連載小説
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旅52 極めて幼く限りなく旅なコラボ〜秘密の姉妹達〜
「あれ……ここどこだろう?」
「どこだろうって……迷ったのですか?」
「そうみたい……」

現在11時。
私達は1週間と少し前にヘクターンを出発してから、ペンタティアを目指して旅をしていたのだが……

「やっぱあそこできちんと地図を見ておくべきだったな」
「だね……なんとなくの方角で決めちゃったのが間違いか……」

向かう途中で、思いっきり迷子になっていた。
地図を見ても今自分達がどこにいるのかさっぱりわからないでいた。

「そろそろどこかの街にいかないと食糧が足りなくなってくるんですよね?」
「そうそう……中継地点としてる町までもつと思ったんだけど、ここのところ雨ばかりでペースが落ちてたからね……今日は曇りだからまだ進みやすいね」
「今日久しぶりに雨じゃないもんね〜。何日ぶりだっけ?」
「4日か5日ぶりじゃねえか?3日前は本当にヤバくて結局『テント』から出るのやめたぐらいだからな……というか本当に『テント』吹き飛んだりしてなくて良かったな」
「一応どんなに強くても風でとばされたりしないようになってるってテントもらったときに言われた」
「へぇ……相変わらず不思議なものだな……」

町に辿り着く前に食糧が無くなりそうだからと、そこに行くまでの間にある街を目指していた……看板が途中で無くなったのでとりあえず目指す方角に続く道を歩いてきたつもりだったが、あらためて地図を見ると何故か分岐した道は記されておらず、結果私達は今どこら辺に居るのかさっぱり見当がつかなくなっていた。
周りを見ても森とまで行かなくても木ばかりだし、目印になるものは何もない。

「それでどうするのですか?」
「う〜ん……下手に動くと余計迷子になっちゃうかもしれないけど……かといってこのままジッとしてるわけにはいかないし……」

このまま適当に進んでもどこかの町に辿り着くとは限らない。
かといって誰かが通るのをここで待つのも得策かといえば……決してそんな事はなかった。
もし誰も通らなかったら非常にまずいし、通ったのが切羽詰まった独身の魔物とかだったらユウロが攫われてしまう可能性もある。

「ん〜……あ、そうだ。セレンちゃんちょっと飛んでみて」
「え?ああ……上空から町を探すのですね。たしかにそのほうがよさげですね」
「そうそう。大体の方角さえ分かればそこを目指して歩けばいいだけだからね」

だからどうしようかと悩みながらなんとなくアメリちゃんを見ていたら、ある事を思い出した。
それは……ディナマのアジトを探す時に、アメリちゃんに飛んでもらって上空から探した事だった。
それと同じように上空からなら町も探しやすいのでは……そう思った私は、普段から飛んでる事があるセレンちゃんに頼んでみたのだった。
スーッと飛びあがり空から周辺を調べるセレンちゃん……途中から一点だけを目を凝らして見てから、ゆっくりと降りてきた。

「あっちの方角に街らしきものはありましたね。ただどう行けばいいかはわかりませんでした」
「うーん……とりあえずあっちのほうに行くしかないか……」
「そうだねー。セレンお姉ちゃん、街までどれぐらいかかりそう?」
「んー……目測だけど数時間は掛かるかなってところですね……」
「えー。じゃあとちゅうでお昼ごはんにしよっ!」
「もちろんそのつもりだけど、まずは歩こうな」

どうやら少し遠くに街が見えたらしい。
という事で、私達はその街があるという方向に向かって歩き始めた……



…………



………



……







「つかないねー」
「そうだね……本当に方向あってるのかな……」
「いささか不安になってきました……」

現在14時。
途中でお昼ご飯として私特製サンドイッチを食べつつも、私達は街に向かって歩いていたのだが……中々着かなかった。
時々セレンちゃんが高く飛んで確認してるけど……あまり近付いている様子はないというか、方角が飛ぶ度に変わっているようだ。
太陽さえ出ていたら方角がわかったのだが……方位磁針をカリンに預けたまま別れちゃったのも痛いな……

「まあ今すぐ着かないと死ぬなんて状況じゃねえし、最悪食糧が無くなるまでに着けばいいだろ?」
「そうだけど……もってあと2食分、節約しながらでも3食分かな」
「えーごはん食べられなくなるのはやだなぁ……」
「アメリは最悪ユウロから精を貰えばやっていけるでしょ?リリムなんですからその歳でも問題無く絶頂させられるでしょうし」
「あ、そうか」
「あ、そうかじゃねえよ!!俺は誰とも、特にアメリちゃんには絶対しないからな!!」
「冗談ですよまったく……」
「まったくはこっちの台詞だよまったく……」

馬鹿なやり取りを出来るほどの余裕はあるけど、それも今のうちだろう。
今日中に着かないなんて事はないと思いたいが……そうだとしたらちょっと厳しいか。

「さて……本当にどうしようか?」
「う〜ん……」

だからどうにかしてその街にく事は出来ないだろうかと悩んでいる時だった……

『帰りが遅くなってしまいましたね』
「そうだな。近道しようとして結局遠回りになった感じか」
『だから私は言ったのですよ。変な道は通らないようにと。アニス様が怒っているかもしれませんよ?』
「それはちょっと怖いが……まあいいじゃないか。ゆっくりと景色見ながら帰れたと考えればさ。今日は簡単な依頼だったわけだしな」
『エクセルシアの情報は誤情報だったので骨折り損ともいえます』
「うっせ。軽い依頼をこなしたと考えろ」

どこかから、一組の男女の声が聞こえてきた。
いや、女の人のほうはなんというか……少し違和感を感じるような気がする。

「ん?誰か近くにいるのか?」
「みたいだね。街までの道を知ってるかもしれないし、声掛けてみようか」

声がしたほうを見ていると……青い服を着た人が歩いて来ているのが見えた。
声は二人分聞こえたのだが見える人影は一人分だ……ゴーストでもいるのだろうか?

「あのーすみません」
「ん?ワーシープか?」
「はい。後ろにいるメンバーとの4人で旅してるのですが、ちょっと迷子になっちゃって……街への行き方とかわかります?」

不思議な点はあるけれど、とりあえず声を掛けてみないと何も解決しない為、こっちから声を掛けてみる事にした。

「街……?モイライの事か?」
「いやあ……今言った通り迷子なので自分達がどこにいるのかわかってないのですよ。一緒に旅しているエンジェルのセレンちゃんに空から見てもらい近くに街があるってわかったので行こうとしてたのですがどう行けばいいかわからなくて……さっきから彷徨う破目になっていると言うわけです」
「なるほどな」

とりあえず近付いてみたはいいのだが……どうにも不思議な男性だった。
格好自体は特におかしな点は無いのだが、この人が持っているものに目が行った。
依頼がどうこう言ってたし、おそらく自警隊か何かしらのギルドメンバーか、あるいは勇者……は流石に無いかな……ともかく、何かしら依頼を受けて解決する人だろう。
で、そんな人が携帯してる物がちょっと変で……

「……ん、どうした?」
「あ、いえ……『それ』なんだろうと思って……」

この人が携帯している物……それは、黒くてでかい何かだった。
少し光沢があって、握って使う物だとは思うが……今までそれに近いものすら見た事が無いので、この得体のしれない物がいったいなんなのかはまったく想像つかなかった。

