読切小説
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大いなるレッドドラゴンと日をまとう女
教会の一角に、一人のシスターがいた。
礼拝堂と玄関の合間、待合室めいたホールに彼女はいた。玄関と礼拝堂の扉は閉ざされており、礼拝堂からは聖歌隊の少年達の歌声が、時折指導する僧侶の声を挟みながら響いていた。
尼僧は掃除の合間なのか、手に箒を持っている。だが、箒を動かすわけでもなく、壁に掛けられた絵に向かい、ぼんやりと立ち尽くしていた。
尼僧の前にあるのは、彼女の肩幅ほどの幅と高さを持つ、やや小さな絵画だった。
額縁に納められ、壁に掛けられたその下には、「赤き獣と聖女」というタイトルが掲げられている。
絵に描かれているのは、地面に横たわる女性と、翼を広げた巨大な怪物の姿だった。
多少聖典に知識のある人物が見れば、その絵が黙示録に記された一節を描いたものだとわかるだろう。

「その獣、七つの頭に七つの冠と十の角を戴き、翼を広げて天に吠える。その前に倒れ伏すは、罪無き清らかなる女。獣、足下に伏す女のそのときを待ちいたり。そのとき来たらば、喰らわんとするために」

その後、「獣」は主神に力を与えられた騎士により討ち滅ぼされ、聖女は命を救われる。
この一節を題材とした絵画の多くには、獣と聖女と騎士の三者を描いていることが多い。
だが、話によれば騎士が現れる下りは、後の時代に付け足されたもので、聖女は騎士に助けられることもなくただ獣に食われるのを待っているだけらしい。
そしてこの絵画は騎士が付け足される以前に描かれたものか、画家が付け足しの事実を知っていたのか、騎士の姿は描かれていなかった。
倒れ伏す聖女と獣。その二者だけだった。それも、画面の大部分を占めているのは獣の後ろ姿で、聖女は絵画の下の方に、ごくわずかに描かれているだけだった。
「うふ・・・」
絵画を鑑賞していた彼女の唇から、小さく息が漏れた。
この教会に勤めるようになって数年が経つが、見る度に感銘を受けるからだ。
ごくわずかに描かれた荒れ地の上に、獣が見る者に背を向けて立っている。その両足は力強く大地を踏みしめ、人とほぼ同じ色合いの皮一枚下の筋肉が己の存在を主張しながら画面いっぱいに広がっている。
背筋の盛り上がる背中の左右からは両腕の代わりに、幾筋もの骨格を備えた翼が広がり、絵画の空を完全に隠していた。
大地を踏みしめる両足に、力強く引き締まった尻、両腕の代わりに翼を大きく広げる背中。それはまるで、力強い男を描いているようだった。
加えて、尻と腰の継ぎ目のあたりから延びる、足と変わらぬ太さを備えた尾は、見る者に対して否応なしにある物を連想させた。
尻尾は、広げられた足の間を垂れ下がり、足下に倒れ伏す、獣より少し小さい大きさの女に巻き付いていた。
女は、自身の腹に絡みつく尻尾には目をくれず、ただ獣の顔を見上げ、許しを乞うように頭の上で両手をあわせていた。
女はゆったりとした衣装を身にまとっており、尻尾の巻き付く腹は心なしか膨れているように見える。そうだ。彼女はその腹に命を宿しているのだ。
聖典の一節にも「獣はそのときを待つ」とあるが、「そのとき」とは彼女の腹の命が産み落とされるときなのだ。
そして、腹に宿る小さき命が産み落とされたのならば、獣はそれを食らいつくそうとしている。
その後は?
両足の間に垂れ下がり、女に巻き付く尾がなにを意味しているのかを考えれば、獣の子を宿させるという予想は簡単につくだろう。
顔こそ描かれていないが、獣の表情は歓喜に満たされているに違いない。足下の女の恐怖を啜って肥大化した、歪な悦びに。
「ふふ・・・」
目を見開き、許しを乞う聖女の表情を見ながら、尼僧は再び声を漏らした。
この女は、いったいなにを怖がっているのだろう。
確かに翼を広げる獣は恐ろしいのかもしれない。だが、その身の丈は彼女より頭一つ二つ大きいほどで、丸飲みにされるほどの体格差はない。
それに、腹に巻き付く尻尾は、彼女の腹を締めあげるわけでもなく、ただ緩やかに絡みついているだけだ。腹を締めあげて命をひり出させるわけでもなく、蹴りとばして堕胎させるわけでもなく、獣はただ静かに出産の時を待っているだけだ。
そして、彼女がこのような状況に陥っているにも関わらず、助けにもこない腑抜け腰抜けの男の子を始末し、力のみなぎる獣自身の子をはらませようとしているのだ。
獣はなんと慈悲深く、優しいのだろう。
よく見てみれば、女の表情も恐怖にひきつっているのではなく、獣に彼の子をはらませてほしいと懇願しているようにも見える。
尼僧は絵画の七割を占める獣の後ろ姿に、雄の気配を感じ、身体の芯が熱を帯びるのを感じた。
力強く、たくましく、優しい獣。
「ん・・・」
彼女は体表に溢れだした熱にこらえきれず、僧衣の上から思わず自分の乳房に手を当てていた。
ああ、できることならば入れ替わりたい。この絵画の・・・
「はい、よくできました。今日はここまでにしましょう」
礼拝堂から響いていた歌声が止み、指導役の僧侶が僧締めくくるのが聞こえた。
尼僧は僧侶の声にはた、と気がつくと、衣服越しに乳房に当てていた手を引き離し、箒を握りなおした。
聖歌隊の少年たちの談笑する声が響き、礼拝堂の扉が開く。
「あー終わったー」
「あ、シスター!さようならー!」
礼拝堂から溢れだしてきた子供たちが、尼僧に向けて手を振った。
「はいさようなら。寄り道せずに帰るのですよ」
「はーい」
わいわいがやがやと、彼らは教会の玄関を抜け、外へ出ていった。
尼僧は箒を握ったまま彼らを見送り、顔に穏やかな笑みを張り付かせたままその背中に手を振った。すると、少年達の一番後ろにいた一人が振り返り、尼僧の方を見た。彼女は彼に向けて手を振ったが、少年はそれに応えることなく、あわてた様子で前を向いた。
今日は危ないところだった。もう少し興が乗っていたら、子供たちにあられもない姿を見られるところだった。
内心の冷や汗を拭いながら、彼女は手をおろす。
そろそろ、自室で一人慰めたり、絵画を鑑賞して誤魔化すのは限界になってきた。
本格的に、欲望を満たす手段を考えないと、取り返しのつかない失敗をしてしまうかもしれない。
「・・・・・・」
彼女は、密かに温めてきた計画を脳裏に浮かべると、絵画に振り向いた。
彼女の視線の先では、獣が雄々しく仁王立ちになり、翼を力強く広げている。
そうだ、誰の心にも獣はいるのだ。




次の週、尼僧は獣の絵画の前で待っていた。
