俺はシガー・クランケット。3児の父親で職業は妻の奴隷。びっくりするほど短い自己紹介だが、自分を語る材料がこれしかないのだ。元々は城などの大工をやっていたのだが、妻との結婚を境に辞職。
ここで、俺の家族を紹介しようと思う。
妻のヒルナ・クランケット。種族はダークエルフで、国の中枢機関の偉い階級にいる(給料は当然俺より遥かに上)。性格はテンプレ通り支配欲が強い。けれど反面優しい心を持つ親バカ。
長女のアルシャナ・クランケット。21歳大学生で学力優秀。性格はダークエルフと似つかない、親切で優しい。姉バカ。
次女のドロシー・クランケット。14歳中学生でやや頭の弱いお父さんっ子。至極不器用で折り紙ができない。元気が取り得。
三女のサラ・クランケット。4歳の幼稚園児。しとやかな性格と支配欲を併せ持つ。ちょっとわがまま。
聞くところによると、魔物と人間の間に3人の子どもはなかなか珍しいそうだ。しかし、我が家族の変遷はかなり複雑になっている。
順を追って説明しよう。
25年前:俺とヒルナが結婚
21年前:アルシャナが誕生
14年前:ドロシーが誕生
ここまでは普通だった。
完璧なまでに一般的な家族。だがしかし、その流れが大きく変わり日常の歯車が狂い始めたのは、ちょうど5年前。
『お父さん、お願いがあります』
そんな改まったアルシャナ(当時15歳)の態度に困惑したのを覚えている。さらに鮮明に記憶しているのが、この後の言葉だった。
『お父さんを、奴隷にしたいのです』
ああなるほどな。魔物社会では近親愛なんてよくあることだし。その軽い流れで俺はアルシャナと結婚した。
毎夜毎夜妻と娘とのダブルハッスルによって、俺は簡単にインキュバスになった。異常に早いと医者に言われたことがある(笑われたので頭のわずかな毛を土産に病院を去った)。
それからたった2ヶ月で、アルシャナがサラを妊娠した。
そして4年前、三女(娘?それとも孫?)のサラが誕生したのだ。
○
「パパ、お願いがあるんだけど……」
どこかで聞いたようなセリフを、ドロシーは言った。
サラを膝に乗せて胡坐をかく俺の前で、ガチガチに緊張した表情で正座するドロシー。何かが起ころうとしている。
嫌な予感。いい予感ってなんだ。
「どうしたんだ、学校での悩み事か?」
「ん〜、ちょっと違うかな……いやだいぶ違う」
「どっちだよ」
「全然違う」
「…………で、願いはなんだ?クランケット家の神龍ことお父さんがお前の願いを聞いてやろう」
「いや、あまりに言いにくいことなんだけどね……」
「パパと結婚したいなぁ……なんて」
どうしてこうなった。
すげぇ、ラピュタは本当にあったんだ(混乱
ドロシーまでもか……既に俺にはヒルナとアルシャナがいるし、これ以上は流石に……
「やっぱり難しいよね……パパにはママと姉さんがいるし」
「わたしもいるもん!」
おやおや、サラさん何をいきなり。
「パパはサラのものなんだからねっ!サラはパパがだいすきだもん!」
「ありがとうサラ。娘たちに好かれるなんてパパはとても嬉しいよ」
とはいえアルシャナは既に一線を越え、そしてここにも一線を越えようとしている娘がいるわけだが…………
「ねぇ、ダメかな……?」
「ふうむ……」
「いいんじゃない?」
やや、母さんよ何を企んでおられるか。
「私たち魔物に近親同士の○○なんてよくあることよ」
「い、いやしかs痛っ!」
肩に手が置かれた瞬間、ビシリと電流のような痛み。
神経に爪を食い込ませたか……!
「ね?」
「そ、そうだな……結婚しよう、ドロシー」
「本当!?パパ大好き!」
そうかそうかよかったな……やだやめて、嬉しさのあまり鞭持って来ないで!くるくる踊らないで!やめてったら!自分がやられたら嫌なことを人にやったらダm
「ギャアアアアアアァァァァア!!」
○
本当にどうしてこうなった。目覚めたら全身包帯で病院のベッドの上ってのは新手のドッキリか何かだろうか。どんだけ嬉しかったのだ我が新妻ドロシーよ。
「ごめんなさい!ごめんなさい!嬉しさのあまりつい本気になってやっちゃったの!反省してます、だから本当にごめんなさい!」
泣きながら謝るドロシーと、ドロシーを慰めるアルシャナ。どうやら見舞いらしい。
「泣くなドロシー、死ぬよりマシだ」
「お父さん、体拭くね」
「ああ、ありがとうアルシャナ」
包帯を取り、背中を拭いていく。
鞭の傷が痛むが我慢。
「うわー……本当に
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