連載小説
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……反魔物領 とある町の教会

「そこのあんた達」

一人の少年が教団の勇者と兵士に話かける。

「何だ貴様は?」

勇者は威圧的な態度で接する。

「ちょっと僕を見て欲しいんだけど」
「……!?」

少年の言葉の真意が分からず全員が戸惑う。

「あんたたち人を観察し慣れてそうだよね
 だから…
 僕の正体が何なのかよく確かめてほしんだ」

その言葉にその場にいた全員がバカバカしいと思ったのだろう。

「ガキィ!遊びも大概ににしろやッ!
 俺たちは子供の正体なんざ興味ねーんだよ!!」

兵士が少年に突っかかる。
すると少年は遊んでくれなった子供みたいにガッカリした顔になった。

「……そっか
 僕の正体…みてくれないのか」

「じゃあ
 お前達の正体をみせてくれ」

「「「え」」」

プヂュッ!!!


プヂュッ

―肉が潰れ―

バリッ

パキッ

―骨が砕ける音が続く―


音が止むとその場所には人はいなかった。


数日後―

神族の教えに基づき活動を行う「教会」の教えにより文化が栄える街には多くの人で賑わっている
いつもと変わらない日々が続く

「また何時もと同じ日々か…」
(本当にこの街の誰かが僕の正体を知るための可能性があるのかを疑ってしま いそうになる)
「ふぅ」

溜息をつくと少し後ろが騒がしくなる
気になったので後ろを振り向くと 
多くの人の中に、一際異彩を放つ少女がいた
彼女を見たすべての男性が感嘆の吐息をもらし、すべての女性が憧れの眼差しを隠せない。
癖一つ無いストレートな金色の髪
瞳は血のような綺麗な赤色
涼やかなオーシャンブルーのドレスに艶やかな肢体に包まれた美女
街の人たちは皆、その少女に目を奪われていた

「はぁ、変装しても人の目を引いちゃうわね。」

女性は誰にも聞こえないくらいの大きさの声で溜息をつきながら言っていたがこっちには十分に聞こえた

―あれは人間なのかな…
 
彼女からただの人でない何かを感じることができた
もしかしたら自分の正体の何かしらわかるかも知れないからついていくことにした

ざわ……ざわ……ざわ……

今度は教会が騒がしい
人で賑わってる
それも皆が青ざめた顔だ
悲鳴を上げている人も何人かいる

―ああ、そういえばあそこにいた連中を袋に入れてもとの場所に返してあげた んだった

そのことをすっかり忘れてた
正直いつ、誰を殺したなんか僕にはどうでもいいことだ
勇者には期待してたけどあれも平凡でありきたりなものだった

―あ、あの女性を見失った
 まぁいいか

また会うかもしれないと思っていると不意に後ろから声がかかった

「あの、何かあったのですか?」

その声の持ち主に向かって振り向くと先ほどの女性だった
近くで見るとかなりの美貌だ
とりあえず無視するわけにもいけないので質問に答えた

「ああ、教会の前に赤い袋があったんだ。」
「赤い袋?何ですかそれは?」

この街に数週間いたが彼女を見たことはない
恐らく違うところから来たのだろう
この街の住人なら知っているだろうし

「赤い袋ってのはその中に人そのものが入っているんだ。」
「?どうゆうこと」
「実際に見た方が早いと思うぞ」

そう言うと彼女は実際に教会の前に行った
そこには真っ赤に染められた袋
そしてそこから臭う鉄分を含んだ血の臭い
彼女はそれを見てようやく赤い袋の意味がわかったらしい

彼女はそれを見た後に少し気分が悪そうな顔になった

あれを見て気分が悪そうになるのは少し期待はずれな感じがしてきた

『これで何件目だ?』
『分からない、この前は箱の状態だったな』
『何でこんなことするんだ?』
『魔物がやったのか?』
『それにしてはおかしいと思うが』
『何?あんた魔物の味方なの?』
『違ぇよ、ただ被害にあった人たちとその死体の重さは一緒なんだろ?
 魔物は人を喰うと聞いてるのに全く喰わねえでいるのって変じゃね?』
『でも…』
『そんなことより、まず自分の身の安全が必要だろ』
『そうだ、下手したら明日にも我が身だぞ』

