連載小説
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1.誕生
レスカティエ教国の城下町にあるとある民家の一室

「〜〜〜っはぁ、はぁ…」

苦しそうな若い女性の呻き声が室内に響く
そこに寄り添うように手を握り、がんばれ、がんばれと励ます男

「も、もう少しだ!!頑張れメリル!!!」
男は興奮しており、目が血走っていてかなり怖い

「ちょっと、ラーク邪魔だよ!!」
「うごっ!」

すると、恰幅のいい女性が横から男性を押し退ける
男は近づくことを諦め、両手のひらを胸の前で合わせ神に祈るようなポーズをとる

「ああ…祈ることしかできない俺を許してくれメリル…」

待つこと数分
そして…

「産まれた!産まれたよ!こりゃ男の子だね!!」

恰幅のいい女性が大きな声で若い男女に話しかける
「な、なに!!本当か!!!」
男は凄まじい勢いで顔を上げるとこれまた凄まじいスピードで若い女性…メリルと呼ばれる女性に駆け寄る
「う…うおおお!!大丈夫かメリル!!くぅ〜っ、でかした!!メリル!!!」
「も、もうラークったら…落ち着いてよ…」

メリルの腕の中には、小さな命が生まれていた
喜び合う若い男女だが、その部屋の中で一人だけ不思議そうな顔をする女性がいた

「ちょっとお待ち」
「…ん、どうしたんだいケリーさん」

女性の発言に顔を見合わせる男女
男…ラークとメリルの間にはうんともすんとも言わない赤ん坊

「その子…なんで泣かないんだい?」

二人は顔を見合わせる
確かにまだ赤ん坊は一度も声を上げていない

「そ、そういえば…まだ産声すらあげてない……って!!もしかして喉になにかつまって
「あう」

ラークが取り乱すとほぼ同時に、腕の中の赤ん坊は初めて声を上げた

「お、おお…よかったぁ…」
「随分おとなしい子ね…誰かさんと違って」
「おいおい、それ俺のことかぁ?ひでぇなぁ」

二人は打って変わって、安心した様子で軽口をたたき合う

そんな二人よそに、ケリーと呼ばれた女性は赤ん坊の顔をじっと見つめていた

「(こんなおとなしい子、何度も出産には立ち会ったけど初めてだね。ちょっと不気味…でも、かわいいねぇ)」

ケリーは少し怪訝に思ったが、赤ん坊のかわいい顔を見ると自然と笑みがこぼれ、そんな考えは消えてしまった



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激しい光の奔流

なんだこれ…どうなってんだ?

さっきまで俺は闇の中にいた

何もない闇の中で誰かとしゃべっていた…ような…

そこから突然の光という光
瞼を焼き尽くすような光に思い切り顔を顰め、体をよじるが、体がうまく動かない

少しづつ光に慣れ、俺はゆっくりと瞼を上げる



…俺の目の前に三人の巨人がいた
敵対の意思はなさそうで、すげー笑顔で見つめてきて、話しかけてくる

「可愛いねぇ、この子は絶対、将来女泣かせになるよ!」
「ラークみたいに?」
「ちょ、ちょっとひどくないか?」

三人の巨人?が楽しそうに話してる

巨人…じゃないぞ…これは…俺が小さくなってるのか?

さっきから体は思うように動かないし、言葉も上手く喋れないのだ
軽く周りを見渡すと、清潔な手ぬぐいや、お湯の張った容器などが置いてある

そして先ほどの三人の会話

そこから導き出される答えは…



もしかして…



ありえない、そんなことありえないと思うが…



「あうあー?!」
※俺赤ちゃんになってる?!


15/08/30 05:26更新 / S.wf
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■作者メッセージ
初です
よろしくお願いします

基本的にレスカティエ教国の物語を自分なりに改変しながら書こうと思ってます

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