― ソー・・・・レッ!! ―
部活の連中の掛け声を聞きながら、あたしは屋上で一人大の字に横になる。これがあたし、JKである「スズ・クシャトリア」の日常。
「ッたく!なんでそんなにも暑苦しくなれんのかね?」
「それはそれが自分の将来の為だからですわスズ、内申も良くなるし。もっとも部活に身を捧げる自分に酔ってるかもしれませんけど」
「ノーマ!」
アタシの親友である「ノーマ・クリスタル」の明るいベージュ色の髪が揺れる。相当シャンプーにこだわっているのだろう、柔らかくていい匂いがする。
「スズ・・・この暖かな日差しの中で大の字で横になりたい気持ちもわかりますが、スカートが捲れあがってませんこと?」
「へ?」
あたしが見るとグレーのプリーツスカートが捲り上がり、あたしのお気に入りであるパープルのショーツが顔を出していた。
「まぁ、いつでも臨戦態勢であるのはレディーの嗜みですから(笑」
涼やかな笑みでそう言う親友のノーマ・クリスタル。あたしはちょっとした意地悪を思いついた。
「ううっ!こうなったら・・・・ノーマ!!お前のパンツは何色だぁぁぁぁぁぁ!!!」
「えっ?!!キャァァァァァ!!!!」
バッ!!
私が捲り上げたスカートの奥にあったのはノーマの小振りなヒップを収める、ブランドものであろう少々お高いショーツだった。
「黒のシースルーなんて流石はレディー(笑」
「ううっ・・・・お嫁にいけませんわ・・・・」
「ふ〜〜ん・・・・。ノーマ、なんならあたしが嫁にもらってあげようか?」
いつもは余裕のあるふりをしているノーマの顔がみるみる赤く染まる。
「は?!そんなワタクシにも心の準備というものが・・・・」
「そんなの待ってられないからヤッちゃうよ?」
ノーマとあたしの唇が近づいていく。そして・・・・
「うっそぉ〜〜〜〜〜!!!」
「このぉぉぉぉぉ!スズ!!!乙女の純情を弄んで・・・・今日という今日は許さないですわぁぁぁぁ!!!!」
「キャハハ!!!!熊みたいにこわ〜〜〜い!!」
「そう言えばノーマ。午後の授業は?」
「なんですの?藪から棒に。確か・・・地理担当のカトリーヌ先生の授業でしたわね」
「ならあたしパス。フケて神待ちしようと思うんで」
「ワタクシとしては神待ちというのは健全な学生にはいかがかと・・・・」
「あ、ノーマって結構貞操がガチガチなんだ〜〜〜」
「そうじゃありませんわ!!ワタクシには殿方と理想のシチュエーションというものが・・・」
「そんな悠長な事言ってると、今に威張り切ったあのお局様みたいになるわよ?」
「ウッ・・・・・」
「神待ちっても、男の人とただ一緒に食べてのんびりするだけじゃん!気に入ればヤっちまえばいいんだし。最近は金持ちの観光客も多いし、それに・・・」
あたしは立ち上がるとパンパンとスカートに着いたホコリを落とす。
「早くしないとその気合の入ったパンツが無駄になるよ?」
ノーマにそう言うとあたしは笑った。
― ドラゴニア竜騎士団本部 大食堂 ―
「ねぇねぇ彰くん!今日のお昼は外食しな〜〜い?」
ワイバーンやドラゴンなどが犇めく食堂の中で一人の女性の声が明るく響く。彼女の名前は「若葉 響」。
このドラゴニアへは伴侶である「斎藤 彰」とともに「二度目の新婚旅行」に訪れた、ただの観光客だ。
しかしながら彼らは「災難の女神」の寵愛を受けているらしい。今回も知り合いであるワイバーンの「クーラ」をめぐる陰謀に巻き込まれてしまった。
「あ、いいけど・・・どこに食べに行くつもりだい?」
若葉の夫である彰が食べていたトーストを皿に置いた。
「ジャーン!!これよ!!」
「どれどれ・・・」
― ラブライド・ドラゴニア本店限定 直火焼きドラバーガー!!今だけ肉増量中!!
― カップルで分け合うもよし! ―
― 気の合う友人と食べるもよし! ―
― 1人で己の限界の先に挑戦するもよし!! ―
若葉の手にしたチラシにはこれでもか!というくらいに肉汁溢れるパティが盛られたハンバーガーがデンと鎮座していた。
その威容は例えるなら肉でできた「バベルの塔」。
常人なら一発で胸焼け決定な逸品だ。
彰はどちらかといえば魚よりも肉を好むが、しかしそれにも限界というものがある。
〜 ハハッ・・・これは流石に・・・ 〜
と、言いたいのは山々だが、見たことのない料理に目を輝かす若葉に彰はそれを言う勇気はなかった・・・・。
「どれどれ・・・・・?!」
若葉の手にあるチラシを見たワイバーンの表情が曇る。
彼女の名前は「クーラ・アイエクセル」。かつてはドラゴニア竜騎士団特殊工兵隊を率いていた大佐だったが、とある事件を引き起こして出奔。潜伏していた「門の向
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