「さっここだ」
酒場を出た僕とスウェンさんは目的地へとやってきた。
多くの娼館が立ち並ぶ中の一角、その中でも一際輝きを放っているような気がした。
娼館 「テンダー」
これがこの店の名前らしい。
「さあ、入ろうぜ」
「はい」
「いらっしゃませ。ようこそテンダーへ」
店長とおぼしき(僕よりも若くみえる)男性がはきはきとした声で入店の挨拶をしてきた。
「よう、ジャック」
スウェンさんが店長?に声をかけた。声のかけ方からどうやら知り合いらしい。
「ああ、スウェンか。」
「ケイ、紹介するよ。ここ娼館テンダーの店長代理ジャックだ。俺の幼馴染で
今はギルドのプロジェクトに協力をしてもらっているお得意様なんだ」
なるほど、そういうことか。スウェンさんはギルドの業務請負の窓口を増やすプロジェクトをやっているって言ってたな。
「初めまして、ケイ=アインラントといいます」
「ここ娼館テンダーの店長代理のジャック=オルレアンです。よろしく。」
「まあ、訳あって店長代理って肩書きなんだよな?」
「まあね、もとは奥さんがきりもりしてたんだけど、今執筆活動中でとても店まで手が回らない状態だから、僕が店長代理ってことで仕切らせてもらってるんだ」
「そうなんですか」
「前店長のルゥさん、つまりこいつの奥さんはこの娼館でもNo.3として時々お客をとってたらしいが、こいつが11の時にルゥさんが手を出したらしくてな、それから数年後に結婚して以降娼婦としては引退しちまったんだ。いや〜あん時は本当にびっくりしたぜ〜」
「おいおい、その話は恥ずかしいから止めてくれ///」
・・・・・・今なんか凄い事をさらっと教えられたような・・・・・・
つまりジャックさんが11歳の時に奥さんのルゥさんが・・・・僕はちょっとゾッとした。
「おっと、無駄話しちまったな。さて本題だ。ジャック予約しておいた例の娘はいるか?」
ここで、スウェンさんはここに来た本来の目的をジャックさんに伝えた。
「ああ、もちろんだよ。うちのNo.1ディオーレとNo.2のパッソールだろ?まったく、もっと事前に連絡してくれよ?」
「いやいや、わりぃわりぃ。しかしさすがジャックだな!!早速ケイに写真みせてやってくれよ!!」
そういうとジャックさんがこの店のNo.1と2の人をの写真を見せてくれた。
「二人とも美人だろ?今日はお前が好きなほうを選べよ!」
「・・・・・・」
「おい?どうしたケイ??」
「あっ・・・いや・・・すみません、ちょっとさっきの酔いがまだ残ってるみたいで・・・」
「なんだよ〜だらしねえな〜〜。そんなんじゃ大事なとき立つ物もたたねえぞ!」
「ははは・・・」
下ネタで突っ込みをいれられてしまったが、本当のことを言うと酔いなんて吹き飛んでしまっていた。僕はジャックさんから渡された写真に釘付けになっていた。No.2の女性も確かに魅力的だけど、このNo.1のディオーレという名のサキュバスがとても魅力的であると同時に、写真からも伝わるサキュバスの妖艶さとは違う、「別」の魅力を感じた。
今思えばこの時がすべての “はじまり” だったのかもしれない。
「ディオーレなんてお前にピッタリだと思うが、どうだ??」
「えっ?でも・・・先輩が先に選んでくださいよ」
迷っていた僕は先輩に順番を譲ろうとしたが・・・
「俺はもうパッソールに決めちまったんだよ!」
と、選択肢を消されてしまっていた。
「・・・わかりました。僕はこのディオーレさんでお願いします」
「かしこまりました。それでは準備をいたしますので、先にお部屋に案内させていただきます。」
ジャックさんに連れられ、僕とスウェンさんはそれぞれの部屋へ案内された。
・・・・・・・・・・・・・なんだか緊張するな・・・・・・・・・・・・・
指名した娘が部屋に来るまでのほんの数分間、僕は案内された部屋のベッドに腰かけていた。部屋は広々とし、内装は落ち着いた雰囲気で、とても娼館のプレイルームとは思えない。それにジャックさんが別れ際こそっと僕にドリンクを渡してくれた。
「・・・これは??」
「ホルスタウロス印の『疲れをぶっ飛ばす神のドリンク』だよ。これは僕も愛用していて凄く効くんだ。君はスウェンの後輩だし大丈夫だとは思うけど、念の為に・・・ね?」
なんの「念」をいれるのだろう・・・?
そんなことをいわれるものだから、緊張が収まることはなかった。まあ、別に捕って喰われる訳ではないけれど、相手がサキュバスである以上、(別の意味で)喰われることには変わりなさそうだけど・・・何にせよこのお店のNO.1の人が相手だ。いったいどんなプレイをしてもらえるのかという期待もあいまみれてこの数分
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