礼拝堂の中からは、少年たちの歌声が響いている。幾度となく中断と再開を繰り返し、今は最初から通しで歌っている。時間的にも、もうすぐのはずだ。
「・・・・・・」
彼女はどこか落ち着かぬ様子で、背後を振り返った。彼女の視線の先では、額縁の中の獣が翼を広げており、両足で大地を踏みしめながら聖女を見下ろしていた。
いつもと変わらぬ、逞しい体。幾度となく見惚れたその姿に、彼女の決心が強まる。
「はい、みなさんよくできました!」
扉の向こうから、僧侶の声が響いた。
「今日はここまでです。また来週にしましょう」
「はーい」
少年達の、やっと終わったという安堵感と、最後までうまく歌えたという喜びの入り交じった声が響いた。
そして、口々になにやら言葉を交わしながら、足音が礼拝堂の扉に迫る。
「あ!シスター!」
「シスター、さようならー!」
礼拝堂の扉を押し開いた少年達が、尼僧に向けて笑顔で声をかけた。
「はい、さようなら。気をつけて帰ってね」
「はーい」
にこにこと尼僧の言葉に応えつつ、彼らは玄関を飛び出していく。
そして、最後の一人が礼拝堂から出てきた。
「はい、さようなら」
「・・・」
最後の少年は、尼僧の言葉に小さく会釈すると、声も出さずに玄関を飛び出した。
「・・・」
尼僧は胸中でわずかに逡巡すると、彼の後を追うように玄関まで歩み寄り、離れつつある一団に向けて声を上げた。
「そこの、一番最後の君ー!何か落としたわよー!」
僧衣のポケットから取り出した、丸めた布を掲げながらの声に、少年達が振り向く。
先ほど会釈を返した少年が、彼女の言葉に自分だとようやく思い至ったのか、少年達の一団を離れて駆けだした。
「先帰ってるぞー!」
忘れ物をしたと思しき少年にそう声をかけながら、彼らは教会の敷地を後にした。
「何ですか・・・?」
どこか怪訝な様子で、少年は尼僧のそばまで駆け寄ると、痩躯地を開いた。
ハンカチは持ってるし、聖歌の歌詞が書かれた紙は僧侶に返した。忘れ物をしているはずがないからだ。
「うん、呼んで悪いけど、君が忘れ物をした訳じゃないのよ」
尼僧は胸の奥の鼓動が徐々に大きくなるのを感じながら、少年に向けて微笑んだ。
「とりあえず、はい」
「・・・?」
差し出された白い布を少年は受け取ると、何気なく広げた。すると、三カ所に穴のあいた袋状の形をしていることに、彼は気がついた。
これは・・・
「そうよ、私の下着」
尼僧の言葉に、少年の顔がさっと赤くなった。同時に、彼のズボンの下で何かが布地を押し上げるのを、少年は感じた。
「どう?柔らかいでしょう?匂いは・・・洗濯したてだからついてないけどね」
尼僧の下着を手にしたまま、呆然と立ち尽くす彼に向けて、尼僧は少しだけ腰を屈めながら話しかけた。
「私からこそこそ離れようとしてるのに、私が気になってしょうがないんでしょう?夜とか、私が夢に出てしょうがないのでしょう?そして、私の持ち物が欲しくてたまらないんでしょう?」
尼僧と会う度に、胸の奥でくすぶる妙な感覚から逃げていたことと、一人でいるときに悶々と尼僧のことを考えてしまい、彼女を感じられる何かが欲しくなることを言い当てられ、少年は身をこわばらせた。
彼女は自分の心が読めるのだろうか。
「ふふふ、それは君が私を好きだってことよ」
少年の反応に、尼僧は自分の推測が正しかったと内心胸をなで下ろした。
「あなたの気持ちがうれしいから、それは上げるわ。大切にしてね」
少年は手にしたままの尼僧の下着に目を落とし、がくがくと頭を激しく上下させた。
きっと彼はこのまま帰せば、下着を使って楽しむのだろう。だが、尼僧が計画していたのはその先だった。
「それと、君がイイのなら・・・教会の地下でもう少しいろいろして上げるわ」
いろいろして上げる。下着をもらっただけでも、天にも昇る心地だったというのに、どういうことだろう。
少年の心を興奮が満たし、正常な思考を奪う。
「さ、ついてきなさい・・・」
尼僧は屈めていた腰をまっすぐに伸ばすと、僧衣の裾を翻して歩きだした。彼は彼女の背中を見据えたまま、よろよろと歩きだした。
そして、玄関と礼拝堂の合間のホールに設けられた扉の一枚に、二人の姿が消えた。
後には、両足で大地を踏みしめる獣の絵画だけが取り残された。



階段を下り、廊下を進み、扉を開く。すると、湿り気と黴の匂いを含んだ冷気が、尼僧を迎えた。
彼女は地下室の一つにはいると奥へ進み、手にしたランプを木箱の一つの上に置いた。
「さ、こっちに来なさい」
部屋の入り口に立ち尽くしていた少年が、どこか上の空の様子でよろよろと部屋に入る。
「扉は閉めてね」
彼女の言葉に彼は扉を閉めると、部屋の奥へと歩んできた。
少年を迎えたのは、いくつもの木箱と、その合間のスペースにおかれたシーツを掛けられた何かだった。
「藁を運んでシーツをかぶせたのよ。下手なベッドより柔らかいわよ」
彼女が藁のベッドの上に座ると、シーツの布地越しに彼女の尻を藁が受け止めた。
その瞬間、少年の脳裏に藁になりたい、という欲求が浮かんだ。
「それで・・・ここまで来たということは、いろいろして欲しいのよね?」
藁のベッドに腰掛けたまま、彼女がにっこり微笑む。
「まあ、正確には、あなたがしたいことやして欲しいことを、何でもさせて上げるし、して上げるということよ」
「・・・!」
尼僧の言葉に、少年は声にならぬ驚きの気配を漏らした。
「ふふふ・・・」
少年の初々しい反応に、彼女は舌の先で唇をなめながら、言葉を紡いだ。
「さあ、何をしたいの・・・?胃ってご覧なさい・・・」
「ぼ、僕は・・・シスターに抱っこしてもらいたいです・・・!」
興奮に震えた声で、彼はそう答えた。
「そう。ならいらっしゃい」
藁のベッドに腰掛けたまま、彼女が両手を広げると、少年はたまらないといった様子で彼女の腕の間に飛び込んだ。
「きゃ・・・!」
少年の体を受け止めながら、尼僧が驚いたような声を漏らす。だが、彼の体は羽のように軽く、ベッドの上に尼僧を押し倒すほどの勢いはなかった。
「ああ、シスター・・・!シスター・・・!」
少年はもはやあたりの様子が見えないのか、僧衣越しに尼僧の胸に顔を押しつけ、両腕で彼女の銅を抱きしめた。
それは男女の抱擁というよりむしろ、離されるまいとしがみついているようだった。
「うふふふ・・・」
尼僧は低く声を漏らし、彼の背中をそっと抱く。
背中に触れた腕の感触に彼は体を小さく震わせるが、尼僧に抱かれていると悟ると同時に、彼はもっと両腕に力を込めた。
顔面を胸の間に埋め、ズボン越しになにやら固いものを押しつける。