「ああこれか。これは俺の武器だ。亜空間接続式統合兵装『鵺』……って言ってもわからないか」
「は……はぁ……」

どうやらこの人の武器らしい……けど、何を言ってるのかさっぱりわからなかった。

「なんというか……トンファー……いや、変な形をした銃みたいな……」

戸惑っているうちに集まってきたユウロ達……ユウロがこの人の持ってる鵺とかいう物を見た時に、銃みたいだと呟いた。
もしかして異世界の武器なのかなと思ったけど、ユウロもよくわかって無さそうなので違うみたいだ。

「おっ!?お前さんは銃はわかるのか?」
「ま、まあ……こんなヘンテコな形はしてませんでしたが……」
『ヘンテコとは失礼ですね』
「えっ!?な、なんだ?」

ユウロが何気なく呟いた一言に反応した声……
さっきこの人と話していた声と同じ人物のようだけど……相変わらず姿が見えなかった。

「さっきもこの女の人らしき声が聞こえましたけど……いったいどこから……」
「ああ、この声の発信源はこの鵺からだ」

いったいどこからと辺りをキョロキョロと見回してたら、男の人が鵺を持ってそう言った。
武器が喋るなんてとても思えないけど……言われてみればそこから声がした気がしないでもない。

『私はラプラス。鵺に搭載されている自己推論進化型サポートAIです』
「は、はあ……」

たしかにこの武器が声を出しているようで、名前はラプラスと言うようだ。
どんな魔術を使っているのかはまったくわからないし、ラプラス自身が何か言っていたがまったく理解は出来ない。

「まあわからないと思うが、魂だけが宿ってると言うか、意志を持って喋る武器程度に思っていてくれ」
「はあ……」
「ゴーレムみたいなものですか?」
「そんなところだ。正確には違うがな」

それがどの程度かはまったくわからないが、とりあえずそういう物だと思っておいたほうが良いだろうと判断する事にした。

「それじゃあ案内するが……そういやあんた達の名前は?それと旅の目的は?」
「私はサマリです。こっちの男子はユウロで、この女の子はエンジェルのセレンちゃん。それとリリムのアメリちゃんで、旅の目的はアメリちゃんの姉妹探しと世界中の観光ってとこです」
『リリムは魔王の娘の総称ですからね。同じリリムであれば血は繋がっている、つまり姉妹だと考えられます』
「なるほど。姉妹探しと観光ね。全員同じか?」
「ワタシは少し違いますが、一緒にいるのでそう間違っても無いです」

とりあえず街まで案内してもらう事になった私達。

「俺はアルテア。モイライの冒険者ギルドに所属している身だ。あらためてよろしくな」
「こっちこそよろしくねアルテアお兄ちゃん!」

青い服を着た男性……アルテアさんに自己紹介をしながら、私達はアルテアさんの案内について行った。

『マスター、幼女だからってアメリやセレンに手を出さないでくださいよ?』
「うっせ」
「ん〜?アメリがどうかしたの?」
「いや別になんでもないから気にするな」
「怪しいですね……変な装備品のせいで余計に怪しいです」
『変な装備品とは失礼な』

時々アルテアさんとラプラスがちょっと気になるやり取りをしてたけど……まあ気にしない事にした。

『しかしこの世界にはまず銃が存在しないので私が怪しい物に見えても仕方ありませんね』
「この世界?じゃあアルテアお兄ちゃん達も別の世界から来た人?」
「ああ……ん?お兄ちゃん達『も』?あ、そういえばユウロだっけか?お前さんは銃を知っていたよな?」
「はい。俺も別の世界からこの世界に来てるので。と言ってもそんな喋るAI機能付きというSFな銃なんて現実には存在してなかったのでおそらくまた別の世界、あるいは俺がいた時代より相当未来の人かなと」
「なるほどな」

そんなアルテアさんはユウロと同じく異世界から来た人のようだ。
ただヴェルナーさんと同じく例え同じ世界から来ていたとしても時代はまったく違うみたいだ。
たしかに、前に垣間見たユウロの世界にこんな物があるとは思えにくい。

「まあとりあえずは街まで案内するが、そこから先は自分達で観光なり宿を探すなりしてくれ。生憎俺はこの後約束があるから街の案内までは出来そうにないもんでね」
「あ、そうですか」
『ギルドに報告後はアニス様とデートの約束ですからね』
「デートじゃなくて一緒に買い物な。もしかしたらニータやメイも着いてくって言うかもしれないしな」
「?」

とりあえず街についた後は複数の女性と買い物か何かの予定があるらしく、街に入ったらすぐに別れなければいけないらしい。
最近なんとなくわかるようになってきた感覚を信じるとアルテアさんはインキュバスで無いため、おそらくだが複数の魔物から言い寄られているのだろう。その為多忙みたいだ。

「まあ案内しようにも普段は依頼とかで忙しい身だもんで、街に住みつつもゆっくり見て回ったのがつい先日だからそう出来ないからな」
『自慢出来る事ではありませんよ。金欠も原因であったりしますし』
「別に自慢じゃねえよ。という事で案内とかは街についてから他の人に頼んでくれや」
「はい。まあ一応適当に回るので問題無いです」

ちょっとだけ宿や市場などへの案内も頼んでみようとも思ったが、それなら仕方が無い。

「あ、そういえばモイライにリリムっていたりします?」
「いや、居ないはずだ。流石にリリムが居たら知れ渡ってると思うしな」
「えーざんねん。お姉ちゃんもいたらいいなって思ったのに」
「まあそう簡単にはいませんよ」

そしてダメもとでアメリちゃんのお姉さんがいるか聞いてみたけれど、やっぱりいないようだ。
まあここら辺であればユーリムさんも知っているだろうし、そのユーリムさんが言わなかったので居ないだろうとは思っていたが。

「それならまあ適当に観光と食糧調達出来ればいいか」
「そうだね」
『モイライにも市場は在ります。よろしければ場所を教えましょうか?』
「お願いします」

とりあえず街についたら食糧と宿を探そうと思いながら、私達はアルテアさん達と街まで話をしながら歩いたのであった……



====================



「さて、どうしようか」
「まずは食糧調達からだね。市場もあるみたいだしそっちに向かおうよ」

現在15時。
モイライまで案内された後、私達はアルテアさんとの別れ際に市場があると言われたので、行ってみる事にした。

「結構魔物も多いですね」
「まあここまで発展した街だしな。アルテアさんが所属してるギルドのマスターはサキュバスだって言ってたし、街にはサバトもあるって言うから魔物率は高めだろ」

たしかに歩いている人の中には魔物と人の組み合わせが結構多かったりする。
なので別に私達が浮いているなんて事はないと思う。

「しっかしそろそろついてもおかしくないと思うけど……それっぽいもの見えないね」
「うーんまあ……どこかで道を間違えたかなぁ……」

それはまあ置いといて……どうやらまた私達は迷子になりかけているようであった。
今日はとんだ厄日だなぁと思いながらも、このままじゃいけないので誰かに声を掛けて道を聞こうとした。

