5.ダンピール(医者)

僕の名前は上月 和也(こうづき かずや)。どこにでもいるごく普通のサラリーマンだ。最近の多忙で体がだるく、疲れが取れない日が続いていた僕は一度医者に見てもらいたいと思っていたが、日中は忙しく病院へ行く暇もなかなかない。そこでインターネットで休日診療をしている病院を探していたところ思いのほか自宅の近くに対応可能な病院あった為、次の休みにいってみることにした。

「ここか・・・」

〜紅木(あかぎ)医院〜
ここがその病院だ。外観はよくある戸建住宅を改造した開業院の外観であったが・・・
ウイーン
「・・・・・・」
自動ドアを超えて中に入ると、外観とは裏腹に院長の趣味なのか、ヨーロッパのお城の様な内装が施されており、インテリア等もまるで中世のお城の中のようだ。
「(ここ・・・本当に病院か・・・??)」
若干の不安を覚え始めたその時・・・
「こんにちは〜♪」
「!」
声を掛けられハッとした僕が振り返るとそこには看護士さん・・・というよりは看護士さんの服を着て”ごっご”遊びをしている様に見えてしまう幼い女性がそこにいた。
「ん〜と、診察希望の方ですよね〜?」
「はっはい・・・」
「わかりましたぁ〜では保険証の提出とこちらに記入をお願いしますぅ〜♪」
口調はまるで子供の様であるが、手際よく僕に診療に必要な事項を伝えている辺りが様になっていることからごっごではなく、本当に看護士さんの様だ。
よくよく見ると彼女の背中からは蝙蝠のような羽、お尻からは尻尾が生えていた。さらに彼女の髪の色が白みかかっている事から、どうやら彼女はアークインプの様だ。
そうこうしている内に必要事項を用紙に書き込み、彼女に渡した。
「ありがとうございますぅ〜ではそちらにおかけになってお待ちください〜♪」
診察の手続きをした後、順番が来るまでまだ少し時間がかかるそうなので、近くのソファーに腰をかけて時間をつぶしていた。ソファーも普通のソファーではなくなかなかの高級なソファーなのか座り心地が良いのだが、内装が豪華すぎてなんだか落ち着かない・・・よく見ると僕の様な人間もいるが、魔物娘も結構多いみたいだった。そういえばこの病院は魔物診療可って書いてあったっけ・・・
人間よりも体の造りが頑丈な魔物娘は怪我をしたり病気になることは少ないそうだが、それでも魔物娘特有の病気もあるそうだし、魔物娘にとってはありがたいだろう。
「上月さん〜上月和也さん〜」
やがて呼び出しがされた僕は診察室の扉を開けて中に入った
「やあ、こんにちは」
「・・・・・」
中いたのは女医さんだった。"とびきり美人"の
「・・・?どうかしたのかい??」
「いっいえ・・・なんでもありません」
目の前の美人女医に思わず魅入ってしまっていた。ポニーテールにされた鮮やかな金髪、少しつりあがった目じりと宝石の様な紅い瞳、その瞳にかかっている眼鏡と白衣が知性を感じさせる・・・。僕は慌てて用意された椅子に座る。
「ではあらためて紅木だ。よろしく。」
「上月です・・・よっよろしくお願いします」
「こちらこそ。」
「・・・・・・」
「・・・大丈夫かい?さっきからぼーとしているけど・・・問診票にも疲れ気味と書いてあった様だが・・・」
「はっ!?ごめんなさい!つい・・・」
「つい?」
にこりと微笑む紅木先生に僕は魅了されていました・・・とは口が裂けてもいえない。
「いっいえなんでもありません!そっそれよりも紅木って事はひょっとして・・・」
「ああ、そうだよ私はこの医院の医師兼院長だよ」
「すごいですね・・・・・・開業医って病院で何十年も勤めてからするものとばかり思ってたので・・・」
「私がそんな歳にみえるかい?」
「あっいやそんなつもりは!?」
「はははっごめんごめん冗談だよ。確かに以前は違う病院に勤めていたけど、最近私の両親が経営していたこの医院を私が継いだんだよ。だから近いうちに内装なんかも変えようって思っているんだよね。これじゃ私も患者も落ち着かないだろうからね」
「へ〜・・・そうなんですか・・・(この落ち着かない内装は先生の両親の趣味なのか・・・)」
「さてと、だいぶ話が脱線してしまったけど、そろそろ診察に入ろうか。問診票には最近体がだるくて疲れが取れにくいということだけど、いつからそう感じるようになったんだい?」
「はい・・・疲れを感じる様になったのは・・・」

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「ふむふむ、だいぶわかってきたよ」
「そうですか」
「よし、念のため血液検査をして体に異常がないか調べよう」
「はい」
血液検査・・・ってことは注射針を腕にさすだろうと思い、僕は着ているカッターの腕をまくった

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