読切小説
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益荒男
阿修羅すらも凌駕すること




魔王城で私とお話しをしてみない?





魔界の皇女であるデルエラにそう誘われた時、私は柄にもなくぽかんとした顔をしてしまっていた。





彼女、デルエラとのファーストコンタクトや現在に至るまでの様々な大小の事件はともかく、そこそこ仲良くなれたと、私が勝手に自負していた頃のことだ。





あまりにぽかんとしている時間が長かったためか、しばらくしてデルエラは片手を振るっていた。





「あ、別にそんなに堅苦しいものじゃないのよ?、私が個人的に貴方と話がしたいだけだから」




そんなことを言うデルエラ、まあ男としては彼女のような美貌の魔物に誘われたとあっては男冥利に尽きるものだ。





魔界第四皇女デルエラ、魔王の娘の中でも極めて高い力を備えるリリム。





かのレスカティエを陥落させ、その名前(悪名も含む)を周辺に轟かせたのはつい最近のことだ。





親魔物は彼女に多大な敬意を、反魔物は彼女に過大な恐怖を抱く、恐ろしい一面を備えた魔物である。




しかし人間も魔物も、もしかしたら神族も、賢愚や善悪を兼ね備えるもので、生きていればその両方が忙しく顔を出してくる。



聖人でも悪に染まり堕落することは充分あり得ることであるし、悪人が更生して罪を償おうとすることも多分にある。



その理屈で言えば、デルエラのほんの一面を見ただけで彼女を知った気になるのは、言ってみれば、多面体のプリズムの一面しか見ていないようなもの。




もしくは現実世界で言うところの、ルービックキューブの一面だけを揃えて良い気になるようなものであること、すなわちナンセンスというわけだ。





私は知っている、彼女が人知れず自己を研鑽することを忘れずに学業や武術に打ち込んでいることを。





私は知っている、少しでも街をより良くするために、従者には内緒で正体を隠し、レスカティエの視察をしていることを。





私は知っている、妖艶な笑みが板についてはいるが、本当は女の子らしい、好物を食べた時の心からの笑顔が一番可愛いことを。





私は知っている、レスカティエ王城で働く全ての使用人の誕生日をしっかり把握している律儀さを。



無論、私が知っているような姿も彼女の一面に過ぎぬだろうし、それこそ彼女の全てを知るには産まれた頃からずっと観察しなければなるまい。



ここで肝心なことは、彼女は怜悧冷徹な魔王殿の使者でも、破戒の権化でもなく、本当は可愛い魔物だと言うことだ。



そんな風に彼女の別の姿を知っていたため、私はあまり物怖じせずに彼女と関わることができた。





それを評価してくれたのか、はたまた皇女らしい気まぐれか、とにかく彼女は私と良く話しをしてくれた。





自惚れかもしれぬが、私とデルエラは大層仲の良い友人、恋人未満の友人以上、とも呼べる仲だろうか。




ともあれ、そんな彼女からのお誘いだ、これを固辞するような者はエジプト、カイロでロールスロイスに轢かれても文句は言えようか?、いや言えまい。





勿論その後で、困った顔のデルエラに看病される展開があるならばまさに僥倖、生き恥を晒した甲斐もあろうものだが。




さて、今目の前でモジモジと私の反応を伺うこの可愛らしいマイエンジェル(天使にあらず)からの誘い、答えはもちろんイエスだね。





その旨を伝えると、デルエラはぱあっ、と雨上がりの美しい花々のような可憐な笑顔を見せてくれた。




なんと言う美しさ、これだけで彼女の提案を受け入れた甲斐があったというものである、簡単に言えばナイスな展開である。



その日は私が王魔界に至る明確な日にちを打ち合わせて、別れることになったが、しばらく私が緊張のあまりよく眠れなかったのは言うまでもない。








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一日千秋の思いで待ち焦がれた王魔界へ至る日、私は堂々と王魔界を歩いていく。




