連載小説
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10単位 『補習講義』
「良く聞けチンカス共! 面倒な事この上ないが…これから貴様らには、この俺様直々の演習講義を受けてもらう!!」
「ヒソヒソ……(チンカスってロイ君のことだよね〜?)」
「ボソボソ……(マリアベルさん、お静かに)」
「教官! 質問してもよろしいでしょうか!」
「なんだ肉壁!!」
「なぜ俺達だけなんでしょうか?」
「貴様が中途半端な時期にPTメンバーを増やすからだろうが!!!」
「ごふっ!?」

教官はロイに強烈なボディブローを放った!
ロイは100のダメージ!

「おい、生きているか?」
「……っ…」

レイラはしゃがみこんで悶絶する俺をつつく。
なんか前にもあったなこのパターン……。

「まったく! いいか、貴様らは戦闘参加上限である3人を超え4人PTとなった!」

増えたメンバーというのはゴーストのマリアベル、通称マリィのことだ。

「4人以上のPTには、戦闘学部主任であるこの俺様が戦術指南をすると校則で決まっている! 本来ならば面倒で相手にしないところだが…理事長から必ず受けさせるようにとの通達がきた! よって! 不本意ではあるが、貴様らの補習講義を特例として実施する運びとなった!! あぁ……実に不愉快だ!!!」
「「「「………」」」」

嫌々なのはわかるけど、ここまで堂々とした態度を見ていると逆に清々しい。

「長ったらしい説明は省く! 戦闘中に直接指示を出すが、それで文句ないな!?」
「「「「Yes, Ma'am!!!!」」」」



教官(ミノタウロス)が現れた!





「貴様らに教えることはいくつかあるが、まずは基礎を覚えてもらう! 一発で覚えろ!!」
「「「「Yes, Ma'am!!!」」」」
「よし! では『交代』の演習訓練に入る!」



・・・・・・・・・・・・



教官は様子を窺っている

「現在戦闘に参加している者は、ロイ・レイラ・コヨミの3名だ。このメンバーから誰でも構わん、後方で待機しているマリアベルと『交代』しろ!!」

コヨミはマリアベルと入れ替わった!

「よし、上手くいったな! 次の段階に移る前に注意事項を挙げる! 『連続交代不可』、   『行動不能者交代不可』の2つだ! 前者はその名の通り、連続的な交代の禁止を指している! 1度交代したものは、最低1ターンの間隔を空けねば前線に復帰できない! 後者も見てわかるだろうが、前線で力尽きた者と待機メンバーの交代ができないというものだ! 死んでいるのに動けるなんて馬鹿な話はないだろう!! わかったか!?」
「「「「Yes, Ma'am!!!」」」」
「まぁしかし、ただの交代など滅多に行わないだろうがな!」
「「「「………」」」」
「そんな顔をするな! ちゃんと理由はある!!」



・・・・・・・・・・・・



教官は様子を窺っている

「よし、次の訓練に移る! ここからが本訓練の最重要項目だ! 今から貴様らに実戦してもらう戦闘技術は、『サポートアタック』と『サポートガード』の2つだ! まぁ細かいことは実際にやてみればわかる! さぁかかってこい!!」

ロイの攻撃!
教官は26のダメージ!
さらにコヨミの追撃!
教官は32のダメージ!

「そこまで! うむ、上手く攻撃できたようだな! 現在ロイの攻撃に合わせ後方で待機していたコヨミが追撃を行った。これを『サポートアタック』といい、追撃者と初撃者が入れ替わるという特徴がある。見てみろ、攻撃開始前のメンバーであるロイ・レイラ・マリアベルが、今はコヨミ・レイラ・マリアベルとなっていることが良い証拠だ。ただ交代するよりも効率が良いため、ほとんどの場合はこの方法での交代が主戦法となるだろう! わかったか!?」
「「「「Yes, Ma'am!!!」」」」
「よし! では続けて『サポートガード』の訓練に入る!」

教官の攻撃!
後方のロイがレイラをかばった!
ロイは48のダメージ!

