読切小説
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背徳なんか怖くない
 稲嶺 遼一郎は夢を見ていた。
 まだ彼が家族とともに暮らしていた時代、いろいろ苦しいこともあったが幸せだった時代の思い出を継ぎ接ぎしたような夢だった。
 可愛い、本当に可愛い自分の娘、幼い頼子と一緒に無心に遊ぶ夢はとても安らかで満ち足りたものであり、それだけに目覚めた後の寂寥感は並々ならぬものがあった。
 一人で寝るには大き過ぎるベッドの上で目覚めると、妻も子ももう居ない、何年も前に遼一郎を置いて出ていってしまい、今は大きな家を一人で持て余しているだけという、出来れば認めたくない現実があった。
 普段よりも30分ほど早く起きてしまい、思わず嘆息を吐く。
 また今日も、自分一人で味気ない朝食を摂り、嫌々会社へ出勤する一日が始まる。
 かつて、家族を養うために働いていた頃の英気は既に失われて久しく、またその仕事のために時間を費やしすぎ、結果として妻に捨てられたという過去が、彼の意欲を大いに削いだ。
 沈鬱な気分を抱えながら遼一郎は着替えて通勤に備える。護るものなしに生きることの虚しさは四十手前の独身男にとって酷く耐え難いものだった。
 今朝の夢に出てきた娘、頼子は今頃どんな女になっているだろうか。
 妻と別れた時以来会っていないせいか、夢の中で見た時にはまだまだ小さかったが、あれから長い時間が経った。女の子のこと、今もし会えたら、きっと見違えるほど綺麗に成長しているに違いない。記憶が正しければ、確か今年で高校生の筈だ。
 自分と別れた妻、どちらに似ているのだろうか。道を踏み外すこと無く、健やかに育てているだろうか。そんな物思いに耽っていると朝の時間は瞬く間に過ぎてしまう。
 胃に食べ物を詰め込み、身だしなみを整えて彼は渋々家を出た。

 仕事を終えて、待つ者も居ないがらんどうの家へ帰り着く。コートを脱いでネクタイを解き、買ってきた安いコンビニ弁当を温め直そうとしていると、不意に呼び鈴が鳴った。
 受話器を取ってみたが、ドアホン越しの訪問者は何も答えない。いたずらかとも思ったが、微かに聞こえる息遣い、抑えきれない含み笑いのような声がどこか気に掛かり、玄関の扉を開けた。
 一瞬、昔の妻が帰ってきたのかと錯覚した。
 くりくりして大きな、可愛い両目。いたずらっぽく釣り上がった口角。少し尖った、小さな唇。腰までの長さがある、綺麗な黒髪。名前を呼びかけて、ぎりぎりのところで思い留まった。
 初めて会った時よりもなお若い、妻によく似た制服少女。想像していた以上によく育っていた娘の名を呼ぶのに、何故か緊張を強いられた。

「……頼子。久しぶりだな」
「やっほ。遊びに来ちゃった。……入って、いい?」
「ああ、もちろん。ここは……ここも、頼子の家だからな」

 今、彼の眼の前に居る、今時の女子高生らしく発育の良い少女が幼かった頼子となかなか重ならず、遼一郎は下唇を噛んだ。
 居間に上がった頼子は置いてあったコンビニ弁当を見るや顔をしかめ、自分が料理をすると言い出した。遼一郎の遠慮も気にせず、冷蔵庫に残されていた食材でちょっとした夕飯を仕上げてしまった。

「さ、パパ。冷めない内に食べちゃおうよ。コンビニ弁当よりは、きっと美味しいと思うから」
「あ、ああ、頂く。ありがとうな……」

 寂しく虚しい日々に、突如現れた癒し。遼一郎は涙を堪えるのがやっとだった。

 感傷を悟られないように顔を上げ、立派に育った自分の娘を見る。
 頼子は、背こそ伸びたが手足や肩幅などはまだまだ未熟で、細くたおやかで如何にも少女らしい。
 でありながら、胸だけは大人を遥かに超えるほど大きく成長しており、セーラー服の下から激しく自己主張をしている。そんな彼女と会話するのは、相手が娘であると認識していてもなお、どこか慣れないものがある。
 温かい手料理で心満たされながら、彼は尋ねた。

