― いいのよ。慣れっこだから ―
そう言うとそのスケルトンは悲しく笑った。
お互い納得して別れた。
そのはずだ・・・・。
「よう中西!今週はいつにもまして沈んでるな!やっぱりあの娘のことか?」
同期の汐留和樹が声をかける。
コイツはゲイザースキーの単眼スキーだ。
その為、国主導で週一で開催される魔物娘との婚活パーティーの常連だ。
魔物娘と番うことにより男性はインキュバスと呼ばれる半魔物と呼ばれる存在へと転化する。
体力、精力の向上により医療費過多は解消され、若々しい肉体は年金が貰える年齢となっても働き続けられる。
少子高齢化に怯える必要はない。
魔物娘は伴侶を求め、国は更なるインキュバス化を推し進めたい。両者の利害が一致した結果、定期的に婚活パーティーが開催されているわけだ。
無論、パーティーに行ったって求める出会いがあるとは限らない。かわいいアリスのお兄ちゃんになりたくて参加しても、なぜかダークエルフの奴隷になってしまうこともある。
彼、和樹も何度いってもレア魔物娘の筆頭ともいえるゲイザーにそうそう出会えることなく、目下婚活50連敗中だ。
思えばヤツの口車に乗って生まれて初めて婚活パーティーに参加したのが始まりだった。
「ビシッとスーツで決めてるね!!いいよいいよ!」
「そう言って・・・要は友達紹介割りを使いたいだけだろ?」
「ははっそう言うなよ。中々ものだぜ。エロくてイイ女にちやほやされるのはよ」
「でもヤっちまったら結婚だろ?」
「そういうならフェラで抜いてもらえばいいさ。魔物娘にとってはザーメンも食料のうちだし。抜いてもらってあとは後腐れなく別れればいいだけさ」
「・・・・・」
「そう睨むなって!中に入ったら酒も食い物もタダだし」
此処まで来て俺は腹を括った。
〜 そうだな・・・合コンが大規模になったと思えば・・・ 〜
俺はまだ見ぬゲイザーとの出会いに思いを馳せる和樹とともにゲートを潜った。
「おやまた来たんかい。・・・・どの娘が来てるかは教えへんで?」
「お願いしますよ。キヌさん!袖の下をば・・・・」
「あかんあかん!ウチこう見えても公務員やねん。受け取れへんな」
見ると、和樹が受付の刑部狸と押し問答していた。
パーティーではどの魔物娘が来ているという情報は公開されない。
人気のある魔物娘がいる日に男が固まるのを避けるためだ。
「いい加減にせえへんと警備呼ぶで!」
キヌと呼ばれた刑部狸が呼び鈴に手を伸ばすのが見えた。
「申し訳ありません!すぐ行きますので!!」
「ふーん・・まあいいわ。友達に感謝しとき」
「助かるぜ!結城!愛してるぅ!!!!」
「ひっつくな!!離れろ!!」
俺達は参加費5000円を支払いIDタブを受け取ると逃げるように会場に向かった。
「思ったよりも広いな・・・・」
「そうだろそうだろ!あの奥にあるのが休憩室・・・というよりヤリ部屋だな」
和樹の指さす先に部屋がいくつかあるのが見える。
実際、婚活パーティーで盛り上がりそのまま致すこともある。そういうためにこういった施設も用意されている。
もっとも使用できるのはお互いの同意が必要で、その際に両者のIDタブの照会が必要だが。
「じゃあ俺は愛しのゲイザーちゃんを探す旅に出るから、お前は適当に女を引っかけてフェラしてもらえよ」
「酒でも飲んでるさ」
「ったく、人生楽しまなきゃ!だぜ?」
五月蠅い和樹と別れ、俺は一人会場を歩く。
サキュバスと恐らく彼女の「妹」であろうレッサーサキュバスが二人イチャイチャしながらカクテルを楽しんでいたり、ラミアにロールミーされている男がいたりと会場は既にカオスだった。
〜 疲れるな 〜
人間的な感性の俺にとってはもう腹いっぱいだ。会場を回るのもそこそこに俺はバーコーナーに向かった。
「いらっしゃい。何がお望みかしら?」
バーカウンターのサテュロスが微笑みかける。
「あ、自分カクテルとかよくわからないので・・・・」
「そうね・・・。ポンピエとかどうかしら?ベルモットカシスハイボールともいうわね。甘くておいしいカクテルよ」
「じゃあそれで」
「かしこまりました」
彼女は慣れた手つきでカシスリキュールとドライベルモットをビルドスタイルで調合し、それにソーダを加える。
「お待たせしました。ポンピエでございます」
「ありがとうございます」
「貴方こういったパーティ―は初めて?」
「ええ、友人に誘われて」
俺はグラスを受け取ると薄紅色に染まったカクテルに口をつけた。
「美味しい・・・」
「このカクテルはフランス語で消防士という名前がついておりますわ。冷静に自分の心の命ずるままに行動なさってください」
「ありがとうございます」
「良き出
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4]
[7]
TOP[0]
投票 [*]
感想