読切小説
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魔物娘といっしょ! 遊園地編
 ドラゴンさんと一緒の場合

「フン、王者たる私がこのような子供の遊び場について来てやったのだ。せいぜい感謝しろ」
「……しかしだな、『獅子は兎を狩るのにも全力を尽くす』という言葉がある」
「だから今日は、その、ここで思い切り楽しむのも……吝かではない。そ、そうと決まれば、ほら、行くぞっ!」

 待ってくださいよ、まだ開園まで一時間もあるじゃないですか。



 刑部狸さんと一緒の場合

「ん?『遊園地なのに人っ子一人いなくておかしい』って? あっはっは、休園日ちゃうから安心してーな」
「この遊園地はウチのお店の系列やさかい、特別に貸切させてもらってるんよ」
「さ、そうと分かったらどこから周ろか? 今日は正真正銘、二人っきりの世界やで〜♥」

 今日改めて貴女という魔物の影響力の大きさを感じさせられました。



 リビングドールちゃんと一緒の場合

「兄さん、兄さん! こっちにこども向けのコースターがあるって、お友達が言ってました!」
「それからですね、フリーフォールの近くで売ってるクレープがすごく美味しいらしいですよ!」
「えへへ、兄さんと食べさせっことかしたりして……はぁ、私とっても幸せです♥」

 いつの間にか土産売り場に置いてあった人形が一緒にいる……。



 デュラハンさんと一緒の場合

「馬鹿にするんじゃない! こんな空中ブランコの一つや二つで脅えるほど、私はヤワではないぞ!」
「……問題ないと言ってるだろう。まったく、お前も心配性な奴だな――」
「――きゃあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

 だから『絶叫マシンは首が取れて危ないんじゃ?』って言ったじゃないですかっ!



 ゲイザーちゃんと一緒の場合

「うえぇ……こ、今度は何に乗るの? ボクはもう少し大人しめの乗り物が良いんだけど……」
「こ、コーヒーカップぅ!? さっきミラーハウスで酔いそうになったばっかりなのに!?」
「ねえちょっと、さっきから何で目の回りそうなアトラクションを選ぶのさッ!? や、引っ張らないでよ! やだぁ〜、もう許してええぇぇ〜ッ!」

 ゴメン、キミがたくさんある目を回してる様子が可愛くて仕方ないんだ。



 アヌビスさんと一緒の場合

「なぁっ!? ジェットコースターが40分待ちだと!? これでは予定していた昼食の時間に20分も遅れてしまうではないかっ!」
「レストランも30分待ちっ!? わわわ、私の予定がぁ、計画がぁッ!?」
「はわわわわわわわわわわわわわわわっ! きゃ、きゃんきゃんきゃんきゃうんッ!」

 貴女がパニックになることまで予定通りだから大丈夫です。



 サハギンちゃんと一緒の場合

「……………………………………………………………………………………」
「……………………………………………………………………………………」
「……………………………………………………………………………………楽しいね」

 そうだね。ほんの少しだけど、いつもよりキミの口の端っこが上がってるもの。



 セルキーちゃんと一緒の場合
「え、一緒に記念撮影? はい、別に構いませんけど?」
「……記念撮影ですか? ええ、まぁ、良いですけど……」
「……あぁもう、どうしてみんな私と記念撮影したがるの!? 私は遊園地のキャラクターじゃないってのに!」

 いや、遊園地の中で着ぐるみ姿を見たら、誰だってそう思うんじゃないか?



 ファミリアちゃんと一緒の場合

「キャー! ロリコン怪人ぺドフィリアンが会場にっ!? これは誰かが戦って追い返すしかありませんっ!」
「さぁ、今日の主役は――そう! そこの王者然としたオーラを放ってる貴女で決まりですっ!」
「恥ずかしがらずに舞台に上がってくださいっ! 一緒に魔法の呪文を唱えてマジカル☆チェンジ! 悪い怪人をやっつけちゃいましょうっ!」

 今日も魔女っ子ショーのアシスタントご苦労様です。



 ラージマウスちゃんと一緒の場合


「ハハッ! やぁ! ボク、ミッk――」


 おいばかやめろ。





 ぬれおなごさんと一緒の場合

「ごめんなさい……雨の日だから、乗り物もぜんぜん乗れなくて……」
「……それでも、あなたは楽しい?」
「……ありがとう。それじゃあ、こんどはあっちの方に行ってみたいな……」