「あのうすみません。どうかなされましたか?」
「んっ?」

ちょうどその時、後ろから声を掛けられた。

「何か困っていたようですが……」
「あ、はい。市場がどこにあるかわからなくて……」

振り向くと、そこには大人しい感じのワーウルフが手に大きな鞄を持って立っていた。

「わたしも今からそこに買い物に行こうとしてたところなので、よろしければご一緒しましょうか?」
「本当ですか!?それは助かります!」

どうやら私達の目的地と同じ場所で買い物予定だったらしい……なんというジャストタイミング。

「ワーウルフのお姉ちゃんもお買いもの〜?」
「うん。わたしはこの街からちょっと離れた場所にあるメルガの森記念孤児院で働いてます。今日は買い物に来ました」
「へぇ〜」

どうやら街の近くに孤児院があるらしい。
このワーウルフさんはそこで働いているとか……

「孤児院か……」
「ん?なんだよ……」
「いや……別に……」

孤児院と聞いて、そういえばユウロも孤児院出身だったなと思い出した。
その事を言おうとしたけれど、そういえばユウロの過去については他の人には言うなという事だったのでマズイかと思って口を閉じた私。

「ああ……まあ俺も元孤児院出身だしな……宿も探さねえといけないけどちょっと寄ってみたいな」
「え?ユウロお兄ちゃんこじだったの?」
「まあな。たしかに前にラインの孤児院に行った時は言わなかったか。世界は違ってもやっぱどこか懐かしく感じるからさ、是非行ってみたいよ」

しかしユウロ本人がその事を言ってしまった。
まあたしかに何故孤児だったのかと孤児院を抜けた理由が重要かつ辛い経験であって、孤児院にいた事自体は特に問題無いのだろう。

「それでしたらぜひお願いします。遊んであげたら子供達も喜ぶでしょうし、友達も増えたら喜ぶのであなたも仲良くしてやって下さい。一応院長さんに聞いてみますが、おそらく泊まって下さっても構いませんので」
「ああ、それなら是非行きたいです!」
「うん!アメリもそこの子たちと遊びたい!!」

ユウロが希望した事もあり、子供達と遊べるうえ泊まっても良いと言う事なので私達は買い物が終わった後で孤児院に行く事になったのだった……



………



……







「なるほど……セレンさんは想い人に会いにですか……大変でしょうけど、頑張って下さいね」
「はい……」

現在17時。
食糧を購入した私達は荷物を一旦『テント』の中にしまってから、ワーウルフのサリアさんの案内でメルガの森記念孤児院に向かう事にした私達。

「そういえば街にもエンジェルは居た気がしますよ」
「え、そうなのですか?」
「はい。何度か見かけました。多分教会に居ると思います」
「教会?そんなものまであるのですか?」
「はい。元教団兵の人とか、魔物化したからと簡単に信仰を捨てられない人だって居るからって院長さんに聞いた事があります。なんでもここは少し遠いからか孤児院代わりにもなっているらしですよ?」

少し距離があると言っていたとおり、1時間以上は歩いているがまだ着かなかった。
まあお話しながらなので退屈だったりはしていないけどね。

「じゃあ明日とかはそっちのほうも行ってみる?ついでに寄った街とはいえど観光してみたいしさ」
「そうですね……早くセニックのところへ行きたい気持ちもありますが、そう急ぐ旅でもありませんし……行ってみましょう」

どうやらモイライにはいろんなお店だけでなく、教会なんてものもあるらしい。
セレンちゃんの事も考えて早く出発するべきなのかもしれないけど……やっぱりここまで大きな街ならある程度は観光したい。
なのでその本人にそれとなしに聞いてみたのだが、セレンちゃんも観光する気はある……というか、街にある教会やエンジェルが気になるらしく、観光しようと言ってきた。
まあたしかに急ぐ必要はないし、本人が言っているのでこれ以上気にする事はないだろう……という事で、明日はいろいろと街を見て回ろうと思う。

「それで皆さんは迷子になってたところをアルテアさんに案内されてここまで辿り着いたと」
「はい。あの人って有名なのですか?」
「それなりに有名ですよ。凄腕の冒険者ですし。わたしは彼に助けられた事もありますから……っと、見えてきました。あの建物が孤児院です」

そんな感じに話しながら歩いていたら、目的地に着いたようだ。

「ちょっと院長さんに話をつけてくるので、皆さんは少しここで待っていて下さい」

一応院長さんに私達の事を話してくると、サリアさんはワーウルフらしく(といっても基準はプロメだけだが)建物の中へ駆け抜けて行った。

そして待つこと数分……

「お待たせした。君達がサリアが言っていた人達か。この孤児院の院長のニーナだ」

中からサリアさんと共にワーラビットの女性が現れた。
どうやらここの院長さんで、ニーナさんと言うらしい。

「今日は子供達と遊んでくれるらしいじゃないか。よろしくお願いするよ」
「それと私夕食の準備も手伝います。これでも旅の中では私が調理担当なので多少は出来るので」
「それではお願いします。残りの人は子供達と遊んでいて下さい」
「うんわかった!!」



私はサリアさんと厨房へ、他の3人はニーナさんについて行って子供達がいるだろう部屋に向かって行った。



「それでは野菜を切る作業からお願いします。決して調理中に生で食べないでくださいよ」
「わかりました〜って野生の羊じゃあるまいしそんなことしませんよ。きちんと料理しますから」

早速夕飯の準備に掛かる私達。
今日はクリームシチューを作るようなので、まずは野菜の皮むきと切る作業を頼まれた。

「そういうサリアさんは私を見て美味しそうとか言いませんよね?」
「えっ?言うわけないじゃないですか!狼や旧時代の魔物じゃあるまいし食べたりしませんよ」
「ですよね」

ちょっとした会話を交わしながらもタマネギの皮を剥いて、食べやすい大きさに切り合わせる。
タマネギを切った後、一旦縁に追いやって今度はニンジンの皮を剥き、子供が食べる事を考慮して小さく輪切りしたものを更に半分にする。
そしてじゃがいもの皮も同じように剥いて、一つ6等分ぐらいに切り分けた。
最後にブロッコリーも小さく分ける。苦手な子も居るだろうからなるべく小さく、それでいて味を損なわない程度にだ。

「しかし最近は物騒な事件も多いですからね。街の中には連続殺人犯も居たそうですし、近くの森も無残な男性の死体があったので立入禁止になってます。どちらもそれぞれ別の怪物が出たそうです」
「え……そうなのですか?」
「はい。とは言ってもどっちも怪物自体は冒険者のアルテアさんが倒したのでもう襲われる危険はないそうですけどね。私も記憶には無いのですが被害者だったらしいです」
「はぁ……それは大変でしたね」

次に、サリアさんが少し大きめに切って下味を付けてある鶏肉を受け取り、油とバターを引いたフライパンで少し焼く。
少し焼き目が付いたところで一旦お皿に回収し、そのフライパンで最初に切っておいたタマネギを炒め始めた。

「というかアルテアさんって凄腕の冒険者なんですね」
「その通りらしいですよ。お友達から話を聞いた事がありますが、かなり危険な任務に就いては大怪我しながらも無事生還していたりしてるようです。私もアルテアさんに助けられましたしね」
「へぇ……」

タマネギが透き通ってきたので、じゃがいもとニンジンも一緒に炒め始める。
全体に火が通ったところで白ワインをほんの少し加え、混ぜ合わせたところでサリアさんが鍋で煮込んでいたシチューの中に野菜と鶏肉を入れた。