幼いとはいえ、己を支配する衝動に突き動かされるその様は、男のそれであった。
「ふぅぅ・・・!ふぅぅ・・・!」
僧衣に覆われた乳房に顔を埋め、荒く呼吸を重ねる。
洗濯して間もないため、少年の鼻孔には石鹸の香りや箪笥特有の湿った匂いが入り交じって届いた。しかし、その中にかすかに含まれているであろう、尼僧の体臭が少年の興奮を煽る。
少年は、胸の奥から突き動かされるままに、両足をベッドの上に上げ、彼女の銅に巻き付けた。
両手両足で尼僧にしがみつき、衝動に身を任せて体を揺する。
「・・・!・・・!」
不意に少年が体の動きを止め、びくびくと痙攣した。
「ふふふ・・・」
少年の痙攣が収まり、体を締め付ける彼の四肢が緩んだところで、尼僧は微笑みながら彼の頭を撫でた。
そして、頭に添えた指に力を込め、顔を胸元から離すと、口を大きく開き放心した少年の顔が露わになった。
その頬はもちろん、顔全体が上気を通り越して、赤く染まっており、彼の興奮を物語っていた。
だが、彼の興奮具合と裏腹に、彼の股間が押し当てられていた僧衣の腹部はおろか、彼のズボンにも絶頂の証による染みはなかった。どうやら、「まだ」のようだ。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「ふふ、気持ちよくなってもらえて嬉しいわ」
おそらく、初めての絶頂に呆然とする少年に、尼僧の胸の奥に疼きが芽生えた。
同時に、彼女の脳裏に獣の絵画が浮かび上がる。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「ねえ、満足した?それとももう疲れちゃったのかしら?」
少年への問いかけに、彼の瞳に光が宿った。
「疲れちゃったのなら、これでおしまいに・・・」
「だ、大丈夫です・・・!」
この機会を逃したら次はない。そんな予感に、興奮にぼやけていた少年の意識が僅かながら冷静を取り戻し、言葉を紡がせた。
「それはよかった・・・じゃあ、次は何をしたいの?」
「ええと・・・」
少年は尼僧の問いかけに、抱きついたまま考え始めた。
正直なところ、このようにしがみついているだけでも十分満足なのだ。
だが、尼僧はもっといろんなことをしてイイと言っている。ならば、文字通り夢にまで見た、彼女としたいことをやってもいいのではないか。
「ええと・・・ええと・・・」
尼僧とお風呂に入りたい。
尼僧にパンとミルクを口に含んでもらい、よくかんだ者を口移しで食べさせて欲しい。
小人の様に小さくなって尼僧の服の中に入りたい。
夢で見た、尼僧との行為の断片が脳裏に浮かんでは消えていくが、地下室の藁ベッドの上でできそうなことがなかなか浮かばない。
「何をしようか迷っているの?欲張りさんね」
尼僧の言葉に、遠回しの催促を感じ取り、少年はますます焦燥感に駆られた。
早く決めないと、終わってしまう。
「ええと、ええと・・・」
ずっとちゅーをして欲しい。もっとすごいことができるのに、そのぐらいのことは頼めない。
おっぱいを飲ませて欲しい。おっぱいが出るのは、赤ちゃんを産んだお母さんだけだ。尼僧には赤ちゃんがいないからおっぱいは出ない。
僧衣の中に入れて欲しい。僧衣は余裕のある造りになっているが、少年と尼僧が一緒に着るには小さすぎる。
夢で見たこともない、今初めて思いつく願望が浮かび上がるが、いずれも直後に彼の理性が否定していく。
尼僧ともっといろんなことができると言う興奮に潤んだ彼の瞳が、徐々に泳ぎ、願いをを決められない焦燥感によって涙目に変わっていく。
「思いつかないの?それなら・・・」
尼僧が痺れを切らしたように紡いだ言葉に、少年の心に絶望が浮かぶ。
せっかくの機会だったのに、願望を決められなかったせいで、逃してしまう。
指の間から砂がこぼれ落ちていくように、歓喜が流れ落ちていく。
だが、尼僧の唇から続いたのは、終わりを告げる言葉ではなかった。
「私がしてあげるわ・・・!」
言葉の芯に興奮の熱を宿しながら、尼僧は少年の肩をつかんだ。
そして、彼女がほんの少し力を込めると、藁ベッドの上に少年は頃がされた。
「え?え?」
このまま尼僧との触れ合いが終わってしまうと予想していた彼にとって、耳を疑うような彼女の申し出と、気がついたら仰向けに転がされていた状況に、少年は意味をなさない困惑の声を漏らしていた。
「うふふ・・・」
尼僧は藁ベッドから身を起こすと、近くの木箱の上に置かれていた布を手に取った。
そして布を広げて少年の体にかぶせながら、口を開く。
「このシーツ、なんだと思う?」
「え?」
シーツはシーツではないのか?問いかけの意味を理解できない彼に、尼僧はすぐに答えを明らかにした。
「このシーツね・・・私が今朝まで使ってたシーツなの」
その一言に、少年の心臓が飛び跳ねた。
「夜のお祈りの後、僧衣を脱いで、そのままベッドに入るの。寝間着なんか身につけず、下着だけよ・・・そして夜の間に私がかいた汗を、そのシーツはたっぷり吸っているの・・・」
彼女の解説に、少年の脈動が徐々に大きくなる。
「それも、昨日の夜だけじゃないわ。一昨日も、その前も・・・この一週間、同じシーツを使っているのよ・・・」
そして自然と荒くなる呼吸が、シーツに移り込んだ尼僧の香りを少年の体に取り入れていく。
「だから、そのシーツにくるまるっていうのは、私に抱かれているのと同じこと・・・」
尼僧の言葉に、少年の脳裏で彼の体を抱きすくめる尼僧の姿が浮かび上がる。ズボンの内側で、少年の肉棒が膨張していく。
彼の興奮に火がつき、頬が赤くなるのを見届けると、尼僧はさっと手を伸ばしてシーツをはぎ取った。
「はい、ここまで」
「あぁ・・・!」
少年が声を上げるが、彼女は口の端を吊り上げながら問いかけた。
「なあに?もっと抱かれていたかったの?」
「は、はいぃ・・・」
彼女の予想通り、少年は問いかけに縋りつくような声音で答えた。
依存されるという感覚に、尼僧は笑みを深めながら、命じた。
「じゃあ、服を脱ぎましょうね。その方が、直に私のシーツとふれあえるでしょう?」
少年は尼僧の言葉に一瞬動きを止めた。
内心で、彼女に裸身を晒すことに対する羞恥と、さらなる快感を得たいという欲望がせめぎあう。
だが、彼の羞恥と理性は暴れ馬の前の絹糸のごとく、欲望と衝動に打ち破られた。
「・・・!」
少年は返事をするのももどかしい、と言った様子で、手を震わせながらシャツのボタンを一つ一つ外し始めた。
しばしの間をおいて、少年がシャツを脱ぎ捨て、一瞬の躊躇を挟んでから下着ごとズボンを脱ぐ。
