「出力正常、異常ありません。」
「よし・・・これにて実験を終了、直ちにチェック作業へ移行する」
「わかりました」
「私は今から実験室へいく。何か異常が発生したら連絡をする様に」
「はい、加賀野所長」
私は部下に指示を出し、管理室を後にした・・・
私は加賀野 明人(かがのあきと)
ここ「魔力発電研究所」の所長を務めている
ここでは現在次世代エネルギーとして期待がかかっている「魔力発電」の試験稼動を目的とした施設だ。
温暖化・化石燃料枯渇の問題・環境汚染・・・
様々な問題が山積みであった我々の世界のエネルギー問題にひとつの光明が差した。それは、魔物の持つ「魔力」を我々の世界のエネルギーへと変換し、活用するという技術だ。魔界との交流の中で我々の世界では異質の「魔力」を生活利用していることが明らかとなり、その「魔力」をこちらの世界でも応用できるのでは?というコンセプトでこのプロジェクトは始動した。
この先に私の研究の集大成がある・・・
実験室の扉が開く・・・
そこには・・・
「主ー!」
「マスター!」
「お兄ちゃん!」
「・・・ご主人様・・・」
ガシガシガシガシッ!!!!
「おお、みんな元気そうだな」
「はあ〜ず〜〜と魔力出しっぱなしでクッタクタだぜ!」
「はは、すまんな炎羅(えんら)」
「ええ・・・さすがにこれだけ長時間の魔力の放出は初めてですので・・・」
「いつも苦労をかけて申し訳ないな水紗(みさ)」
「も〜あんな狭いところに入られてたから体がバキバキだよ〜!!」
「ごめんな風美(ふみ)」
「・・・すごく・・・疲れた・・・」
「悪かったな地華(ちか)」
それぞれ火・水・風・地の精霊、正確には「魔精霊」である彼女らに抱きつかれる形で実験に対する不満を口にしてきたが、協力してもらっているいる身であるのでそれくらいの愚痴は聞いてあげたいとな。
「だが、この実験も今日でお仕舞いだ。明日からはもうやらなくていいぞ」
「えっ本当かよ!?やっと終わったぜー!」
「ということは実験は成功、ということですわね」
「えっそうなんだ?やった〜じゃあ明日からは遊べるんだ〜♪」
「・・・終わり?・・・」
「ああ、すべてが終わったわけではないが、大方研究のメドもたった」
「よっしゃあ!今からしっぽりヤれる訳だな!へへッ♪」
「もう・・・炎羅ったらはしたない・・・」
「何言ってんだよそういうお前だってそういう魂胆だろうが!」
「そ、そんなこと・・・!!・・・・ナイワケジャナイケド(ボソボソ)/////」
「あはは!水沙お姉ちゃん今にも沸騰しちゃいそうなくらい赤くなってる〜♪やらし〜〜」
「・・・素直に言えばいいと思う・・・」
「もう!みんなして私をからかって///マスタ〜何とか言ってください〜」
「ははは、まあいつもの事じゃないか。じゃあこれから私のかわいい精霊達をかわいがるとしますかね」
「「「「〜♪♪♪♪〜」」」」
こうして私達は実験室の奥へと進んでいった・・・
このやりとりも日常茶飯事。私とこの四人は出会ってからいつもそうだった・・・
そう、これからもずっと一緒だ・・・
西魔暦 403年 △月▲日
今日から定期的に日記をつけようと思う。今日が記念すべき私のプロジェクトの第一歩となる日だ。もしこの日記を見返すときがあれば私はこのプロジェクトを成功させた時だろう。私は必ず成し遂げてみせる。
西魔暦 404年 ×月●日
プロジェクトが早くも暗礁に乗り上げてしまった・・・予想以上にあちらの世界の"魔力"の解析が進まない・・・彼らいや、彼女達が持つ魔力の定義は非常に曖昧であり、それを意識的ではなく本能的に行使しているのだ。つまり彼女達も何故それが使えるのかどうかということに対する理論的な裏づけは一切ないに等しい・・・そこで我々は魔界の科学通称「魔科学」権威であるとあるバフォメットに協力を要請したが、技術を悪用される事を懸念し、私達への技術提供を断り続けていた。このままではプロジェクト自体の存続が危ぶまれる・・・
西魔暦 404年 ◎月□日
事態は思わぬ展開を見せた。突然バフォメットが技術提供を公の場で公表したのだ。いきなりの展開に戸惑いを隠せなかったが、何故心変わりしたのか?という記者が質問をすると「兄様とわしが住む世界の住み心地が悪い様では話しにならん!」とのこと。どうやらこの会見の数日前に「兄様」を見初めたらしく、それがキッカケだったというのだ。魔物の考えることはやはりイマイチ分からない・・・だが私達プロジェクトチームからすればこれ以上無い朗報である。
西魔暦 405年 △月□日
今私は魔界へとやってきている。今回魔界へ出向いたのは私のこのプロジェクトには欠かせない重要な
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