周りからそんな話が聞こえる
どうやら魔物の仕業ではないかと思っているらしい

―本当は違うけど

ここは教会の教えに習ってるから仕方ない
―それより今は彼女だ―と思い振り向くと最早そこにはいなかった

―あぁ、また見失った

仕方がないから先に用事を済ませることにした

それから一日中は赤い袋の話題と街に現れた美少女の話題で持ちきりだった。

……その夜

まただ
僕の正体がまた分からなくなっていく
最近になってようやく落ち着いてきたと思ってたけどそう上手くいかないみたいだ

「…フフフ…
 それにしても…
 バカだよねぇ…
 僕を殺そうとするなんて」

おっと、おでましか

―さて、どうするつもりかな…


……廃墟

―しまった、寝てた
 
下手をすればバレてしまうが見たところは気づかれた様子がないので少しホッとした

―…ここは…廃墟かな?
 どこかで見たような… 

「…クククク
 …これでまた目標に一歩近ずいた」

―何いってんだろコイツは

「…こいつをあの状態にすることで…
 俺は次の段階に進めるんだ…」

見渡せばそこら辺に血の付いた刃物や何かの死体を詰めた袋や箱が散乱していた

―あぁ、ここってアレの作業場だ

見渡して納得した
通りで見たことがあるはずだ

まぁ、目標に近ずいたとか言ってるけどたぶん此処までだけど

廃墟の中に複数の人が入ってきた
数は50人辺り
一番先頭には勇者が立ち、兵士が青年を囲んでる

―やっぱりいた
 何か結構な数の人の気配がすると思ったんだ

「ここで何をしている?」
「くっ」
「足元の物体は何だ!?」

青年が苦々しい顔になり、とても焦っている。

教団の兵士が足元のにある布に覆われた物を調べると、そこには刃物が刺った老人の死体がある

「…!!」

「やはり、貴様がこの事件を起こした犯人か?!」
「………」

青年は黙ったままでいる

「さあ、答えろ!!」

勇者が青年に向かって問うと、突如青年は笑い始めた

「ハハハハハ…
 犯人ねぇ

 …違うな。俺じゃねえ」

「ではその遺体はなんだ!?」

青年はただ笑うだけだった

「皆、あいつに恐怖している…
 バカげたことだ。」
「あいつ?」
「そう、あいつだよ。今騒がれているあいつのことだ。
 人間をも平気で手を出す残虐性。
 そして、その後に届かれる赤い物

 芸術品を作るかのような殺し方…
 あいつはもう芸術家さ!!
 
 だから俺はあいつの悪の魅力に惹かれた…
 その絶対的な「悪」の才能に
 そんな境地に俺も近ずくためにまず自分の家族を殺したんだよ!!」
「貴様ぁ…」
「この老いぼれも幸せだったと思うぜ!!
 ろくに歩けない後の人生より自分の命を失うことで自分の孫に有意義に使わ せてもらったんだからなぁ!!」

―うわぁ…何言ってるのコイツ…意味がわからない
 まぁ、十中八九その原因は僕だけど
 
そして青年は笑いながら死体を踏む

  ガハッ

すると突如死体の口から血が噴き出る

(ヤベッ!!)

「……?」

 ピク

 ビクッ

 ビクン!

死体が痙攣を起こし、深々と刺さった刃物が何かに押し出されるように抜かれる

  ミシ       ミシ
      ミシ

「う…嘘だろ」

死体は起き上がり、老人の姿から少年へと変わった
(僕がだけど)

「あーあ…
 マズったな…」

その場にいた誰もが驚愕してる

「やっぱり無理だったか〜。
 死に偽装するのも限界があるな。」
 
 ムリも無い

 老人から少年へ
 死体から生者へ

 こんなことは人間では普通なら不可能

 これはまるで…


しばらく見渡してるとさっきのキモい青年が突然話かけてきた
「す…すげえ!!
 こんなことが出来るなんて…
 もしかしてあんた…今騒がれている奴なのか?」

―うわぁ、なにコレ
 正直ウザい

しかし、折角憧れてくれているので相手をしてあげる

「たぶん
 …てゆうか…
 周りが勝手に騒いでるだけだけだと思うけど。
 
 全く、人を殺したぐらいで…」

あの時は此処まで騒がれるとは思わなかった

「なあ頼むよ!!
 俺をあんたの相棒にしてくれよ。
 あんたみたいな奴に俺もなりてーんだよ!!」

青年は土下座をしながら懇願する。

「連れて行けって?
 
