連載小説
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後編
「…………それはねーだろ、楓よ。」
担任の支倉走狗に、楓から「魔界に引っ越すので退学する」と退学届を受け取っていたことを聞かされ、職員室を出た和希はそんな風にひとりごちた。
生まれて初めての恋人は、自分が散々裏切った挙句どこか遠くに行ってしまいました。
「ネタになんねー。」
やれやれと首を振ってから、教室に戻ろうと歩き出す。
そこに男子が一人現れた、確か隣のクラスの友崎という男だ。
「あの、市尾さんどうか俺と付き合って」
「他当たれ。」
相手が最後まで言い終えるより前に、和希はその隣をすり抜けて教室に向かう。
これで告白してきたのは八人目、勿論今までの男も含めてすべて振っている。
市尾和喜からの決別はしたつもりだし、女として生きる一定の覚悟もできたがまだ誰か男と付き合う気になれなかった、女体化数日で散々セクハラ地獄につき合わされたことも原因に上がるだろう。
レイプされたこともあって、男子からの注目率はかなり高かった。
「ちょっちょっちょっ! 要件も聞かずに振るってなんだよ!!」
「どうせ告白だろ、俺は好きになった奴としか付き合わないの。」
楓の時も最初は友達からだった、いつしか好き合っていたからこそ男女として付き合い出した、最初から何も知らない相手と彼氏彼女関係など和希には考えづらい行動だった。
「いやいやいやいや、けど何も知らない男に股開いて……」
その瞬間、友崎の顔面に和希の上履きがめり込んでいた。
股を開いたのではなくこじ開けられたことも理由にあるし、最近になって和希のことをビッチ扱いする男子がいくらかいるのも事実だった。
楓がやったと言わず、つまり「男子に犯されておきながらその男子を庇った」と考えられ、どこの誰が言いだしたのかもわからないが「市尾和希は誰にでも股を開く女」という噂が一部の男子の間で広がっていた。
勿論そんなことはないので心外極まりないが、一度流れた噂は厄介なもので鎮静するまでは手の出しようがない、下手に否定しても逆に煽るだけ。
「カズ姉、何してんだ?」
そんな和希の姿を見て、通りすがりの幸喜が寄ってきた、教師に何を頼まれたのか重そうな機材を片手で担いでいる、その幸喜を見て和希に詰め寄ろうとしていた友崎が黙る。
「ナンパされてた。」
そう言って幸喜の隣を通り過ぎる。幸喜は何か言いたげな顔をしたが、すぐに用事を思い出したらしく機材を職員室まで運んで行った。


和希がクラスの女子数人と遊んでから帰宅すると、既に幸喜は帰っていた。
帰宅部だし、友人と遊んでから帰るという連絡もなかったから当たり前だとはいえ、なぜか和希はその事実に安心を覚えていた。
ここは、変わった自分も受け入れてくれるという安心だろう。
今日も夕食の支度を既に始めているようで、リビングからはいいにおいが漂ってくる。
「ただいま、幸喜。」
「お帰りカズ姉、帰ったばっかで悪いけど飯の用意手伝ってくれないかな、そこのダイコンおろしてくれると助かる。」
テーブルの上には上から大根、おろし金、皿と綺麗におかれたセットがある。
キッチンで油で揚げる音がしていることを考慮に入れるとどうやら今晩は天ぷらのようだ。
「わかった」とだけ答えて大根を下ろそうとしたところで、和希はテーブルの上に乗った白い封筒に気付いた。ご丁寧にハートのシールで封がされている。
「……おい幸喜、これって……」
「ああ、なんかラブレター貰った、相手のこと良く知らないから振ったけど。」
「…………そうかよ。」
何か。心の隅に引っかかるようなものを感じた。
気にしないようにしてゴリゴリと大根をおろし始める。
いくら振ったとは言っても相手が魔物だったら拒否するのは並大抵の努力では済まないだろう。強引に伴侶にしようとする行為は(あまりにそういったことで頭を抱える人間女性が多くなったせいもあって改正された)刑法で裁かれるとはいえ被害は後を絶たない。
そもそも幸喜は女子からそこそこの人気があるくせに無防備が過ぎるのだ、最近女子として女子と一緒に行動しているとたまに弟を紹介してほしいと言われることもある。
だというのに当たり前に生活して、魔物に襲われる危険を考えてもいないようだ。
「他になんか手伝うことは?」
大根を下ろし終えると、今度はそう尋ねた。