 気にしないでください。雨に濡れてるときが一番、貴女と一緒にいるんだって感じられますから。



 バフォ様と一緒の場合

「ふふん、こども用のフリーパスで乗り物は乗り放題。どうじゃ兄上、幼女と付き合うのは経済的にもお得であろう――」
「――ふぇ? 兄上はどこにいったのじゃ? ふぇ? ふぇ? ふえぇ?」
「ふええええええぇぇぇぇぇぇんっ! あ、兄上ぇッ!? どこなのじゃああああああぁぁぁぁぁぁぁ!」

 泣きじゃくってるところを迷子センターでしっかりと保護いたしました。



 ゴーストちゃんと一緒の場合

「――『やあぁッ! ダーリンだめですのぉッ!』『ほら、静かにしてないと誰かに聞かれちゃうぞ?』パンパンとお尻の肉が弾けるような音を響かせていますの!いくら暗いお化け屋敷だからといっても、もし誰かが傍を通ったら絶対に気付かれちゃいますの!『んぅ! んっ、んん、んっ、んぁっ!』私は懸命に口を押さえて声を押し殺そうとしますのに、ダーリンはまるで獣みたいな勢いで私の濡れ濡れおまんこを犯し続けて――」

 妄想逞しくて結構だけど、そろそろ出口だし、自重してくれるかな?



 ダークエルフさんと一緒の場合

「次は何に乗りたい? あそこのメリーゴーランドなんて良いかしらね」
「あら、大丈夫? 息も荒いし、膝もガクガク震えてるわよ? そんなにさっきのフリーフォールが怖かった?」
「それとも……お尻のバイブがいつバレるんじゃないかって、冷や冷やしちゃってるのかしら? ウフフ、あなたってば変態さんなんだから♥」

 らめぇ……お尻壊れちゃいそうなぐらい感じちゃってるの、気付かれちゃうよぉ……♥



 友人(男)と一緒の場合

「あはは、男二人での遊園地は泣きそうだって? もう中に入っちゃってるんだから今更じゃない」
「ほらほら、せっかく遊びに来たんだから楽しまないと損だって!」
「ボクは次にゴーカートに乗りたいな! 早く早くぅ、みんな並んじゃうよっ!」

 あーあー、男同士だってのに尻尾振って喜んじゃって――え? 尻尾?



 ドッペルゲンガーちゃんと一緒の場合

「……本当にこの場所で、良かったんですか?」
「だって、ここは貴方の思い出の場所で、あの人と最後に別れた場所で……」
「本当に……私なんかで、良いんですか? こんな地味でちっちゃくて何もできない女で……」

 キミだから思ったんだよ。ここで一緒に、新しい思い出を作っていきたいって。



 アマゾネスさんと一緒の場合

「この観覧車というものは素晴らしいな! 中は透明で観やすく、そして高く上るから非常に目立つ! 私は大変気に入ったぞ!」
「……何をしている、お前も早く服を脱げ。さっさとしないとテッペンに着いてしまうぞ」
「さぁ、遊園地の全員に見せ付けてやろうじゃないか。私とお前の熱い交わりをな……」

 観覧車は“観る”場所であって“観せる”場所じゃないですって! いやああああぁぁぁぁッ!






 ドラゴンさんと一緒の場合 おまけ






 『まっ、魔法少女マジカル☆ドラゴンただいま参上っ♪ みんなメロメロにな〜れ♥』






……今日のショーの映像、記念品だって貰いましたけど……どうします?

「死にたい。なぜ私はあの時魔女っ子ショーなんて覗きに行ってしまったんだ。なぜよりにもよって私がショーの主役に選ばれたんだ……」
17/04/05 22:50更新 / まわりの客

■作者メッセージ
ドラゴンさんがオチ担当らしいのでこういう締めになりました。

みなさんはどの魔物娘と何処にデートに行きたいですか?
こんなネタを書いておきながら何なのですが、自分はサハギンちゃんと水族館に行きたいです。

一緒に中を観ながら「あの魚、美味しそうだね」とか冗談でサハギンちゃんに言ったらサハギンちゃんが水槽に入って魚を獲ろうとし始めちゃって慌てて止めに入ったけどもう水槽の中に進入しちゃってたりしてそれから水族館の人に怒られちゃったりしてションボリしちゃうサハギンちゃんの手を繋いで「ありがとう、俺のために獲ろうとしてくれたんだよね?」とか言ってほんの少しだけ顔を赤らめさせたりとか(ry

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