基本を押さえてみよう!


 フォーメルに魔法を教えるため、城の書庫を借り、そこに机と椅子を置き簡易的な教室を作った。魔法というものは実践も重要であるが、それ以上に座学を重んじなければならない。


「というわけで、これから魔法の授業を始めたいと思う」

「なんだかいろいろすっ飛ばされた気がするのう…」

「これくらい魔法を駆使すれば造作もないことだ」

「…釈然とせんのじゃ……というか何時魔法を使ったのじゃ?」

「まあまあ、あんまりどうでもいいことで文字数多くなると
 ぐだぐだになっちゃいますから、しょうがないですよ」

 フォーメルの付き添いをしていた魔女も、こういう機会は滅多にないからということで、一緒に授業を受けることとなった。名前は確かメイギスと言ったはずだ。

「言っている意味がよく分からんのじゃ…」

「立派なバフォメットになれば分かるようになる」
「そうそう♪」

「そんなものかのう…」

 すっきりしない表情で腕組みをしている。子供は騙されて大人になっていくのだ。



「じゃ、さっそく始めたいと思う。渡しておいた教科書は読んできたか?」

「もちろん読んできたが…これはあんまりバカにしすぎじゃろ!!」

 そういいながら俺の名著『7さいからのま法入もん』を投げつける。4日で書いたにしては、なかなかよく書けていると思うが…。

「何か不満があったのか?
 その場合は本の中に入っているアンケートはがきに書いておいてくれ、
 第2版では改善しよう」

「誰に向けて出版するつもりじゃ!!儂とメイしか読まんじゃろ!!
 そもそもどんだけ凝ってんのじゃ!」
 
「で、何が不満だったわけだ?」

「いろいろ言いたいことはあるが一番酷いのは…

 上級殺傷魔法しか書いてないってどういうことじゃ!?

 7歳をどこに入門させるつもりじゃお主!!」

「いや、子供が興味を持つようにカッコいい魔法から入ろうと思ってだな…」

「嫌じゃから!! 平仮名で『てきをばらばらのにくへんにかえるまほうだぞ!』
 とか言われても7歳ドン引きじゃから!!」

「そうですか?私は楽しみながら読めましたけど…」

「おぬしとは長い付き合いじゃが絶交したい」

「仕方ない奴だ…次の授業までには書き直して来よう
 今回は教科書を使わずに進めることにする」

「え〜私、教科書の設問解いたり、いろいろ質問考えてきたのに〜」

「どんだけ興味持ってんのじゃ!?」

「気を取り直して、今回は基礎的な理論体系から説明したいと思う」



 ※注意!!

 ありきたりな俺妄想の魔法体系がしばらく続きます。読み飛ばされても本筋に影響はないのでお忙しい人は読み飛ばし推薦します。一応、彼、彼女らが魔法を使う時にどういう理論なのか分かりやすくするという意味もありますので、読んでいただけたら幸いです          」

「メイ…誰に…というか何を言っておるのじゃ…」

「立派なバフォメットになれば分かりますよ♪」
「そうそう」

「さっきも聞いたのじゃ…」

「ぐだぐだと話しているうちに10分も使ってしまった。いい加減始めよう」

 空中に魔法で書きながら説明していくことにする。

「まず、魔法と一口に言っても、様々な理論体系や種類がある。
 それらはお互い矛盾していたり、導き出される効果が全く逆であったりする場合があるが、それぞれ別のロジックによって成り立っているためであり、お互いを否定するものではない。基本的に魔力を使用した何かしらの術を魔法、魔術と定義している」

「お互い矛盾していることがあるといったがどういうことじゃ?」

「例えば、ある理論では特別の才能がなければ魔法は使えない、としているとする。しかし、また別の理論では誰でも魔法を使えることが出来るとしていても、おかしくないという事だ。つまり論理的破綻さえしなければ何でも魔法という訳だ。そこらへんは後期の魔法理論総則を取ってくれ」

「なるほどのう…って後期っていつじゃ!誰に丸投げしとるんじゃ!」

「で、お前が使っている魔法は、『色文字』や『カラールーン』と言われる魔法だ。ルーンで効果を指定し、ルーンの色によってそれに使われる属性を制御する。わりかしシンプルな理論なので初心者向けだな。発展や亜種として、魔法陣自体に色を塗っていく『ペイント』や色を使わずにルーンだけで済ませる『ドロー』などがある。色文字がちゃんとできるようになったら教えてやろう」

「天才バフォメットの儂にかかれば『フェイント』じゃろうが『引き分け』じゃろうが余裕のよっちゃんじゃ!」

「フォーメル様、『ペイント』です『ドロー』です、そして7歳とは思えない言葉のチョイスです」

「どちらも同じようなもんじゃろ、儂が使っている魔法がなんなのか分かったからさっさと
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