「アルテアさんはとても凄い冒険者らしいですよ。彼に惚れている人も多いらしいです」
「そうなんですか。持ってる武器もかなり特殊でしたし、やっぱり強いんだろうな……」

じっくりと煮込んでいる間に野菜サラダを作り始める事にした。
サリアさんがレタスを1枚ずつちぎって、きゅうりを輪切りに切っている間に、私はトマトを6分割にカットしてキャベツを千切りにする。
ブロッコリーとタマネギはシチューのほうに入っているので使わないようにして、目についた黄パプリカを細く切っておく。

「あ、もしかしてですけどサリアさんってアルテアさんに惚れてたりします?」
「へ!?い、いきなりなんですか!?」
「なんとなく聞いてみただけですよ。あれ?もしかして図星だったりします?」
「ち、違いますよ!」

切ったきゅうりとキャベツとパプリカ、それとカリカリに焼いたベーコンをボウルに入れて混ぜ、レタスを敷いた大きなお皿に移す。
最後にカットしたトマトをいい感じに盛り付けてサラダは完成した。

「たしかに見ず知らずの私を助けてくれたので恩を感じてますしそういう意味では気にならないと言えば嘘になりますけど……さっきちょっとだけ言ったお友達のほうが異性として気になってます」
「あ〜そうなのですか」
「はい。よく孤児院の仕事も手伝ってくれる冒険者の方です。彼との出会いもアルテアさんが一枚噛んでたりしますけどね」
「へぇ……」
「最初は遠巻きに私を見てたりと変な人だなと思ってたのですが、会って話してるうちにってところです」

サラダを作ってるうちにシチューも良い感じに煮込まれてきたので、小さく分けておいたブロッコリーを鍋に投入した。
数分煮込んで、ブロッコリーも良い具合に蕩けてきたので、塩コショウを投入して味を整えようと、おたまに少し掬い味見しようと口に含み……

「そういうサマリさんはユウロさんと恋仲だったりするのですか?」
「ぶふっ!?」
「うわっ!?」

サリアさんに仕返しとばかりに変な質問をされたので、盛大に噴き出してしまった。
味見する時になんとなくサリアさんのほうを見ていたのでご飯の中に入りはしなかったものの、少しサリアさんに掛かってしまった。
スープでは無いのでさほど飛んでは無いが、それでも掛かってしまった事には変わらないので咳込みながら拭く。

「げほっ、す、すみません。というかいきなりなんですか!?」
「いえ、先程からずっと気になっていたので。それでどうなのです?」

まあたしかにアメリちゃんは誰かと恋仲になるような年齢では無いし、セレンちゃんには他に想い人が居るという話はしてあるので、魔物に囲まれている男性がいればそう考えるのが妥当とは思うが……

「いやあ、残念ながらそうじゃないですよ。ユウロはあれで重い過去を持ってたりするので、それが原因で彼女は作れないって話ですからね」
「はぁ……そうなのですか。てっきり付き合ってるものだと思ってました」
「そう思われても仕方は無いですが、誰も付き合ってはいませんよ」

ユウロはあの過去のせいで誰かと付き合うと言う事を頑なに拒絶している。
ユウロは絶対にユウロの親の様にならない……私はそう思っているが、ユウロ自身はやはり不安のようだ。
だから私がとか関係なくユウロと恋仲になるなんて出来ないだろう……
そう思う私の心が少し苦しく感じるのは、きっとそんなユウロの未来が暗いもののように思えてるからだろう……

「私自身恋愛ってのがわからないですが、多分ユウロを口説くのは相当難しい気がしますね……まあユウロの想いを汲んで魔物に攫われないように護るつもりです」
「そうですか……頑張って下さいね!」
「はい!」

そんな感じに話をしていたらシチューもとろりとしてきたので、パンを焼いて、鍋と食器を持って子供達の元に向かった。

おいしいと笑顔で言ってくれた子供達……本当に可愛かったなぁ……その後遊んでる時に私に抱きついてきた子はもれなく寝ちゃったけどね。
最近全然切ってないから伸びてきたし、それに伴い何もしてないとすぐ眠くなるし、そろそろ切り頃かなぁ……



====================



「えっと……院長さんから貰った地図からすると……ここかな?」
「たしかに教会ですね……」

現在9時。
孤児院で一晩寝泊まりした後、朝ご飯を食べてから再びモイライに向かった私達。
仲良くなったアメリちゃんは少し寂しそうだったが、また旅の途中で近くを通った時に寄ればいいだろう。
そして、自由市や中央広場なんかも気になるが、とりあえずはセレンちゃんが気にしていた教会に向かう事にした。

「しかもきちんと主神様を信仰するものですね」
「みたいだな……ってかセレンはまだ主神に様ってつけてるんだな」
「まあここにいる人達みたいなものですよ。魔物になった時から一切話しかけてこないうえにこっちから話しかけても無視をし続ける部分が腹立ちますし魔物のいろんな部分を旅で見てきたので昔ほど盲信的では無いですが、そう簡単に信仰を捨てたりは出来ませんよ」
「そんなもんか。まあ俺は元からたいして信仰してなかったからな。俺の生まれた国ジパングみたいなもんで八百万の神がいたし。トイレの神様とか貧乏神とかな」
「改めて考えたら相当だよね……変な物にも神様がいるってのはさ……」

しばらく歩いているうちに目的である教会に辿り着いた。
たしかに堕落神やその他の神を信仰するものではなく、どうみても主神信仰の教会だった。
孤児院代わりになっていると聞いてたとおり、中から元気な子供の声が聞こえる。

「あ、天使のお姉ちゃんまだ……あれ?いつものお姉ちゃんと違う?」

と、教会を眺めていたら子供が一人私達に近付いてきた。
緑色の尻尾や鱗からしてリザードマンのようだ。

「いつもの……という事はいつもはここにエンジェルが住んでいるのですか?」
「うん。今は多分冒険者ギルドのほうで受付してると思う」
「そうですか……」

どうやら本当にこの街にはエンジェルがいるらしく、今は冒険者ギルドのほうにいるらしい。

「是非会ってみたいのでそちらに向かいましょうか」
「そうだね。もしかしたら昨日のアルテアさんも居るかも」
「あーそうだよな。たしかあの人も冒険者って言ってたからな」


だから私達は冒険者ギルドのほうに向かう事にしたのだった。


「冒険者ギルドってどこにあるんだ?」
「え〜っと……ここを道なりに進んで、大きな通りを行けばあるみたい……っと、あれかな?」



場所を確認しながら歩みを進める。
しばらく歩いているうちに、それらしき建物が見えてきた。

「なんか賑やかだな……」
「そうだね……というか中に入っていいのかな?」
「ん〜……魔物がいっぱい居そうですね」
「だね〜。じゃあはいろっか!」

中から賑やかな声が聞こえてくる。複数の魔力を感じるのできっと内部には様々な魔物がいるのだろう。
依頼も無いのに入っていいのかと少し立ち往生していたが、アメリちゃんは気にせず扉を開けた。

「こんにちはー!」
「はいこんにちは……ってどうされました?」

扉の向こう側では……受付らしきところにいる幼女……もとい魔女。

「今日は……ラプラスが相談事を受ける日か……」
「じゃあアルは今日1日仕事無しだね!」
「おにいちゃんきょうおしごとなし?」
「そうかそうかならば兄様には今日1日わしらにかまってもらおうかの」
「あに〜」