「だが、どうしていきなり来たんだ? なにか相談でも、あるのか」
「んーん、そんな深刻なことじゃないよ。私、この近くの高校に通い始めたんだけど……なんか、景色が懐かしくって。パパに会いたくなってきちゃって」
「そうか。……母さんは、何も言わなかったのか?」
「うん。昔は、パパに近づくなとか、もし会いに来られたら逃げろとかうるさかったけど……今は全然。自分のレンアイに忙しいみたい」

 かつて愛した女が別の男とよろしくやっているという事実は遼一郎の心を微かに疼かせたが、それよりも母のことを語る頼子の寂しげな表情の方が気掛かりだった。
 もしかしたら、母親の男が彼女にストレスを与えているのかもしれない。この間まで中学生だった女の子にとって、見知らぬ大人の男が家族として自分に接触してくるような事態は、きっと耐え難いものだろう。
 相手の男にも、もしかしたら子供が居るかもしれない。母親が男や男の子の方ばかり見て、頼子の相手をしなくなったとしたら、それは確かに寂しかろう。長年会っていなかった父親に縋りたくなっても、何もおかしくはない。
 久しぶりに会えた我が娘の成長ぶりをただ喜んでいた自分が急に浅はかに思えて、思わず遼一郎は目を伏せた。

「あ、ええと。そうそう。私、最近バイトを始めたんだよ。学校の裏の神社で働いてるの。巫女さんの衣装、着て見せてあげよっか」
「自分で金を稼いでるのか。偉いな、頼子は」

 養育費は、別れて以来欠かさずに十分な金額を送り続けている。頼子の母親が浪費しているのでもない限り、女子高生に与える小遣いには事欠かないはずだ。
 それでもなお頼子がアルバイトをしているのは、もしかしたら家に居場所がないからでは、と遼一郎は推測した。
 ともかく、娘に頼られるのは父親として悪い気分でない。自分にできることなら何でもしてやりたいという思いを新たにした。

 結局その日、頼子は終電が無くなる前に遼一郎の家を出た。
 母親へちゃんと連絡していたのかは定かでなかったが、女子高生がみだりに外泊するというのも物騒な話である。
 駅まで送って行って、そのまま別れた。改札機の向こう、名残惜しげに振り返った頼子の表情がとても寂しそうで、身体は育ったのに心は離婚したあの日のまま変わっていないように思えて、胸が痛んだ。
 それ以来、頼子は度々遼一郎の家を訪れた。週に数回、恐らくアルバイトが無い日の夕刻から夜が更けるまで、夕食を作ってくれたり掃除をしてくれたり、また他愛のない話をしたりして時間を潰していく。
 男やもめに蛆がわく、とまでは言わないがやはり独身男の世帯らしく、全体的にむさ苦しかった遼一郎の家が、頼子が来るようになってみるみる綺麗になっていったのは家主としても感慨深かった。

 その内に、彼女はなんやかやと理由をつけて泊まっていくようになった。
 より長く一緒の時間が持てて、しかも夕食のみならず朝食まで用意してもらえるというのは遼一郎にとって非常に嬉しいことだった。が、それでも一応親権は母方にあることだし、きちんと連絡して許可を取るように言ってみた。
 頼子は酷く悲しげに、捨て鉢な感じに答えた。

「別にいいよ、そんなの。どうせ私のことなんか、大して心配してないよ」
「本当か? いくらなんでも、そんなこと……」
「パパに嘘なんか、吐かないよ。そんな事言うんだったら、今日はパパが電話してみればいいじゃない」

 確かにここ最近、頼子と遼一郎は三日と置かずに会っている。現保護者に、挨拶の一つも無いのは悪いだろう。頼子の携帯を借りて、その日の晩、久しぶりに妻に電話した。
 長いコール音の後、妻が応答する。頼子との事情を伝えると、いかにも面倒くさげな声が帰ってきた。
 
『……ああ、そう。あなたのところに行ってたのね』
「行ってたのね、ってのは何だ。娘がどうしてるか、把握していなかったのか」
『知らないわよ……私は忙しいんだから。あなたと一緒にしないで』

 受話器の向こうから、知らない男の声が僅かに響いてきている。どことなく品の無いその声に辟易していると、妻が言った。

『とにかく。あなたが管理してくれてるなら助かるわ。どこか変なところで悪い奴らとつるんで、警察の世話にでもなったらこっちが面倒だもの』
「お前……その言い草は何だ。親だろうが」
『うるさいわね、文句言うならあなたが世話すればいいでしょ。私には私の人生があるのよ』

