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これはどこにでもある、有り触れたお話
どこにでもある、信じられないようなお話

〜〜〜

あるコミュニティにある女性が所属していました
彼女にはある噂が流れていました

―――誰とでも寝る、淫売だと言う噂でした

そのコミュニティにいる男性5人以上と寝て、浮気をしていると言われていました
彼女はその言葉に傷付き、誰ともいることができませんでした

なぜなら…彼女は誰とも寝ていません
将来結婚する相手に自分の純潔を捧げたい、そう思っていたのです

ならなぜこんな噂が流れたのでしょうか?

―――それは、最初に付き合った男性が噂を流したのでした
彼は、その彼女の美貌と身体、それを自らの性欲を満たすために近付きました

が、彼女の身持ちが予想以上に固く、そのせいで自分の性欲を満たせません

その性欲だけなことに気付いた彼女は、彼と別れ、新しい彼氏と付き合います
しかし、その彼氏も誠実ではありませんでした

上っ面だけ誠実にして、人を弄ぶ人間だったのです

その二人と別れ、新しい出会いを求めます
が、その二人はそんな事が面白くありませんでした

自分の自尊心を傷付けられた彼らは、彼女の嘘の噂を流します

そして、彼女が出会った人間の殆どがそのデマを信じ、身体だけを目当てにして近付きました

彼女はそんな噂に傷付きました
が、その嘘を否定しても誰も信じません

同性も羨む美貌、それによってどんどん彼女は孤立していきました
コミュニティの人間が近くにいると陰口を叩かれます

「あの娘は誰とでも寝るんだって」
「そうやって男を誑かしてるんだ」
「淫売だ」

彼女はどんどん心が弱くなり、いつも一人で泣いていました
ある時は、レイプもされそうになりました

何時しか、彼女は誰かといるのが辛くて、誰とも合わないようにしました
こうして、悲しくても一人でいる事が当たり前になった位の時期に、彼女はある女性に出会いました

その女性はとても不思議な人でした

「どうして、一人で泣いてるの?」

女性は彼女の悲しみを察し、彼女に寄り添いました

「誰も私を信じてくれない…」

彼女は、気が付いたらその女性に心の内を漏らし始めました

―――純潔を大切な伴侶に捧げたい
―――みんな性的な目でしか見てこない
―――いつしか、みんなが敵に見えて怖い

彼女は、心の内を漏らしていく内に、涙を流していました

「辛かったよね」

そう言って、女性は彼女を抱き寄せます

「苦しかったよね、寂しかったよね…大丈夫だから」

女性は彼女に言います

「私がついてるから、私は一緒にいるから」

そういった女性を見て、彼女は気づいてしまいました

―――そう、女性の頭から角が、背中から羽が、そして…髪が白銀に、眼が紅くなっているのです

「貴女は、もう昔のあなたじゃない」

「私がついてるし、貴女を幸せにする方法もある」

そして、彼女はその方法を聞いて―――

〜〜〜

「…最近の都市伝説は凝ってるなぁ」

スマホを見ていた男性が呟く
彼はニュースサイトなどに流れている、都市伝説特集のページを見ていたのだ

「コミュニティって…大学のサークルか?会社かな?」

そんな事を想いながら、ふと思い出す

「そーいや、あの暗そうにしてる奴…最近見なくなったな」

そう、最近彼の所属しているコミュニティでも、同じようにハブられている女性がいたのを思い出す
原因は何だったか忘れたが、くだらない子供の喧嘩のようにも感じた

「まぁ…俺もどうする事も出来なかったし」

そう言いながら、彼はスマホを閉じる

「ま、俺は関わりなかったから関係な―――」

そう言い切ろうとした瞬間、なにか違和感を感じた彼
あたりを見ても、何もいない

いない、はず、だった

「ねぇ…」

突然、鈴の音のような綺麗な声が聞こえてきた
その方を見ると―――そう、ハブられている女性が経っていたのだ

「よ、よぉ」

何となく違和感を感じながら、彼女に話しかける

「…」

彼女は心ここに在らずといった感じで、こちらをみて―――

「私、貴方がほしい」

「…は?」

突然告げられた告白
そして、彼女は続ける

「貴方は、噂に振り回されず、私を見ていてくれた」

涙を流しながら、彼女は言う

「それがどんなに嬉しかったと思う?どんなに勇気づけられたと思う?」

そして、違和感の正体を悟らせるように、彼女の体に異変が起き始める
そう、人間のパーツとは思えない物が出てきたりしているのだ

「い、いや…俺なんにも関わってないし…」

「でも、私を無視しないでくれた!陰口を叩かないでくれた!それがどれだけ救いだったと思うの!?」

泣きながら、異形の体をしながら、彼女は言う

「お願い!私を…」

その泣いている表情を見て、彼は―――

〜〜〜〜〜〜

「新しいカップルが生まれたようね」

そう言って、その女性は遠くから二人の男女を見守っている
時に激しく、時に甘く交わっている二人をみて、微笑みながら言う

「この世界には、もっと救われるべき人たちが居るわ」

女性は、眼を閉じ、そしてまた開く
開いた眼には、力強い意志が灯っている

―――ブオォォン

と、女性の後ろにバイクが止まる
女性はそれを見て、愛しい者を見る眼をし―――

―――ブオォォン!

そのまま二人は走り去っていった

14/05/05 23:24更新 / ネームレス

■作者メッセージ
作中の「彼」とは、読者の皆様の予定です

どうも、ネームレスです

先日、ある本のエピソードについて詳しく勉強するきっかけがありました
その話を聞いている時に、ふと浮かんだエピソード

どんな共同体にも、彼女のような人がいると思います

ちなみに彼女の種族は読者様の嫁でございます
一部の方々は勝手に種族が決まっていたりしますw

…すみませんが、割と事実(ボソッ

それでは今回はこの辺で…

ここまで読んでいただき、ありが…おや、誰か来たようだ
ちょっと待っていてください

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