それと、昨日の青い服を着ていた冒険家、アルテアさんが幼女……もとい幼いサキュバス、鼠の魔物、バフォメット、胸でかゴブリンに囲まれながらコーヒーを飲んでいた。
バフォメットは静観しているが、胸でかゴブリンはアルテアさんの背中にしがみつき、鼠っ子とアメリちゃんに少し雰囲気が似てる幼いサキュバスの子はアルテアさんの膝の上を取り合っていた。

「ん……あ、あんたらは昨日の……」
「あ、アルテアお兄ちゃん!」
「どうも、昨日はありがとうございました」

そんな幼女ハーレム状態のアルテアさんが私達に気付いたので、とりあえずお礼を言ったのだが……

「またあたらしいおねえちゃんだ……」
「手出し過ぎでしょ」
「今度は幼女2人に羊なのかの……」
「む〜!」
『マスターは誰彼構わず手を出し過ぎです』
「違うから!」

なんだか勘違いされてるのか、周りの幼女達がジトーっとこっちを見てきた。

「えっと……別に私アルテアさんに惚れてるとか無いので気にしないで下さいね?」
「アルテアお兄ちゃんはたしかに好きだけどアメリも別にその好きじゃないよ!」
「そもそもこんなハーレム作りそのまま放っておくような優柔不断男、ワタシは好きじゃないので」
「なんだそうなのか」
「良かったのじゃ……」
「……助かったけどなんか少し心にダメージ受けた気がしてきた……」

とりあえず自分達はアルテアさんに惚れているわけではないと伝えたら幼女4人衆とちょっと離れたところにいる何人かの魔物がホッとした表情を浮かべた。
ただセレンちゃんの何気ない一言でアルテアさん自身は少し精神的ダメージを負ったようだ……がっくりとうなだれている。

『マスターはフラグ建築士1級ですからね』
「自分ではそんなつもりないけどな」
「よく言う……」

そんなアルテアさんを弄るラプラス……冗談っぽく言ってるみたいだが少し心を抉った気もする。

「えっと……あなた達は依頼か何かで?それともアルテアさんにお礼を言いに来ただけですか?」
「いえ、この街に住むエンジェルがここにいると聞いたので……」
「へ?私に何か用ですか?」

その様子を見ていたら受付の魔女に何しに来たのか聞かれたので、とりあえず当初の目的を言おうとしたところ、目的らしきエンジェルがギルドの奥の方から資料みたいなものを持って現れた。

「あなたが……」
「あ……見た事はないですけど……あなたもエンジェルですね」
「はい。ワタシはセレンと言います。教団から離れた身として、是非お話してみたくて……」
「そうですか。あ、私はシェリアです」

どうやらシェリアさんもこのギルドの受付をしているらしい。

「お話したいと言われましても、今は勤務中で……」
「あら、今日は依頼数が少ないからいいわよ。プリシラ一人でも十分出来るわよね?」
「はい!」
「という事でそこら辺でお話しなさいな」
「そうですか。ありがとうございます」

話をしようにも仕事中では……と思っていたら、奥からサキュバスの女性が現れて話をしていても良いと言った。

「えっとあなたは……」
「モイライ冒険者ギルドのギルドマスター、ミリアよ」
「そうですか……ではシェリアさんをお借りします」

やはりこのサキュバスはこのギルドのマスターだった。
マスターがそう言うのだから大丈夫だという事で、シェリアさんとセレンちゃんは空いてる席でお話を始めた。

「あなた達も話が終わるまでそこら辺でくつろいでたら?」
「あ、よろしいですか?」
「もちろんよ。可愛い王女様も居るしね。あなたリリムでしょ?」
「え……うん。アメリはリリムだよ」
「彼のコントを見るとか、彼を弄って遊ぶとか、ギルドに迷惑がかからなければギルドを閉める時間まで居てくれて構わないわ」
「おい待て」
「そうですか。それではゆっくりさせていただきます……コントでも見ながら」
「あんたもか!」

私達もゆっくりしても良いとミリアさんに言われたので、とりあえず私とユウロは近くの空いている席に座った。

「……」
「あら?アメリだっけ……どうかしたの?」
「ん〜……まあいいや」
「まあいいならいいわ。娘達と遊んであげてね」
「うん!」

アメリちゃんは……何かが引っ掛かっているのか、ミリアさんを悩ましげな顔でジッと見つめたまま立ち尽くしていた。
とりあえずは大丈夫みたいで頷いたが、納得はしてないようだ。

「しかしリリムか……珍しいのぉ」
「ん?アメリ珍しいの?」
「そりゃあ魔界のお姫様が、しかも小さな子供が旅してたら珍しいだろ。ちなみに姉妹探しに旅してるそうだ」
「そうだよ!会った事無いお姉ちゃんに会いたくてアメリ旅してるんだ!」

納得はしていない表情のままではあるが、アルテアさん達の輪に混ざりに行ったアメリちゃん。

「えっと……」
「わしはエルファじゃ」
「わたしはアニス。よろしくね!」
「うん、よろしくねエルファお姉ちゃん、アニスお姉ちゃん!」

アルテアさんを狙ってる訳じゃないとわかったからか、最初の迎撃ムードなんか1ミリも感じさせない程すんなりと輪の中に入った。
その様子を私とユウロはギルドにあったコーヒーに砂糖を入れて飲みながら見ていた。

「じゃああんた達は本当にアル狙いで来たわけじゃないのね?」
「あ、はい……まったくそんなつもりでは無いですよ」
「ならば良い。やっかいなライバルが増えないのに越した事はないからな」
「その点は問題無いです。異世界人らしいですし興味は少しありますが、アルテアさんに恋愛感情なんかこれっぽっちも湧いてこないので」
「その言い方は言い方でちょっとな〜。アルに魅力ないって言われてるように感じる」

コーヒーを飲んでいたら、隣の席に蜂の魔物と鎧を着た魔物が私を挟むように座ってきた。
蜂のほうは尾の針が大きいし、胸も無駄に大きいのでホーネット、鎧を着ているほうも胸は無駄に大きいが、おそらくデュラハンだろう。

「お前らもあそこにいるロリ集団と同じくアルテアさんに惚れてる魔物か?」
「まあね。アタシはホーネットのチャルニ。ここのギルドに所属してる冒険者よ」
「私はミスト。魔王軍第36騎士団副団長を勤めているが、現在はこのギルドで働かせてもらっている」
「へぇ〜……あ、私はサマリです。こっちの男の子はユウロ。よろしくお願いします」

チャルニさんとミストさんがそれぞれ自己紹介をした後、私と同じほう……正確にはアルテアさんを観察し始めた。
この二人もアルテアさんに惚れているのだろうけど……幼女に囲まれてる状態では中々近付けないのだろう。

「さてと、子供は子供同士遊んでな」
「む〜〜」
「うごいちゃダメおにいちゃん!」
「逃さないよアル。そもそもこの中で本当に子供なのってアメリとあたしだけじゃん」
「……わかったよ。でも新聞ぐらいゆっくり読ませろよな」