 勝手な言い分に憤りを抑えきれず、遼一郎は別れの言葉も告げずに通話を打ち切ってしまった。少し不安げな頼子に携帯を返しながら、微笑みかける。

「……ママ、何か言ってた?」
「いや、なんでもない。頼子が俺の家にいても全然問題無いって、そう話しただけだ」

 離婚して変わってしまったのか、それとも彼女の素が元からあんな感じだったのかは分からないが、どちらにしても今の妻に頼子を任せておく訳にはいかない。
 娘に安心して欲しくて、居場所はあるのだと伝えたくて、優しく頭を撫でた。

 翌日から、母親の許可も手に入れた頼子はますます遼一郎の家に入り浸るようになった。
 いつの間にか着替えや学校の制服、バイト先で使う巫女装束なども持ち込み、母親の元へ戻らなくても生活していけるようにしてしまっていた。
 変わったのは生活面だけではない。
 母親に放置され気味でずっと寂しかったのだろう、それまで以上に頼子は遼一郎に甘えてくるよになった。
家の中でもいつも一緒に居たがったり、手を繋いだり抱きついたりといったスキンシップが増えたりした。
 事あるごとに「パパが好き」「パパと一緒に居たい」と言ってくる彼女は昔の妻よりも若く豊満で、あまりベタベタされると色々と危ないのだが、全く聞き入れようとしない。
 最初のうちは彼女の人恋しさを癒してやりたくて、できるだけ娘の求めには応じていた遼一郎だったが、長く続くにつれて少しづつ不審を抱き始めた。
 例えば、一緒に夕食を食べる時、ただ食べるのではなく食べさせたがったり、また食べさせられたがったりする。
 背中から抱きつく時に、必要以上に胸を押し付けているような気がする。腕を抱く時、胸の谷間に下腕を挟みたがっているような気がする。
 パパに耳掃除をするといって膝枕をしたとき、妙に息が荒くなりスカート奥で水音が鳴っていたような気がする。
 ふざけているような振りをして、耳たぶにキスしてきたことすらあった。
 思春期の娘が父親にしたがるような行動では、決してない。長い間孤独を感じていて、久しぶりに構ってもらえる相手が見つかって嬉しくなって、その感情がなにか別の、親子の間であってはならないものとすり替わってしまったのではと、遼一郎は訝しんだ。
 普通に考えればありえないことだが、ちょっと遼一郎が離れたりすると酷く寂しそうにする頼子を見ていると、何かただならぬ思いを抱いているのではないかと疑いたくもなる。
 彼の疑いはある夜、頼子が一緒に風呂に入りたいと言い出した時、一気に高まった。

「ねえ、いいでしょ? 昔みたいに、一緒に入ろうよ」
「お前、もう高校生だろう。親と一緒に風呂なんて」
「いいんだよそんなこと。親子なんだから、関係ないよ」
「関係ないことない。赤ちゃんじゃないんだから、風呂は一人で入れ。いいな」
「パパの身体、洗ってあげたいのに……」

 そう言って視線を逸らす頼子の様子がいかにも妖しく油断ならない感じで、遼一郎は警戒した。
 彼の予感は当たっていた。再三拒絶したにもかかわらず、頼子は遼一郎の入っている風呂に乱入してきたからだ。
 ちょうど頭を洗っていて視界が無い時を見計らったかのように浴室へ侵入してきて、背中を流すと言い始めたのだ。

「ねえ、パパ。いいでしょ? 私、パパに気持ちよくなって欲しいの。私の手で、私の身体で」
「馬鹿なことを言うな。そういう台詞は、将来の旦那さんにとっておけ……」
「分かってるよ。だから、今こうしてるの。ほらっ」

 泡を流して逃れようとした時、頼子は遼一郎の背中にしがみついてきた。華奢な身体に不釣り合いなほど大きな乳房を押し付けられて、思わず動きが止まる。
 娘のものだと分かっていても、若く美しい女のおっぱいを押し付けられては、なかなか平静を保てない。
 十代青少年と違って、節操無く勃起してしまう心配が少ないのは救いだった。

「ふふ。パパは、私のこと好き?」
「もちろん好きだよ、娘としてな……」
「そっかぁ。じゃあ、こんな事されても嬉しくない?」

 余裕が有るように装った、緊張を隠し切れていない声で頼子が言う。
 上半身を動かして若々しい乳房を背中に擦りつけてくる。まだ柔らかくなり切っていない、芯の残ったような未成熟な感触が背徳的だった。

「……だめ? 私、パパとずっと一緒に居たいよ……もう独りは嫌なの。パパだって、そうじゃなかったの?」
「お前を独りになんかしない。俺はお前の父親だからな。分かったら、こういうことはもう止めろ」

