チュンチュン・・・・
〜AM6:30〜
「・・・・・あなた」
「ZZZ・・・」
「あなた、時間ですよ。起きて」
「ZZZ・・・」
「・・・もう・・・相変わらず朝が弱いんだから・・・よし」
・・・・・・・・・チロチロチロチロ・・・・・・・
「!?ガバッ!んんん!?なっ何だ!?今のは!?!?」
突然頬の辺りに何かぬめったものが這いよった感触がし、びっくりした僕は一気に目が覚めた。その僕の目に映ったのは、妻の姿だった。
「ふふ・・・おはようございます。あなた♪」
「・・・今のは恵梨(えり)の仕業かい?びっくりしたなあもう・・・」
「だって中々起きてくれないんですもの・・・それにあなたの寝顔がかわいいからつい・・・・///(じゅるり)」
そういって頬を赤らめ舌なめずりをする我が妻 日比野 恵梨(ひびの えり)
白い、といっても決して病的でなくむしろ光沢を放つ白銀のようなサラサラとした長髪をポニーテールにし、健康的な褐色の肌、アメジストの様な美しい瞳、均整のとれた顔立ちに出るところは出て締まるところは締まった体・・・男を魅了するその姿はまさに魔性・・・僕の妻である恵梨は「グール」という魔物娘なのだ。しかし、彼女の身につけているエプロン(フリル付)がそれ以上にかわいらしさを演出していた。
「う〜〜ん・・・ふあぁ〜〜〜あっ・・・パパ、ママおはよう〜〜・・・」
さっきのやりとりのせいで僕の隣で寝ていた娘の梨香(りか)を起こしてしまった様だ。
「どうかしたの?」
「あ〜ごめんな梨香(りか)。梨香はまだもうちょっと寝ていていいからね」
「後でママが起こしてあげるからゆっくり眠りなさい」
「うん・・・わかった・・・お休みなさい〜・・・すう・・・すう・・・」
まだ眠かったのであろう梨香はすぐにかわいい寝息を立て始めた。いつ見ても梨香は私の自慢の一人娘だ。さて、話を戻して・・・
「ふう・・・恵梨、もう少しまともな起こし方をしてくれないとダメだよ・・・梨香もいるし・・・」
「ふふ・・・以後気をつけます♪」
恵梨と結婚して早五年・・・家事も万能、何でもそつなくこなす文句のつけようのない我が妻であるが、いかんせん魔物という種族上こうしたところがあるので、もう少しTPOをわきまえてほしいなと思うこともたまにある。すっかり目が覚めた僕は会社に行く準備をすることにした。
「じゃあ、朝食の準備をしておきますね」
「うん、お願い」
彼女は寝室から出ようと寝室のドアに手を掛ける
「・・・恵梨・・・あともうひとつ」
「なあに?あなた」
「・・・梨香が起きる前にちゃんと服を着なさい・・・」
先程は前面のエプロンでよく分からなかったが、背面を見て彼女が”エプロン以外”何も身につけていなかった。
彼女は裸エプロンであった・・・
〜AM7:30〜
僕は着替えて身だしなみを整え、恵梨と起きてきた梨香と3人で朝食をとり、出勤の為に玄関で革靴を履いていた。
「いってらっしゃいあなた。チュっ
#9829;」
「いってらっしゃいパパ〜♪ちゅっ
#9829;」
愛する妻の恵梨と娘の梨香から毎朝恒例のいってらっしゃいのキス
「では、行ってきます。」
「はやく帰ってきてね〜♪」
朝こそあんな一幕こそあったが、それを含めても愛する我が妻、娘に見送られるということは結婚をして子供をもうけた者にしか味わえない幸福な権利であることに間違いない。
“結婚は人生の墓場”なんて言葉もあるが、今の世の中にあっては死語に等しい。というか僕の妻はグールなので、むしろその墓場から這い上がってきているのだからむしろ始まっているのであるが。
「・・・幸せだなぁ・・・」
愛する家族に見送られ幸せをかみ締めながら僕、日比野 怜(ひびの れい)は仕事へと向かった・・・
〜AM8:30〜
「先生〜!おはよ〜ございまーす!」
「おはよ〜梨香ちゃん!今日も元気いっぱいだね〜」
「うん!今日も元気いっぱいだよー!!」
「では、先生。お願いします」
「いってきま〜〜〜す!!」
[いってらっしゃ〜い♪]
ブロロロ・・・
私は梨香を迎えに来てくれた”青空保育園”のバスへに乗った梨香を見送った・・・
「・・・さて・・・今日もがんばりますか!」
家に戻った私は家事に取り掛かった。
〜AM9:00〜
「まずは朝食の後片付けね」
ジャーーー・・・カチャカチャ・・・
ダイニングに置かれていた食器類を集め、私は洗い場の中に食器を入れる
ふと娘の梨香が先程まで使っていた食器を手に取る
「ふふ・・・梨香も随分お箸の使い方がうまくなったわね〜」
米粒や食べものがほとんどついていない梨香の食器を見てふとそんな事を私は思った。 娘の成長がこうしたところに見えるというのは嬉しいものだ。
・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4]
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録