 ん〜〜〜」

―もちろん答えは

「いやだ♪」

 ブワッ
とりあえず布を使って青年を包み込む。
(皆には刺激が強いから♪)

「なっ…」
「その代りちゃんとした作り方を教えてあげるよ…

 …まずは素手で」

 ボキッ

「!!」

 メキ メキ
 
「骨を折ります」

青年はメチャクチャ痛そうな顔をしていた

「次に―」
 
 ブシュ

 ベキ

「ぎゃああああああああああああああああああああ!!」
「肉を潰します」

「そもそもあんた…
 僕の行動の意味をわかってないよ。」

「アッ!!」
「あぁ、ごめん
 教えてる途中だった♪」

 メリッ

「とりあえずそれを繰り返します」
「ブエ!!  
  ヤ…」

 ビキッ

「この前に君のを見たけどあれはダメだった」

 パキン

「体の塊や繊維が混じってるし
 気泡もまじってるから隅々までわからない」 

 プチュ

「とりあえず、細胞を隅々までわかるようにすれば完成。
 どう?簡単でしょ?」

………

何故か沈黙が流れる

「あ…
 説明終わる前に殺しちゃった…
 
 …まっ、いっか」

 ボキ  
 
「あと、皆も勘違いしてるようなので言っておくけど、芸術的に殺すのが目的 じゃない。」

 バキン

 グシャ

「箱も袋も細胞の観察の為さ。」

 ズリュ

作業を終えたので布からでる

「こんな奴は観察する程じゃない…
 けど
 せっかく憧れてくれたんだ、袋だけど形は箱っぽくしておいた。」

しかし、やはり袋
せっかく形を箱っぽくしてもドロドロの状態なのですぐに形が崩れてしまったそこは少し残念だが今の状況が状況なのでそこで唖然としている人たちの相手をしてあげる

「君たちのこと無視してゴメンね」
「……」

そこにいた人達は声をかけられてハッとしたような顔になる
しかし彼らは何も言わない
恐らく今見た光景が信じられないのだろう

「さて、
 このままじゃ僕も逃げれないから…
 だから今…
 
 殺してあげる」

殺気を出してみる
兵士たちはその殺気に圧される
その時点で兵士をあんまり見る価値が無いと思った

「…5秒だけ時間をあげる。
 命が欲しいなら早く逃げなよ。」
「黙れ!!
 我々は誰一人として逃げはしない!!」

最前線にいた勇者が声を荒けて叫ぶ

―…むさい
 こんな奴がもし自分の正体に近いやつだったら…

微妙なところだが気を取り直して進める

「ふーん
 じゃあ…
 観察させてもらおうか」

僕が走り出した時
観察の時間が始まった

……数分後

「あ〜あ、
 期待してソンした。」

とりあえず可能性を信じて皆をバラバラにして見てみたが全員ダメだった
平凡でありきたりな人間しか見えてこない
ある程度はわかっていたがやはり期待はしてしまう
とりあえず終わった事には用はない
それよりも気になる存在がある

「終わったよー
 出てきなよ〜」

常人には分からないだろうが自分にはわかった
何かに見られているような視線…

すると出てきたのは今朝に見つけた女性である

「バレたの?
 これでも気づかれない自信があったんだけど…」

彼女は少しガッカリした感じだった

「いやーごめんね。
 話をするにも散らかってて。
 …それよりさー、変装をやめなよ。
 お姉さんの今の姿が仮のものだってことはわかってるから。」

僕がそう言うと彼女は自信があったのか驚いた顔をしていた

「どうして、そのことを?」
「ん〜と
 今朝に常人には聞こえない声の大きさで変装しても目立つなんて言ってたか らさぁ…
 話したら尚更ただの人じゃないと思ったし。」

すると彼女はリアクションに困っていた
笑顔でもなく
真顔でもなく…
メチャクチャ中途半端な顔になっていた

―えぇと、もしかして引かれた?

「私、貴方と会った覚えがないのだけど…?」

?、おかしい
確かに話した覚えがあった
あの時に赤い袋について…―

「あぁ、そうだった
 たしかその時は…」

今朝、彼女にあったときは姿を変えていた
それだったら今のこの姿を見てもわからないはずだ

「こんな姿だったけ?」
「あぁ、たしかに会ったわ。
 私を見ても何ともないって感じだったから覚えてる。」

何ともないって感じがどういうことかはわからないけど
つまりはそういうことなのだろう

「それよりもちゃんと正体を表してよ。」

変身を解きながら言うと彼女は少し含みのあるような顔をした

「それは…ちょっと困っちゃうのよね」

すると突然彼女が消えた

―これは…魔法…?

それ以外は考えられない
実際に彼女が消えるとき何かしら力を感じた
そして気配も感じられない
それはつまり…

「逃げられた…」
「残念…?」
「…!?」

ふと後ろから聞こえた聞き覚えのある声に思わず振り替える
すると後ろにはまた彼女がいた

―全く気配を感じなかった…!