 勃起しそうになるのを必死に抑えながらでは、なかなか上手い言葉が出てこない。胸を押し付けるだけでは埒が明かないと判断したか、頼子はゆっくりと両手を前に回し、父親をもっと直接的に刺激しようとしてきた。

「パパは知らないだろうけど。私、もう戻れないんだよ。もう、パパ以外の誰も……」

 拘束する手が緩んだ隙を見逃さず、遼一郎は立ち上がって浴室を飛び出た。依然として視界は不十分だが、ずっと住んできた家を走り抜けるのに支障は無い。
 この先、自分の娘とどう付き合っていくか、何らヴィジョンも持たずに遼一郎は逃げ出した。
 細い視界の端、頼子の頭に獣の耳のようなものが見えたが、そのことについて考える余裕も無かった。

 娘に犯されそうな危地を何とか脱出したが、事態は全く好転していない。自室で寝間着に着替えて寝る準備をしていると、果たしてパジャマ姿の頼子が入ってきた。

「……独りじゃ、寂しいの。一緒に寝ていい?」
「……駄目だ。もっと自分を大事にしろ。お前は女の子なんだから」
「子供だから……パパと一緒に居られないの?」

 両眼に涙をいっぱい浮かべて、頼子はパジャマの胸元、ボタンを一つ外す。ブラジャーを着けていない彼女の上半身、薄いピンク色の生地は大きく盛り上がっており、その下にある胸の発育ぶりをよく示していた。
 胸をはだけて深い谷間を見せつけて、彼女は言う。熱に浮かされたような口調は、高校一年の女子には似つかわしくない色気に満ちていた。

「私、もう大人だよ。子供じゃないよ、ちゃんと見てよ。
 胸、ずっとパパのこと考えてたら、こんなに膨らんで……触って欲しくて、うずうずするの」

 もしこの台詞を言っているのが、血の繋がらない相手だったら。普通の、血縁も何も無い少女だったり、あるいはせめて義理の娘だったりしたら、遼一郎は誘われるままに貪っていたかもしれない。
 しかし相手は実の娘。自分の血を引いた女なのだ。それを自分から欲望のままに食い散らかせるほど、彼はまだ狂っていなかった。

「お前のことは愛してるし……可愛いとも、美人だとも思う。大して父親らしいこともしてやれなかったのによく育ってくれたって、嬉しくも思う。
 でも、それとこれとは別だ……俺はお前の想いには応えられない。応えては、いけないんだ」

 頼子の乳首はパジャマの下で勃起して、その小さくも卑猥な形を布に浮かび上がらせている。
 少しサイズが小さいのか、大きな肉塊で押し広げられたパジャマの前面、ボタンで止められた辺りは左右を強く引っ張られ、深く魅力的な谷間をちらちら見せている。
 まだ熟れきっておらず硬さを少し残した、いかにも少女らしい乳房の、そのハリのある肌や全く垂れること無くツンと上を向いた乳房が、遼一郎の理性を掻き乱した。

「どうして? どうして、いけないの? パパは、私の身体で興奮してくれてるのに……私としたいって、思ってくれてるはずなのに」
「理由なんかどうでも良い。俺たちは人間なんだ。どんなことがあっても、してはいけない事ってのが有るんだ」
「分からないよ! 人間だから、パパと一緒になれないの? だったら、人間なんて……!」

 頼子の周りの空気が一瞬揺らめき、浴室で見たような朧気な獣耳が頭頂に現れた。驚き怯んだ遼一郎を、不自然な素早さで頼子が組み伏せる。
 ベッドの上へ実の父親を押し倒した彼女には、紛れもなく獣の耳と尻尾が生えていた。

「なんだ、それは! お前、一体どうして……」
「これ? ふふ、これがね、私に一歩を踏み出す勇気をくれたの。親子で恋愛なんてしちゃいけないって……あっちゃいけないって思ってた私に、力をくれたの。神社の狐の、御利益なんだよ」