「そこまで! コヨミ・レイラ・マリアベルの戦闘メンバーが、コヨミ・ロイ・マリアベルと変更されている。今ので『サポートガード』は成功ということになる! 『サポートガード』に成功した場合は防御コマンドと同じ効果(ダメージ半減)が発揮される。『サポートアタック』も同様、戦況を良く理解し使用するタイミングを見誤るな! わかったな!?」
「「「「Yes, Ma'am!!!」」」」





「よし、これで一通りの訓練は完了した! 余談だが、『サポートアタック』と『サポートガード』の性能は個人により異なる。例えば、『サポートアタック』が得意なキャラは攻撃型のレイラとコヨミ。『サポートガード』の効果が高いのはロイと、物理攻撃無効のマリアベル…といった具合だ。要するに、上手く使い分けろということだ!!」
「「「「Yes, Ma'am!!!」」」」
「む、『ユニゾンアタック』の説明を忘れていたな……うむ! 面倒だから省く!!」
「「「「………」」」」
「よし! ではこれにて、特別補習講義を終了とする! 全員解散!!!」













ロイPT専用宿舎にて。

「あ〜疲れた……」
「主様、お疲れ様です」
「たまにはこういった講義も悪くない。床術ばかりで退屈していたからな」
「レイラは戦闘学部に行った方がいいんじゃないか?」
「私をそこらの脳筋馬鹿と一緒にするな。高い教養と高い戦闘力があってこそ、空の覇者…… 竜王としての威厳を保つことができるのだ」
「うふふ♪ レイラは昔と変わらず、とっても真面目っ娘ですよね♪」
「コ、コヨミ! そうやってお前は、いつも私をからかって……」
「からかってなんていませんよ? 小生は、真面目なレイラがとても愛おしいんです♪」
「むぅ……///」

出た出た、百合百合フィールド。
半分言葉遊びなんだろうけど、コレを見るたび少しだけドキドキしてしまう俺がいる。

「あ、そういえばマリィどこ行った?」
「あら? 部屋に入るまでは一緒だったのですが……」
「別にこの部屋に縛り付ける理由もないだろう。好きにさせればいい」
「あ〜うん、レイラの言う通りだな。なんたって幽霊だし」
「はい、幽霊ですしね」
「うむ、幽霊だからな」

まったく根拠のない理由で全員が納得する。
まぁイイんじゃない?
幽霊なんだし。

「そうだ。マリアベルについて、いくつか聞いておかねばならない事があるのだが」
「ん、なにが?」
「やつは、何故私達のPTに入ったのだ?」
「聞くところによると、あの方は学生ではなくこの大学の職員だとか」
「あれ、聞いてなかったっけ?」
「うむ」「はい」
「あ、じゃぁ話しておこうか」

ペラペ〜ラペロリ〜ンチョ

「なるほど。管理不届きで役職をクビになり、編入生としてこの大学に入学したのか」
「うん。クビにしていきなり追い出すのは可哀想だからって、理事長が」
「まったく……どうせマリアベルをこのPTに引き込んだのも、あのクソロリババァの差し金なのだろう? 私の許可なく勝手なことを!」
「ま、まぁまぁ」

面倒事が増えたという点ではレイラの気持ちもわからなくはないが、正直俺としてはマリィの加入はありがたかった。
俺達PTにとって決定的に不足していた回復要員を補うことができたのだから、これは素直に喜んで良いと思う。

「賑やかになって良いではありませんか。レイラだって、本当は嬉しいのではないですか?」
「断じて違う!」

レイラは腕組みをしてそっぽを向いてしまった。
逆にコヨミさんは口元に手を当ててクスクスと笑っている。
なんだかな〜、この2人は。
本当に姉妹のようにしか見えない。
あーいやいや、そんなことよりも……

「マリィがいないんじゃ仕方ない。歓迎会はまた今度にするかな」
「歓迎会…」「…ですか?」
「うん。成り行きでの加入だけど、どうせならパーッとやれたらイイなと思って」
「「………」」
「あ、あれ?」

レイラとコヨミさんは何とも形容し難い微妙な表情を浮かべている。
なんか予想してた反応と随分違うなぁ。
『それは良い考えですね!』とか『たまには悪くない』なんて返してくると思ってたけど……。