幸喜は首を振って「ない」と答えながらカボチャを揚げている。
幸喜は家庭的な男だ、仕事が忙しい両親の代わりに家事の全般をこなしている(その理由には和喜がダメすぎたこともある)炊事は和希も足を引っ張らない範囲で手伝うが他はすべて幸喜に頼り切っていた。
たとえば、洗濯も。
そんな風に思って、和希はとある事実に思い至った、同性の兄弟だった時にはあまり意識もしていなかったことだし、今までもそれと同じ感覚でこなしていた、とても重大なこと。
「ふと思ったんだけどよ、幸喜」
「何? ふざけたこと口にしたらカズ姉のエビ天だけ倍の時間揚げるよ。」
「いや割と真剣な話なんだけどよ。お前もしかして、俺の下着洗ってるか?」
カラン
幸喜の手に持っていた菜箸が床に落ちる音がした。
幸喜はゆっくりとそれを拾い、流し場に持って行って水洗いしてから丁寧に拭き、
「テメェ! 意識しないようにしてたんだぞバカズ姉!! 今日からお前自分で下着洗えよ! 絶対に手は貸さないからな!!」
箸を突きつけながらそう怒鳴った、顔が若干赤くなっている。
「家族の下着だろうが! 母さんの下着でムラムラするのかこの変態!!」
「するわけ、ねぇだろぉおおおおおおおおお!!!」
「じゃあ我慢できるだろ、俺の下着なんぞよぉ!」
「簡単じゃないから怒ってるんだよ、身内にいきなりこんな美少女が現れてみろ!!」
美少女の言葉に和希は一瞬だけ顔を赤らめ、しかしすぐに元に戻して、
「美少女と身内だってことは関係ねーだろ!! つーか………」
和希が顔をしかめて言いよどむ。焦げたにおいが、幸喜の後ろの鍋からする。
さっき揚げはじめたカボチャの天ぷらが、焦げていく様子が目に見えるようだ。
「幸喜!! 揚げ物!!」
和希の声に反応して幸喜が油の中からカボチャ天を救助したが、
「あーあーあー……」「こりゃくえねーわ。」
狐色とか黄金色とか、そんな風に言うにはあまりにも黒すぎる色になり果てていた。
「カボチャ全滅、バカズ姉のせいだぞ?」
「揚げてるの忘れたのはおまえだろーが、お前のせいだよ! 俺は一切関与してない!」
「こんな時に下着がどーの言いだしたのはカズ姉じゃねーか。」
そんなつまらない言い争いが始まるのを見計らったように、両親が帰ってきた。
「あらあら、カズちゃんも幸君も姉弟仲いいわね。」
「カズちゃん言うな気色悪い!!!」
最近呼ばれ出したその母親からのあだ名に、猛烈な拒否反応を示すのもまた和希の日課になっていた。彼女の生活は男の頃と大分変っているのだ。
しかしそれでもまだ、和希の心は確かに男の部分が強く残っていた。
このころは、まだ。


「ん………ふぅ…っ! はぁ……いい……」
家族も寝静まった深夜零時過ぎの和希の部屋、そこで部屋の主は服も着ず、ベッドの上で器具を使った自慰にふけっていた。
じゅぷじゅぷと水音をたてて和希の膣奥までバイブが侵入し、緩やかに引き抜かれていく。
その一瞬ごとに和希は小さく体を震わせ、快感に酔う。
膣内の刺激だけでは足りず、和希は自分の胸を優しく弄ってもいた、毎日のように自慰に及んでいるせいか、徐々に快感に対して貪欲さを増している自分に和希も気づいていた。
子宮口に突き当たるほど奥までねじ込み、解すようにぐりぐりと嬲る。
「うん………ぅ……あん………」
和希本人も気づいていないが、自慰に耽っているときの彼女は実に女性的な声と口調になっていた、無意識に「女性である自分」を自慰の間強く受け入れているのだろう。
ぐちゅ……ぬちゅ……ぐりぐり、きゅぅうう
「はぁ……んぁあッ くぅん! ひぅううううううううううううっ!!」
ぷちゅぅうううううううううううううっ
全身を痙攣させ、潮をまき散らしながら絶頂に至る。そのあとはしばらく絶頂の余韻を楽しんでから、服を着なおして寝るのが和希の習慣だった。
しかし、
「カズ姉、邪魔するよ。」
余韻に浸っている間に、幸喜がドアを開けて和希の部屋に入ってきた。
「うぉわっ!!」
慌ててシーツを引っ掴み、体に纏うようにして身を隠す。ベッドの端まではい進み、出来るだけ幸喜と距離を取ってから、
「いきなり入ってくるんじゃねーよ何考えてんだ愚弟!!」
上ずった声で怒鳴りつけた、しかし幸喜はそれに怯むどころか神妙な顔をして、和希に近づく。和希の淫臭残る部屋を歩いているからなのか、ズボン越しからでもわかるほど肉棒が固くそそり立っている。
