むかーし、むかし。
あるところに、まだ少しあどけなさの残る、女の子のように小さく可愛い男の子がありました。
その美貌とも言い表される可愛らしさは、誰よりも可愛がるこの子のお母さんやおばあちゃんは勿論のこと、街の女性を皆惚れ込ませてしまいます。
そしてその魅力は森に住む狼たちをも虜にしてしまうのです。曰く、この子を見ていると、やりたくてやりたくて堪らなくなりすぎて、襲いかかって行為におよぶ前に胸がいっぱいになってしまうとか。
勿論、この子は無自覚です。恐ろしい子。
あるとき、男の子のおばあちゃんが、紅いビロウドで頭巾をこしらえてやりました。すると、それがまた良く似合うのです。それが反響に反響を呼び、いつしかこの子は、赤ずきん、赤ずきんと呼ばれるようになったのです。
ある日のこと。
お母さんは赤ずきんを呼んで言いました。
「どうしたの?お母さん」
「おばあちゃん、病気になっちゃったのよ。ねぇ、赤ずきん。おばあちゃんのお見舞いに行ってあげて?おばあちゃん、可愛い赤ずきんが大好きだから、きっと元気になるわ」
「うん、わかった。行ってくるよ」
「それじゃあ、このケーキと上等なワインを持っていって」
しかし、お母さんは心配でした。赤ずきんは一人でおばあちゃんの所へ行くのは初めてです。それに、森への道の途中にある小さな村の女たちは赤ずきんを大層気に入っていて、それを切り抜けたとしても森には危ない狼が住んでいます。
もし赤ずきんに何かあったとしたら、お母さんの野望である『近親相姦』が果たせなくなります。
しかしお母さんは用事があって、一緒には行けません。
「赤ずきん」
「なに?」
「知らない女の人には?」
「ついてかない」
「狼に話しかけられても?」
「知らんぷり」
「うまい話に?」
「落とし穴」
「ひとよひとよに?」
「ひとみごろ」
「はい、行ってらっしゃい」
「行ってきまーす!」
おばあちゃんの家は、ここから歩いて30分ぐらいかかる森の中です。
その日はとてもいい天気。
女性たちの視線の網をかいくぐって街を無事に抜けて森に入ると、少しして狼が現れました。
「あらぁ♪こんにちは、可愛い可愛い赤ずきんきゅん♪」
狼のお姉さんは赤ずきんにニコニコしながら話しかけました。
赤ずきんはお母さんの言葉を思い出しましたが、赤ずきんには、目の前でニコニコしているお姉さんが悪い狼には見えません。
「『きゅん』ってなんですか……こんにちは、狼さん」
「はぁい、こんにちは〜♪(うっひょおぉ可愛いー!この世の生き物じゃないわぁ)」
返事をすると、ニヤニヤしながら狼のお姉さんは尋ねました。
「赤ずきんきゅん、今日はどこに行くの?一人で」
「おばあちゃんが病気になっちゃんたんだ。だからぼく、お見舞いに行くんだ」
「そうなの。偉いわねぇ(やっべぇ健気可愛いハァハァ)」
「じゃあ、ぼくは行くね。またね!」
「気をつけてねー!」
遠くなっていく赤ずきんの背を見送る狼のお姉さん。
見えなくなったところで、狼のお姉さんは声色を変えました。
「機は熟した。BBAが邪魔だ」
お姉さんの回りにいっぱい他のお姉さんが集まります。
「姐さん、どうします?」
「まずはあのBBAを誘拐するんだ。身ぐるみ剥がしてな」
「へい」
「んで、あたしがBBAの服を着て赤ずきんきゅんを欺き襲う。BBAはサバトに連れてって若返りの魔法で若くしてアタシらの仲間になってもらうか」
「そ、それで……なんですけど……」
「分かってるよ」
お姉さんはニヤリと笑います。
「長かった……ようやく、襲えずじまいの泣きオナニー寝入りが終わるんだ。成功したら、回し食いしよう」
すっかり意気揚々の狼たちは赤ずきんより先回りして、おばあちゃんの家に向かいました。
トントン、と扉をノックすると、奥の方から
「はいはい、どなた?」
と、おばあちゃんの声。
お姉さんは赤ずきんそっくりの男の子の声を出します。
「おばあちゃん、ぼくだよ。赤ずきんだよ」
それを聞いたおばあちゃんは嬉しそうな声で言いました。
「赤ずきんかい?さあさあ、おいで。カギは掛かってないから、戸を押して入ってきとくれ。おばあちゃん、体が弱くて起きられないからね」
「そう、それじゃあ……遠慮なく」
狼さんたちが一斉におばあちゃんの家に侵入します。
「お、お客様!あーっ!そんな、困ります!お洋服が!あーっ!お客様!あーっ…………」
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