全く酷い目に合ったぜ。ネンスには悪いがもうあそこに居られるか！！　いたらきっと逆レイプされる・・・

いや、もしかしてそれってオイシイ事なのか？　考えて見りゃあんなに可愛い子達が犯してくれるんだ。男冥利に尽きるってもんだけど・・・いやいや、ダメだ。ネンスが見ている前でそんな事出来る筈も無い。いや、したくないな、うん。

さて、今度はセピアとクルルのどっちに行こうかな。確かセピアは土木科で、クルルは魔法技術科だったな。ん〜、ここから近いのは・・・土木科だな。よし、セピアの所に行こう。

「ちょっとそこの不審人物、この学園で何をしているの！！」

俺がそんな事を考えていたら女教師がそれはもう心外な事を言って近寄ってきた。

なんと失礼な！！　きっちりスーツも着て来たし、ネクタイもしてる。・・・まぁアイロンかけてないからヨレヨレだけど。

それに髭も剃ったし、髪もビシッとキメて来たし、文句言われる筋合いは一ミリも無い。

でもまぁ・・・やっぱり女子トイレの前で・・・もとい、女子トイレ前の掃除用具入れの前でボーっと突っ立ってたらそりゃ不審にも思うよな。

よし、キッチリ誤解を解かないと。

「ああ、俺・・いや私妹の参観に来ました兄・・・で・・・」

「え？　貴方は・・・」

「お前は・・・」

「鬼会長！？」

「性悪不良！？」

なんてこった。こんな場所で、こんな時に俺の天敵とも言えた奴、鬼会長ことアヌビスのサリア・ハシェムに会うとは。

サリアには一年の頃から、というかそれこそ中等部の頃から目をつけられていて何かとよく言い争いになったんだよな。

まぁあの頃はあのクソジジイの事で荒れてたからな。素行も悪かったし、何よりサリアのイイ人、アレンに悪知恵吹き込んでるのがバレてとまぁ・・・色々私怨を買ってたって事もあってとにかく俺を目の敵にして追い回して来る厄介な奴だったんだよなぁ〜。嫌な奴に会っちまった。

「貴方、何しに来たの？　まさか三年前の恨みを返しに来たんじゃないでしょうね？　というか女子トイレの前でいるって事は・・・まさか貴方ホントにそんな趣味でもあったの！？　この盗撮魔！！」

「そんなわけないだろ！？　なんて事言いやがる！！　そもそもお前、なんでここにいるんだよ。っていうか俺達卒業してからまだ三年しか経ってないのにどうやったら教師とか出来るんだよ。資格あるのか！？　つーかお前アレンと一緒に大学に進級したろうが！！　なんでここにいるんだよ！！」

俺達の住む親魔物国家・フリグニア王国は国王様が教育に力を入れているため、教師になろうとすると王立大学で5年の教職課程を修めて教職員登録しないと教師として認められないのだ。

つまりコイツはまだ2年は大学で勉強している学生のはずなのだ。

「教育実習よ！！　私達3回生は皆何ヶ月かの現地実習があるの！！　私は母校でそれをしてる。分かった！？」

「お・・おぅ・・・」

「貴方の所為で生徒達の集中が乱れたわ。どうしてくれるのよ！！」

「知るか。ってか俺だけかよ！？　お前も悪いだろ！？　いきなり変質者扱いするわあらぬ疑いかけるわ、心外だ。謝罪を要求する！！」

「変質者は本当でしょう！？　アレンに女子トイレを覗き見しようって誘ったり、女子更衣室に潜入させたりさせたくせに！！　あれでアレンがどれだけ怒られたと思ってるの！？　私、あの恨みは忘れた事なんか一度もないんだから！！　それに貴方が私に大声出させてるのよ？　それを何？　謝罪を要求？　貴方何様なわけ？」

・・・俺ホントに嫌われてるな〜。

まぁ・・・そうか。そうだな。

アレンってのはあの頃の、荒れまくってた時期の俺に誰もがビビッて近寄って来なかった中、ただ一人・・・いや、キールを入れたら二人だな。

とにかく、そんな荒れてる時の俺に平然と接してきて、どんなに脅しても何してもニコニコして接して来た奴だった。ついでに言えば、サリアの想い人だったってわけだ。

あの頃はサリアがアレンに『ホの字』だなんて知らなかったもんだから、サリアの前でアレンをイジリまくってたわけだ。

うん、そりゃあ根に持たれても仕方ないわな。

俺に対するサリアの評価は甚だ不服ではあるものの・・・まぁ自分が好きな人が目の前でイジリ倒されてるのを見るのは気持ちの良いものでは無いし、まして不良の俺がイジメられっ子にしか見えないアレンをイジッてるとどう見ても虐めてるようにしか見えなかったんだろうしな。