ランプが照らす淡い光の中に、少年の白い裸身が晒された。
細く、白いその体と必死に両手で前を隠す姿勢は、力を込めれば容易く折れてしまいそうな、ガラス細工めいた印象を尼僧に与えた。
「ふふ、きれいな体・・・さ、ベッドに横になって、両手を広げて・・・」
尼僧の言葉に、少年の両腕を前で交差させていた、最後の羞恥が崩れさった。
彼は、意を決したように両腕を股間からはなすと、藁ベッドの上に仰向けになった。
ぴょこん、と腕の間から人差し指ほどの長さと太さの肉棒が跳ね、ピクピクと震えていた。
「ふふ、シーツを掛けてあげましょうね・・・」
約束通り、尼僧は手にしていた布を広げると、仰向けになる彼の体にかぶせた。
シーツの細やかな布地が、柔らかな少年の肌はもちろん、敏感な乳首や一丁前に吃立してみせる肉棒にふれた。
「あ、あ、あぁ・・・!」
再び多い被さる、間接的な尼僧の抱擁に、少年の口から切なげな声があふれた。
股間の逸物はシーツを押し返してテントを張り、彼の興奮を表すかのように小さく打ち震えている。
「うふふ・・・」
尼僧は彼にかぶせたシーツの上から、少年の傍らに添い寝してやると、シーツ越しに盛り上がる彼の体に手を這わせた。
荒い呼吸にあわせて上下する、薄い胸板を優しく撫でる。布地に加えられた圧力が、少年の肌を擦り、小さく突出する乳首を小さな乳輪ごと押し潰す。
そして、一通り彼の胸をくすぐったところで、指先に意識を向けながら、尼僧は浮かび上がる骨格を撫で始めた。鎖骨や肋骨を指先が撫で、布と皮膚越しにゾクゾクする快感を彼に伝えた。
尼僧の指は彼の全身を、その形を確かめるように這い回っていく。
そして、腹や太股の内側、首筋など敏感な箇所を擦り、くすぐり、撫でられる度に、少年はひきつった喘ぎ声を漏らして体を小さく震わせた。
同時に、シーツを押し上げる彼の吃立もまた、ぴくぴくと自己主張するように震える。
尼僧は横目で震える肉棒を眺めながら、彼の全身をさすっていってやった。
「ああ、シスター・・・!」
不意に、堪えられないといった様子で少年が喘ぎを挟みながら彼女を呼ぶ。
「おちんちんが・・・おちんちんがぁ・・・!」
「おちんちんが、どうしたの?」
分かりきった問いかけに、少年は切羽詰まった様子で声を上げた。
「おちんちんもさわってぇ!」
「分かったわ」
少年の口からはしたない求めが迸ったことに、内心で満足しながら、彼女はようやくシーツの下でそそり立つ肉棒に指を伸ばした。
きめ細やかなシーツの布地が、吃立に絡み付く。
「あぅぅぅ!」
先端をごくわずかに擦るばかりだった、尼僧の大衆の染み着いたシーツが、今まさに吃立を包み込んでいる。その事実だけで、少年の胸の奥を切ない感覚が支配し、堪えがたい甘い声が溢れだした。
「ねえ、分かるかしら・・・?」
布地越しに、少年の吃立を指でまさぐりながら、尼僧が彼の耳元に囁く。
「あなたのおちんちんが包まれている部分、私が横になるとお知りがくる場所なのよ・・・」
「・・・!」
興奮によって混濁した意識が、耳から入った言葉によって一瞬麻痺する。
「私のお尻やお股・・・太股がいつもこのあたりに触っているのよ・・・」
少年の脳裏で、いつも思い描いていた僧衣の下の彼女の体が乱舞する。
尻や太股の付け根、そして想像に任せるしかなかった彼女の股間が、いくつもいくつも浮かび上がり、少年の股間に絡みついてくる。
「さっき、下着だけで寝るって言ったわよね・・・実は時々、洗濯物が乾かなくて、下着もつけずに寝ることがあるのよ・・・」
むき出しの尻が、少年の吃立を圧迫する。
ムッチリと肉の詰まった太股が、彼の肉棒に擦りつけられる。
なにもついていない、想像上の尼僧の股間が、少年の勃起の上に跨る。
「この後で、私がどういう風に寝ているか、見せてあげる・・・」
その一言と同時に、彼女はシーツ越しに少年の吃立を握っている指に、少しだけ力を加えた。
皺が寄り、複雑に絡みつく布地が圧迫され、少年の脳裏で尼僧の尻や太股、股間が一度に吃立へ押しつけられる。
瞬間、彼がひきつったしゃっくりのような声を漏らし、背筋を反り返らせながら肉棒をびくびくと震わせた。
豆粒ほどの睾丸が皮袋の中で縮みあがり、肉棒が「雄」としての役割を果たさんと賢明に震える。
尼僧に直接触られるより、倒錯した異常な興奮が彼の脳裏を支配しており、寄せては返す波のように、絶頂の火花を意識の内側で幾度も散らせた。
しかし、それほどの快感と興奮が彼に降り懸かったというのに、シーツは染みどころか湿り気すら帯びていなかった。
成人した男ならば数度は達していそうなほどの興奮が彼の意識を蹂躙していたが、「まだ」なのだ。
「・・・・・・」
精通も果たしていない幼さながらも、性的絶頂の味を覚えたであろう少年に、尼僧の胸の奥で満足感めいた感情が湧く。
同時に、これほど刺激と快感を与えても、滴一つ漏らさない吃立に対し、なんとしても搾り取りたいという欲求が芽生える。
満足と不満。充足と衝動。矛盾する二つの感情が入り乱れる彼女の脳裏に、獣の背中が浮かび上がった。
「ねえ・・・」
立て続けの絶頂に意識を溶かされ、荒く呼吸を重ねる少年に、彼女は囁く。
「もっと・・・もっとすごいことしたくないかしら・・・?」
興奮の涙で潤んだ瞳はなにも見ておらず、自信の呼吸と血の流れる音で耳は聞こえていないようだったが、少年は僅かな理性を肉欲の衝動に任せ、彼女の言葉に頷いた。
「じゃあ、じっとしていて・・・」
尼僧は少年に囁くと、藁ベッドから身を起こして立ち上がった。
そして彼の足の先、肉棒の張るテントを挟んで、少年の顔が見える位置に立った。
「ふふふ・・・」
彼女は妖しく微笑むと、頭巾に手をかけそっとそれを脱いだ。頭巾の下に押し込められていた、長い栗色の髪の毛が、さらりと音を立てて彼女の肩や背中に流れ落ちる。前髪を一房顔に垂らすその様子は、ただ頭巾を被っていないだけだというのに、見るものに妙な胸騒ぎを与える雰囲気を滲ませていた。
彼女は軽く手櫛で頭髪の流れを整えると、うなじに両手をやり、首に掛かっていた細い鎖を持ち上げた。僧衣の胸元で揺れていた教団のシンボルが持ち上げられ、ついに鎖の輪が彼女の頭を抜ける。
尼僧はその聖なるシンボルを、頭巾ともども傍らに置かれた木箱の上に置いた。
そして、彼女の指が僧衣に伸びる。
着る者の全身を多い隠し、禁欲と何者にも染まらぬ決意を表す黒衣の下で、彼女の肢体が蠢く。
袖の内側を腕が艶めかしく揺れながら通り抜け、襟首に彼女の顔が入る。
