「俺はいつかビッグにるぜ!」
それが彼の口癖だった。
「とりあえず長生きしたいし、マーメイドでもだまして血をゲットしてやるぜ! 俺ってば頭いい!」
そんなバカな考えを持って彼は村を飛び出した。だれも止める者がいなかったのは、むしろ彼に村を出て行ってもらいたかったからだろう。そう、彼に友達はいない。
幸い村から海は近く、彼はハイテンションのままに海に走っていく。
幼いことに何度か来たことがある海は、記憶のままに雄大で美しかった。
「どうやって魔物を騙そうか?」
彼を2秒ほど考えて思考を放棄した。
「適当にやればなんとかなるか」
知り合いの家から借りて(盗んで)きた魔物図鑑を広げる。そこの海の魔物のページを開ける。最初に開いたページは『メロウ』と書かれたページだった。
「えー、なになに? メロウはマーメイド種の中で好色である。イイネ! 帽子を取られると泳ぐこともままならない。 …これだ!」
帽子を盗み、血と交換する。そうすれば戦うこともなく長生きできる。それが彼の計画だ。
あとはそのメロウを見つけるだけだ。彼は海岸で座り込み、のんびりと待つことにした。雨が降ろうと日差しが強くとも、彼はその場から動かない。以外に我慢強い。
人間、食べ物なしでは3日持たない。彼は空腹で倒れた。
「……無念………ガク」
薄れゆく意識の中、何かが海岸にいた。
そう、彼女こそ彼が探し求めたメロウだった。彼は最後の力を振り絞り、メロウに向かって走り出した。
「ぬおおおおおお!」
「ん?」
メロウはもしゃもしゃと海草を食べている最中だ。突然走ってきた男を見つめる。
「そ、そこのメロウ!」
「……モグモグ…コクン なに?」
「食べ物分けてください!」←高速土下座
口から出たのは物乞い同然の言葉。あまりの空腹に海草すら御馳走に見えたのだ。彼女は特に渋ることもなく自分の持っていた海草を全部彼に渡した。
「ん。喉、詰まらせないようにね」
半分泣きながら海草を食べる。塩の味がしてとてもうまかった。
「ありがとう」
「こんなに食べ物が豊富なところで餓死寸前って、いったいどうしたの?」
彼女に言われて目的を思い出し、勢いよく立ちあがった。
「俺の目的はただ1つ。メロウ、お前の帽子がほしい!」
帽子を欲しがる → 結婚してくれ
この単純な方程式。突然の交際の申し込みにメロウは顔を赤らめた。
「私が欲しい……キャ! 私のためにそんなになるまで待っていてくれたの?」
「当然だ! そのために飲まず食わずでここに座っていたんだからな!」
「え、え? そんなに私のことを……」
「俺の人生には必要不可欠だからな! 覚悟しろ!」
自分の言っていることにまったく気がつかない。
「よく見ればいい男だし、ここまで一途な人なら……OK! Let's Make Love! めくるめく官能の世界へ! ひゃっはー!」
「は? なに? ってうわああああああああああ!」
メロウは暴走し、彼に襲いかかった。
「ぐへへへへへ……ここがいいのんか? あぁん?」←注・メロウ
「あぁん! そ、そこは……入れる所じゃない! 出す所だよ! ……ッアーーーーーーーーーー!」←注・男
「ほおら、入ってるのわかる?」
「ママー、俺の初めてが魔物に奪われたー!」
散々弄られ、様々なモノを失った彼は気絶してしまった。
「ん? ここは?」
「起きた? ダーリン」
「ダーリン?」
「ダーリンってすごいのね。最初で大当たりなんて」
「……なにが?」
「出来ちゃった」
「……What?」
「あ・か・ちゃ・ん♪」
「わあああああああああああああああ!」
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