そんなアルテアさんはこの二人に気を使ってか、それともこの場から逃げる為か立ち上がろうとしたが、アニスちゃんと鼠っ子と胸でかゴブリンに阻止された。
それでもどうにかしようとしたが、やがて諦めて大人しく椅子に座り、鼠っ子がアルテアさんの足の上に座った。
というか……今何かもの凄い事言ったような……

「ん?子供は鼠っ子とアメリちゃんだけ……?アニスちゃんは?」
「鼠っ子て……あたしはラージマウスのニータ。元人間でもそれぐらい知ってなよ」
「ごめんね。実はあまり魔物に詳しくないんだ。アルテアさんの背中にくっついてる胸でかゴブリンも良くわかってないし……」
「メー?」
「こいつはホブゴブリンのメイだ」
「ちなみに年齢はあたしがアメリよりちょっと上、メイは20オーバー、エルは18、アニーは25だよ」
「へ〜……えっ!?」

鼠っ子はラージマウス、胸でかゴブリンはホブゴブリンという種族らしいが……そんな事がどうでも良くなる発言を今された。

「アニスちゃんは……いやアニスさんは25……!?」
「うん。わたしにじゅうごさいだよ!おとなだよ!!」

アメリちゃんと同じかその前後だろうと思っていたら、私より8歳も年上だった。
見た目はアメリちゃんに似ているのに……年齢が3倍以上もあるとは……サキュバスの成長速度ってそんなに遅いのだろうか?そんな事無いと思うけどな……
なんて思ってたら……

「あー、アニスちゃんはアリスか」
「アリス……?何それ?」
「サキュバスの一種だ。特徴は、永遠に純粋な少女のまま成長するってとこだな」

どうやらアニスさんはアリスというサキュバスの亜種らしい。
永遠に少女のままか……純粋にってのが気になるが、それはまた後でアメリちゃんに聞いてみよう。

「そういや……ニータだったか?なんでお前サマリが元人間だって知ってるんだ?」
「あ、そういえば……たしかアルテアさんには言ってなかったと思うけど……」
「俺は初耳だな。昨日そんな事聞いた覚えがない」
『私の会話ログには存在していませんので喋っては無いかと』

アリスがどんな魔物かは後回しにして……たしかにユウロが言う通り、何故か言ってないのにもかかわらず私が元人間だと言ってきたニータ。

「あたしの情報網は広いからね。アメリという名の小さなリリムが姉妹を探して旅してるって聞いた事があったの。最新情報だとそのリリムと一緒に旅をしているのは元人間のワーシープ、元勇者の男、商売人の人間女性、エンジェルの5人。人間女性は姿が見えないけど、残りは当てはまるからそうだと思ったってわけ。こんな特徴的な組み合わせの旅人はそういないからもしやとは思ってたけど、アメリの名前を聞いて確信を得たってとこかな」
「おお!だいたいあってる!!」
「あとは、一時期大人しいウシオニやジパングの侍なんてのも居たでしょ?多分他にもいたと思うけどそこまでは知らないや」
「当たりだな……結構知れ渡ってたりするんだな……」
「まあね。小さなリリムが旅してるってのがそもそも珍しいうえにメンバーも特徴あるからね。あんた達ちょっと目立つもん」

どうやら独自の情報網で私達の情報を得ていたらしい。
しかも言われた情報はカリンだと思われる人物を人間女性と言っている事以外は正しかった。
恐るべしラージマウス。

「そっか、サマリ達は旅してるんだ。ねえ旅の話聞かせてくれない?」
「わしも気になるのじゃ。教えてくれぬかの?」
『私からもぜひお願いします。相談の約束までまだ時間がありますし、何かの学習になるかもしれません』
「はい、良いですよ!ではどこから行きましょうか……」

そのままどんな旅をしているのかという話題になったので、私達は今までの旅の話をし始めたのだった……



=======[アメリ視点]=======



「そうですか……シェリアさんは教団でそんな事が……」
「ええ。ですが今はこの街で元気に働いてます。まだ全員見つかったわけでは無いですが……」
「きっと……きっと無事に生きてると思います。男がいたら今の魔物がお持ち帰りしないとは思えませんからね」
「……はい……」

ギルドに来てからけっこう時間が経ったけど、シェリアお姉ちゃんとセレンお姉ちゃんはまだ二人でお話していた。

「セレンも大変ですね……魔物になったからと、想い人に刺されてしまうとは……」
「まあ……そこは仕方がありませんからね。立場が逆でも多分同じ事をしていたと思いますから……」
「そうですね……はぁ……どうして教団って主様のお声を聞いて動いているはずなのに時々暴走してしまうのでしょうね……」
「ホントですよね……はぁ……」

お話の内容はなんだか重そうだったからアメリはあまり聞いてなかった。
時々大きなためいきを吐きだすお姉ちゃん達……お話にまざるのはムリそうだ。

「昨日サリアさんに聞いたのですけど、アルテアさんは沢山ピンチを乗り越えてきたそうですね」
「まあな……丸太のような腕でぶっ飛ばされそうになったり沢山の兵に囲まれたり水晶の塊にすり潰されかけたり変形ロボットみたいな城を一撃で破壊したり最近だと数千フィートを切り裂く魔力球を自分で飛んで投げ飛ばしたりしてたからな……」
「猛毒の針に刺されたりもしてたりね……ホント、アルは危なっかしい事ばかりするんだもんなぁ……」
「使命があるとはいえボロボロになるお前を見たくはないのだがな」
「あたしも出来ればアルには大人しくしてもらいたいんだけどね。事の重大さがあるから強くは言えないけどさ……」
『毎回心配する側の身にもなってほしいですよまったく』
「というか今さり気なく自慢入りましたよね。お城を一撃で破壊ってなんですか?」
「くそ、この場に味方はユウロしか居ないのかよ……」

サマリお姉ちゃんとユウロお兄ちゃんはアルテアお兄ちゃんたちとお話をしていた。
アメリたちの旅のお話が終わった後、今度はアルテアお兄ちゃんたちのお話を聞きたいと言ってずっとお話をしていた。

「ま、まあ質問に答えるとして、こいつにはトンデモ兵器が沢山搭載されてるって事だ」
「ラプラスって凄いんだな……」
『正確には鵺に搭載されているのですが、褒められるというのは嬉しいですね』

なおエルファお姉ちゃんの姿はここにはなかった。
なぜなら、さっきエルファお姉ちゃんが開いているサバトの魔女さんがエルファお姉ちゃんを引きずってギルドを出て行ったからだ。
なんでもおしごとがいっぱいあるそうだ……目をうるうるさせながらひっぱられていくエルファお姉ちゃんは少しかわいそうだった。

「なあチャル、そういえばフィーはどうしたんだ?最近見掛けない気がするんだが」
「フィーさんは遠い場所まで修行がてら歩いてクエストに向かうって数日前に言ってたから……あと2日もあれば帰ってくるんじゃないかな」
「またタイミングが悪い事で……」
「フィー……さん?先程も名前出てましたが……」
「ああ。ここの冒険者でリザードマンのフェルシアってのが居るんだが、最近見ないなと思ってな」
「へぇ……そんな人も居るんですか……」

それと、アルテアお兄ちゃんのお話の中で何回か名前が出ていたフェルシアお姉ちゃん……お話を聞くかぎりだととても楽しそうな人だからぜひ会ってみたかった。
なんでもかなり強いリザードマンらしい。ユウロお兄ちゃんより強いのかな?