「……小生の時は、してくれませんでした……」
「……私はそれどころか裸を見られ、さらにはいきり立つナニをマジマジと見てしまったぞ……」
「あ、あ〜うん…なんか、ゴメン」

それを言われると返す言葉もないが、一応理由はある。
コヨミさんの場合は、俺が負傷中にも関わらずいきなり勝負を挑まれたため、さすがに戦闘後に『よし、歓迎会をしよう!』なんて流れになるはずもなく、今に至るわけだ。
レイラの覗き事件は…………あれは単なる事故。
彼女の裸を見た後に『よし、歓迎会をしよう!』とは言えないだろう。
もし言える奴がいたのなら、もう既にそいつの精神力は神の領域に達している。
もちろん俺は言えるはずもなく、土下座土下座でやっと命を繋ぎ止めたのだ。

「「………」」

落胆する2人に昔の状況説明をするのも野暮な話、だよな。
う〜ん…………こうなったら!

「よし! それじゃぁマリィの歓迎会はまた今度にして、今晩はレイラとコヨミさん2人のための歓迎会を開こう!」
「「………」」

今更にも程がある……のだが、

「食材の調達に行ってきます!」「酒の確保は私に任せろ!」
「ぇえ、ちょっと!?」

2人は一瞬にして明るい表情を取り戻し、一瞬にして部屋から飛び出して行った。

「はぁ……ま、いっか」

元気になってくれたみたいだし、結果オーライってことで。





その後。
酒に酔った2人に犯されそうになったことは、また別のお話―――





〜ステータス〜

ロイ:L12(人間)
戦闘スタイル:モンク
固有特性:不撓不屈(瀕死時、敵から受ける全てのダメージを10分の1に抑える)
       人の子(状態異常にかかりやすい)
追記:固有特性『不撓不屈』が優秀。防御系の特技と相性が良いため、ボス戦を含めたあらゆる場面での活躍が期待できる。ステータスが平均的に高く、その中でも攻撃力と防御力の成長が早い。戦闘中に特技を編み出すなどトリッキーな行動も特徴。

HP 114
MP 70



レイラ:Lv12(ドラゴン)
戦闘スタイル:バーサーカー
固有特製:竜王の威厳(戦闘不能になっても1度だけ最大HPの半分の状態で復活)
       火に愛されし者(敵から受ける火属性ダメージ全てを無効化)
追記:全種族中トップクラスのHP量を誇る。全体攻撃の息系がレベルと比例して強力になっていく。渾身の一撃が出やすく敵のHPを削る優秀なアタッカーとして活躍できる。固有特性『竜王の威厳』の性能は高いが、意識的に使うことができないので意外と使いづらい?

HP 133
MP 40



コヨミ:Lv13(龍)
戦闘スタイル:侍
固有特性:先制(ターン始めに一定確率で最初に行動する)
       水神(敵から受ける全ての水・氷属性ダメージを無効化。また味方への水・氷属性
       ダメージを半減)
追記:攻撃力が群を抜いて高い反面、防御力の伸びが非常に悪い。自己強化や即死攻撃など使いやすい特技が揃っているが、MPがそれほど多くないため連用ができない。先制が地味に便利。     

HP 104
MP 52



マリアベル:Lv15(ゴースト)
戦闘スタイル:トリックオアトリート
固有特性:霊体(全ての物理攻撃を無効化。アンデッド種からの物理攻撃は受ける)
       死者(戦闘不能になった際、数ターン経つとHP全快で復活することがある)
追記:固有特性『霊体』が便利すぎる。魔法への耐性も高く、仮に死んでも自力で復活することができるので、HPの低さがそれほど気にならない。MP量も豊富で、開幕から威力の高い魔法を連発することができ非常に使いやすい。ただ欠点を挙げるとすれば、レベルが上がってもHPがほとんど伸びないということ。

HP 64
MP 154


12/06/03 21:42更新 / HERO
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■作者メッセージ
何ヶ月ぶりの連載なんだ・Д・;
時間の関係で完全に止まっていました、申し訳ありませんorz

初めから読んでいただけると嬉しいです^^;

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