身を縮め、布地の作り出す枝分かれしたトンネルを、彼女は退いていった。
そして、僧衣を手にまとめるようにしながら、尼僧は黒衣を脱ぎ去った。
「ああ・・・!」
少年の眼前に、ついに下着姿の尼僧が晒される。
胸元は白い布に押さえ込まれ、たわわな乳房がやや窮屈そうに詰め込まれている。太股は少年の空想と寸分違うどころか、むしろ予想以上に柔らかそうな曲線を描き、股間を多い隠す布へと続いていた。
少年の呼吸が荒れ、シーツの下で身じろぎする様子に、尼僧は自分の体を彼の視線が這い回るのを感じた。
先ほどの、衝動と興奮に身を任せるがままの抱擁に似た、無遠慮に見たいところを見たいように見るという、稚拙な視線。仮に視線に力が宿れば、彼は遠慮することなく視線を遮る布を引き剥がしにかかるだろう。
尼僧は少年の両目にたっぷりと全身をまさぐられたところで、彼の無言の求めに応じるべく、下着に指をかけた。
胸を押さえる布がゆるみ、息苦しさとともに拘束されていた肉の球が解放される。まろび出た柔らかな乳房と、その先端で主の興奮を主張する突起に、少年の目が釘付けになる。
だが、股間を覆う下着に指をかけ、彼女は彼の視線を誘うように前かがみになりながら、最後の一枚を脱いでいった。
前屈姿勢に乳房が垂れ下がり、揺れながら大きさとその柔らかさを少年に伝える。
そして彼女が足首から下着を引き抜き、僧衣の上に放ったところで、改めて彼女は姿勢を整えた。
小さく足を前後に開き、両腕で髪を掻き上げながら、軽く上体を反らす。
四肢のしなやかさ、腰のくびれ、乳房の張りと形。そして悩ましげな視線を見る者に与える、自身の魅力を際だたせる姿勢。
大の男でも虜にできる自信のあるその姿勢に、雄として目覚めたばかりの少年が溺れるのは、自明のことだった。
「ああ、あ、あ、あ・・・!」
少年の視線が、尼僧の太股から乳房、二の腕から脇腹、股間から足首へと、震えながら上下に揺れ動く。興奮が興奮を呼び起こし、もはや何を見たいのかが分からなくなり、彼女の肢体のラインが導くままに視線を動かしているのだ。
シーツの下、彼の両足の間では、未成熟な吃立が激しく揺れ動き、まるでそこにもう一つ心臓が入っているかのようだった。
「どう?綺麗でしょう?」
少年の視線と脈動する股間をたっぷりと味わったところで、尼僧は改めて問いかけた。すると少年は、激しい勢いで顔と股間を上下に揺すった。
「素直ね・・・そんな素直な君のために、これからもっとすごいことを始めるわ・・・」
彼女は両腕をおろすと、藁ベッドの上で膝立ちになった。横たわる少年の足をまたぐようにしながらシーツの上を這い進み、動きを止める。
「ほら、見える・・・?」
尼僧は膝立ちのまま、両手を自信の股間に伸ばした。両足の付け根、控えめな体毛の下に隠れる亀裂に指先を触れさせると、ぬめりを帯びているのが感じられる。
「ここが、オンナノコの大切なところ・・・」
指先を亀裂の内に軽く沈め、左右に広げながら説明する。
「ここがおしっこの出る穴で、ここが赤ちゃんの産まれてくるところ・・・」
全力疾走した後のように呼吸を荒げる少年の視線が、尼僧の股間の桃色の亀裂に突き刺さる。
「ここに、オトコノコのおちんちんを入れて、精液を注ぎ込まれると赤ちゃんが出来ちゃうの・・・でも、精液が出るのは大人の人だけ。君はまだ子供だから、おちんちんを入れても赤ちゃんは出来ないの」
肉の亀裂を指先で軽くかき回しながら、尼僧は問いかけた。
「どう?君のおちんちん入れてみたい?」
「は、はい!」
妊娠の危険や、自分がまだ子供であるという言葉が聞こえていたのか聞こえていなかったのか、少年は尼僧の問いに即答した。
だが、この問いかけにもとより意味などないのだ。
「分かったわ」
尼僧は亀裂から指を抜くと、股間を潜らせるように腕を伸ばし、少年に覆い被さるシーツをたぐり寄せた。
シーツが徐々にめくれて少年の足が露わになり、ついに吃立が顔をのぞかせる。
尼僧の体臭が染み着いたシーツの抱擁から解放され、肉棒は名残惜しげに身を震わせた。
「入れるわね・・・」
彼女はシーツから震える勃起に指を移すと、ゆっくりと腰を下ろした。
片方の手が自信の股間に移り、塗れそぼつ肉の亀裂を押し開く。
もう片方の指が、びくびくと脈動する肉棒を摘み、角度を調整しながら迫るに備える。
そして、包皮から僅かにのぞく桃色の先端と、押し開かれた桃色の亀裂が触れ合った。
「ああ・・・!」
軟らかな肉の感触に、少年が声を上げる。しかし尼僧は、彼の反応を楽しむより先に、小さな吃立を根本まで自身の内へ迎え入れた。
小さいながらも熱を帯びた勃起が彼女の胎内で脈打ち、少年をやや緩いながらも折り重なった柔らかな襞が包み込む。
「あぅ・・・!う・・・!ぅあ・・・!」
肉棒が脈動する度に、敏感な逸物を彼女の膣襞が撫で回し、強烈な快感を少年にもたらした。もはやそれは絶頂に留まったまま、と表現してもよいほどで、寄せては返す興奮と快感が、彼を冷静にするのを妨げていた。
「ふふふ、入れただけなのに・・・」
「あ、あぁっ!」
身悶えする少年に、尼僧が一言漏らすと、彼女の発話が胎内の蠢きをもたらし、少年に一際大きな喘ぎを絞り出させた。
「あらあら、しゃべっただけでこんなに・・・」
「あ!ああ!し、すたぁ!やめ・・・!」
尼僧の一言一言が、膣壁を波打たせ、少年にまともに言葉を紡ぐことも許さない快感を与える。
先ほどまで、己の欲望のままに肉棒を擦りつけ、視線で彼女の全身をまさぐっていた小さな雄は、少しでも快感から逃れようとするかのように、身じろぎ一つしないよう努力していた。
あれほど求めていたのに。少年のギャップに、彼女の腹の底から愉悦が浮かんでくる。同時に、尼僧の胸中に欲望が芽生えた。
「じゃあ、こうしたらどうなるのかしら・・・?」
その一言を紡いでから、彼女は膣内を自分の意志で動かした。
半ば無意識の締め付けでもなく、発話による膣の蠢きでもなく、意識的に膣壁を波打たせた。
膣口が窄まり、肉棒の逃げ場所をなくす。吃立の根本から、圧迫感が先端へと這い上っていく。折り重なる、膣肉の軟らかな襞がなめらかな勃起の表面に絡み付き、圧迫感と締め付けとともに、少年の分身を責め立てる。
吃立への刺激に、少年の背筋を痺れが這い上った。
そして、ただでさえ高みに追いつめられていた彼の精神が、未だ達したことのない虚空へと突き上げられた。
一瞬、彼の精神から肉棒からの膣肉による甘い快感や、自身の体を包むシーツの感触、目を開けば否応なしに入り込む尼僧の悩ましげな体つきが消え去った。