よし、アレンに関しては俺に非があるのは確かだ。これ以上サリアと話してたらどっちもキレて大喧嘩になる・・・まぁもうなってるけどな。

とにかくここで一発ビシッと謝ってこの場は終わりにしよう。じゃなきゃ終わりのない罵り合いになっちまう。

それに実際、マジで純真無垢と言っていいアレンを唆して悪戯しまくったのは今思い出すとホントに悪かったと思ってるしさ。

「あー、まぁ・・・アレンには悪い事したと今更思ってる。すまんかった」

「・・・・・・・・・あのどうしようもない不良が謝るなんて・・え？・・・私夢でも見ているの？　こんなの想定外よ・・・」

サリアはどうも俺がこんなに簡単に誤ると思っていなかったらしい。

それはもう驚愕している。

いや、そこまで驚かんでも・・・

というかお前は種族レベルで驚かないでくれ、頼むから。

「・・・・・えっと、謝る事は謝ったし・・・さ。俺、もう行かせてもらう・・・な？」

想定外の事態が起こった時のアヌビスほど怖いものは無い。

相手がアヌビスの旦那なら何も怖い事は無い。単に犯されるだけだし。

でも旦那以外が予想外の行動を取ってアヌビスを混乱させたらどうなるか？

犯されるのだ。

いや、旦那と変わらないじゃないかって？　とんでもない。

正気に戻ったアヌビスになんて言い訳する？

『お前に襲われて抵抗出来ずに逆レイプされました』って素直に言うか？　冗談じゃない。

そんな事言っても許してもらえるはずが無い。『責任取れ』とか『よくも浮気させたな』とか言われるどころか旦那に告げ口されてみろ。それこそ一大事だ。

つーかこいつの旦那はアレンだ。

自分の友人に『すまん、色々あってお前の奥さんに犯された』とか言えるかよ！！　

ならどうするか？

三十六計逃げるに如かずだ！！

俺はとにかくダッシュして逃げて、学生時代に使っていた逃走経路を頭をフル回転させて思い出す。

クールになれ、俺。ここは逃走経路22番の近くだ。ならこの廊下を右に曲がった先の用務員室があって、そこの鍵は壊れてるからそこから窓の外に飛び出せば近くに木があるからそれにしがみついて降りれば後はどうにでもなる。よし、これを実行するんだ！！　俺！！

俺は廊下の角をぶつかるギリギリで曲がる。これ、うっかりミスすると顔面を紅葉下ろしする事になるから滅多にしないんだが、今は身の保身なんかより貞操の保身の方が優先だ！！

想定外の事態でトチ狂って発情したアヌビスはウルフ属の本来の身体能力をフル活用して襲ってくる。

俺みたいなただの人間は魔物の身体能力に敵うはず無いんだが、そこは機転と運と効率でなんとかするしかない。

次に用務員室にダッシュ。ドアを開けてる時間が惜しいからドアはブチ破る！！

そして窓を開ける時間も惜しいから窓ガラスをブチ抜いて外に飛び出る！！

後は木に飛びついて・・・・・・・・・・

え？　ここにあった木が・・・無い？

「嘘だろーーーーーーー！！」

ああ、なんて間抜け。

そもそも俺が在学中の逃走経路だ。

木が切られてるという予想が全く出来てなかった。

ははは、ヤバイ。もう受身とか取れねぇよ。

そりゃそうだ。頭から落ちてるんだし・・・

あ、地面が俺に近づいて・・ああいや、俺が地面に近づいてんのか・・・

グッシャアッ！！

俺は凄まじい衝撃と全身に感じる激痛とを感じながら、死ぬ前に妹達のおっぱい揉ましておいてもらうんだった、なんて下品な事を思って意識を失った。

■作者メッセージ
おお、勇者よ。死んでしまうとは情けない。

という事で、ローガン編完っ！！

そんなわけありませんのであしからず＾＾；