― once upon a time ―
ドラゴニア竜騎士団訓練所。
日々、ドラゴニアの空と国民の安全を守るドラゴニア竜騎士団。所属する隊員も多く、「特殊工兵隊」や「水龍隊」といった特殊部隊を多く擁することからドラゴニア領内には所々に訓練所をもっている。
その為、候補生の特性や性格により所属する訓練所に振り分けられていた。当然のことながら、他の訓練所ではやっていけなかった候補生もいる。
そういった「鼻つまみ者」の候補生が集まる訓練所の一つが「Y13訓練所」。しかし誰もその名前では呼ばない。YがZの一つ前ということから通称「ズンドコ訓練所」とあだなされていた。
その訓練所裏。
訓練所の性格上、揉め事を起こす候補生が多く話し合いよりも手が先に出ることが往々にしてあった。人目に付きにくい此処はケンカをするには絶好の場所であり、故に教師達すら踏み込めない無法地帯となっていた。
その訓練所裏で二人のワイバーンが大の字で横になっていた。
「ク・・・・、あんた将校の癖にやるじゃねーか・・・・」
青白い髪のワイバーンが隣に横たわるワイバーンに声を掛ける。よく見るとそのワイバーンが付けている識別章の階級は少佐を表していたが、彼女にとってはどうでもよいことだ。
〜 どうせ放校処分だろうな。それだけの事をしたんだし 〜
彼女には「ガンプ」という名前のワームの友人がいる。
ハッキリ言ってガンプは「馬鹿」だ。何せ鼻で息ができることを彼女が指摘するまで知らなかったと言えば、ガンプの深刻な馬鹿さ加減が理解できようものだ。
だが・・・・彼女にとってガンプは無比の友人、だからこそだ。彼女を「空も自由に飛べない地虫」と嘲り笑ったあの教師をこのワイバーンは許せなかった。
「貴様もだよ。聞いたぜ?友人を馬鹿にした教師を凹ったって」
「許せないヤツをノしただけさ。それに後悔なんてない」
「しかしなぁ、事情を聴きに来たアタシに殴りかかるなんて、ちっとは考えろよ」
「仕方ねぇだろ。あんたが訓練所裏に呼び出すから・・・」
訓練所裏への呼び出しは「肉体言語」のお誘い。
これはヤンキー漫画の鉄板である。
「違う違う。アタシはただ他の連中から離れて話せる場所は何処かって聞いただけだぜ?」
嘘である。
彼女は目の前のワイバーンの実力を見るためにわざと勘違いさせたのだ。
「で、結果は?」
「軽く言って放校処分だ」
「そうか・・・・・」
「リアクションが薄いな。辞めるつもりであんな事をしでかしたのか?」
「ちげーよ。そんなにあたしは頭は良くないさ」
「貴様にやる気があるなら就職先を紹介しないわけでもないが・・・・」
「ハハッ!札付きのあたしを雇う気骨のあるヤツが何処いるのかね」
「いるさ。目の前に居る」
そう言うと服に着いた砂を払い落し彼女は立ち上がった。
「ドラゴニア竜騎士団特殊工兵隊隊長、クーラ・アイエクセル少佐だ。貴様の答えは?」
― 竜皇国ドラゴニア 竜の寝床横丁 ―
ラブライドに代表される飲食店が犇めく「竜翼通り」。光あるところに闇がある。
此処、「竜の寝床横丁」は言うなれば下町。竜翼通りではあまり扱いのない、ボーダーなアイテムや薬なども販売されている。中にはドラゴンゾンビホイホイこと「竜哭笛」さえ店先に並べられているのだ。
夜はお嫁さん志願の「娼婦」や怪しげな客引きが現れるが、日の高い昼間なら危険度はかなり低くなる。
その竜の寝床横丁を軽快な売り子達の口上を聞きながら、一組の「親子」が歩いていた。母と思われるホルスタウロスの女性と、おそらく彼女の息子と思われる少年。少年は艶やかな黒髪と切れ長の目が特徴的で、儚げな印象を見るものに思わせた。
しかし、人間と番い孕んだとしても魔物から生まれるのは魔物。ではなぜ、彼女は人間の息子を連れているのか?。
「まるで私たち、母親と子供みたいだよね、彰君?」
ホルスタウロスの親子、その正体は「若葉」と「彰」だ。
諸兄は覚えておられるだろうか?
飛行船「フライング・プッシー・ドラゴン」号で、臨検に訪れたドラゴニア竜騎士団特殊工兵隊の目から脱走兵クーラをごまかした方法を。
そう
二人は「幼児化薬」をクーラに投与し、幼女化した彼女を若葉と彰が挟んでその上からシーツをかけたのだ。これで「アハーン」とか、「んほぉぉぉぉ」とか喘げば、二人は「夫婦の営み」をしていると相手は勘違いし、隊員の臨検からクーラをまんまと隠し通すことができた。もっとも、クーラを追い求めるアーシアの執念には負けたが。
彼女たちは当初の目的通り、彰に幼児化薬を投与して「ホルスタウルスと彼女に引き取られた少年」という設定でイメージプレイに勤しんでいたのだ。
「若葉ぁ・・・恥ずかしいよぉ・・」
当然のことながらショタ化した
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