チャリン・・・・・・チャリ・・・
何処かの倉庫だろうか。
薄暗く広い空間に金属が擦れあう音が鈴の音のように響く。
「ふっ・・・・・ふぅっ・・・!」
苦悶とも艶めかしい嬌声ともとれる呻き声が響く闇の奥、ややピンク色がかった銀の鎖によって拘束された肢体が浮かび上がる。
勃起し充血した乳首にはクリップローターがつけられ、アヌスにはピンク色をした凶悪なアナルバイブが蠢きその肉体に未体験の快楽を刻みつけていた。
彼自身のペニスは既に勃起していたが、その根本につけられているややピンク色がかったコックリングに吐精は塞き止められ、終わることのない快楽に彼自身のペニスからは粘りつくような液体が止め処もなくぴちょりぴちょりと涙のように滴り落ちている。
黄金の筋肉もなく、中肉中背ないたって平凡な身体つきの男性。
屈服させるのが目的ではない。
これは彼に対する「罰」であり、そしてその不義理に対する「審問」だ。
「おいおい、ちゃっかり楽しんでんじゃねーか。これじゃ罰になんねぇーな!おい!」
暗闇から声が響く。
明るい少女の声。
しかしその声には明確な侮蔑と怒りが含まれていた。
ブラックレザーの煽情的な衣装を身に纏い山吹色の髪を揺らしながら、彼に歩み寄り彼の乳首につけられたローターをその白い指で弾く。
「ふごッ!ふぉぉぉごぁ!!!」
チャリチャリ!
男が身体を捩り鎖が擦れあう。
「こんなにめちゃくちゃにされてもイケないなんて地獄だろ?」
少女は男の口に嵌められたゴム製の口枷に指をかけると強引に引き出す。
「前に言ったよね?アタシを裏切ったら許さないって!」
少女の身体が燃え上がった。否、それは少女が「元の姿」に戻っただけだ。
金色の髪
額から生えた二本の角
腰から伸びた翼手類にも似た翼
火を操る悪魔であり、上位種「バルログ」の眷属たる魔物娘「パイロゥ」が冷たい眼差しで立っていた。
「僕は裏切ってはいない!!信じてくれ!!!!」
男は懇願する。
しかしパイロゥはその焔色の瞳を細めただけだった。
「まだシラを切りやがるか・・・・」
ボワッ!
彼女の手に炎が灯る。
その姿を見て彼は彼女が自らに加える「罰」を理解した。
「や、やめろ!!!やめてくれぇぇぇ!」
慈悲を懇願し男が彼女の魔手から逃げようとするが四肢を拘束されてしまっている。この状態では彼女の劣情を更に煽り立てる以上の意味はなかった。
「・・・・誘ってんのか?怯えた顔もイイぜ」
少女が男の首筋をゆっくりと舐める。
「愉しめよ」
少女はその炎を纏った手で彼のペニスを握った。
「あっ!あああああぁぁぁぁあっぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!!」
男の絶叫が響く。
魔物娘は人を傷つけない。
彼女が手に宿した炎は彼の身体を焼くことはないが、しかしその「魔炎」は焼かれるような欲情や快楽を刻む。
「は、面白いだろ?魔界銀のコックリングは?一度イっても吐精できず快感はずっと続くんだからな」
男がビクンビクンと、まるで電気椅子で処刑される死刑囚のように跳ねるのを見ながら笑みを浮かべる。
「どうだ?正直に答えなよ?浮気したんだろ?」
「違うんだ!違うんだよ朱火!」
朱火と呼ばれたパイロゥの手が彼の口を塞ぐ。
「まだ足りねぇってのか!あ?」
男が首を振る。
「じゃあアレはなんなんだよ!!答えろよ!!」
朱火が強引に男の首を「ソコ」に向ける。
そこには一人の少女が拘束されていた。
額の角や腰の翼などの違いこそあれ、その少女は朱火そっくりだった。
ザザァ・・・
黒々とした波間が揺れ寂しげなコーラスを奏でている。
読み方もわからない異国の文字が書かれた瓶や缶、奇怪な形の流木などが犇めく中、「ソレ」が身を捩る。
かろうじて「ソレ」が人間 ― 少女を模したモノ ― とはわかる。
動いたせいだろうか、パラパラと彼女を拘束していたものの残骸が崩れ落ちる。
「お目覚めかしら?」
ギギッ・・・!
ソレが声のした方向にぎこちなく首を向ける。
捩れた角と冷たさを感じる青い肌、そこに「悪魔」がいた。
「満月の晩の散歩は面白いわ。貴方のような存在に会えるもの・・・・」
「・・・・?」
悪魔が笑みを浮かべる。
「私はレーム、デーモンよ。貴方からは強い未練を感じたわ。さぁ言いなさい、貴方の願いを」
「ワ・・ダシは・・・・・」
― お前のこと好きだったんだよ、本当だよ ―
― でもお前がいるとあの子と一緒になれないんだ ―
― だから・・・! ―
「アいたいヒトがいマス・・・・」
「そう・・・」
レームと名乗ったデーモンが音もなく「ソレ」に近づく。
「これは餞別よ」
唇が重なる。その瞬間、ソレの身体に炎が入り込む。
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4]
[7]
TOP[0]
投票 [*]
感想