 ガスコンロの炎にも似た、青白く不定形な耳と尾。陽炎のようなそれはどう見てもこの世のものではない。
 明らかに異常なものを感じた遼一郎は娘を押しのけようとしたが、掴んだ右肩、昔手放した時と然程変わらない、柔弱で儚い身体が微かに震えているのを感じて、それ以上邪険にできなくなった。
 息を荒げ目を見開いて、瞳孔まで開き切って頼子は遼一郎の下半身から服を剥ぐ。
 実の娘の、年齢不相応に卑猥に育った肉体とそこから発せられる娼婦の如き淫気で、彼の男性器はここしばらく無かったほど硬くなってしまっている。
 ずっと昔、幼くて無邪気で、ただ可愛いだけだった頼子がこんないやらしい身体で誘惑してくるなど、遼一郎は想定していなかった。
 娘の歪んだ愛情に勘付きながらも、実際にこうして迫られてみると冷静さを失ってしまう。天使のように無垢な笑顔を浮かべていた昔と、欲情に曇った瞳を隠そうともしない今の落差が激しすぎて、ただ興奮することしか出来なかった。
 反り立った竿を見て少女は緩んだ笑みを浮かべる。

「……凄い、大きい。パパ、私の身体に興奮してくれてるんだ……うれしい。初めてだけど、頑張るから……いっぱい精液、出して欲しいな」
「ま、待て! こんな、おかしいだろう! 落ち着け、お前は何か……よく分からん物に影響されて、そんな風になってるんだ! 寂しかったのは分かるが……それは錯覚だ!」
「かもね。でも、それでもいいよ」

 パジャマの下とパンツを脱ぎ捨てて、薄い陰毛に覆われた女性器を晒す。
 頼子の陰唇はやはり処女らしく割れ目がぴっちりと閉じた、見るからに幼い雰囲気のものだったが、その若過ぎる膣から大量の愛液が漏れ出て、パンツと、更にその向こうのパジャマとの間に糸を引かせている。
 まだまだ子供だったはずの娘が魅せるアンバランスな欲情は遼一郎の理性を削いだ。

「影響されてても、造られたものでも、今のこの気持ちは嘘じゃないもん。パパが好きで、一つになりたいっていうのは、本当のことだもん。
 私にはもう、この想いしか無いの。だから、お願い……受け止めて、ね」

 下唇を噛み、膝立ちになった頼子は遼一郎を跨ぐ。
 パンツとパジャマが変色する程の粘液を垂らす陰唇に右手を添え、まだ誰も、何も受け入れたことが無いであろう女性器の入り口を広げる。恐怖を耐えるように一度身震いすると、そのまま一気に腰を落とし、実父の竿を受け入れていった。
 処女の膣は狭くてきつい。多すぎる程の潤滑液があっても、大人の男のものを挿入されて、成熟し切らない膣肉がめりめりと音を立てる。
 血こそ流れなかったが、頭上の娘は首を反らし息を詰まらせていた。

「頼子、大丈夫か!? 痛いだろ、早く抜け!」
「だい、じょうぶだよ、パパ……痛くないよ、嬉しいんだよ……だってパパの、こんなにおっきくて、気持ちいい……!」

 そのまま勢い任せに、頼子は騎乗位の体勢で腰を振り始めた。
 括約筋が膣壁を締め付けて、複雑な襞が遼一郎の男性器を激しく扱き上げる。
 がちがちになったものと全く使い慣れていない肉筒の間に愛液が絡んで、無理矢理に滑りを良くする。
 少しザラザラした感触と、かなり硬さの残る処女肉でカリ首を下から撫で上げられると思わず呻き声が漏れる。

「ぐっ……!」
「あ、ふふ、パパ、気持ちいい? 私のおまんこ、き、キモチいいんだ? ……イイよ、ふふ、もっと、ぴくぴくして……」

 妖婦の如き表情で涎すら垂らす頼子は騎乗位搾精に狂う。少女の体に宿った何か異質なものが、痛さも辛さも全て快感に変えてしまっているようだった。
 長らく女を抱いていなかった遼一郎に、少女の身体と娼婦の媚態を併せ持った頼子の責めは刺激が強すぎた。
 かつてしてきたどのセックスよりも激しく、しかも背徳的なこの交わりは彼の男としての欲望を煽り、親子で絶対に行ってはならない境地まで追い立てる。
 頼子を娘として愛する気持ちに嘘は無かった。久し振りに会って、見違えるほど成長していた時には驚いたが、それでも情欲が肉親の情を上回ることなど無かった。
 しかし今、彼は実の娘の処女を奪って生でセックスしている。誰か、大切な恋人に捧げる筈の初めてを、コンドームすら付けずに貪ってしまっている。
 もういい年なのに、性欲に押し流されてしまった自分が情けなくて、そんな自分とセックスしてしまった娘が可哀想で、彼は涙を流した。