「カズ姉、頼みがあるんだ。」
「聞くか馬鹿! さっさと部屋から………」
「俺のこと好きになってくれないか? 俺に抱かれて、俺の恋人になってくれないか?」
「っ……………は!!?」
言っていることを理解するまでに数秒かかり、そして言っていることを理解して更に信じられず素っ頓狂な声を上げるまでにまた三秒。それが弟の告白への返事だった。
「いやか?」
「そう言う問題じゃないだろお前、俺少し前までお前の兄だぞ! で今でも実の姉だぞ!」
「そんなのは関係ないんだよ好きになっちまったんだから!!」
本気の目で訴えられ、和希は一瞬怯んだ、それとともに股間に何故か熱い衝動が走るのも覚えていた、抱かれたいと反応してしまった。
(ありえない有り得ない、俺はこいつの姉なんだから。)
「それにさ………」
幸喜はおもむろにズボンを下着ごと脱いだ、二枚の布越しでもわかるほど大きくそそり立っていた肉棒は生で見ると和希の予想以上に大きく、欲望を如実に物語っている。
「こんなになってるんだ、抑えも効かない。」
そう言って、幸喜はベッドの上に乗ると和希の体を隠していたシーツを強引にはぎ取った。
さらに和希に覆いかぶさるように彼女を抑え込み、屹立を陰唇の入り口に触れさせた。
和希は抵抗しない、抵抗したいと思っているのに、体が言うことを聞かずそれどころか頭の中で「交わりたい、抱いてほしい」という考えがぐるぐるとめぐっていた。
(ダメだろ、だって俺たち家族だし、それに…………けど心臓止まらない、セックスしたい! でも俺は………こいつの姉貴で………だったら……)
ずぶぅうううううううううう  ごつん!
和希の中を様々な思考が駆け巡る隙をつき、幸喜は和希の膣内に肉棒をねじ込んだ。
「ふはぁああああああああああああっ!!?」
完全に意識の外からいきなり頭の中に飛び込んできた鮮烈な快感に、和希はみっともない悲鳴を上げて快感を受け入れた、体がビクビクと痙攣し膣が締め付け、
「ごめんカズ姉、もう出る!」
どぷっぷぶぶぶぶぶぶどびゅっ!
魔物の締め付けは童貞には耐えがたかったのだろうか、たまらず幸喜は和希の体内に大量の精液をぶちまけた。あまりにも早漏過ぎてお世辞の言いようもない体たらくだが、
「ふぅ゙ゔゔゔゔ―――――――――――――――――」
膣内を満たした白濁の刺激に、自慰で既にかなり敏感になっていた和希もイってしまう。
しかし幸喜は更に快感を求め、がむしゃらに腰を振り始めた。
ずぱん! ずぱん! ぢゅぱん! ぱんぱんぱんぱんぱん!
「あっあっあっあっ! ダメ、これだめぇ!!」
乱暴なピストンに、頭を振って喘ぐ、それが今の彼女に出来る最大の抵抗だった。
(俺……わたしぃ、弟に、弟にレイプされてるのに………キモチイイ、気持ち良いよぉ………おれぇ……おかしくなる、おかしくされちゃうぅ………!)
ぱんっぱんっぱんっぱんっパン!
肌と肌のぶつかりあう音が部屋中に響き意味をなさない和希の喘ぎも同じペースで続く。
更に幸喜は和希の小ぶりな胸に顔を近づけ、乳首を軽く噛んだ。
「くぅうううううううん!?」
いきなりの刺激にくぐもった悲鳴を上げ、和希はまた絶頂する。
「カズ姉、いい匂いがする。」
「ひぅうううううううううぅうううぅ!?」
肌に鼻を押し付け、匂いを嗅がれるだけでもくすぐったいようなもどかしい刺激を感じる。
皮膚のすべてが性感帯になったかのような、そんな快感を覚えていた。
「可愛いよ、カズ姉。すごく可愛い、もっと俺に恥ずかしい顔見せてよ。」
ずちゅっずっちゅっずっちゅずぷぐぷっ
腰のグラインドが、子供がブランコに加速をつけていくように徐々に大きくなり、それに合わせて幸喜の肉棒は徐々に和希の奥まで侵入していく。そして、「ずん!」という重い音が骨を伝い届いた瞬間、一際大きな快感の電流が脳に押し寄せた。
「うひィイ゙――――――――――――――――――ッ!!!」
ぷしっぷしゃああああああああ
子宮口に剛直を叩きつけられ、内臓まで犯されると錯覚するほどの重い快感に、和希はたまらず絶頂する。全身が酷く痙攣して、まるで壊れた人形のようだ。
にちゅぅ
(あ………子宮…こーきのチンポに…キスしてるぅ……中に出してってせがんでる……)
降りた子宮が奥につきこまれた幸喜のペニスに吸い付き、キスをするように射精を求めて蠕動する、我慢汁すら愛おしげに吸い上げ、内部で撹拌する。
