町外れの墓地
そこで葬儀が行なわれていた・・・
埋葬されているのは僕の姉さん・・・たった一人の家族だ・・・
両親は僕が幼い時に亡くなった。姉さんは幼かった僕を女手ひとつで育ててくれたかけがえのない人だ。世界で一番、大好きな人だった・・・
「・・・姉さん・・・」
棺桶の中に横たわる姉さんはまるで眠っているかのような表情だった・・・・
けれど決して目覚めることのない姉さんに僕は語り掛ける。
「姉さん・・・ごめん・・・渡すの遅くなっちゃったね・・・」
僕は冷たくなった姉さんの手をとり、ポケットから取り出した指輪をはめる
「誕生日・・・おめでとう・・・」
これは姉さんの為に僕がコツコツは貯めたお金で買ったものだ。僕の為にいろんな事を犠牲にして、働きづめだった姉さんへのせめてもの誕生日プレゼントだった・・・。
その姉さんは半年前それまでの無理がたたり、体を壊してしまった・・・
重い病にかかり、それからずっと病院生活を強いられていた・・・治療費や生活費は僕が働いてなんとか工面していたが、姉さんの体は一向によくならなかった・・・
「ごほっ・・・ごほっ・・・ごめんね・・・レオン・・・」
「何で謝るんだよ、姉さん。大事な家族が倒れたんだ。看病するのなんか当たり前じゃないか」
「でも・・・治療費や生活費の為にあなたに迷惑をかけているわ・・・」
「これくらい大丈夫だって。それよりも、一日でも早く病気を治して一緒に家に帰ろう!あっそういえば、もうすぐ姉さんの誕生日じゃないか!お祝い考えとくから、楽しみにしててね!」
「ふふ・・・ありがとう・・・お姉ちゃん・・・がんばるから・・・」
だけど誕生日の3日前・・・姉さんの容態が急変した・・・。
「姉さん!姉さん!!しっかりして!!!」
「はぁ・・はぁ・・レオ・・・ン・・・ごめん・・・ね・・・私はもう・・・ダメ・・・みたい・・・・・・」
「何言ってるんだよ!はやく良くなってまた一緒に暮らそうって約束したじゃないか!誕生日プレゼントだって・・・」
「はぁ・・・ぐ・・・ごめんね・・・私・・・お姉ちゃん・・・失格・・・ね・・・弟・・を・・・ごほっ!・・こんな・・・悲しませちゃって・・・本当に・・・ごめんね・・・」
「姉さん!嫌だ・・・死んじゃやだよ!!僕を・・・僕を一人にしないで・・・!!!」
「レオ・・・・ン・・・・ごめ・・・・・ん・・・・・ね・・・・・・・・」
「・・・・姉さん?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・姉さん・・・姉さん・・・ねえ・・・起きてよ・・・目を開けてよぉ・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「うわあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!
姉さああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!」
「姉さん・・・安らかに眠ってね・・・」
それから3日後の今日、生きていれば20の誕生日だった姉さんへのプレゼントの指輪を姉さんの指にはめた僕は最後の挨拶を終え、棺桶を閉じた。そして、葬儀を手伝ってくれる近所の人たちとともに姉の眠る棺桶を掘られた穴へ入れ、土を戻した。そしてその上に墓標を立てた・・・。
エリス=ブライト
ここに眠る
姉さんの葬儀を終えて数日後
葬儀を終えてすぐの頃は何も手につかなかった僕もようやく気持ちの整理がついてきた。そして今日は姉さんが死んでからはじめての墓参りの日。姉さんの墓に飾るための花を町で買い、町外れの墓地へと向かった。
「姉さん・・・会いにきたよ・・・」
僕は花束を姉さんの墓前に飾り、墓に眠る姉さんに話かける。
「少し経ってようやく気持ちの整理がついてきたよ・・・でも、やっぱり姉さんが死んだなんて信じられないよ・・・」
「けど、僕がウジウジしてたらそれこそ、姉さんも安心して眠れないよね・・・?」
「そう考えたら、このままじゃダメだ、頑張ろうって気持ちになったんだ。姉さん、僕はもう大丈夫・・・だから安心して眠ってね・・・また来るから・・・それじゃ」
僕はそう墓に眠る姉さんに話しかけ、墓地を離れた。
そう・・・・姉さんの分まで僕が生きるんだ・・・だからこの命が尽きるまで・・・思い続けよ
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