「あ、あひ、イイ……あ、あれ、パパ、泣いてる……?」
「すまん……頼子、俺はお前を……こんなつもりじゃ……」
「はっ、はふ、ふふ……泣かないで、パパ。私は、パパにもキモチ良くなって欲しいの。キモチ良くなって、私の中に精液出して、妊娠させて欲しいの。
 だから、ね……わ、私のこと、愛してくれるなら……ナカダシ、して欲しいな……」

 親子で、血の繋がった父と娘の間で、膣内射精。絶対にそれだけは避けなければいけないと理性は叫ぶが、手足は動かない。
 頼子の膣が余りに気持ち良過ぎるせいでもあるし、娘を悲しませたくない、娘の希望はなんでも叶えてやりたいという思いもある。
 きゅぅきゅぅ締まる膣肉で苛まれていると、自分でも分かるぐらい、判断が易きに流れる。
 初物特有の、しこしこして初々しいおまんこで扱かれながら、それを跳ねのけるのは容易ではない。離婚以来ずっと一人暮らしで、人肌のぬくもりというものに飢え続けていた彼なら、尚の事である。
 何より遼一郎にとって致命的なのは、ぬくもりに飢えているのが自分だけではないと知ってしまっていることだった。
 よく分からない化物に影響されて、親の温かみを恋しく思う気持ちが止められなくなってしまったのだろうということは既に察しがついていた。寂しがり屋の娘を抱きしめて、わがままを聞いてやりたい気持ちが抑えられないのだ。
 愛と欲に追い詰められてもう限界な遼一郎に、頼子が囁く。腰の動きは留めず、唇を耳に寄せて優しく誘惑する。

「ね、パパ、わ、あひ、私もうそろそろ、い、いっちゃいそうなの……
 パパも、そろそろでしょ? 一緒にイこうよ。パパの生中出しで、ぅ、い、イきたいの」

 娘のことを思うなら、こんな誘いに乗ってはいけない筈だった。万一子供が出来てしまったら、頼子の将来を大きく歪めることになってしまう。有り得たかもしれない、平凡な、しかし幸福な人生が、永遠に失われてしまうかもしれない。
 それでも遼一郎は抵抗しなかった。彼は頼子を、受け入れた。
 ただ単に近親セックスが気持ちよかったから、というわけではない。
 熟練の淫婦のように乱れながらも、彼女の瞳の底に見捨てられることへの不安と恐怖が沈んでいるのを見てしまったからだ。
 身体を使う以外に男に媚びる術を知らない彼女が余りに不憫だったからだ。
 自分が妻と別れたせいで、娘にこんな、生き方を曲げる程の寂しさを与えてしまったという自責の念があったからだ。
 彼は娘の求めに応じた。犯される一方だった遼一郎はベッドのスプリングを使って自分でも腰を上下に振りはじめた。初セックスの快感に耽溺していた頼子は、下からの激しい突き上げに息を詰まらせる。
 絞りだすような切れ切れの喘ぎ声が却って彼女の悦楽をよく伝えた。

「ひ、これ、すご、い……! きもちい、パパの、ナカで、カタイよ……!」
「もう、駄目だ……!」
「出して、ナカ、子宮に、せーえき……! なか、中出し、ザーメン中出しして……!」

 何十回目かのピストンの後、頼子が深く男性器を咥え込み会陰同士が密着し、膣がひときわ強く閉まって子宮口が亀頭に吸い付いてきた時、遼一郎は頼子に屈した。

「あっ、い、で、出て、る! ぁ、熱い、せーし、いい! ……いく、ナカで、いっちゃ、うぅ……!」 

 耐えに耐えた果ての射精は失神しそうなほど激しい。ベッドシーツを掴んで歯を食いしばり頼子を見つめる。
 膣の一番奥、子宮へ親の精液を注がれる彼女は動きを止め頭を前に垂らして手足を痙攣させ、受精の快楽に感じ入っていた。
 きつく締まる膣の中で二度三度と精液が撒き散らされ、その度に淫肉が亀頭の弱いところを擦り、息が詰まるほど気持ちいい。
 永遠の様に長い一瞬の間、一回膣内に精液が流し込まれるごとに身体を震わせ、頼子と遼一郎は陶酔の極地にあった。

 射精が終わってしばらくした後、緩慢な動きで頼子は立ち上がり、股から父親の竿を抜いた。先走りと愛液と精液の入り混じった汚液が逆流して、シーツにシミを作る。
 力が抜けたようにぺたんと座り、虚ろな、しかしどこか真剣味のある声で頼子が言った。

