無表情なのが特徴の幼馴染が突然、レッサーサキュバスになった。そして俺はそんな幼馴染みの食糧として精液を提供する事になった。ここまでが前回の話。
あれから一週間程経ったが、流石にキツい。いくら思春期学生の性欲にも限界がある。毎日毎日オナニー三昧はヤバい。集中力が乱れる上に体力が落ちてるのがわかる。
その結果、俺は今体育の授業で野球ボールが頭に直撃し、親友に保健室まで運ばれている最中だ。
「う゛ぅーー……頭痛ぇ……」
「ボーッとしてるからだよ、大丈夫?なんかあるなら僕でいいなら話聞くよ?」
「サンキュー……でも俺にも事情があるんだ……」
心配してくれるいい親友を持ったが、あの幼馴染に精液を提供してるなんて話せる訳がない。第一コイツはそういう話が苦手だからな。女の子みてえな奴だ。
そうして話してるうちに、保健室に到着する。親友がドアを開け、その隙間から覗くと、困った顔をして俺の方に向き直る。
「保険医の先生、居ないみたいだよ。どうしよっか?」
「なら、ちょっと勝手だけどベッドで寝かしてもらうわ。事情は戻ってきたら俺が言うから、お前先戻っとけよ」
「そう。わかった、じゃあ後でね」
親友をグラウンドに返し、俺は保健室に入り、カーテンを開けて二つあるベッドの右側の方にに潜る。あぁ、ベッドが気持ちよくてすぐ眠っちまいそうだ。
瞼を閉じて寝る準備に入ろうとすると、何処からか荒い呼吸が聞こえるのに気が付く。そうか、先客が居たのか。しかもこの様子じゃよっぽど悪いみたいだな。
左側のベッドの方を横目で見る。様子次第じゃ今すぐにでも職員室に駆け込んで先生呼ばないとヤバいかもしれないからな。
しかし、そこには。
「はっ…はっ…ん、うっ……」
誰かのワイシャツを鼻に押し付け、匂いを嗅ぎながら甘い吐息を漏らすピンク色に染まった髪と小さな角。
……いや、見間違いだろう。きっと俺は疲れているのだ。色んな意味で。いや、別にアイツの事考えすぎて幻覚見えてるとか、絶対そんなんじゃないから!オナニーのネタにとかしてないから!
「ん……?誰かと思ったら君かぁ……」
おかしいなー幻聴が聞こえるなー。あの幼馴染が誰のものとも知らぬワイシャツクンカクンカしてる訳ないよなー。
「おーい、無視しないでほしいんだけど……」
「……お前なんで居るわけ?」
「お、やっとこっち向いた。それが、私も体調を崩しちゃって。こうして君のワイシャツでエネルギーチャージしてたんだけど……」
「待てェェェ!何勝手に人のワイシャツ取ってんだお前!」
「しょうがないだろ、君の精液最近味が薄いんだ。あれじゃ力出ないよ」
「そりゃ悪うござんした。でも誰のせいで毎日オナニー三昧になってるのか考えよっか?」
「……なら仕方ない、親友くんにでも頼んでみるか……」
「待て待て待て、それこそ親友関係ねえだろ。それにアイツそういう下の話は苦手なの知ってんだろ!」
「でも肝心の君がこれだしな……親友くんなら君の次には信用出来るし……」
……おのれ、何なんだコイツは。前回は好きだのなんだの言っときながら、いざ体調崩して薄くなったら鞍替えかチクショー。
――――――もう頭来た。
「……おい、お前ってサキュバスだよな」
「……?当たり前じゃないか、いきなり何を……」
「じゃあ『口以外』からでも精液は取れるよな?」
「何言って……」
意味を理解したのか、幼馴染の身体が固まる。そしてみるみる耳まで紅くなっていく。コイツこういう顔も出来たんだな。
「ま、待った!確かに、『ソコ』から取ればもっと栄養に出来るとか聞いたけど、流石にいきなりは……!」
「うっせー!物足りないだの薄いだの言うくらいならそういう方法で取らしてやらぁーーっ!」
「きゃああぁぁっ!?」
この日、意識がはっきりしたのは放課後だった。保険医の先生が戻ってきたのも放課後だった。
そして次の日から、俺は幼馴染の家によく通う事になった。もちろん、アイツの希望でだ。
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