昔、私はここから遠く離れた親魔物領のちいさな街に住んでいました。
そして、当時私には付き合っていた男性がいました。
一緒に出歩き、一緒に食事をし、一緒に笑いあう・・・それだけで幸せな毎日でした・・・。
しかし、ある日私はサキュバスに襲われました・・・。
「いや!誰か、助けて!!!」
私は必死で抵抗するが、拘束魔法を掛けられ身動きできない状態にされてしまった。
「うふふ♪そんなに怖がらなくても大丈夫よすぐに気持ちよくなるんだから♪♪そしてあなたも私の仲間になるのよ♪♪♪」
サキュバスは通常男性に襲い掛かり、精を搾取する魔物です。しかし、時にサキュバスは仲間を増やす為に女性を襲うことがあるのです。
・・・・・・・・・・私はそれに選ばれてしまいました・・・・・・・・・・
「いやぁ・・・サキュバスになんてなりたくない・・・お願い・・・助けて・・・」
「くすくす・・・♪嫌よ・・・せっかくかわいい娘を見つけたんだもの・・・絶対に逃がさないわ」
そう言ってサキュバスは尻尾を私の秘所にあてがいました・・・私をサキュバスに変えるための魔力を送り込むために・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・サア、ワタシトイッショニナリマショウ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いやああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後、私は両親の捜索願いで駆けつけた自警団に救出された後、都市の大病院へと運ばれました・・・。しかし、その時すでに私はレッサーサキュバスとなっていました・・・。
通常であればサキュバス化が急速に進み、いずれは欲望のままに精を求める完全なサキュバスへとなるはずでした・・・。
しかし、検査の結果驚くべきことが発覚したのです・・・私には何万人に一人にしか持っていないとされる対サキュバス化の因子を持っていたのです・・・。
だから私はサキュバス化の進行が非常に遅く、レッサーサキュバスでありながら性欲をコントロールができ、ディオーレとしての人格を損なうこともありませんでした。
それから、しばらくの間この因子の調査・研究の為に病院での生活を余儀なくされました・・・。
数ヶ月後、ようやく私は退院することができ、自分の街に帰る事ができました。
レッサーサキュバスとなってしまった私を家族も友達も暖かく迎え入れてくれました・・・。それがとても救いになりました・・・。
けれど、彼は違いました・・・。
以前とは別人の様に私に対して冷たく接するようになり、距離をおく様になったのです・・・。
・・・・・理由は察しがつきました・・・・・けれど、それを言う勇気はありませんでした・・・・
そして遂に「その日」が来たのです・・・・その日私は近くの公園に彼から呼び出されました・・・そして・・・・
「もう、終わりにしよう・・・」
彼から別れを切り出されました・・・
「そんな・・・・なんで?・・・・どうして・・・・??」
なんとなく予感はしていました・・・でも、それでも納得ができず、私は彼を問いただしました・・・。
「僕はもう、君のことをディオーレとして接することができないんだ・・・いくら君が特別だからといっても、いずれは完全なサキュバスとなるんだろう?そうなれば、君と関わりを持てば、僕はインキュバスになってしまう・・・人間としての人生を・・・平穏な日常を失ってしまう・・・それが嫌なんだ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
何も・・・・・いえませんでした・・・・。そう、今は良くてもいずれ時間が経てばサキュバス化は進み、やがて私は正真正銘サキュバスとなってしまう。
現在の医療技術ではサキュバス化を止めることもサキュバス化した女性を人間に戻すことはできない。
そうなれば、いくら自我をコントロールできたとしても、やはり彼を求めてしまうだろう・・・そしてインキュバスにしようとしてしまう・・・彼と一生交わり続けたいと願ってしまう・・・彼から人間としての平穏を奪ってしまう・・・
そんな事、私にはできない・・・・・・そんな権利・・・私には・・・無い・・・・・・・・
もし私が因子を持っていなければ、欲望のままに彼を求め、誘惑し、襲い、彼をインキュバスにしようとしたでしょう。でも、因子を持ってしまった私の心は人間であった頃のディオーレのままでした・・・。
彼を悲しませたくない・・・・・・・・・
彼の望まないことをしたくない・・・・・
だったら彼の言う通り、別れてしまったほうがいい・・・
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