野郎に飢えた魔物も多数跋扈する魔界、特に魔王殿の膝下たる王魔界を無防備に歩くなぞ、普通ならやるべきではないが、このはやる思いはこの程度では止められぬ。




何らかの道理で私を止めるような者がいても、私の無理でこじ開ける。



王魔界ということで、周りには魔物がたくさんいるが、誰一人として私に関わろうとするものはいない。



当たり前だ、私の心はすでにただ一人のもの、それを汲み魔物らも私には手出しをしないのだろう。



何やら街中を歩く不審者を見るような目も混じっている気もするが、多分に私の被害妄想が入っているのだろう。




久しぶりにデルエラに会うため、昔見た競歩選手のような歩き方で街を闊歩しているが、愛しい者に早く会うために急ぐのは至極当然のことだ。




王魔界、それはリリムたちの母親である魔王殿が取り仕切る魔物たちの総本山でありデルエラの故郷でもある。




街の様子は落ち着いているが活気に満ち溢れており、人間も魔物も平和そうに過ごしている。



そればかりか、街中では所構わず人間と魔物のカップルたちがいちゃついており、胸焼けしそうな光景もあった。



これだけでも魔王殿の人格がわかるというものだが、レスカティエの街も似たような感じであったため、デルエラは魔王殿に倣った街づくりをしているのかもしれない。




ただ真似するだけなら誰にでも出来るが、デルエラは東方の術者である天之宮今宵を登用して王魔界とは違った淫らなサービスをしている。



なんでもレスカティエにランダムで魔力の塊を落とすのだが、これがまたとんでもない代物らしい。



この魔力を受けた者は凄まじい快楽と、普段以上の性欲を味わえるとかで、アンチ少子化に一気に貢献出来る。



いやいや、親の政策を自分流に発展させたばかりか、本来反魔物であるはずの術者を抱き込み、あまつさえ魔物とするような手腕はさすがと言わざるを得ないだろう。



さてさて、競歩している内に王魔界の中心、すなわち魔王城に辿り着いたが、やはり魔物は親切だ。



道を尋ねれば私のような人間でもしっかり場所を教えてくれる、『良かったら家で休んでかない?』と気遣ってくれる魔物もいた。




だが、今は急いでいる時、いささか心苦しいものの、断りを入れ、先へ進むとしよう。



見ず知らずの他人を家に上げることは中々できるようなことではない、魔物はみんな人間が大好きで、進んで助けようとするのか。



私もいずれは、そんな魔物たちのために何かをやりたいものだ。




さてさて、反芻はこの辺にして今目の前にある魔王城は、レスカティエ王城もかくやと言うような巨大な城である。



私が自宅として普段過ごしている平家など勝負にもならないばかりか、我が家が城の庭にたくさん収まりそうだ。




だが、単に大きく、立派なだけでなく、魔界の職人芸が光る細やかな細工もされており、城門を眺めるだけで一日が過ぎそうだ。



いかんいかん、せっかく今日はデルエラに実家に招いてもらったのだ、こんな所で足を止めている場合ではない。








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長い廊下を歩きながら壁を見ると、たくさんのリリムの肖像画がかけられていた。