何故気配が全く感じなかったのかを考える暇もなく浮遊感が僕に襲う
まるで地に足が着いていないような感覚が包み込んだ

―転移…魔法?

実際に体験したことはあまりないけどこの感じは恐らく間違いない

―さて
 どこに出るのかな?

光に染まった視界はうっすらと晴れていく
そこで見た光景はまったく見覚えのない光景
薄暗く、禍々しい草木や花々が咲き乱れ、禍々しい景色が広がっている
遠くに巨大な城が見える
文献でこんな景色について書かれているものがあった

「…魔界?」
「せーかい♪」

突如後ろから抱きつかれる
ふにふにと弾力に満ちたそれは触れていて暖かく気持ち良い
取りあえず誰かはわかっているけど姿がわからないので離れてもらう
後ろを向くと彼女がいた

…いたのだけど何かが違っていた

顔や瞳は変わらないまま
金色の髪から白く輝く髪になり、長い髪がふわりと揺れる
髪の間から突き出るエルフのような長い耳
髪の上に突き出た悪魔のような角とコウモリのような白銀の翼
ドレスも涼やかなオーシャンブルーのものから露出の多い黒いドレスになった
スタイルも男の欲望がそのまま実物になったようなものである
胸部分を大きく開いているので人並み以上の胸の柔らかさや谷間が強調され、下も、ヒップときゅっと引き締まったウェストの間に位置する下着をつけており太股艶めかしい白い肌を晒している

「どう?
 これが私の正体よ♪」

今まで魔物は見てきた
この巨大な魔力
そしてサキュバスのような姿

「もしかして…リリム?」
「ふふ…ご明察…♪」

正体を当てたことに嬉しかったのかとても笑顔だった
実際に会うのは初めてじゃなかったのからわかったのだけど

「へえー
 魔王の娘か〜
 事がすんだらお姉さんみたいな人と結婚したいな〜」

とりあえず素直に感想を言う
すると彼女は少し顔を赤くしている

「けど…
 残念だな
 ひょっとしてあんたなら
 ぼくの正体がわかると思ったのに。」

彼女は笑顔を崩さない
しかし、今の言葉で和やかなものではなくなった

「ねぇ、質問していい?」
「ん〜質問?
 いいよ。」

「まず君の名前は?」

「……さぁ?」
「えぇ〜、教えてよ〜ケチ」

彼女は顔を頬を膨らませるほどに拗ねた表情を見せる

「いや、自分の名前を知らないから言えないんだけど…」
「えッ!!知らないの?」

いちいちリアクションが大きいな…

「うん、知らない…
 なんだったらお姉さんが考えてよ。」
「え!?」

そんなことを言われるとは思わなかったのだろう
彼女は物凄く悩んでいた

「とりあえず僕の名前については置いといて…」
「えぇ、何でよ?」
「焦って変な名前になっちゃダメでしょ?
 これから一生使うんだから。」
「う…」

その一生という言葉が重要であるだけに彼女は何も言い返すことが出来なかった

「じゃあ、君の名前は?」
「私の名前はリリン。よろしくね?」

そう言って彼女は―リリンは微笑んだ

「リリン…ね。わかった。」

何度かその名を呟いて覚える
とりあえずこれで忘れることは無いだろう

「他に質問は?」
「じゃあ…
 君って何?」

その質問にはどう答えればいいかわからなかった
なにせ自分ですら全てを理解できていないのだから

「今さっきも見たと思うけど僕の細胞は変異をしてさ
 変異の向きを操作すればどんな風にでもできるんだ。
 なんにでもなれる…」
「何にでも?」

その言葉に何故か興味をもつリリン

「そう、何にでも。
 男女関係なくどんな生物でも姿形を変えれる。」
「へぇ〜
 それって色んなプレイをやりたい放題じゃない♪」

―さすが淫魔
 さすが魔王の娘…
 そっち系の発想に走るなんて…

取りあえずそこは無視して話を進める

「……でもわからないんだ。
 自分が何者なのか、どう生まれたのか… 一体何の生物なのか… 
 わかっていることは、今のこの姿が本来の形だけ…
 あとはわからない。
 思い出そうとしても脳細胞が変異して端から徐々に記憶が失われていくん  だ…」

するとリリンは疑問があるような顔をした

「それって、自分の家族や友人…大切な人も忘れてるってこと?」
「うん、全くわからない。」

するとリリンは何故か悲しそうな顔になった

―今のどこに悲しむ要素があったんだろ?