「そういえばラプラス、お前今日誰かの相談を受ける約束してなかったか?」
『そのはずですが、現れませんね。おそらく急用でも入ったのかと』
「マジか。それなら何か依頼でも受けておけばよかったな」
「まあいいじゃん。アルもたまには休まないと」
「そうだぞ。お前が過労で倒れると私達も辛いのだ」
「ニータ、ミスト……それにチャルとメイもだが、お前達、俺を疲弊させるまで搾った事あるよな?」
『……』
「皆さん……目を逸らしてるって事はそんな事したんですね……」
「サマリはわからないのか!?魔物ならわかってくれるだろ!?」
「魔物ですが今のところわかりません」
「それはもったいないなぁ……ユウロ襲っちゃえば?」
「待って下さい!どうして人を巻き込むのですか!!」
「アルは譲れないからね」
「そういう問題では無いと思いますが……」

ちなみにアメリはお姉ちゃんたちのお話にはまざってない。

「二人くっついちゃえばいいのに。お似合いだと思うけどな」
「え?いやいや本人にその気が無いのにそう言うのはどうかと思いますよ?」
「そうだぞお前ら。人には人の都合があるんだ。そうやって二人を困らせても仕方ないだろ」
『それマスター自身の事も言ってますね』
「わかってるけどさ〜。あれ?そういえばアニーは?」
「アニスさんならそこでアメリちゃんとお絵かきしてます」

そう、アメリはアニスお姉ちゃんとお絵かきしてたんだ。

「みてアメリちゃん!」
「……」

けど……お絵かきしているうちにちょっと自分がみじめに思えてきた。

「あれ?なにもいわないけどへただった?」
「え?ううん。むしろ上手すぎて何言っていいかわからなかった……」

だって……アメリはちょっとぐらい絵が上手だと思ってたけど……アニスお姉ちゃんはそれこそ美術かんなんかでかざってありそうなほど上手だったからだ。
アメリと同じくクレヨンしか使ってないのに……おもわずジッと見ちゃうほどきれいな絵だった。比べものになんてとてもじゃないけどできない。

「アニーはポスター制作の依頼が来るほど上手だからね」
「むぅ……すごすぎる……それでいっしょにお絵かきしようって言われてもアメリ困るだけだよ……」
「アメリも上手よ。アニー程じゃないけど」
「む〜……ミリアお姉ちゃんの親ばか……」

自分の娘をほめながらもアメリの絵を上手だと言ってくれたミリアお姉ちゃん……
上手だって言ってくれた事自体はうれしいけど……比べる相手が上手すぎて余計むなしくなっちゃうだけだった。
まあ……自分の子供であるアニスお姉ちゃんが1番なんだろうな……だんなさん以外では。

「アニスお姉ちゃん、お絵かきはやめにしようよ」
「そうだね。じゃあこれおいてくる!」

これ以上お絵かきしていたらアメリが余計むなしくなるだけだから、アニスお姉ちゃんにお絵かきやめようってたのんでみた。
そしたらやめてくれるようで、クレヨンとスケッチブックをしまって部屋のおくにとてとてと走ってしまいに行った。

「アニーと遊んでくれてありがとうねアメリ」
「どういたしまして!」

その様子をボーっと見ていたら、そう言いながら頭をなでてきたミリアお姉ちゃん。

「ところでミリアお姉ちゃん……」
「ん?何か用かしら?」
「……ううん。やっぱいいや。多分気のせいだと思うし」
「そう?ならいいけど……」

さっきからすごく気になっていることがあるけど……理由があるだろうし、なかなか言えないでいた。

「……あのさ、ミリアお姉ちゃ」
「おかあさ〜ん!!おとうさんがよんでるよ〜!!」
「はーい、すぐ行くわ!ゴメンねアメリ、お話はまた後でね」
「う、うん……」

それでもやっぱり聞いてみようとしたところで、戻ってきたアニスお姉ちゃんがだんなさんが呼んでいると言ったのでおくにいってしまった。

「むぅ……」
「どうしたのアメリちゃん?おかあさんがなにかしたの?」
「ううん。ちょっと気になったことがあっただけだよ。それよりお姉ちゃんたちのお話にまざろう!」
「そうだね!ニータちゃん、おにいちゃんのおひざからどいて。そこはわたしのとくとーせきだよ」
「やだよ。自分からどいたからいいでしょ?それにアルの膝の上はアニーの特等席じゃないから」

こうなってしまったら聞くことも出来ないので、アメリはアニスお姉ちゃんといっしょにお話にまざることにした。
でもアニスお姉ちゃんはお話にまざるとすぐにニータお姉ちゃんと火花を飛ばし始めてしまった。

「こらこら、喧嘩するな。さっきみたいに二人で半分ずつ座ってなさい」
「「は〜い……」」

困ったアルテアお兄ちゃんがそう言うと素直に火花を飛ばしあいながら半分ずつアルテアお兄ちゃんのひざの上に座ったお姉ちゃんたち。
同じ人を好きになると大変だな……アメリはまだよくわからないけど、好きなものを一人占めしたくなるのはわからないでもない。

「もうお絵描きはいいのか?」
「アメリちゃんがやめようっていったからもうやめた」
「だって〜……」
「まあアニスちゃんの画力は俺なんかじゃ手も足も出ないぐらいだからな……」

アメリは近くの机からイスを引っぱってきて、サマリお姉ちゃんとチャルニお姉ちゃんの間に座った。

「それでユウロ、お前的にサマリはどうなんだ?」
「へ?」
「君から見てサマリは可愛いと思うのかって事」
「ああ……まあ可愛いほうなんじゃないですかね。料理だけでなく家事全般出来て大助かりですよ」
「そういう事じゃなくてだな……まあいい。鈍感男は苦労するぞサマリ」
「え、いや、別に私もそういうつもりじゃ……」

仲良くなったのか、問題なくお話の輪に入りこんでいるお姉ちゃんたち。
今はユウロお兄ちゃんとサマリお姉ちゃんの話題のようだ。

「本当に?本当にユウロに興味無いの?」
「まあ……旅の仲間ですよ。ユウロだってトラウマで恋人を作らないようにしてますし、私がユウロの想いを無碍にするわけにもいきませんし……」
「ふ〜ん……」
「二人とも鈍感なんだねアメリちゃん……」
「そうなの……だからってどく流したりしないでねチャルニお姉ちゃん……」
「大丈夫。二人に刺すぐらいならアルに注入するから」


他のお姉ちゃんたちが言ってるように、本当に二人ともどんかんだと思う。
アメリの見た感じだとユウロお兄ちゃんのほうはびみょうだけど、サマリお姉ちゃんはぜったいユウロお兄ちゃんのこと好きだと思う。
でも、何の理由があってかはわからないけど、サマリお姉ちゃんは自分のその気持ちに気付いてないみたいだ。
ちょっともどかしいけれど……気付かないなら気付かないでいいやって思う。
だって、もし二人ともラブラブになったら……

「そういえばアニスちゃんとアメリってどこか似てる気がするな」
『たしかに少し似ていますね。顔全体の10%程度はほぼ一致しているかと』
「あーそれ私も少し思ってました。同じサキュバス属で子供だからですかね?」
「んーそうかな?」
「結構似てると思うよ。二人並んで立ってみてよ」
「うん」