「すげ……カズ姉の子宮キス…気持ちよすぎる。」
ぐりぐりと子宮口をこじ開けるように押し込みながら、幸喜は快感にうめき声を漏らす。
そのたび和希は意味不明な喘ぎ声をあげながら小さく絶頂し、既に大洪水の二人の股間を分泌した愛液でさらに激しく濡らす。
和希の顔もトロトロに崩れ、はしたなく涎と涙を流しながらほとんど完全にアヘっていた。
「カズ姉……そろそろ、出る! カズ姉の子宮に俺の精液ぶち込む!」
自らが犯しほとんど獣のようにまぐわった姉の痴態についに限界を迎えた幸喜は、姉の腰を抑え込み最奥に肉棒の先端を押し付けて射精の準備をする。
そして幸喜が歯を食いしばった瞬間、
どびゅるるるるるるるるるっっどっぶぅうううううううううううううううう
内部で爆発が起きたかと思うほど猛烈な勢いで幸喜の肉棒からありったけの欲望が放出される、ぴったりと密着した鈴口から子宮口を伝い、子宮の中までどぶどぶと音を立てて侵入する。
それどころか子宮の粘膜を通じて精子が全身に入り込んで細胞すべて犯しているような錯覚を感じるほど、生まれて初めて受ける膣内射精の刺激は強烈だった。
「でへる…れひゃってるぅ………弟ざーめんがお腹の中レイプしてるよぉ………」
恍惚とした口調で小刻みに絶頂しながら言う。
(女の子って………おんなのこって気持ちいー………)
一分ほどの長さで続いた射精が終わると、幸喜は体力が尽きたのか不意にかくんと崩れ落ちた、その拍子に和希の膣に突き刺さっていたペニスも抜け、中から精液が零れ落ちる。
「はぁ……はぁ……こーきぃ………」
理性のない、獣のような目で和希は幸喜に身を寄せ、肉棒をしゃぶり始めた。
(こーきの精液……美味しい もっと出るかな♪ もっと出るよね?)
じゅるじゅる れろれろれろ にゅぷぅううううう ぬぢゅぬぢゅあむあむ
音を立てて付着した様々な液の混合物を啜ってから、先端を舐めて喉奥まで飲み込み、喉奥と舌と歯による甘噛みでまんべんなく刺激すると、萎びていた幸喜のペニスにまた力が戻ってくる。
「ぷはぁっ! それじゃ、いただきまーす」
ぐったりと脱力して気を失っている幸喜の上に跨り、肉棒を膣で飲み込むと淫らに腰を振る。その刺激に気付いたらしく、幸喜が目を開ける。
「あ、こーき起きたんだ。おはよ♪」「え? カズ姉? いや何してムグッ!?」
和希は幸喜が事態を飲み込むよりも早くキスをして口をふさぐ、そのまま口内に舌を侵入させ、弟の口内を舌で蹂躙し、膣もまるで意志を持っているかのようにきゅうきゅうと締めつけながら手と同様に肉棒の弱いところを把握して刺激しうねる。
さっきまで実弟とのセックスを避けようとしていたの事実を無かったことにしたいかのように全身で弟を求め、弟の体を貪っている。
「んちゅ……はぷ…ちゅろ……レロ………ちゅちゅちゅ…」
抵抗も口答えも許さず、自分が弟にされたように今度が自分が弟に暴力的な快感による凌辱で弟を責め立てる、耐えきれずに弟が暴発してもなお、貪欲に求め続ける。
二人の淫夜は、まだ始まったばかりだった。



朝になって、目を回した幸喜と肌のつやが先日の数倍良くなった和希は抱き合う姿勢のまま寝ていた、雄汁の匂いと愛液の香りが交じり合って充満した部屋はまともな神経の人間では入るのに躊躇するし、魔物なら入った瞬間発情するだろう。
先に目を覚ましたのは幸喜だった、至近距離にある姉の顔と、全裸のまま抱き合う自分たちの姿、そして部屋に充満した匂いに、自分たちが昨晩したことを思い出す。
体を起こそうとすると、和希も目を覚ます。
「おはよ♪ 幸喜。」
そう微笑む姉はやはり魅力的だった。

その日、二人は自分たちのやったことを両親に話し、交際を始めることを説明した。
最初は渋い顔だった両親も、二人の真剣な面持ちにやがてそれを納得して交際を認めたのだった。

12/06/30 14:49更新 / なるつき
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■作者メッセージ
楓さんごめんなさい!!!
これ私も大嫌いなはずのNTRに含まれるんじゃないかとヒヤヒヤ、一応「女としての和希」が幸喜に惹かれてる描写は少し入れたつもりですが……
この後「後日談」を書いてターンは終了です

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