だが直後、それらを凌駕するものが、彼の互換に入り込んだ。
目が、尼僧の乳房、くびれた腰、肉の付いた太股と尻、そして自身の一部をくわえ込む女陰を鮮烈に見る。
耳が、尼僧と少年の息づかい、言葉の合間に微かに混ざる喘ぎ、耳の奥を流れる血液、そして二人の陰部が奏でる粘液を掻き回す音を聞く。
鼻が、尼僧と少年の体をしっとりと濡らす汗、地下室に籠もった湿り気と黴の臭い、シーツに染み着く彼女の体臭、そして彼女の股間から立ちこめる濃密な雌の匂いを嗅ぐ。
舌が、自身の唾液の味と、先ほどの抱擁の際に舐めた僧衣の味立ちくらみ特有の痺れの味、そして空気越しの尼僧の肌の味を転がす。
肌が、シーツの布地と一枚隔てた藁の堅さと柔らかさ、自身に跨る尼僧の尻の柔らかさ、そして吃立に絡む幾重にも重なった肉の感触に触れた。
そして、五感で感じ取った尼僧に、少年の意識は弾け白く塗りつぶされていった。
腹の奥で渦巻き続けていた欲望と興奮がそれと分かるほど形を取り、体奥から出口を求めて暴れ回る。そしてごく僅かな通り道を押し広げ、半固形化した欲情が体内の敏感な粘膜をごりごりと擦りながら通過していく。
やがて体内の膨張と暴れ回る奔流が肉棒に達し、ついに先端から迸った。
「っっっっ!!」
口を開き、声にならぬあえぎ声と絶叫をあげながら、少年はシーツを握りしめ体を震わせた。
尼僧の体内に、少年の興奮によって煮えたぎった体液が注ぎ込まれていく。
「っ!」
迸り予想していたとはいえ、予想以上の勢いと熱に、尼僧は軽く身をのけぞらせて息を漏らした。
膣の入り口から半ばまでにようやく届くかどうかという肉棒で、やや欲求不満を覚えていた膣が、注がれる体液によって震えていた。
彼女は、意識の内から力を抜き、体奥より生じる快感を素直に受け入れた。
少年に遅れて、尼僧も軽い絶頂へ誘われる。
心地よい解放間が彼女の脳裏をくすぐり、甘い痺れが全身に広がった。そして、十数度の脈動と迸りを挟んで、少年の絶頂が止まった。
「っはぁはぁはぁはぁはぁ・・・」
絶頂の終焉とともに、彼は全身の硬直を解いて荒く呼吸を重ねた。
顔は朱に染まり、口からは涎が一筋溢れ、その両目からは随喜の涙が流れていた。
「ふふふ・・・」
両足の下、快感に打ち震える少年の姿に、尼僧の胸の奥で満足感めいたものが芽生える。
彼女のもたらすあまりの強烈な快感に、少年の肉体はついに雄としての役割を果たせるようになったのだった。
だが、尼僧がようやく雄となった少年にかけたのは、賞賛の言葉でもねぎらいの言葉でもなかった。
「あーあ、出しちゃった・・・」
少しだけ咎めるような意図の籠もった尼僧の声音。
彼女の言葉は、精通を迎えて幾ばくかの冷静さを取り戻した少年の脳裏に、冷水のように染み入っていった。
興奮と衝動の熱にぼやけていた意識の芯が冷やされ、自分が何をしてしまったのかを理解する。
肉棒から迸ったのは・・・
「分かる?おちんちんから出たの、おしっこじゃないわよ?」
「ひぃっ!?」
彼女が腰を回すと、固さを保ったままの吃立が白濁と愛液を掻き回した。
射精を迎えて、敏感になった彼の肉棒から辛く感じるほどの刺激が生まれる。
だが、尼僧は快感に身悶えする少年に向けて、言葉を連ねた。
「君が出したのは、精液。赤ちゃんの素。オトコノコがオンナノコの中に注ぐと、赤ちゃんが出来るって説明したでしょ?」
言葉混じりに、少年が胎内に注ぎ込んだ粘液の存在がよく伝わるよう、彼女は腰を揺すった。
「ひぅ・・・!」
「ふふふ、これで私と君の赤ちゃんが出来るのよ・・・おめでとう、パーパ♪」
パパ、という呼びかけに、少年は改めて自分の行為の意味を自覚した。
「その歳でパパになると大変よ・・・私は教会を辞めなくちゃいけないし、君も私と赤ちゃんのために働かなきゃいけない。それに、その歳で女の人をはらませたと分かったら、君のお父さんとお母さんも怒って、きっと君を家から、いえこの町から追い出すわよ・・・」
町から追い出され、教会を辞めさせられた尼僧と子供のために働かなければならない。
働く、ということさえ碌に理解できていない少年にとって、彼女の紡ぐ言葉と自分の肩に乗った責任は、余りに重すぎた。
「う、うぁ・・・うぅ・・・」
両親が怒り、家から追い出されるという部分に、彼は寒空のも徒歩売り出される自分を連想し、目元に涙を浮かべた。
「泣いてるの?泣きたいのは私の方よ・・・」
涙を浮かべる少年に対し、嗜虐的な悦びを覚えながら、尼僧は繋がったまま言葉を繋げた。
「ついさっきまで子供だったオトコノコに精液注ぎ込まれて、無理矢理赤ちゃん作らされて・・・君の赤ちゃんを産むのは私なのよ?この教会も辞めなきゃいけないし・・・」
一言一言がゾクゾクする快感を彼女にもたらし、少年にぶち壊しになったのは彼の人生だけではないことを自覚させる。
だが、まだ幼い少年の手に余る状況に、彼は涙を流すしかなかった。
「だけど・・・一つだけ赤ちゃんが産まれない方法があるのよ・・・」
「うぅ・・・う・・・え・・・?」
尼僧の言葉に、彼は涙を流しながら声を上げた。
「知ってる?魔物は人間の精液を食べるの。だから、赤ちゃんができる前に、私が魔物になって君の精液を全部食べてしまえば・・・」
尼僧と少年の間に子はできず、二人の人生も守られる。
混乱していた少年でも、その事実は理解できた。
「ど、どうすれば・・・!?」
「ふふ、簡単よ・・・」
尼僧の提案に食いつく少年に、彼女は笑みを深めた。
「魔物よ、僕の精液を飲み干してください、ってお願いすればいいのよ・・・」
「魔物よ!僕の精液を飲み干してください!」
間髪入れず紡がれた、少年の召喚の言葉に、尼僧は胸中で苦笑した。
「・・・心得た・・・」
内心の苦笑が外に滲まぬよう、重々しい言葉遣いで彼女はそう言い、日常的に己にかけていた魔法を解除した。
一瞬、尼僧の全身が光を放ち、辺りに弱い風が吹く。
「っ!?」
目を灼き、顔を撫でるそよ風に、少年はとっさに目を閉じた。
「ふふ、私を見なさい・・・」
目蓋越しに響いた尼僧の声に、少年がゆっくり目を開く。
ランプの光に照らされ、少年にまたがり勃起をくわえ込んでいたのは、尼僧と同じ顔をした魔物だった。
背中に届く藍色の髪の間からは捻れた角が延び、背中からコウモリのような羽が肩越しに広がっており、その向こうでは先端に返しのついた黒い尻尾が揺れていた。
神父の説教で幾度も聞いたことのある魔物。それが尼僧の顔で少年に跨っていた。
「うわぁぁぁ!」
実際に目にした魔物への驚きに、少年は思わず声を上げた。