それは僕には全く理解できないものだった

「どうしたの?」
「ごめんなさい。
 …続けて?」

目尻に涙すら浮かべて謝られるのは予想外だった
何故かリリンを虐めている気分になる
それを払うかのように話を進める

「そんな記憶も何もわからない。
 自分の立ち位置がわからないから自分以外の何かなんてわかるわけない。」
「…だから他人を殺し、観察して自分の正体を知ろうとしている?」

リリンの答えに多少なりとも驚いた
それが正解だったからである

「その通り。
 わかってるじゃん。」

しかしリリンは何故か微妙な顔をしていた
無効

「それでね、人を観察する過程でヒントになるかもしれない病があったんだよ ね。」
「病?」
「うん。
 遺伝子が突然変異を繰り返し
 変異した細胞が肉体に致命的な悪影響を及ぼす病なんだ。」

ここからは少し難しい話になるだろう
実際にリリンは訳もわからずチンプンカンプンというような顔をしている
魔物だし病に罹らないから覚える必要が無いのだろうけど

「…とにかく
 それと少し似ていたんだ。
 だからその病にかかった人間を重点的に調べたんだけど… 
 比べて決定的な違いがあったから振り出しに戻ったんだ。」
「へぇ〜、そうなんだ…」

あの顔は絶対にわかってない
適当にわかっているフリをしているのもバレバレだ

「他に質問ある?」
「ん?もうないよ。
 それに君もこれ以上は何も知らないんでしょ?」

リリンは頭は残念だけど相手の観察、そして相手の心情を察するのが上手だ
そういうところではとても興味がある
ついでと言っては何だけどキレイだし

「ねぇ」
「うん?何?」
「今日はもう遅いから寝ましょう?」

そういえば今は夜だった
話してたからつい時間を忘れてしまった

「ここで?」

さすがに遅いとはいえ野宿はちょっと断りたい

「違うわよ。」

するとリリンは魔方陣を出現させる
そこで再び起こる浮遊感
つまりまた転移魔法を使ったのだ

そして着いた場所はまた見覚えのない部屋だ
部屋の真ん中においてあるのはキングサイズのベッド 
その周りを見渡すと本棚がありそこに魔道書などがズラリと並んでいた
他にもいろいろとあり一言でいうと女の子の部屋というような感じが少し感じられた

「ここは?」
「私の部屋よ。
 どう?問題ないでしょ?」

確かにここでなら野宿をせずに済みそうだ
しかしリリンの部屋で寝るとは予想外だった

「それで…僕はどこで寝ればいいの?」
「?ベットよ。」

リリンはベッドに座って示す

「じゃあリリンはどこで寝るの?」
「ベットよ。」
「この部屋の?」
「そうよ。」

この部屋にはベットは見た限り一つしかない
つまり―

「一緒のベットで寝るってこと?」
「そうよ。どうしたの?」
「どうしたのって―」

よく見るとリリンの頬は何故か赤く染まってる 
ただじゃ済みそうにないのは気のせいだろうか
何にせよこのまま寝るわけにもいかない

「寝る前にさ…着替えたいんだけど。
 あと、体も洗いたい。」

この服は血がベットリついている
おまけに血の臭いが付着している

するとリリンはバスルームに案内してくれた
とりあえず体を洗い流すと赤い液体がみるみる流れていく
血の臭いがとれサッパリした感じになったのでバスルームから出ると服があった
変な服でも持ってくるのかと思ったが意外と普通の服だった
少し女の子向けだけど気にしない

とりあえずリリンのの部屋に戻る

「おかえりー
 綺麗になった?」
「うん。」

するとリリンは近ずいて臭いを嗅いだ

「うん。血の臭いはもうしないね。
 とりあえず入ろ?」

そう言ってリリンはシーツの間に体を滑り込ませる
それに続くように僕も入る

「今日はよく寝て、明日には君の名前を考えなきゃ♪」
「うん。真面目に考えてね?」
「大丈夫!任せて!」

そうして僕たちはて向かい合って寝た
リリンの顔が不自然に近いと思うのは多分気のせいだろう

興味を持った
この魔物に
リリンという存在に

知りたいとも思った
自分の正体以外に
こんなことは初めてだ

「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」

向かい合ったままでそう言って眠る
今日は終わり
たぶん明日から違う生活が待っている

それが吉とでるか凶とでるか

―少なくとも暇になることはないだろう

そして僕は瞼を閉じた
13/02/12 02:38更新 / ルルサス
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■作者メッセージ
さて、初めてなので上手くできたかわかりませんが…
感想など送ってくれると嬉しいです。
(指摘もOK)



あと主人公の名前も考えてくれるとありがたいです。
(あんまり酷い名前はボツにしますが…)

次回も見てくれると嬉しいです。

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