連載小説
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面影と君とオレと郷愁 後編
「ひゃぁっ!」
椅子に座っていた状態から彼女の体を抱き上げた。
膝裏に腕をまわし、背を抱き上げた姿はお姫様抱っこ。
その行為によるものか彼女は顔を真っ赤にさせている。
腕から伝わる彼女の体重はかなり軽い。
中身が詰まっているのか、また幻影ではないのかと思えるほどに。
しかし、伝わる温かさは本物で、彼女がここにいるという事実を表していた。
そのままベッドまで運び、彼女の体を横たえさせる。
体を起こそうとしたらぐっと、彼女に抱きしめられた。
「うん?どうかした?」
「だ、め…です」
ふるふる震える彼女はオレの服を掴んだまま離さない。
オレが起き上がらないように抱きしめたままだ。
「私が、ユウタさんを、慰め、ますから…ですから、ユウタさんが、したら、ダメ、です…っ」
そういった彼女はぐっと腕に力を込めてくる。
どうやらオレをベッドに倒すつもりらしい。
いくら人間ではないとは言え少女、そんな彼女の腕力で倒せるほどオレの体も軽くない。
それでも頑張って倒そうとする彼女の姿が微笑ましく思えた。
「よっと」
特に抗うこともなくオレは彼女のなすままに倒された。
ベッドに二人、並んで転がる。
「ん、しょ…」
そうすると彼女はオレの上に覆いかぶさった。
既に顔は茹蛸のように真っ赤であり、オレの胸についた手なんて震えている。
恥ずかしいのか、怖いのか、それとも興奮しているのか。
このまま先ができるのか、服を脱いだら気絶するんじゃないかなんて思えて心配だ。
だからせめて、彼女が落ち着くように。
そっと頬に手を添えた。
「あぅ…っ」
恥ずかしそうに身を捩るも視線は外さずにこちらを見つめている。
迷いなく、真っ直ぐと。
その視線からわかるのは彼女はやめる気はまったくないということだ。
頑張り屋さんなんだな、この女の子は。
頬を撫でると気持ちよさそうに目を細める。
可愛い。
ただ単純に思えた。
しかし、ここで大切なことに気づく。
「…君、名前は?」
ここまで来て、キスまでしてなんだけどオレは彼女の名前を知らない。
彼女がオレの名前を知っていることに疑問はない。
この街では黒髪黒目といえばオレしかいないのだから嫌でも目立つ。
名前だって誰かに聞けばすぐにわかるほどだ。
「…エ」
ぼそりと、彼女は言った。
「クロエ…」
静かな部屋に小さく響いた言葉。
それが、彼女の名前。
「そっか、クロエっていうんだ」
呼んであげると彼女は恥ずかしそうに微笑み頷く。
その顔を見ると胸が高鳴りどこか温かな気持ちになれた。
「クロエ、ありがとう」
「い、いえ…っ」
ふるふる顔を振り、体を倒してくるクロエ。
先ほど離れたばかりの顔が再び接近する。
熱い吐息が顔にかかりどこかくすぐったく感じられた。
「んぅ…♪」
控えめにクロエの唇が押し付けられる。
それは先ほどと変わらぬ柔らかな感触で、どこか甘みを感じさせる口付け。
深く情熱的なものではない、初心で乙女なキス。
稚拙なものであるがそれでもクロエは懸命に唇に吸い付いてくる。
オレからも合わせ、啄ばむように重ねあった。
「んっ♪ふ、ぅっ♪んんんっ♪」
徐々に押し付ける力が強くなり動きもまた大きくなる。
そして激しさを増していく。
「ちゅぅ、ん♪………ふぅ、うんっ♪」
「っ!」
ぬるりとした柔らかなものが唇の隙間を縫って潜り込んできた。
一生懸命に伸ばされたそれはオレの口内に侵入すると舌をくすぐるように舐めてくる。
触れ合うたびに広がる甘みはじわじわと頭の中まで染み込みそうなほど。
もっと欲しいと思え、オレからも舌を動かして撫でるように舐める。
「ふひゅっ♪」
わずかにあいた唇の隙間から漏れ出す声が興奮を誘う。
微笑ましくも、可愛らしく、それでいて官能的。
その甘さがもっと欲しくて、その声がもっと聞きたくて積極的に深くまで交わりあう。
「ひゅ♪…う、ん、ん♪ちゅる、ちゅ♪……む、んんっ♪」
長く長い間クロエと互いにキスを楽しみ、名残惜しげに離れた。
二人の間に銀色のアーチがかかりぷつんと切れる。
そしてついた跡をクロエは舐め取った。
自分自身についたものと、オレの口についたものを。
「ん、ちゅるっ♪」
まるで子猫に舐められているようでくすぐったい。
こうしているとお父さんの実家にいた黒猫を思い出すな。
しかし舐めているのは猫ではなく少女。
オレに想いを寄せてくれた大切な女の子。
その事実だけでも自身が昂ぶるのがわかった。
舐め終えたクロエはすりすりとクロエは自身の大切な部分をオレのものにこすり付ける。
黒のワンピースで隠れて見えないが服越しに体温と柔らかさを感じた。
「んん…♪」
ゆっくりと、前後に腰を滑らせる。
布越しに伝わるその感触、それからオレの上に跨ったクロエの恍惚とした表情。
自分より年下の少女がこうも色っぽい顔をするというのは…どこか背徳的であり、えも言われぬ感覚が体の奥から湧き上がる。