「しちゃった、ね。私達、親子なのに……凄く気持ちよかった。頭真っ白になって……
 もう、これで表歩けなくなっても、みんなに避けられても、いいやーって思っちゃった」

 射精の後のけだるさを振り払い、上体を起こして遼一郎は娘の背を強く掻き抱いた。
 今、彼は娘のこと以外何も考えられなかった。実の親子で性交して、膣内に思いきり出してしまった罪の意識はもちろんあったが、それ以上に、ただ彼女を守りたいと、彼女と一緒にいてやりたいと思っていた。もし自分のせいで頼子が外へ出られなくなったり、いじめられたりするならば、命を賭してでも救ってやりたいと思っていた。

「ねぇ、パパ。パパは私のおまんこに中出しして、気持ちよかった? 私のこと、好きになった?」
「俺はずっと、お前のことを愛してたよ……頼子は俺の娘じゃないか、好きじゃ無い筈、無いだろ……」
「本当? 私のこと、好き? ずっと一緒にいてくれる?」

 頼子の表情が急に明るくなった。じゃあ、とばかりにベッドでうつ伏せになり、少し尻を持ち上げる。
 遼一郎に考える隙を与えず、誘いの言葉を発した。

「なら、今度はパパが私を抱いてよ。もう一回、今度はパパから私に中出しして。
 親子だからとか、そんな言い訳なんて出来ないぐらい、犯してよ……」

 膣口から白い粘液が垂れ落ちる。陰唇がまるで渇きを訴えるかのようにひくついて魅惑する。
 一度も二度も同じだと、本能が唆す。彼の中に確かにあった父性を塗りつぶす、娘の誘い。冷めかけていた興奮がまた煽られて、遼一郎は止まれなくなった。
 バックから歳相応に小振りな尻を掴んで、再び硬くなったものを添える。
 亀頭が埋まり、ごぽりと音を立てて膣奥から液が漏れ出るのを見て、そのまま一気に突きこんだ。

「ひ、やぁぁぁん! パパの、二回目なのに硬い、ステキ……!」
「はぁ、はぁ……頼子、なんで、お前はこんな……エロ過ぎるだろう、まだ15だろ!?」
「そ、そうなの、私、狐耳と尻尾が生えて、インランになっちゃったのぉ! だからパパのぶっといので、いっぱい種付けしてぇ!」

 実娘からの淫ら過ぎる誘惑で遼一郎の倫理観は完全に消え去った。一匹の雄として、眼前の若い、妊娠適齢期の雌を孕ませずにはいられない。
 頼子の耳と尾が先程よりもはっきりと見える。人間を辞めた娘とともに自分も獣へ落ちていくのかと思うと奇妙な清々しさを覚える。親子愛すら踏みにじる欲情が彼を狂わせた。
 精液と愛液でびしょびしょの膣は一回目の時よりももっと滑り、どんなローションプレイにも負けない気持ちよさで撫で責める。
 勢い任せに腰を振り亀頭を突き込むだけでも、眼下の少女は激しく喘ぎ、もっともっとと父親を求める。長く艶やかな黒髪が白い背中に広がって乱れる。汗ばんだ肌に数本の髪の毛が張りついている光景が例えようもなく淫らだ。
 高校生になったばかりの彼女の手足は細く身体は小柄で肉付きも控えめ、しかし胸だけは異常によく育ち、片手で掴み切れないほど大きなミルクタンクが存在感を示す。重そうに揺れるそれを弄らずにはいられない。
 バックで頼子を犯しながら右手を伸ばし、たわわに実ったおっぱいを思い切り揉む。指を乳脂肪に食い込ませながら人差指と中指の間に乳首を挟んで強く刺激すると、娘は悲鳴をあげた。

「いやっ、む、ムネ、いい……! もっと、もっといじめて、は、うぅぅっ……!」

 女性の象徴を節くれだった手指で荒々しく揉みしだかれて頼子が悶える。
 大きさだけは二十代のモデルやアイドルにも負けないくらいなのに、やはり若さのためか、そのおっぱいは見た目ほど柔らかくなく、触られ慣れていない乳腺が芯のように硬い。
 一見しただけでは分からない、見た目とは裏腹な初々しさが男の欲情をまた掻き立てる。
 表面付近はマシュマロのよう、しかし内側は強く反発してくるという感覚が生々し過ぎて、背筋がぞくりとした。

