に在る大きな町、
ガサガサ
そして、ここは、その町に在る一軒の家の玄関、
そこでは、一人の少年が靴を履いていた。
その少年の名前は、ジン・ケーニッヒ、父の様な強い剣士を夢見る十歳の少年だ。
「よし!」
ジンは鞄と練習様の剣を持ち、家を出る。そして、町の近くの森に向かう。その途中、
「あー、老いぼれジンだ!」
道の横で遊んでいた少年たちがジンを指さして笑う。
「うろせー!」
ジンの髪は白髪(ハクハツ)である為、昔から悪口を言う者が良く居る。その為、ジンは何時も、誰も居ない森の中で鍛錬をしている。
ジンは森の中にある木々が開けた場所に着くと鞄を降ろし、鍛錬を始めた。
「はっ!はっ!はっ!」
ジンは、練習用の剣で素振りを始める。
「(見てろよ!大きくなったら、誰よりも強く成って、あいつら全員見返してやる!)」
ジンがそんな事を考えながら鍛錬をしていると、
『おい!居たか!』
「うん?」
森の中から人の声が聞こえた。
『いや、いねえ』
『早く探せ!苦労して捕まえて来たんだ!何としても捕まえるんだ!』
「珍しいな、この辺りに人が来るなんて」
ジンは、この場所で三年ほど毎日の様に鍛錬をしているが、魔物なら数回会った事は有るが、一度も人に会った事は無かった。
ジンが声のする方の森を見ていると、
ガサガサ、
「!!」
突然、目の前の茂み揺れた。
「ふっ!」
ジンはすぐさま剣を構え警戒する。しかし、茂みから出て来たのは、
ヨロヨロ、
「ドラゴン?」
白いドラゴンの子どもだった。大きさは、ジンよりも少し小さい位だ。
「キュュューー」
ポテッ
そのドラゴンの子どもは、ジンの前で力無く倒れた。
「あっ、おい!」
ジンは警戒を解き、ドラゴンに近寄る。
「うっ!ひで〜!」
よく見るとドラゴンの体は傷だらけであった。刃物で切られたのであろう、鼻と目との間には、大きく痛々しい傷が出来ていた。他にも掠り傷が多く有る。
そして、ジンがドラゴンに触れようとすると、
「っ!カカカカカァァァ!」
「うわっ!」
ドラゴンが起き上り、ジンを威嚇する。
「だっ、大丈夫だよ、殺したりしないから」
そう言って、ジンはもう一度手を伸ばす。すると、
ガブッ
「いっ!」
ドラゴンがジンの手首に噛みついた。
「ググググッ!」
ドラゴンは更に顎に力を入れる。牙は肉に喰い込んで血が出てきている。すると、
ポンッ、ナデナデ、
ジンはドラゴンの頭に手を乗せ優しく撫でる。
「だから、なにもしねえって」
「・・・・」
すると、ドラゴンはジンの手首から口を離す。
「よしよし、いい子だ」
そう言いながらジンは更にドラゴンの頭を撫でる。すると、
『おい!さっきこっちの方で何か聞こえたぞ!』
先ほどの声が、少しずつジンたちの方に近づいて来た。
「やばい!どうしよう!どうしよう!あっ!」
ジンは何かを思いつき、急いでドラゴンを抱き上げる。そして、近くの茂みの中に隠す。
「いいか、どんな事が有っても、ここを動くなよ!」
ジンはドラゴンにそう言うと、その場所から少し離れた所に倒れる。そして、
「ぐわわーー!いてーー!」
大声で叫んだ。すると、
『おい、なんか悲鳴が聞こえたぞ!』
『あっちだ!』
先ほどまで聞こえていた声の主がジンの前に現れた。
「おい!ガキが居るぞ!」
それは、みすぼらしい格好をした男たちだった。
「(こいつら、魔物狩か)」
魔物狩とは、強い魔物や美しい魔物を捕まえて、売りさばく商人である。
「ドラゴンに噛まれた〜!」
「えっ!」
ジンがワザとらしく言うと男たちはその言葉に反応した。
「おいっガキ、そのドラゴンは何処へ行った!」
「あっちの方に逃げて行った〜。僕の事はいいから、あのドラゴンを捕まえてください〜」
ジンは、ドラゴンを隠した茂みと逆の、森の奥の方を指差す。
「そうか!よし、追うぞ!」
男たちはジンが指差した方に走って行った。
「ふ〜、バカな奴らだな」
ジンは立ち上がるとドラゴンの所に戻る。すると、既にドラゴンは、かなり弱っていた。
「不味いな」
そう言うと、ジンは鞄と剣を持ち、ドラゴンを背中に背負う。
「ひげ爺さんの所まで頑張れよ!」
ジンはそのまま町の方へ走る。

ジンは、町はずれの店に向かった。ここはとても不思議な店で、その時欲しい物は大抵何でもある。さらに、馴染のある人なら付けも効く。
キー
「じいさ〜ん、ひげじいさ〜ん!」
ジンは店に入ると大声で呼ぶ。
「ほいほい、いらっしゃい」
すると、店の奥から長いひげを垂らした老人が現れた。
「おお、ジンくんじゃないか、如何したんだい?」
「ああ、実はこいつ何だけど」
そう言うとジンは、背中に背負っているドラゴンを見せる。
「これは酷いの〜」
「ああ、魔物によく効く傷薬とか無い?あと、包帯も」
「ほいほい、有るよ〜」

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