たまに足を止めて見てみるが、いずれのリリムも美しく、まるで天性の才能かのように男が放ってはおくことが出来ないほどに整った容姿の者ばかりだ。



しかしいかに美しくとも、私にとっては北斗七星の中で、美しく光り輝く七つの綺羅星の一つでしかない。



中心を指すような重厚にして崇高なる星、すなわち北極星ポラリスは私の中ではっきりしているのだから。




応接室のような部屋に入ると、すでに私の北極星、デルエラは優雅に紅茶を飲みながら寛いでいた。



今日はいつも見るような露出の多い服装ではなく、皇女らしい丈の長い落ち着いた色合いのドレスだった。



勿論男として普段の露出溢れる服装は嫌いではない、しかし今目の前にいるデルエラは普段は見れない清楚なドレスである。



新たな発見、これだけではるばる競歩で王魔界に来たのも報われるというようなものである。



決して露出溢れる服装が悪いのではない、見慣れぬ服装もまた新鮮であり、魅力的なのだ。



なんどもしつこいようだが、私は露出の多い服装は大好きである。





「どうしたの黙り込んで?」



いけない、デルエラを心配させてしまったか?、確かに部屋に入ってきた友人がいきなり立ち尽くせば心配になる。


心配ない、あまりの美しさに見惚れたのだ、そう告げるとデルエラは顔を赤くして視線を逸らしてしまった。



「あ、ありがと、ほ、褒めても何も出ないわよ?」



萌える、否、もう一度敢えて言わせてもらおう。





萌ええええええええええっ!









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閑話休題。


私は高そうな紅茶を振舞われ、デルエラと向かい会う形で椅子に腰掛けている。


しばらくデルエラは黙り込んでいたが、やがて整った形の口を開いた。



「あのね、私・・・」


瞬間、応接を誰かがノックして見知らぬ魔物の少女が入ってきた。



こちらの様子を見ながらボソボソとデルエラに耳打ち、どうやら私には聞かれたくないような話のようだ。



「ごめんなさい、せっかく来てもらってなんだけど・・・」




ふむ、何やらデルエラの身辺で何かが起こってしまった様子、大事件というほどではないが、無視できぬ問題か。



私のことは気にしなくても良い、王魔界の魔王城を見学するだけで大した暇潰しになるからそちらを優先すれば良い。





「本当にごめんなさい、この埋め合わせは必ずするから」





大急ぎで従者とともに部屋を後にするデルエラ、さて私もここにいても仕方がない、城の見学をしつつお暇するとしよう。







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しかし魔王城は広い、あまりの広さに目眩がしそうになるくらいのものである。



実際部屋はたくさんあるし、どこもかしこも似たような景色、おまけにどこからともなく漂ってくる甘い匂いのせいで、正常とは言えぬ精神。



いかに私が地図を読むことや方角を確かめることが得意だとは言え、これではあまりに、収まるべき場所に収まる結論となる。







つまるところ迷ったのだ、もう前から歩いて来たのか後ろから歩いて来たのかすらよくわからない。



うむむ、面倒なことになったかもしれない。



窓から飛び降りればなんとかなるかもしれないが、そんなことをして動けなくなれば笑えない。


仕方ない、適当に歩きながら道を探るとしよう、否、待てよ?



魔王城ならばどこかの部屋のどこかの宝箱に城の地図があるはず。



なんの根拠もないが、私の第六感を越える第七感がそうだと告げている以上はそうなのかもしれない。


つまるところ山勘だ。




では早速私の隣にある、『イザベル』と記された表札の部屋からにするとしよう。




中には小さな書架と机、可愛らしいサイズのベッドがあり、この部屋の主がまだまだ幼いリリムであることがわかった。





宝箱はなさそうだ、扉を静かに閉めると、私はその隣の扉を開いた。




今度は何故か純和風の部屋、どこかで嗅いだことのあるような仄かな良い匂いがする、そんな部屋だ。




文机の上に『私の愛しい親友、天道翠へ』と書かれた手紙と筆記用具が置いたままであることを除けば、この部屋もシンプルそのものだ。



扉を閉め、代わりに隣の部屋を開いてみる。




こちらは何とも可愛らしい部屋だ、隅に置かれた子猫のぬいぐるみに、何故かハンガーにトリコロミールの制服がかけられている。



部屋全体から発せられる、先ほどまで近くで感じていた芳しい匂い、すなわちここはデルエラの私室か。



ならばあの箪笥の中にはデルエラの下着が入っていたりするのだろうか?



あの制服、前にトリコロミールで一日店長をしていたと聞いたが、着たことのある服なのだろうか?



