素直が一番でしてよ!

「だ〜か〜ら〜!私寂しがり屋ですの!人恋しいですの!誰か一緒にいてほしいですの!」

「寂しいからって、何もばったり出くわした初対面にいうことはないんじゃない?」

「こんな山奥であなた様と私が出会ったのは運命。お見合い結婚と変わらないですわ」

「え〜・・・」

「色良くない返事ですね、もしかしてすでに彼女がいらっしゃるとか?」

「いや、いないです」

「じゃあ問題ないでしょう」

「無くはないでしょ」

「そうね、問題がありましたわ!」

「でしょ?」

「まずは自己紹介ですわね!」

「違うわね、そこじゃないわね」

「先に私から!私の名前はえーっと・・・
・・・ちょっとお待ちになって、今思い出してるところですの」

「話も聞かずに自己紹介始めた挙句、名前で突っかかるとか新鮮すぎて理解が追いつかないんですけど」

「名前を呼ばれる機会も申し上げる機会もなかったものですので、すっかり忘れておりました。

そうそう、メドゥーサのシトエでございます、今後ともよしなに」

「そういうの何気に精神的に来るからやめて。

で、いまさらっと言ったけどメドゥーサなの?ラミアじゃなくて?」

「ええ、ラミア種の頭にも蛇がいて目力ある方」

「いや、もっと性格に特徴ありませんでしたっけ?」

「・・・待っていましたわ、そのご質問!」

「うわ、面倒くさそうなのを掘り返してしまった」

「分かっております、あなたの考えていることは重々分かっておりますわ!」

「それはよかった、じゃあ今の質問無しで」

「教えて差し上げましょう!
なぜ、この私が他のメドゥーサと違ってツンデレじゃないのか!」

「答えを直前に言われてて外すかね普通?」

「そう、普通メドゥーサはツンデレと相場が決まっておりますわ・・・
もうメドゥーサ=魔物娘界のベストツンデレニスト!
メドゥーサこそがツンデレ!覆せない世界の常識でございますわね」

「そりゃ最初から転覆してるものを覆せませんもんね」

「だがしかし!私はそんな安易な種族のキャラ付けに甘んじ、努力もせずにツンデレのままに生きて行きたくございません!私は私でありたい!

なので、他人に意地を張る普通のメドゥーサから世間の風潮に意地を張るメドゥーサになりましたの」

「意地張る所違くな〜い?」

「そういう訳で私は自分の心に素直なメドゥーサですわ」

「なるほど」

「だから寂しいときは寂しいと言いますし、嬉しいときは嬉しいと言うのです

どなたもいらっしゃらないから返事は帰って来ませんけど」

「そういう切なくなること言うのやめろって言ってるでしょ」

「私のこと分かっていただけたみたいですし、早速ロールユーしていいかしら?」

「無論ダメですけど?」

「あら、それなら上半身だけでよろしくてよ?」

「そのままなし崩しになりそうだから嫌」

「まあそう仰らずに」ギュー

「どのままでもなし崩しだったんですね、
ていうか頭の蛇すっげえ寄ってくる!言動一致してるから単に鬱陶しいだけだコレ!」

「噛みつくようなことはそんなにありませんわ」

「そんなに!?」

「それは良いとして、少し言ってみたいことがございますの」

「なんすか、ちょっと蛇と格闘中なんで手短に願います」

「ではコホン、

今の気持ちを言葉に表しますわ!




・・・嬉しい!」キリッ

「犬でも、もうちょっと複雑な感情表現するわ」

「まだ訓練中ですので・・・やり直してもよろしくて?」

「お好きにどうぞ」

「では、気を取り直して・・・





とっても嬉しい!」キリリッ

「努力は買います」

「感情をそのまま表現するってなかなか大変ですわね・・・」

「なぜそれ以前であると、気が付かないのか」

「あなた様から見て改良点はございました?」

「多すぎて何から言えばいいのか分からないけどとりあえずは・・・笑顔?
貴方に会ってからちょっとニヤっと笑ったくらいしか見てないよ、わたし」

「なるほど、貴重なご意見ありがとうございました。ご意見を参考にし、脳内で前向きに検討したいと思います。これからもシトエをどうぞよろしくお願いします」

「する気ねえだろ」

「無いわけではありませんわ」

「じゃあなんだ」

「・・・恥ずかしい」

「はい?」

「え、笑顔を見せるのが恥ずかしいですの・・・」

「自分の気持ちに素直なメドゥーサなのに?」

「まだ訓練中ですわ」

「じゃあ笑顔の訓練付き合いますよ」

「それは困りますわ!」

「どうして?」

「恥ずかしいですもの!」

「やれ、わたしと会ったのが運命ならここで笑顔の練習するのも運命だ」

「え〜・・・」

「 や れ 」

「いじわる・・・」


―1時間後―


「ふう・・・まだほっぺた
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