だが、悲鳴が十分な大きさになる前に、少年の肉棒を包み込む膣壁がもぞりと蠢いた。
「あぁっ・・・」
吃立を撫でる軟らかな肉の感触に、少年は悲鳴を喘ぎ声に変えた。
「せっかく魔物になってあげたのに・・・怖かったの?」
体奥を締め、緩めながら、尼僧が問いかける。
「君が望んで、君が呼んだから現れたのに・・・もしかして帰ってほしいのかしら?」
上半身を倒し、少年に覆い被さるようにしながら続ける。
「そしたら君と私の間に赤ちゃんが産まれるわ・・・」
「っ!い、いやだ・・・!」
魔物への恐怖に、父親になるという未知への恐怖が並び、少年に幾ばくかの冷静さを取り戻させた。
「だったら、私になんて頼めばいいか・・・分かるわよね?」
「・・・・・・」
尼僧の求める一言は、少年の内側に既にあった。
だが、今ここでそれを口に出すというのは、魔物と取引をするということだった。少年の内側で、二人分の人生を損なうことへの恐怖と、魔物への恐怖を乗せた天秤が揺れ動く。
だが、天秤は以外と早く一方に傾いた。
「お願いです・・・赤ちゃんが出来ないように、僕の精液を飲んでください・・・!」
「はい、よく言えました」
尼僧はにっこりとほほえみ、膣内を波打たせた。
注ぎ込まれていた、ゼリー状に半ば凝固した精液が、彼女の膣奥へと啜り上げられていく。
だが、それは同時に少年の肉棒に苛烈な愛撫を加える動きでもあった。
「うぁああっ!?」
肉棒の根本を締め上げられ、根本から先端へと幾度も幾度もなで上げられるその動きに、少年は声を上げた。
一度の射精を経て、二種類の恐怖に相対してもなお、固さを保っていた勃起が直接的な粘膜の動きにさらに固くなる。
人差し指ほどの大きさながらも、一丁前に反り繰り返り、締め付けてくる膣壁をびくびくと揺れて押し返す。
胎内の心地よい震えに、尼僧は思わず小さく声を漏らし、膣壁を震わせた。
「で、でちゃ・・・あぅぅ・・・!」
言葉の半ばから、泣き声めいた喘ぎになりながら、少年は再び尼僧の下でピクピクと全身を戦慄かせた。
肉棒が一際大きく震え、人生二度目の射精が始まる。
魔物のそれとなった尼僧の肉体は、新鮮かつ濃厚な精液の味わいに打ち震え、自然とさらに啜り取るべく膣襞を蠢動させた。
「あ、あぁ!しすたぁ、や、やめ・・・!」
途切れ途切れに少年は懇願するが、尼僧は止める気はなかった。
「なあに?君の方から呼び出しておいて、もう止めてくれ?ほんの二口ぐらいじゃ、食べた内に入らないわよ」
覆い被さるようにしていた姿勢から身を起こし、彼の腰の上に上半身を立てながら、彼女は続けた。
「それとも、パパになってみたくなったから、精液を飲むのを止めて欲しいってことかしら?」
「ちっちが・・・あぅ!」
太股に力を込め、小さく腰を回してやったところで、少年の言葉が断ち切られた。
蠢動する膣粘膜の圧迫感が、腰の動きによって急変したからだ。勢いよく肉壺を掻き回す感触は、少年の勃起の凹凸を不均等に刺激した。
「ぎ、ぎもぢよすぎで・・・また、でちゃ・・・!」
「我慢せずに出していいのよ。どんどん飲んであげるから」
愛液と射精の残滓の混ざったものが、ぐちゃぐちゃと粘つく音に混ざって、尼僧は微笑んだ。
「あ、ああ・・・!」
少年を三度目の絶頂が襲い、白濁が彼の尿道を擦りながら膣奥へと迸っていく。
注ぎ込まれる粘液に、彼女の下の口は一滴も漏らさぬよう肉棒を締め上げ、啜った。
「ふわ、あ、あ、あ・・・!」
粘膜の吸い付く感触に、少年が上擦った悲鳴を上げる。そして彼の射精が強制的に引き延ばされ、半ば無理矢理二度目に劣らぬほどの精液を搾り取られた。
「ふふふ、もっとよ、もっとよ・・・」
尼僧は顔を上気させ、腰をくねらせながらそう誰にともなく言った。
少年にもっと射精しろと促しているのか、自分自身にもっと注いでもらえと言い聞かせているのか。本人でさえ定かではなかった。
彼女は少年の上半身を覆い隠すシーツに指を伸ばすと、それを握って引き剥がした。
布地の下の少年の裸身が露わになり、閉じこめられていた体温と体臭が、地下室いっぱいに広がる。
「ああ・・・!」
少年の、くらくらするような汗の香りに、尼僧は声を漏らしつつ体をくねらせた。
すると彼女の胎内で肉棒が折り重なる襞に愛撫され、四度目の絶頂に向けてまた一歩上り詰める。
胎内を甘く刺激する人差し指ほどの異物に、彼女は乳房を揺らせながら腰を揺すり続けた。
びくん、びくん、と膣内で少年の肉棒が脈打ち、それに呼応するように彼の頭の内側で心臓の鳴る音が響いた。
そして、もはや痛いといっても過言ではないレベルの快感の嵐に、少年の意識が四度目の限界を迎える。
腹の奥と睾丸に鈍痛を生じさせながら、精液が搾り出される。
「う゛ああ、あぁああああ!」
絶叫めいた声を上げながら少年が震え、遅れて尼僧の身体も悦びに震えた。
もっと、もっと、もっと、もっと。
彼女の頭の奥で、何者かが尼僧と少年に向けて声を掛けていた。
「ほらほら、少し量が減ったわよ・・・頑張って・・・!」
「も、もうゆるじでぐだざい・・・!もうでない・・・!でまぜん・・・!」
尼僧の催促に、少年が濁った声で返した。
もとより無理矢理精通させられたため、精子の製造能力などほとんどないに等しいのだ。
むろん彼女はそんなこと分かっていたが、止めるつもりはなかった。
「精液を飲み干して欲しい、って言ったのは君でしょう?だから二度と精液が出ないように、今ここで一生分を飲み干してあげるのよ」
汗と涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった少年の顔に、恐怖が宿る。
「一生分の精液を飲み干して、君のタマタマを皺だらけの干物にしてあげる。これでこれから先、一生赤ちゃんが出来る心配がなくなるのよ?よかったわねえ」
「い、いやだぁ、いやだぁ!」
事実上の去勢に対し、少年はを覚えながら叫んだ。そして彼の意志に連動し、去勢される前に子孫を残さんと肉棒が震えた。
いくら射精したところで、尼僧の胎内に啜り取られ、赤子など出来るはずもないと言うのに。
「やだぁ!やめて、やめてぇ!」
快感に性器を震わせながら、必死に懇願する少年。
彼の姿に、尼僧の胸中に興奮が溢れる。
「あぁ・・・!」
彼女は両手で自分の乳房を掴みながら、ばさりと背中の翼を大きく広げた。
乳房に食い込む指先が、甘い疼きを彼女にもたらし、広げられた翼が満たし切れぬ膣奥のもどかしさを紛らわせる。
泣き叫ぶ少年に跨り、翼を広げ、恍惚とした表情を浮かべる尼僧。
その後ろ姿は、まるで絵画の獣そのものだった。
