傷だらけの男と癒しの魔物

ある所に旅人の男が居た。
「ふむ、シュトレイユか、住みやすそうな国だったな」
男の名前はレイ・イレイサー、歳は十代半ば、頭は良くも悪くも無いが武術は父に仕込まれた為、その辺の騎士より遥かに強い、武器は背中に背負っている少し長めの剣である。
「候補として上げておくとしよう」
旅の目的は、自分の住みやすい国を探す事である。
レイは地図を出し、先ほど出て来た国に印を付ける。
「さて、次の国に向かうか」
レイは地図を鞄に入れ次の国への道を歩き出した。

出国してからレイが森の道を歩いていると、
「うん?」
遠くから人の声が聞こえた。
「こんな人気の無い森で・・・魔物か!」
すると、その声はレイの方へ徐々に近づいて来る。レイは剣の柄に手を伸ばし構える。
ガサッガサッ、ヒュッ
不意に茂みが動いたと思うと、行き成り何かが飛び出して来た。
「こいつは・・・」
それは、白い馬の下半身に人の上半身、そして額に一本の角が有る少女だった。
「ユニコーンか」
そう、行き成りレイの目の前に現れたのはユニコーンだった。
「・・・・」
レイは余の美しさに少しの間見とれてしまった。
「はぁー、はぁー」
ユニコーンは肩で息をしながらその場に倒れそうになる。
パシッ
しかし、それをレイが抱く様に支える。よく見るとユニコーンの足には刃物で切った様な傷があった。
「何者かに襲われたようだな」
レイがそんな事を言っていると、
ガサッガサッ
少し離れた所の茂みが動き道に数人の男が出て来た。格好から察するに山賊だ。
「よし、やっと追いつめたぞ!うん?」
山賊のリーダーと思われる男がユニコーンを抱えて居るレイに気がついた。
「おい兄ちゃん、すまねえがそいつは俺たちの得物なんだ、こっちに渡してくれねえかな?」
山賊のリーダーがふざけた様に言う。その時、レイに抱かれていたユニコーンがレイの服を掴んで震えていた。
「・・・ふっ」
怯えるばかりのユニコーンの頭をレイは優しく撫でる。
「大丈夫だよ」
正直、レイは関わりたくなかった。このままユニコーンを差し出せば済む話なのだから。しかし、今レイの腕の中で震えているユニコーンが、目の前に居る山賊たちに何をされるかを想像すると、とてもそんな事は出来なかった。
「二つ聞きたい事がある」
「なんだい?」
「このユニコーンが何か悪い事をしたのか?」
「いいや」
「そうか、では、お前たちはこのユニコーンをどうするつもりだ?」
「決まってるだろ!ユニコーンを欲しがる貴族はいくらでも居る。そいつらに高く売りつけるのさ!」
「なるほど、ならば、渡す訳にはいかない!」
「なんだと!」
レイはユニコーンを寝かせ立ちあがり剣を構えた。
「てっ、てめえ!俺たちとやろうってのか!」
「ああ、私はどうにも罪の無い者が奴隷の様にされるのは好かんのでな!」
「くっ!舐めやがって!おいっお前ら、ちーとこの兄ちゃんに現実ってやつを見せてやれ!」
『おうっ!』
山賊たちはそれぞれの武器を出し、20人近い山賊たちがレイに襲いかかって来た。しかし、
シュンッ
レイは一瞬にして襲いかかって来る山賊たちの最後尾の後ろまで駆け抜けた。
「えっ!」
山賊たちは余の出来ごとに頭が混乱した。
スー、カチン
そして、レイが剣を背中に戻すと、
チンッ、パラッ、カスッ、カンッ、ボトッ
「うん?うおわっ!」
その場に居た山賊達の武器は粉々になっていた。そして、おまけに服も、際どい所だけ残して斬られていた。
「ドラゴンの牙より造られた剣、貴様らの持っている鈍らとは一味違うぞ!」
『・・・ぁ・・ぁ!』
山賊たちは余の威圧感に手足が震え何も言えなくなっていた。
「お前たちなど斬る価値も無い、今すぐ立ちされ!」
『ひぃーーーー』
ドドドドドドッ
山賊たちは我先にとその場から逃げだした。
「ふ〜〜」
レイは、溜め息をつき体から力を抜いた。するとレイは、そこで初めて、まだ自分を見ている者の視線に気づいた。
「・・・」
それは、先ほどまで意識を失いかけていたユニコーンだった。
レイが近寄ると少しビクッっとしたが逃げようとはしなかった。そして、レイは傷を負っている足を見る。深くは無いがまだ幼さが残るユニコーンには辛そうだった。
「回復魔法は使えないのか?」
レイがユニコーンに聞く。
ユニコーンは他の魔物と違い回復魔法を得意としている筈だが、
「ま、まだ、よく分からないの」
どうやら、まだ親に習っていないようだ。
「ふー」
レイは仕方なく鞄から薬と、包帯が無かったので白い生地に赤の刺繍がされているハンカチを出した。そして、ユニコーンの足に薬を塗る。
「お前、名前は?」
レイが治療をしながら聞く。
「コ、コハク!」
少々詰まりながら名前を言う。
「コハクか、良い名前だな」
「あ、貴方の名前は?」
「私か?私はレイ、レイ
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