連載小説
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後編
…どぽんっ!
粘性の高い音が樹の内部に響いた。
「んぶ…っぶは!!」
思っていた以上に粘性が高く重い樹液の中で溺れそうになりながら、やっとの事で水面から顔を出し息を吸い込む。同時に今までとは比較にならない程濃厚な甘い香りが空気と共に進入し、脳を犯した。手足から力が抜けてゆく…。
窪みの深さは思っていた以上にあり、真っ直ぐに立った状態でも少年の胸あたりまでは樹液の中に沈んでしまうだろう。力の入らない手足でゆっくりと黄金の液体を掻き分けながら岸を目指した。しかし、先程飲んでしまったドリンクの効果により敏感になった肌がそれを邪魔する。
粘性の高いそれは少年が身体を動かす度にズルズルぬるぬるとまとわりつき、さらに上からの透き通った見た目に反してその内部には数多くの固さの違うダマが泳いでいることも手伝って、まるで無数の舌に全身を舐め回されているような感触を与えて来るのだ。
それだけではない。…そもそも彼が身体を沈めているこの粘液は今、触覚の異常をもたらしているあの飲み物の原液なのである。まだ直接飲み込んではいないとはいえ、当然その成分は皮膚からでも多少は浸透してゆく。つまりこの樹液の中にいる限り常に肌の感覚は敏感に開発されてゆくのだ。
その事に気づいた少年は懸命に岸を目指す。が、身体を襲う奇妙な快楽を伴ったくすぐったさに歩みを進める毎に脱力させられ、実際は最初に投げ込まれた位置から1メートルも進んでいない。たとえ動かずにじっとしていたところで天井より注がれ窪みの縁より下の階層へと流れ落ち続ける樹液により、窪みに溜まった粘液はゆっくりと流動しており少年の身体を責め苛む。
不意にやや大きめの…スイカ程の大きさのダマが前方より流れてきた。それは少年の下腹部にぶつかりそのまま形を変えながら股の間を流れてゆこうとする。しかし全身を舐め回す粘液刺激によってすっかり硬くなってしまった股の間の物が行く手を阻んだ。結果…
むにゅり…と性器全体がそのダマに包み込まれてしまった。そのままにゅるにゅると股間を舐めながらダマは後方へ流れていこうとする。周囲の粘液よりも更に粘性の高いダマの内部を泳がされた少年の初心な突起は堪らず白旗を上げた。
「あ…、あふぅ…、」
「あ、イった。」
岸から少年の奮闘を観察していたドリアードが呟く。少年が吐き出した白濁を内部に取り込んだダマは満足したかのように彼を解放すると、そのまま流れに乗って後方へと流れていった。
「つい勢いで手を貸してしまいましたけどー、何をしているんですか?」
「このプールにはね、中に入った人間から自動で精を搾る仕掛けがあるの…。
…さぁて、ここへ辿り着くまでにあと何回漏らすかしら?」
「何て勿体無いことを!!」
「大丈夫よ。この中で搾られた精液は樹液と一緒に下へ流れ落ちてこの樹の栄養になるの。つまり廻り廻って私の力になるわ!」
「わたしの分はーッ!!?」
「あそこまで行ってもらってくれば?」
「○○さーん!!すぐに行きますからねー!!なるべく我慢しててくださぁーい!」
「…無理だと思うけれど。」
ドリアードの呟きを無視して上半身に着ていた服を脱ぎ去ると迷わず樹液溜まりの中へ飛び込んだ。
(…っていうか、普通に飛び込んでいったわねあの子…少しは躊躇するかと思ったのに。)
「ぅひゃあああぁぁあ!?何か纏わりついて来ます〜!!」
(ほら言わんこっちゃない…)
…しかしそこはさすが元、貝。水生生物である(ほんとは陸生だが…)。下半身の軟体を波打たせ少年と比べれば遥かに速いスピードで泳いで(?)ゆく。そして、やがて少年のもとへ辿り着いた。が…
「ぁ…、ひぁ…ひぃ、だめぇ、またぁ…、ぁ、ぁ…ひぃああああぁぁっ!!」
少年の目の前でもう何度目か分からない絶頂を迎える。その顔は涙と涎と樹液にまみれ、泣き笑いのような様相となっていた。素早く動いた分、樹液の流動による刺激をもろに食らってしまったようである。
(あ…アホなの…?)
…この樹液を用いた特殊なプールはなかなか男を捕まえられず、暇を持て余した彼女が長年かけて作り上げたものである。その威力は自分の身体を使って幾度となく試してきた。一度プールの中央近く…今少年がいる辺り…に飛び込んだ時など、岸に辿り着く前に力尽きて気絶し、気が付けば下層の樹液だまり…こことは比べ物にならないほど深い上に樹液自体も濃縮されている…の底に沈んでいた程である。
…あのときは危なかった、今でもよく気が狂わなかったものだと不思議に思う。何しろ樹の中を循環している樹液の最も濃い部分に全身が浸かりさらにその粘液は樹に吸収される流れにより渦を巻いているのだ。気絶している間にすっかり全身に染み込んでしまった樹液の成分により感度が跳ね上がった肌を流動する粘液に舐めしゃぶられ、半狂乱になりながら材の中を移動して上層へと帰ってきたのだ。
それ以来下層へ人が落ちないようにプールの反対側には柵を設けたが、仮に下層へ人を突き落としたならばたとえそれが勇者であろうと廃人に出来る自信があった。
…日がな一日中こんなものを作っているから夫が出来ないのだ…などと言われそうだが、そもそもこんな旅人も通らないような森の中に生えてきてしまった事が不幸なのである。
…話を戻そう。
そんなこんなで作り上げた彼女の自信作だが、遂に自分以外の者に試す時が来たのだ。しかも彼女の好みのど真ん中どストライクの可愛い男の子である。残念ながら恋人連れであるが…
彼がこの中でどの様に悶えてくれるのか、わくわくしながら岸から見守っていた。
11/12/31 19:37更新 / ラッペル
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■作者メッセージ
惜しかったのですが1つに出来ませんでしたorz

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