ちょっと考えごとをしていたら、アメリとアニスお姉ちゃんがちょっとだけ似てるって話になった。

「どう?」
「うん。やっぱり似てるな」
「ミストもそう思うか。ニータはどうだ?」
「あたしもそっくりとまではいかないけど雰囲気が似てると思う」
「そうなのかなあ?」

言われたとおり並んで立ってみた。
アメリもちょっとだけ思ったけど、やっぱり皆もそう思うようだ。

「あら?二人で皆の前に立って何してるの?」
「あ、おかあさん。おとうさんのようじおわったの?」
「ええ。ギルドの資料が家庭用の郵便の中に混ざってたらしくてそれを取りに行っただけだしね」

皆が思い思いに感想を言っているうちに、ミリアお姉ちゃんが戻ってきた。

「わたしとアメリちゃんがちょっとにてるっておはなしをしてたの!」
「え……まあちょっとだけ似てなくもないわね。アリスと子供リリムだからってのが大半だと思うけど」
「うーん……それだけなのかな?」
「私は結構顔の雰囲気も似ていると思うのだがな……」

たしかに、見た目はアメリもアニスお姉ちゃんも子供だから似てるのかもしれないけど……それだけじゃないと思うけどな……

「ふぅ……お待たせしました。お話終わりましたよ」
「あ、セレンちゃん。満足した?」
「ええ。とても良い対談でした。愚痴やら何やらまで全部吐き出してしまいました」
「ずいぶんすっきりした顔になってるな……」
『シェリア様もですね。なんだか健やかな笑顔を浮かべています』

そうやって皆が頭にハテナマークを浮かべていたら、ずっと重そうなお話をしていたセレンお姉ちゃんが戻ってきた。
どうやらお話が終わったらしく、シェリアお姉ちゃんもプリシラお姉ちゃんと受付に戻ったようだ。

「それじゃあそろそろここを出るか?時間的にも丁度お昼前だしさ」
「そうだね。長居しちゃったけど他にもこの街を観光したいしね」
「あ、もう行っちゃうんだ」
「はい。この街もまだまだいろいろと観て回りたいので。後でエルファさんの魔術師ギルドにも寄ってみようかなと」
「それも良いかもな」

ここに来た理由はセレンお姉ちゃんがシェリアお姉ちゃんと会ってお話がしたかったからだから、その用が済んだからもう出発するのだろう。
たしかにアメリもおなか空いたし、早くお昼ごはんを食べたいと思えてきた。

「もうおわかれ?」
「そうだね。でもまた会おうね!」
「うん!」

少しさみしそうなアニスお姉ちゃん……アメリもそれは同じだ。
でも……お別れはさみしいけれど、また近くを通ることがあったら会いに来ればいいだけだ。
だからまた会おうと言ってお別れだ!

「それじゃあねアニスお姉ちゃん。また遊びに来るから〜!!」
「そうよアメリ。また好きな時に遊びに来なさい」
「むにゅっ」
「アニーと遊んでくれてありがとうね」

アニスお姉ちゃんとお別れしているうちにサマリお姉ちゃんたちは皆ギルドから出て行った。
だからアメリもそのままギルドの外に向かおうとしたら、ミリアお姉ちゃんに後ろからだきつかれた。

「……やっぱり……」
「ん?どうしたのアメリ?」

ミリアお姉ちゃんにだきつかれ……アメリのぎもんはやっぱり当たってたってわかった。

「ミリアお姉ちゃん……あまりお話は出来なかったけど、お姉ちゃんに会えてアメリうれしかったよ」
「え?」
「お姉ちゃん、アメリのお姉ちゃんでしょ?なんでかくしてるかわからないけどそうだよね?」
「……」

ミリアお姉ちゃんはアメリのお姉ちゃん……リリムだってわかった。

「……なんでわかったの?」
「なんとなく。ずっとそんな気がしてたけど、今みたいにピタッとくっついたらわかった」
「勘……ね。姉妹だとわかるものかしらね……」

魔力なんかは全然リリムっぽくないし、多分魔力のロメリアお姉ちゃんとちがって自分でかくしてるんじゃなくて、他の魔物の手でふうじられてるから気付きにくかったけど……アメリと似た魔力だからそうじゃないかと思った。
でもそれだけじゃなくて、なんとなくミリアお姉ちゃんが『あたたかかった』から、お姉ちゃんだってわかった。

「他に人には言わないでね」
「うん。お姉ちゃんにも理由もあると思うしだれにも言わないよ」
「そういう事。ありがとうね」

なんで秘密にしているのかはわからないけど、アメリにも秘密にしてたし、アルテアお兄ちゃんたちも知らない。
ここまで他の人に言わない程だからどうしてもナイショにしておきたいのだろう……だからアメリはミリアお姉ちゃんにしか聞こえない声でお話していた。

「あれ?アメリちゃ―ん?行くよ〜」
「あ、サマリお姉ちゃんが呼んでる。行かなきゃ。じゃあねミリアお姉ちゃん。今度会った時はもっとたくさんお話しようね!」
「ええ。その時は一緒にご飯でも食べましょ。他の姉妹達の話も聞かせてね」
「うん!」

もっとお話していたかったけど、サマリお姉ちゃんに呼ばれたので行くことにした。
またいっしょにごはんを食べる約束をして、アメリはギルドを飛び出した。



「遅かったねアメリちゃん。どうしたの?」
「別に〜。ちょっとお別れのあいさつが長くなっちゃっただけだよ」
「珍しい事もあるのですね。アメリなら何よりもご飯を優先すると思ってたのに……」
「む……たしかにおなか空いたけど、別にアメリくいしんぼうじゃないもん……」

皆と合流して、モイライの街を歩く。

「とりあえずお昼ご飯を食べて、次どこに行く?」
「そうだな……中央広場に行って、図書館で少し本を読んでから大鐘楼に向かってみないか?」
「それいいですね。シェリアさんに聞きましたが夕方はとてもきれいな景色が見られるとか」
「あーさっきチャルニさんも言ってたね。そうだね、そうしようか!」

自分の種族をかくしているお姉ちゃんとの出会いをむねにしまいながら、アメリは皆と街をたんのうしたのであった。
13/04/21 21:44更新 / マイクロミー
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■作者メッセージ
長らくお待たせしました。
今回はテラーさんの作品『極めて近く限りなく遠い世界』シリーズとのコラボでした!
この作品はある使命を受けて図鑑世界にやってきた青年アルテアと一癖二癖もある仲間達との冒険&バトル&エロストーリーとなっています。
序盤〜中盤にかけては人魔ともに殺傷描写がある為苦手な人もいるとは思いますが、それを超える迫力あるアクションシーンや日常でのラプラスやその他に弄られるアルテアなど、興奮あり笑いありの作品ですので未読の方はぜひ読んでみて下さい。
テラーさん、おかしな点や納得いかない点がございましたらズバッと言って下さい。

さて、今回はコラボ回で姉に会ったわけですが、次回もコラボ回となります!
次回はバーソロミュさんの作品『あなたがほしい』とのコラボです!
たまたま立ち寄った街で、アメリは男の子と歩いている見た事のある姉を見つけ……の予定。

あ、久々に本編部分であのセから始まるセレンの想い人も登場予定です。

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