「・・・・・・・・・・・・・」
あれからしばらくしてから、僕は再びテンダーの前に来ていた。
・・・あの「券」を握り締めて。
「いらっしゃいませ。あっアインラント君でしたか」
店長代理のジャックさんが出迎えてくれた。
「どうも、こんばんは」
「お待ちしておりました。早速案内しますね」
事前に予約しておいた為、すんなりと部屋に案内された。
・・・・・ふう・・・・緊張して死にそうだ・・・・・
初めてテンダーへ来てディオーレに会ったときもそうだったが、その時とはまったく違う緊張感が僕を取り巻いていた。
今回は前回とはまったく違う。今からディオーレに告白をするのである。自分の約25年の人生で最大の大博打に挑もうとしているのだ。それもかなり分の悪い賭けである。
正直何度もここに来るのを止めようとも考えた。ここに来なければそれはそれで過ぎ去っていく文字通り一夜限りの恋で終わるのだ。
今まではそうだったかもしれない。でも、今回は違った。
ここで引いてしまったら、一生後悔する。そんな気持ちが強かった。何よりもディオーレに会ってこの気持ちを伝えることの方が大事だと思ったからだ。
「絶対に、逃げちゃダメだ・・・ちゃんと伝えるんだ・・・・・」
押しつぶされそうな緊張感の中、そのときを待ち続けた・・・
そして・・・・
コンコン
「・・・・・・・・・・・・!!」
ドアがノックされた・・・・・。
あの向こうにディオーレが・・・
僕は、深呼吸をし気持ちを整えてからドアを開けた。
そこにはディオーレが立っていた。当たり前ある。あの券で指名したのだ。
当然のことであるが、どこか僕は嬉しい気分になった。
「・・・こんばんは///」
「・・・こんばんは///」
僕が挨拶すると、ディオーレもにこりと微笑み挨拶を返してくれた。お互いにどこか照れていた。
「・・・本当に来てくれたのね///」
「当たり前です、あんな物いただいた以上は来るのが礼儀ですよ///」
「ふふ♪本当に真面目なのね♪♪」
そうして前回の時の様に雑談をはじめる。前回とはまた違って楽しくお互いの身の上話をしていた。ごく自然な、まるで恋人同士の様に・・・
雑談ははずむものの、僕はなかなか本題に入れないでいた。しかし、このままでは埒があかない為、僕は少し強引に話を持っていくことにした。
「あっあの、ディオーレさん!お話したいことがあるんです!!」
「はい?」
突然、僕が話を変えてきたので、ディオーレさんは少し面食らっていた。
ドクンドクン・・・心臓が高鳴るのがよくわかる・・・・
落ち着け、ケイ!!なにも飾る必要なんてない・・・ストレートに伝えるんだ!彼女に!!
一度気持ちを整理した僕は遂に言葉を発した。
「ディオーレさん、私はあなたの事が好きです!付き合ってください!!」
本当にド直球だった・・・。僕はさらに続ける。
「この間お会いして、奉仕してもらって、凄く気持ちよくて、でもそれだけじゃなくて・・・えと・・・すごく愛情がこもってて、優しくて、この人しかいないってくらい好きになったんです!!だから・・・だから・・・!!!」
こうして自分の思いのたけをディオーレにぶつけていく・・・
それをただ黙って聞いてくれるディオーレ。
やがてすべてを出し終えた僕にディオーレが口を開いた・・・。
「ありがとう・・・ケイさん・・・私も・・・ケイさんのこと・・・好きです///」
「ええ!?本当に!!!」
恥ずかしそうにディオーレも僕のことを好きといってくれた。
一瞬自分の耳を疑ったが、間違いなく彼女は「好き」と言ってくれた。
「やったああああああ!!!」ともう今にも飛び上がりそうなテンションになりそうだったのだが・・・
「でも・・・」
「??」
「私にはケイさんを好きになる資格はありません・・・」
「!?」
僕は彼女の言っている意味がわからなかった。何故?何故彼女が僕を好きになってはいけないんだ??
「何で・・・どうして・・・!?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
ディオーレはそのまま黙り込んでしまう・・・。
(訳がわからない・・・いったいどうして・・・・)
頭の中が混乱していると、ディオーレが重たい口を開いた・・・
「・・・今からケイさんに私の過去についてお話しないといけません・・・」
「えっ・・・過去??」
突然ディオーレは自分の過去の話をすると言い出した。それが、自分と付き合えないという理由とどう関係があるのだろうか?
おもむろにディオーレは一枚の写真を僕に見せた・・・。
「!?これは・・・・!!」
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