「は、ぁ…♪ユウタさん、の…硬く…♪」
先ほどの情熱的なキスから既に膨らみあがっていたオレのもの。
それは彼女の下で布越しに擦られる感触により大きく脈打っていた。
クロエの柔らかな感触が伝わる以上、オレのものを感じていないわけがない。
その感触をもっと味わおうと腰を押し付ける力に強弱がついてきた。
前後に滑らせるだけではなく、円を描くように動かして腰全体で擦られる。
「はぁ…♪ん、ん…っ♪」
小さく、それでも艶っぽい声が静かな部屋の中に響く。
動くスカートの中に手を伸ばしてみると小ぶりで可愛らしいお尻に触れた。
「ひゃぁ…っ♪」
吸い付いてくる彼女の肌。手に伝わる柔らかな感触。
指先に触れた下着の手触りにどんなものをはいているのか気になってきた。
「…」
スカートをそっとめくり上げてみる。
「やぁ…っ♪」
恥ずかしげな声と共に現れたのはフリルがついたなんとも可愛らしい純白のショーツ。
月明かりでハッキリとは見えにくいがオレと擦りあっている部分だけ色が違う。
手を這わせ、その部分を指でなぞってみた。
「あぁっ♪」
今までで一番大きな嬌声。
それに伴い彼女の体も大きく跳ねた。
指から伝わってきたのは予想通りの湿り気。
既に感じているのでわかっているが、こういうものはあえて聞きたくなる。
「クロエ、濡れてる?」
「…っ」
今にも泣き出しそうな表情で真っ赤になるクロエ。
そんな顔をされては…こちらも止まれなくなるというのに。
小さい子供がやるような、好きな相手に意地悪をしたくなる気持ちが良くわかる気がした。
「すごい、可愛いよ」
「っ!」
囁くたびに、言葉が届くたびに彼女は反応を示してくれる。
震えたり、驚いた声を出したり、恥ずかしそうに目を伏せたり。
その挙動一つ一つを感じるたびに胸の奥がじんわり暖かくなる。
「ユ、ユウタ…さん…っ♪」
クロエはオレの名を呼び、ズボンに手を掛けた。
脱がそうとするもここの世界のものとは少々つくりが違うものなので上手くできない。
慣れない手つきであることもあり、彼女は脱がすことはあきらめた。
ただ、それでもチャックを発見したクロエはそこをあけ、小さな手を侵入させてくる。
下着に潜り込み、やっとのことオレのものを取り出す。
月明かりに照らされるそれを見たクロエは自愛溢れるような、それで恍惚とした表情を浮かべていた。
「これが…ユウタさんの…っ♪」
手を添えて感触を楽しむように上下にさする。
「っ」
稚拙な愛撫がなんともくすぐったい。
恐る恐る、びくびくと触れるクロエの手は射精に結びつくような強い刺激というわけでもない。
むしろ、焦らしているようにも感じられた。
クロエのことだ、これが初めてなのだろうし、そんなことわからずやっているのだろう。
それともこれが魔物の本能という奴だろうか?
「クロエ…」
「は、はひっ!」
耐え切れなくなったオレはクロエの名を呼んで、頷く。
彼女もその意を汲んでくれたのだろう、オレの上から立ち上がると恥ずかしげにショーツを脱ぎ捨てた。
そうしてオレに見えるようにスカートをたくし上げる。
そうして見えるのはクロエの大切なところ。
毛は一本も生えてない幼さを残しているそこからぬらりとわずかな光を反射する液体が滴り、太腿に伝い落ちていった。
「っ!」
鼻腔を刺激するクロエ自身の甘い匂いとは違うもの。
独特であり、オスを刺激するメスのにおい。
「ユウタさん、の…ここに…いれます、ね…♪」
腰を下ろしてクロエのとオレのが互いに重なり合う。
蜜はオレのものに滴り、疼くような熱を生み出していく。
もう一度オレを見て、クロエは頷いた。
オレも彼女を見つめて頷く。
そうしてついにクロエは先っぽをあてがい、そのまま腰を一気に下ろした。
「ん、ああああああああっ♪」
「っぁあ!」
感じたのは熱、柔らかさ、窮屈さ、それから抵抗。
ぶつんと伝わってきた突き破る感覚は彼女の純潔を貫いたという証拠。
最深部へ到達したオレをクロエは押しつぶすような力で締め上げる。
だが、初めてであるクロエにとってそれは痛みを伴うはずだ。
その証拠に彼女はオレの学ランを強く握り締めている。
「クロエ、大丈夫?」
オレの言葉に彼女はこくこくと頷いた。
そのとき、揺れたことによりクロエの目の端から雫が滴った。
…やはり痛いのだろう。
罪悪感に胸を締め付けられ、そっと彼女の頬に手を添えた。
指で拭ってそのまま撫でる。
痛みを紛らわせるためにここでどんな言葉をかけるべきだろう。
ここまで来てごめんとは言えない。
それはクロエの頑張りを踏みにじるようなもの。
それならありがとう?
それはまた違う。
言うべきものだろうがこの時には適さないように思える。
なら…どういうべきだろう?
こういった経験は当然ないのでどんな言葉をかければいいのかわからない。
だから、とりあえず。
胸に広がるこの気持ちを、頭に浮かんだ一つの言葉をクロエに言った。

