話の舞台は、何処にでも在る様な町。
チュンチュン
そして、ここは、その町に在る、一軒の家の一室。そこには、ベッドの上で上下する布団が一枚。
「Zzz、Zzz」
カチッ、カチッ、
枕元に置かれた時計は、もうすぐ朝の7時に成ろうとしていた。そして、時計の秒針が真上に来そうに成った瞬間、
ピキン、ガバッ、
布団が跳ね除けられ、
ピピッ、カチッ、
そこから出て来た者が鳴り始めの時計を止めた。
「ふぁーー、うーーーん、よく寝た」
布団から出て来たのは、この家に住む青年、サイガ・リュウキ、十七歳、この家で父と母と同居人の四人で暮らしている。
リュウキは、欠伸をして、続いて背伸びをして枕元に置いていたメガネを掛けて、自分の部屋を出た。そして、自分の部屋の扉の横に在る、もう一つの扉に視線を向ける。
「まだ早いし、もう少し寝かせてやるか」
そう言って、リュウキは階段を下り、顔を洗った後、キッチンに行く。すると、
「あっ、リュウキ、おはよう〜」
そこには、この家の同居人である、ホルスタウロスのルルが居た。
「珍しいな、ルルが俺より先に起きてるなんて」
「うっ、うん!今日は何か目が覚めちゃって」
「ふ〜ん」
ホルスタウロスのルルは、基本的に朝に弱い。その為、朝はリュウキが起こさないと中々起きない。
「え〜と、あっ!朝ご飯出来てるよ、食べる?」
「ああ、じゃあ貰うよ」
「うん♪」
リュウキは椅子に座り、ルルはご飯を装う。テーブルには、朝食にピッタリの料理が並んでいる。
そして、ルルは装ったご飯をリュウキに渡す。
「はい」
「ありがとう。じゃあ、いただきます」
「いただきま〜す」
そうして、二人で朝食を摂り始める。
「うん?今日の朝食は、ルルが作ったのか?」
リュウキは何時母が作っている物と違う味付けに気づきルルに聞く。
「うん、美味しく・・無かったかな?」
「いや、美味いよ」
「は〜、良かった♪」
ルルは安堵し、食事を続ける。
「そう言えば、おじさんとおばさんは?私が起きた時はもう居なかったけど」
「今日は、朝一で会議だって、昨日言ってた」
「そっか」
「だから朝食は、俺が早く起きて作る予定だったんだけど」
「あぁ〜、ごめんね〜」
シュン(耳がションボリと垂れ下がる)
ルルはリュウキに無駄な早起きをさせてしまった事を謝る。
「謝らなくて良いよ。お陰で料理の手間が省けた」
「うっ、うん!」
ルルは少し赤くなりながら喜ぶ。
「そう言えば、昨日はお父さんとお母さんから連絡が有ったんだよ!」
ルルは話を逸らすかのように別の話題を出す。
「そうなのか?何時頃帰って来るとか言ってたか?」
ルルの両親は外国に赴任をしており、赴任する時、ルルは一人この国に残った。その際、ルルの両親と仲の良かった、リュウキの両親がルルをこの家で預かる事にしたのだ。
「まだ仕事が忙しいみたい、年末には一度帰って来るって言ってた」
「そうか。早く帰って来ると良いな」
「そう・・だね。うん」
ルルは少し暗くなった。だが、リュウキはそれに気づかなかった。
「お代わり」
「あっ、はい」
リュウキは空の茶碗をルルに差し出した。そして、ルルがそれを受け取ろうとした瞬間、
ポロッ、カシャン、
「「あっ」」
ルルの手から茶碗が落ち、下に在ったお茶の入ったコップを倒した。そして、
ピシャッ、
コップはリュウキの方に倒れ、コップの中に在ったお茶がリュウキの寝間着に掛かった。
「つめてっ!」
「ごっ、ごめんなさい!」
ルルは急いで布巾を持って来て、リュウキの服を拭く。
「リュウキ、ごめんね〜」
「良いよ。どうせ今日洗いに出そうと思ってたとこだから」
そう言ってリュウキは上の服を脱ぎ始める。
「じゃあ、直ぐに洗うから、それ貸して」
「ああ」
そして、リュウキが着ていた服の上を脱ぐ。しかし、そこで、
「あっ!」
ルルは、リュウキの背中に在る、大きな傷痕が目に留まった。
「!!」
リュウキも傷を見られた事に気づき直ぐに隠す。
「ホントに・・ごめんね」
ルルが俯いて、泣きそうに成りながらもう一度謝る。
リュウキの背中に在る傷は、まだリュウキ達が子どもの頃、事故に在った際、リュウキがルルを庇って出来た物だ。その時リュウキは、体から大量の血を失い、とても危険な状態に成った。しかし、通りかかった魔物に輸血をしてもらい、そのお陰で何とか命を繋ぎ止める事が出来た。
だが、本来魔物の血が人間に適合する事が無い為、その後の処置で傷は治ったものの体に後遺症は残ってしまった。
その一件が在ってから、ルルはこの傷を見ると泣きそうになりながら謝る様になった。
「何時も言ってるだろ、謝らなくて良いよ」
リュウキはそう言ってルルの頭を優しく撫でる。こうするとルルは大体泣きやむ。
「グスッ・・・うん!」
ルルは涙を拭き笑顔に戻る。
その後
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