「い、いいよ、私のおっぱいに、したいことして……! パパのために、大きくしたんだから……!」

 後ろから犯され胸を揉まれ、こんな淫語を吐くエロ女が、かつてオムツを替えてやったこともある自分の娘だという事実が遼一郎を混乱させる。理性を流し去って、彼を獣欲だけの存在へと変えていく。
 もっと揉んで、セックスして、膣内射精して、この胸から母乳が出るようにしてやりたい。ぷっくり膨れて成熟したいやらしい乳首を思い切りいじめて、搾乳しながらイかせてやりたい。
 そんな想像をしていると、どんどん欲望が高まって物を考えることができなくなる。遼一郎がそうなりつつあるのを見計らったように、頼子は問いかけた。

「ね、ねえ、ぁひっ、わた、私のカラダ、気持ちいい? ママより、気持ちイイ!?」

 そんな、人の道に外れた質問も彼は拒否できない。快楽に飲まれ、思うがままのことを言ってしまう。

「ああ、いい、いいぞ! お前のママより、ずっと気持ちいい! 最高だ、頼子、愛してる……!」
「う、うふふふふ! 嬉しい、嬉しいよパパぁ! そ、そうだよ、ねぇ……! 今の私、ママが私を産んだ時より、若いもんねぇ……! ふっ、や、うふふ、くくくくっ!」

 優越感で頼子の瞳が濁っていく。瞳孔は開かれているが、そこには父親以外何も映らない。愛に憑かれて、近親姦の禁忌に耽る。遠慮も無しに若い肉筒にピストン運動を加え続け、限界の近づいた遼一郎が叫ぶ。

「もうだめだ、出る、中で、いいんだよな……!?」
「中、ナカダシがいい! 外はイヤ、中に、子宮の中に射精して、パパの赤ちゃん妊娠させてぇっ!」

 自分の血を分けた相手に子供をねだられて、彼の忍耐はとうとう潰えた。
 右の乳を握りしめたまま、思い切り腰を打ちつけて亀頭を奥まで届かせて、濃厚なザーメンをたっぷり膣内射精する。胎の中をまた精子で満たされて、髪を振り乱して頼子は絶頂した。

「い、いく、いくいく、またいっちゃう、らめ、うぅぅ……!」

 ベッドにくずおれ、中出しセックスのエクスタシーにただ流される。汗まみれのおっぱいがむにっと変形して、ひどく卑猥だった。

「ねえ、パパぁ……わたしたち、これからずーっと、いっしょだよねぇ……」
「ああ……どこへも行かない。お前に寂しい思いは、一生、させないからな」

 はっきり見えるようになった狐耳と頭を撫でてやると、頼子は気持ちよさそうに目を細めた。


 それ以来、頼子は母親の家には戻らなかった。ずっと遼一郎の家で寝泊まりし、学校にもそこから通うようになった。
 耳と尻尾は依然として生えたままだが、どういうわけか遼一郎以外には認識できないらしく、今まで通りの学生生活を送っているらしい。
 今日も、遼一郎が勤めから帰ってくると頼子が夕食を作って待ってくれていた。今へ向かうと、満面の笑みとともに疲れた彼を出迎えてくれる。

「おかえりなさい。お仕事お疲れ様です、パーパ♪」
「! お前、その格好は……」

 キッチンから出てきた彼女は、エプロン以外何も身に着けない、いわゆる裸エプロン・スタイルだったのだ。
 頬を染めて、エプロンの下、乳首を硬く勃起させながら狐耳美少女が言う。上目遣いになって、興奮を隠し切れぬ様子で男の夢たるフレーズを言ってくれる。

「これ、一回やってみたかったの。
 ねえ、パパ。ご飯にする? お風呂にする? それとも……私?」

 幼妻を抱き寄せて、遼一郎は思い切りキスした。
 唇を割り開き舌を挿し入れると、腕の中の娘が目を閉じる。彼女が自分に身を任せてくれていることが嬉しくて、白いエプロンで辛うじて隠された大きな胸を鷲掴んでしまう。
 この関係が間違いであってもいい。ただ頼子のためだけに生きられたならば、どんな罰を受けてもいい。それが、今の彼の全てだった。
13/11/17 00:00更新 / ナシ・アジフ

■作者メッセージ
姉、妹、母ときて今回が娘。これで近親ネタの主だったところはやり尽くしたことになりますね。
あとやってないのは実母くらいですが、実の母はさすがに……どうなんでしょう。まあ、気が向いたら書きます。

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