「クロエ、好きだよ」

「ひゅぅっ♪」
嘘偽りない言葉。
心の底からの気持ち。
こんなオレのためにここまでしてくれた少女に好意を抱かないわけがない。
ここまで必死に尽くしてくれた女の子を好きにならないわけがない。
ここで言うにはこれもタイミングがあっていないような気もするが、それでも言いたい言葉である。
オレの告白を聞いたクロエは真っ赤な顔をさらに赤くした。
これ以上赤くなったら爆発しそうだな、なんて思った。
「ユウタ…ひゃん…っ♪」
真っ赤な顔で彼女は言葉を紡ぐ。
オレと同じ言葉を、オレと同じ気持ちで。

「私も、好き…です…っ♪」

その言葉を聞くだけで胸の奥がじんわりと温かくなる。
あいていた隙間が埋められていくような充足感を得られた。
「ユウタさん…動き、ます、ね…♪」
そうして、クロエは宣言したとおり動き出した。
ゆっくりと腰を上げて、同じ速度でおろす。
初めて味わう女性の膣。
粘液が絡まり、肉ひだが撫で、肉壁が蠢く。
ただ入れただけ、まだ少ししか動いていないというのに既に下腹部から精液がせりあがってくるのを感じる。
クロエはオレのものを引き抜かないぎりぎりまで腰を上げて、再びおろしてくる。
「ふ、ぅぅぅっ♪」
唇の隙間から漏れる可愛らしい声。
既に痛みを感じていないのか表情から苦しげなものが消えて、代わりに悦楽に染まった顔になっていた。
それは恋する女の子の顔ではなく、一人の女としての顔。
眺めるだけで情欲をそそるものだった。
「んっ♪…あぁっ♪……んんっ♪」
上から艶のある声が降り注ぎ、下からは感じたことのない快楽が送り出される。
巻きつく壁が搾り取るようにうねり、痛いほどに締め付ける。
動くたびに溢れる蜜は滴り、ズボンへと染みこんで雌の匂いを部屋に充満させた。
「ユウタ、さん…っ♪ユ、ウタさんっんんっ♪」
オレの名をうわごとのように繰り返しつつもクロエは腰の動きを止めない。
むしろ徐々に速度を上げて攻め立ててくる。
「クロエ…っ」
オレからも彼女に応え、片方は腰に手を添え、もう片方は腹の上に置かれた手に重ねる。
ただそれだけでもクロエは反応し中を締め付けた。
「ひゅ、ふっ♪ふぁあっ♪ユウタひゃん…っ♪」
必死に動かす腰からぱんぱんと肉の弾ける音が、動くたびに艶のある声が響く。
動く体からは汗が滲み、月明かりに宝石のように輝いた。
オレの上で懸命に腰を振る姿はとても美しく、とても可愛らしく、それでいて扇情的だった。
そんな姿に、感じる快楽にオレは高みへと押し上げられていった。
「クロ、エ…っ!」
そしてオレは腰を一突きし、クロエの最奥で今まで我慢していたものを弾けさせた。