さらに言えば、奥にあるベッドは、デルエラが帰省時に使用する寝床ではないのか?




なんだ、このエデンの果実に等しいような私に対する誘惑に満ち満ちた部屋は、どうしろと言うのか。




しかし探索のなかで見つけたとは、これも何かの縁、貴重品を持ち帰るべきではないか。






いやいや、馬鹿な、乙女の私室を暴いた末に盗みを働くなど言語道断、そんな馬鹿げた真似をして、どの面下げてデルエラと話せば良いのか。








・・・しかし下着ならば一枚くらいバレないのではないか?




いやいやいや、ダメだダメだ、万一バレたりしたら問題だ、『バレなければ犯罪ではない』のかもしれないが、逆に言えばバレたら犯罪。



そんな危険を犯してまで自身の欲求を叶えるべきではない。



しかし、そう、例えば目の前のベッドにある使用済みの布団はどうだろうか?



普段何かとお世話になっているデルエラのために、新しい布団に代えるのならばどうだろうか。



空間転移の技くらいならば私も使える、ここいらでデルエラのために布団を取り替え、新鮮な気持ちにしては?



デルエラの布団は、万一返して欲しいと言われた時用に自宅に保管しておけば良い。


無論これは純粋にデルエラにお返しをしたいという気持ちから来るものであり、やましい気持ちは一切ない。




やましい気持ちは一切ない。




やましい気持ちは一切ないのである、しかし布団にはデルエラの匂いが染みついているはずだ。







良い匂いするんだよな、デルエラ・・・。








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・・・ふう、別にやましいことなど何一つないまま、私はデルエラの部屋を後にした。



やましいことなど何一つないので勘違い無きよう・・・。



さて、次の部屋へ、『じょうおーさま』と記された表札の部屋を開けようとして、私はふと奇妙な物音を聞いた。



ぬちゃぬちゃと何やら粘着質な水音と、仄かな嬌声だ。


耳をすますと、どうやらデルエラの部屋の向かい側から聞こえてくるようだ。



これは恐らくそういうことだろう、そんな現場に居合わせる機会はそうそうないのだが、こんなこともある。



誰だか知らぬが、ここはお互いのためにクールに去らせてもらうとしようか。



だが、私の足は次の瞬間には金縛りにあったかのように動けなくなってしまった。



何故なら、下手人が、私の名前を呼びながら行為に耽っていたからだ。



足を返し、私は扉にピッタリと耳を押し付け、中の物音を一声漏らさず聞き取ろうとする。



『ん・・・ああっ、くあああああ・・・はあはあ・・・んふふ、今日も・・・素敵だったわね・・・』



いかん、理性は逃げろと叫んでいるのに、本能が邪魔して身体の自由が一切効かなくなっている。



『あっ・・・思い出したら、また、んんっ!、濡れてきちゃう・・・』




あたかもメドゥーサ(魔物娘にあらず)に睨まれた蛙(ミューカストードにあらず)。


もしくはグレートオールドワンズを直視した探求者、身体が一切動かず、聴力だけが異様に強化されていた。



反面、私自身の心臓も早鐘を打ち、中にいる人物に聞こえるのではないかと思うくらいの音を鳴らしていた。



身体をズラし、もっと良く聞こうとした瞬間、扉が耳障りな音を立てて、部屋に倒れこんだ、あまりに体重をかけすぎたかっ!




「え?、ええっ?!」



いきなりの闖入者に慌てふためく下手人、もといデルエラ。


その姿は先ほどの清楚可憐なドレス姿ではなく、普段のリリムらしい露出にあふれた扇情的なものである。



個人的にはこちらも中々捨てがたい、しかし今は行為の真っ最中だったためか、豊かな乳房は両方露出し、下半身にもシミを作ってしまっていた。



慌ててデルエラは近くにあったマントを羽織り、身体を隠そうとする。



気持ちはよく分かる、私も達しようとしたその刹那に弟あたりが自室に入ってきたら似たような反応をしただろう。



「あ、あなたっ!、一体いつからそこに・・・」



無論ついさっき、『ん・・・ああっ!』あたりからであろうか?