「あぁぁ!あぁっ!あ、あぁ!」
獣の絵画に描かれた聖女のように、少年は叫び声をあげて許しを懇願する。
だが、その一挙一動さえもが、獣たる尼僧の興奮を煽り、堪え難い快感をもたらした。
そうだ。あの絵は聖典の一節を描いたものではなく、強者による弱者の蹂躙への悦びを描いたものなのだ。
尼僧は少年の淡い想いを蹂躙し、密かに抱いていた欲望を蹂躙し、性の目覚めを蹂躙し、初めての性経験を蹂躙し、精通を蹂躙し、その後の人生を蹂躙した。そして今、彼の子々孫々に連なる可能性を蹂躙しようとしている。
たった今、彼の睾丸が使いものにならなくなるまで精液を搾るだけで、先祖代々連綿と続いた彼の家系が絶えてしまうのだ。
暗い悦びの炎が彼女の脳裏で燃え上がり、乳房と陰部からの快感をより大きいものにする。
そして、少年の吃立の鼓動が大きくなり、彼女の意識が燃え上がるにつれ、尼僧は自分の胎内で何かが動くのを感じた。
子宮が、直に精液を飲もうと下がってきているのだ。
「あ、ああああっ、あっ!?あ、ああ!?」
包皮の先端から顔をのぞかせる亀頭に触れた、コリコリと弾力のある何かに、少年の喘ぎに疑問が混ざる。
しかし尼僧は彼の疑問に答えるより前に、子宮口を亀頭に吸い付かせた。
包皮の間からのぞく鈴口と、僅かに緩んだ子宮口が接吻を交わし、子宮が尿道を吸った。
「あ、あ、あああああ!でる、でる、でるぅぅううう!」
声を振り絞りながら身体を震わせ、少年は絶頂に引き上げられた。
人生で五度目の、最後になるかもしれない射精。
その事実は、否応なしに少年の肉棒を励起させ、精液を搾り出した。
四度目はもちろん、三度目や二度目、下手をすれば精通の瞬間を上回るほどの勢いと量で、白濁が尿道を掛け上っていく。
尼僧の子宮は、子宮口を窄めて鈴口に吸いつき、白濁が迸るより先に啜り上げていく。
尿道から白濁を吸い上げられるその感触は、直接睾丸から精液を飲み干されているようだった。
「ああああ!や、やだぁあああ!やめでぇぇ!」
尼僧の足の下で、少年扮する聖女が懇願しながら絶頂する。しかし獣は少年のもたらす快感と興奮に身を任せ、恍惚としながら胎内を蠢かせ、精液を啜った。
そう、獣は生まれるはずだった赤子を食らっているのだ。
「ああ、あ、あぁぁ・・・!」
徐々に射精の勢いが弱まり、少年の声に絶望の色が混ざる。
今放っている精液が終われば、彼の精は枯れ果ててしまうのだ。
「あ、あぁぁ・・・あ・・・ぁ・・・」
そして、最後に数度肉棒を小さく痙攣させてから、少年の射精が止んだ。
絶頂に突き上げられていた彼の精神が平静を取り戻し、連続した絶頂の疲労と絶望感に、彼は眠るように気を失っていった。
「ふふふ・・・眠っちゃったのね・・・」
泣きはらした少年の寝顔に妙な満足感を覚えながら、尼僧はそう呟いた。



しばらくの間をおいて、少年は目を覚ました。
結論から言うと、少年の睾丸は枯れ果てておらず、単に貯め込んでいた精液をすべて放ってしまっただけのことだった。
少年は自分の生殖能力が残っていることに安堵し、角と翼を隠した尼僧から欲望のまま振る舞うことへの危険を窘められた。
そして、二人で「無くしものをしたので探していた」と口裏を合わせてから、尼僧は少年を帰した。
「ふふふ・・・」
教会の玄関と礼拝堂の間を箒で掃きながら、尼僧は低く笑った。
彼女の脳裏には、泣き喚きながら懇願する少年の姿が浮かび上がっていた。
あの瞬間、尼僧は獣で少年は聖女だった。
獣の絵は、男が奥に秘めている欲望について描きあげたものだとされているが、尼僧の考えは違う。
あれは、強者の悦びを描いたものだ。弱者をいたぶり、その恐怖を我が物として燃え上がる強者の悦び。
絵を見たときから、尼僧の体内でくすぶっていたその悦びに、彼女は頭の先まで浸かった。
熱湯のような興奮は、彼女の精神をたぎらせ、くすぶりを燃え上がらせた。
尼僧の心を満たしているのは、満足感だった。
「ふふふ・・・」
彼女が低く笑みを漏らしたところで、教会の玄関が開いた。
「おはようございます」
「あら、おはよう」
教会に入ってきた少年に、彼女はそう挨拶を返した。
「今日は聖歌の練習はないはずだけど・・・?」
「シスターの掃除を手伝いにきたんです」
言葉の内に興奮を滲ませながら、少年は彼女に答えた。
もちろん、掃除の手伝いなど方便にすぎないのだろう。
尼僧は透けて見える彼の本心に、笑みを浮かべた。再び聖女が獣の元に来たのだ。
「ありがとう。でも大丈夫よ」
尼僧は内心の興奮を表に出さず、やんわりと断りを口にした。
「そ、そうなんですか・・・?」
まさか断られるとは思っていなかったのか、少年の言葉が震える。
「何でもします・・・だから・・・」
「気持ちはありがたいけど、今日はやってもらいたいことはないのよ」
「そんな・・・」
少年から視線を外し、横に向けると獣の絵が目に入った。翼を広げる獣の足下では、女が懇願するような目で獣を見上げていた。
「・・・今日は帰りなさい」
尼僧は絵画から少年に目を戻しながら続けた。
「また、聖歌の練習の後で、ね・・・?」
「・・・!」
尼僧の言葉に、少年は顔を輝かせた。
「じゃ、じゃあ今日は帰ります!また今度!」
言葉を震わせながら、少年はそう挨拶の言葉を口にし、教会の玄関を飛び出した。
尼僧は箒を手にしたまま玄関に向かうと、駆けていく少年の背中に向け、小さく手を振った。
欲するまま火をつけるより、くすぶらせた方が炎はよく燃え上がる。
自身も内心に疼きを抱えたまま、静かに少年を見送った。
玄関に向かうかの女の隣、壁に掲げられた額縁の中では、大地を踏みしめる獣が翼を広げていた。

12/08/14 09:56更新 / 十二屋月蝕

■作者メッセージ
この作品には挿し絵があります。タイトルでイメググってください。
最近読んだ「怖い絵 泣く女編」でブレイクの「大いなるレッドドラゴンと日をまとう女」を見て、触発されました。
同じ作品を下敷きにした作品としては、レクター先生シリーズの「レッドドラゴン」があります。
あの絵は、男の欲望を描き出したとされていますが。弱者を蹂躙する楽しみは男女共通の物だと思います。
というわけでシスターサキュバスによるショタ蹂躙でした。
あと、女の子みたいなショタのアナルを開発してメス化するのもいいですけど、女の子みたいなショタを全力で雄覚醒させてやるのもいいと思います。

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