「ひゃぁああああああああああああっ♪」


今迄で一番大きな声をあげ、体を震わせる。
クロエの中は痛いほど締め付けさらに精液を搾り取ろうと蠢く。
それにあわせるかのようにオレは次から次へと精を注ぎ込んでいった。
あまりの量に苦痛すら感じそうになるも、どこか満たされていく。
長く永遠に思えた絶頂もようやく収まった頃、クロエは脱力して体を倒してきた。
彼女を抱きとめ、表情を伺う。
クロエは腕の中で満たされた笑みを浮かべていた。
「ユウタさんの…とって、も…あったかい、です…っ♪」
クロエの呟きにオレは無言で微笑み、そっと彼女の額に口付けた。





「…クロエ」
「は、い…?」
オレに体を預け息を整えるクロエを抱きしめた。
最初の絶頂から数時間後、あれから既に六度も彼女の中に精を注ぎ込んでいた。
服は脱いであり互いに裸で抱き合い肌と肌が重なって解けてしまいそうに感じられる。
オレはクロエの赤い目を見つめ、艶やかな黒髪を撫でてそっと囁く。
「あ―」
―りがとう。
そういうつもりだった。
だがどうしてか、そのときに限って口が回らなかった。
行為の激しさによるものか、それとも彼女の癖が移りでもしたか。
言い間違えて、もう少し先に言うべき言葉を紡いでしまう。

「―愛してる」

あ、と思った。
この発言はクロエにはまだ早いんじゃないか。
好きだって先ほど一度しか言ってないのに愛しているは進みすぎだろうに。
そう思っていたら案の定、その言葉を聞いたクロエは顔が真っ赤だ。
先ほどの行為の最中だって赤かったがそれ以上。
あまりの赤さにオレの学ランも赤く照らされるほど。
そうしてぽんと、音を立てた。
「ふみゅ〜」
「…」
そのままオレの上で伸びてしまうクロエ。
どうやら気絶してしまったらしい。
これは…どうすればいいんだ。
上で気絶してしまったクロエを抱きしめ苦笑する。
「まったく、仕方ないか」
そんなことを呟いてオレは彼女をベッドに横たえさせる。
月の光を浴びて照らされるクロエの姿。
当然あやかとは似ていないし、同じ部分など何一つない。
それでも。
クロエは埋めてくれた。
必死になって、一生懸命に。
それが、とても嬉しかった。
こんなオレを慰めようと頑張ってくれたクロエが、嬉しかった。
「ありがとうな、クロエ」
贈るはずだった言葉を意識のないクロエに囁き、オレは事後処理のためにタオルを取りに服を着始めた。



それはとある街での話。
その街のとある食事処に住み込みで働いている黒髪黒目のジパング人の青年がいる。
着ている服が大陸のものでもジパングのものでもない、どこか不思議な雰囲気を纏った彼。


彼の隣にはいつも同じ黒髪のドッペルゲンガーがいた。
人間と魔物。
当然血の繋がりのない存在だがその二人を見た誰もが仲の良い兄妹のようだといっていた。


「あ、あの…ユウタ、さん…これは…?」
「いや、黒髪ならこれ似合うだろうなーって思ってちょっと街のアラクネさんに頼んで作ってもらったんだけど…」
「でも、これ…スカート、短い、ような…」
「似合ってて可愛いよ」
「はぅ…っ♪」
「一目見たときからぜひとも着てもらいたかったんだ、セーラー服」
「せーらー?」
「そ、オレのこの服と対になってる服。言うなれば…おそろいってところかな?」
「おそろ、い…っ♪」
「あとは浴衣も似合いそうなんだよな」
「ゆかた?」
「そ、何なら借りてきたから着てみる?着付けならオレがやってあげるから」
「そ、その…その後は…」
「…ああ、えっと…うん」
「そ、それじゃ…♪お願い、しまひゅっ!」



HAPPY END
12/03/31 20:13更新 / ノワール・B・シュヴァルツ
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■作者メッセージ
ということでドッペルゲンガー編これにて完結でございます
異世界にくれば感じてしまうのも仕方ない故郷の思い出
もう二度と会えないというのはつらいものであり、準備も何もしていなかった主人公にとってかなりつらいものになったのかなと…
それをドッペルたんに癒されるとか…もげてもらいたいですねw

そして次回はヴァンパイア編、クレマンティーヌのお話です!
現代編では語られなかった部分まで行きますよ!

そして、その次にリクエストされたものを書かせていただきます!
最初は勿論あのお方で…

それでは次回もよろしくお願いします!!

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