「つまり、さっきから・・・、よりによってあなたに知られちゃうなんて・・・」



ずーんと落ち込むデルエラ、しかし私にとってはそんなことは問題ではない、それよりも・・・。



「え?、『自分の名前が聞こえた?』、うっ、それは・・・」



そう、そちらのほうが重要な問題である、何を思って私の名前を叫びながら慰める行為に耽っていたのか。



「あの、実はね?、最初はそんなにでもなかったのだけれど、私に物怖じせずに話す人って、元々あまりいなくて・・・」


もじもじと説明を始めるデルエラ、その姿は魔界の皇女でなく、レスカティエの主でもなく、一人の可憐な乙女の姿だった。



「それで、その、どうやら好きになっちゃってた、みたいで・・・」


上目遣いにこちらを見るデルエラは、思わずノックアウトっ!、されそうになるほどの破壊力を秘めている。



良かろう、そこまで聞いて、女性にばかり恥をかかせるのは私の趣味には合わない。



私はすぐさま自分が身につけていた服装を脱ぎ捨てて、デルエラに裸体をさらす。


「え?、ちょっといきなり、何して、って、褌っ?!、ど、どうして褌っ!?」


些細なことを気にする、これは私が一人前のマスラオであり、またスサノオの後継者であることの証明だ。


「あ、貴方がいささかおかしな武士道を基としてるのはわかったわ、けどそんないきなり・・・」


あまりにあまりな状況について行けずに慌てるデルエラ、ともあれこれでようやく今の私は彼女と並び立てる状態というわけだ。


「と、とにかく一旦落ち着きなさいなっ!、魔物の前でそんな格好になったりしたらどんな結果になるか・・・」




私の褌だけの姿を見て、デルエラはぐるぐると目を回しながらなんとか私の説得を試みようとする。




無論私は落ち着いている、だが多少強引でなければリリムは、特にデルエラは口説けまいっ!



「な、何を言って・・・」



ようやく理解したのだ、初めて会ったとき、君の圧倒的な存在感に心奪われたっ!



「なっ?、えっ?」






私は君と、出会う運命にあったのだっ!





「う、運命っ?!」






どうやら私と君は、運命の赤い糸で結ばれていたのだとたった今理解したっ!






「あ、ううううう・・・」






この気持ち、まさしく愛っ!







「愛・・・」









抱きしめたいなあっ!、デルエラっ!










顔を真っ赤にして私の股間を眺めるデルエラ、よし、互いの想いが伝わったのならばやるべきことは一つ!



