同じゲームを通じ、仲間同士で盛り上がる。別に珍しい事ではない。寧ろ、よくある事だと言える。しかし、自分の好みのゲームは如何せん妙なのか、同じアプリゲームを有する友人にこんな事を言われてしまった。
「お前、どうしてそのゲームを選んだんだ?」
「どうしてって……楽しそうだから?」
友人の質問に対し、疑問形で返してしまった俺。かく言う自分もどうしてこのゲームを選んだのかは覚えていない。只、何となくゲーム内容を見て『良いな』と感じたから……としか言い様がなかった。
今、巷で話題となっている魔物アプリに手を出したのは数日前。友人から無料で遊べると聞いて、何となくダウンロードしたけど、正直言うと俺……ノギ・マサトはゲームというものに然程詳しくはなかった。
俺は根っからのスポーツマンであり、特に2m近い身長を持っていたおかげで瞬く間にバレー部のエースとなり、時々バスケ部の応援要員として駆り出される程の運動神経を持ち合わせていた。
まぁ、俺の自己紹介はさて置いて、そういった一種のスポーツ馬鹿であった為にゲームに触れ合う機会は殆ど無いに等しかった。しかし、だからと言ってゲームに関連するもの全てに興味が無いという訳ではない。
二十歳になって念願のスマートフォンを手に入れた際、最初に考えたのがアプリゲームという物をダウンロードしようという事だった。俺だって人並みの好奇心はあるし、こういうゲームがあるのならばやってみたいと思う気持ちだってある。
しかし、詳しくないが故にどんなゲームがあり、どんな風にして楽しめば良いのかという点については全くの無知であった。ましてや、最近のアプリは詐欺やら情報が盗まれるだのと物騒な話が多い。
そこでゲームに滅法詳しい友人に、素人の自分でも簡単に出来て且つ楽しいアプリゲームはあるかと尋ねた結果、その答えとして教えてくれたのが魔物アプリだった。
友人曰く『色々と噂や都市伝説の絶えないアレなゲーム』との事らしいが、同時に『何ら問題は無い、寧ろ男ならばやる価値有り』との事らしい。まぁ、ゲーム好きの友人が大丈夫だと太鼓判を押しているので、それを信じる事にしよう。
何よりも種類も豊富で無課金、更に長く遊べるというのが決定打となり、俺は早速それをダウンロードした。そして実際に見ると、確かに種類は充実している。パズルやらクイズやら、格闘ゲームやらタイミングゲームやら育成ゲームやら……数え出したらきりが無いぐらいの豊富さだ。
しかし、余りの種類の豊富さに、逆に何で遊ぼうかで迷ってしまう。そもそもゲームなんて滅多にやった事が無いので、どのゲームが自分に合っているのかだって分からない。
レーシングゲームか? 格闘ゲームか? パズルゲームか?
画面に指を当てながら、何気なく自分に合うゲームを探していると……不意に変わった名前のゲームが目に飛び込んだ。
その名も『ゾンビマンション』―――名前だけ見るとホラーゲームのように見えるが、その字体はポップ調の可愛げのあるものだ。それだけで『このゲームは間違ってもホラーではありません』と教えてくれているようなものだ。
少しだけ興味をそそられたのでゲーム内容を見てみると、蒼白い肌をした黒いマントを羽織った少女と、以下の様な説明文がスマートフォンの画面に映し出された。
『ゾンビマンションにようこそ。貴方はゾンビマンションのオーナーであり、私は貴方を補佐するリッチです』
『このマンションには文字通りゾンビしか住めません。そのゾンビ……と言いますか、ゾンビの元となる死体はマンション近くにある墓地から手に入れて下さい。手に入れたら、私の所へ死体を持って来て下さい。その死体に魔法を掛けてゾンビとして復活させます』
『そしてゾンビをマンションの一室に住まわせ、貴方はゾンビ達に指示を出し、働かせて下さい。そして彼女達が稼いだ給料でマンションを大きくして下さい。マンションが大きくなるにつれて墓地も広くなり、ゾンビの数を増やしていけます』
成る程、要するにゾンビ達と暮らして、ゾンビ達の力を借りて自分のマンションを大きくさせていくという一風変わったゲームのようだ。そう納得していると、今度はこのゲームに纏わる注意事項の説明が画面上に表れた。
『しかし、全てのゾンビを働かせ、お金を稼げば良いというものではありません。ゾンビの中には仕事に向いている者と、向いていない者がいます。不向きの者が働き続けると、途中で仕事を放棄し、人間を襲うようになります。そうなるとゾンビマンションに対する不信感ゲージが高まりますので注意して下さい』
『不信感ゲージが高まるとゾンビマンションには金品を盗みに来る泥棒や、ゾンビを目の敵にしている反魔物教団などが襲撃してくる回数が増大します。そ
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