私はデルエラのマントを剥ぐと、そのまま首に手を回し、両膝を抱え、お姫様だっこで廊下に飛び出した。



「えっ?、ちょっ、なにっ?!、って早いっ!、な、何なのこのスピードっ!」


人呼んでマスラオスペシャルっ!、あまりの移動速度に側からみれば、二十人くらいに分身して動いているように見えるだろう。



「って、私の部屋、ど、どうして貴方が私の部屋の場所をっ!、って、布団が新しい、どうして?、どうなってるのっ?!」


こんなこともあろうかと布団は甲陽堂の店主から借金のかたで取り上げた高い新品布団にしてある。


そんな新しい匂いがするふかふかの布団の上に、私は未だ半裸のままのデルエラを横たえる。


「ちょっと落ち着きなさいなっ!、一時の感情に押し流されてもろくなことにはならないわよっ!、それに・・・んんっ!?!」



一先ずうるさいことを言う口は塞いでおく、無論私自身の口によって。


最初は慌てふためいていたデルエラだが、行為をするうちに紅の瞳が、とろんとしてきた。


こういう場合は経験豊富なほうが誘導するものだが、どうやらと言うか、夫がいない時点でわかっていたものの、デルエラは生娘のようだ。



なるほど、魔物らしい魔物とは思っていたがこういう奥ゆかしいところも魔物らしい、存分に私も腕を振るえるというもの。



まあ、私も女の子とキスどころか、性行為自体初めての体験であるのだが。



「ぷはっ!、っ!、あ、はあはあ、ああ、あ、貴方、本気で私を・・・」


無論だとも、男の誓いに訂正の二文字は存在しない。


未だあまりの展開の早さに戸惑った表情のデルエラの顔の両側に私は手をつく、壁ドンならぬ床ドンと言うべきか。



よし、それでは始めるとしよう。



「始めるって、やっぱりヤル気満々なのよね・・・♡」



じっと私の白い褌につつまれた下半身を見つめるデルエラ、明らかに期待している表情なのは間違いない。




かく言う私もこんな状態で興奮しないわけがなく、先ほどからギンギンに熱り勃つ愚息が、痛いほどに自己主張していた。




正直にぶちまけてしまえば、デルエラの胎内に突っ込んでぶちまけてしまいたいのだが、そういうわけにはいかない。




少なくともデルエラから許可のセリフを引き出す前に、そんなことをするのは、生物としてはともかく、男としては間違いだ。




じっ、と黙ってデルエラを見ていると、彼女はほんのりて顔を赤らめ、ハートマークが写りそうなほどに揺らめく瞳で私を見つめた。



「いいわ、あなたが覚悟を決めたならばもう何も言わないわ♡」




むむっ!、それはすなわち・・・。



「いいわ、来て・・・♡」



よくぞ言ったっ!、デルエラァァァァァァっ!




次の瞬間、私はデルエラの申し訳程度の服を剥ぎ取り、鬼神の如き速度で襲いかかった。





「・・・あん♡、もう・・・♡」






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かくしてまた一組魔界に夫婦が誕生する運びとなった。






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私と彼のなり初め、かしら?



ええ、王魔界に彼が来た時にね、変わってるし、おかしなことも言うけど、すごく努力家で、愛するもののためならどんな苦難も耐える人よ?



最初はただの人間だったのだけれど、どうやら私のために阿修羅すらも凌駕する存在になったみたい、どんな手を使ったかは知らないけどね


でもでも本当に彼ったら強引で、毎晩毎晩激しくするものだから、身体がいくつあっても足りないわ♡



元々人間にしては珍しいくらいの絶倫だったけど、旦那になってからはそれがさらに強くなっちゃって・・・。


そうそう、最近おめでたいことがあったのよね、まだ彼には内緒だけど♡



跡取りが出来たの、しかもほぼ間違いなく男の子よ?



あら?、何を驚いてるの?、言ったでしょう?、彼、私のために阿修羅すらも凌駕したって。



本当に彼ったら私にベタ惚れよね、ま、まあここまで愛されるなんて魔物冥利に尽きるって、あら?



どこ行くの凪姫?、まだまだ私は彼のことを話してないわよ?


え?、『惚気を聞き過ぎて胸焼けがしてきた、もう帰る』?


もうすこしいいじゃないの、今度は彼と私がどれだけ深い縁で結ばれてるか、って、あっ、こら、逃げるなあっ!






16/06/28 00:15更新 / 水無月花鏡

■作者メッセージ
みなさまこんばんは〜、グラハ・・・水無月であります。

今回はかなり暴走しながらデルエラさんのお話を書かせていただきましたが、これもう完全にデルエラさん、主人公の嫁だなあと・・・

主人公の喋り方、台詞は完全に武士道なあの方になっていますので、不快感を与えてしまった方にはこの場でお詫び申し上げます。


ではでは、今回はこの辺りで、図鑑世界の行く末を考えるのにも疲れたので、しばらくは魔物とイチャイチャして過ごしたいものです・・・。

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