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第8話 魔物娘は敵か味方か
「んがぁーーーーーー!!はぁーなぁーせぇーーー!!」

バタバタともがくジャネットだが、手足だけでなくほぼ全身隈なく縄と神楽の拘束魔法で縛られ、膝裏で腕を組んだ体育座りに近い体勢にされた彼女は、実質首だけしかまともに動かせずにいた。
ちなみに同様の姿で並ぶ他の魔物達も縛るのに使われた縄や彼女達を乗せた荷車は、元々伐採した木に対し使われる予定だったもので、木こり達が逃げ出した際、その場に残されていたものをそのまま利用させてもらっていた。

竜哉とアリスティア達の戦いに決着がついてから今までに何があったのか、簡単に補足させてもらう。
まず木こりと兵達を全員森の入り口まで退却させた輝幸と神楽は、彼らを残してすぐさま竜哉の救援に向かおうとした。だが何人かの兵士は「ここでただ逃げたとあっては、教団兵の名折れになる」と同行を願い出てきた。
輝幸としてはその護衛を命じられ、いても邪魔にしかならないと感じていた以上できればそのまま帰還してほしいところだったが、早急に竜哉の元へ向かうには彼等と押し問答をする時間もまた惜しいと考え、仕方なく神楽と共に木を載せる荷車を牽引する為に用意されていた馬に乗り、騎馬兵とその護衛数名だけを連れ、残りの兵にはベルガンテ帰還までの護衛を命じ再度森へと突入していった。
幸い退却した際にできた道が残っていたので、それを逆走して難なく元の場所に到着したが、その時は既に決着がついていた。一先ず意識のあった竜哉から事情を‐ついでに魔物達の名前も聞くと、魔物に怯える兵達に有無を言わさず竜哉を預け、彼の治療と報告のため一足早く帰らせてから、倒れた魔物達を厳重に拘束した上で荷車に乗せ、森を抜けてきた。


「るっせーなぁ…。なぁ神楽さん、コイツ一発殴っていいか?そうすりゃ他の奴も大人しくなるだろ?」

「いや、それは流石にやめとこうよ。いくら人間じゃないからって全員女の子なんだし…」

ちょうど森を抜ける少し前から連鎖的に目を覚ました魔物達、特にジャネットの騒ぎぶりは凄まじく、残りの面々は実質彼女が起こしたに等しい。それにうんざりした様子の輝幸は思わず物騒なことを口走るが、当然ながら神楽に制止される。

「はぁ、竜哉の奴早く戻ってこねぇかな…」

早いとこ後ろでギャーギャーと喚き立てる彼女達からオサラバしたい様子の輝幸だが、今この場から勝手に動くことはできない。ではなぜここ留まっているのかと言えば、理由は簡単。「魔物を連れているから」だ。
反魔物派領域であるベルガンテに彼女達を連れ帰れば人民に余計な恐怖を与え、教団のお偉方からも「不浄で忌々しい魔物共を連れ込んだ」などと説教が飛ばされるのは目に見えている。かと言ってここに放置し自分達だけ戻ろうものなら、今度は「自らに課せられた使命の重さを分かっていない」となじられるだろう。
多少強引な手を使い先に帰らせた兵達が、このことをどう報告するかは不明だが、そんな訳で竜哉が彼女たちの処遇を聞いてきて、それを報告しにくるまで、二人はこうして騒がしい魔物達と森の入り口で自主的に待機することを選んだ。

「グルル…」

「落ち着けケリー。タツヤがいなくてイラつくのは分かるけど、ここで暴れたら元も子もなくなるぞ」

完全に拘束され、武器も没収されたがその程度で大人しくなるほど彼女達もヤワでなく、ジャネットの様にひたすら喚き立てる者もいれば、逆にケリーやビビエラの様に騒ぐことなく静かに敵意を露にする者もいた。その中でアリスティアは比較的大人しかったが、彼女もまたいつ終わるか分からないここでの待機に内心ウンザリしてきたようで、仲間への注意には怒気が含まれていた。

「ふえぇ〜ん、ご主人様早く助けてぇ〜!」

「好きな人も見つかんないで死ぬなんてヤだよぉ〜!」

「あぁ〜うっぜぇ…」

終いには泣き出したベリムとフェズに余計苛立ちが募り、憂さ晴らしなのか馬から下り、離れた所でハルバードを振るい出した輝幸。対照的に神楽は荷車の縁に腰を下ろすと、比較的落ち着いているアリスティアに話しかけた。

「あの〜、アリスティアさん?少しお話いいですか?」

「んぁ?何だいお譲ちゃん。アタシに声かけるなんて、案外胆座ってるねぇ。なんの用だい?」

隣で威嚇する―その際屈んでできた谷間と揺れる胸に、神楽は同性ながら思わず顔を赤らめた―ケリーを制していたアリスティアは、魔物である自分に物怖じすることなく話しかけてきた神楽に対し悪い印象は感じなかった。上手い事隙を見せれば頭突きの一発も食らわせよう等と考えながら様子を見ていると、不穏な気配を感じたのか神楽が少し腰を引いてから答える。

「えっと、私は南川神楽。ポジションは…一応魔法使い、かな。えっと、さっきアリスティアさん達はなんで私達に襲い掛かってきたんですか?」

一先ず会話をつなごうとしたのか、彼女が尋ねたのは襲撃の動機。だがこれが余計に苛立ちを刺激したのか、アリスティアより先にジャネットが口を出してきた。

「あ゛ぁ!?何で襲っただぁ!?んなモン男欲しいからに決まってんだろうが!」

それがまた刺激となったらしく、それまで睨み付けるだけだったケリーも牙を向いて噛み付こうとしてきた。だがアリスティアが体を揺すってジャネットに頭突きを当てると、ケリーも大人しくなる。

「悪いねぇ、皆身動き取れない上にどんな仕打ちされるか不安だから、気が立ってて。で、今の質問だけど答えはだいたいジャネットが言った通りの男探し、言うなれば婚活ってところかね。まぁ、アタシ等はもう意中の相手が見つかったけどな!」

そういってニィッと笑みを向けるアリスティアに、ジャネット以外の仲間達も幾分明るげな声や表情を浮かべる。だが話と笑顔の意味が理解できなかった神楽には、疑問以外の何でもなかった。

「え、いつの間に?私達と遭遇してから探すような時間なかったし、相手もいなかったと思うけど…」

実際彼女達が姿を見せてから撤退に移るまでの間、彼女達は竜哉の投げつけた木の下敷きで動けず、相手を探すどころかこちらの姿をまともに見る時間すらなかったはずである。そんな状態でいつ「意中の相手」とやらを見つけたのだろうかと首を傾げる神楽に、アリスティアは意中の相手が誰か教える。

「なぁに簡単なこった、アタシ等はタツヤに惚れたんだよ。アイツはクールだし女に優しいし、何より強くていい男だぜ!アイツならアタシ等全員相手にしても1日もってくれそうだ!」

「あ〜なるほど、そう言う事か。まさか竜哉君に惚れるなんてねぇ。でも彼ってあんまり異性に興味なかったような…ああ、言っとくけど男が好き って訳じゃないよ?要は誰かと恋をする時間があったら剣の素振りしてる方が得、って考えてるような人らしいから、結構難しいと思うよ?」

竜哉とは出会って間もないと言うのにも関わらず、まるで長年の戦友を語るようなノリで話し始めたアリスティアに対し、何が1日もつかは分からずも意中の相手が誰かは理解できた神楽は、竜哉が同級生等に比べ性欲が盛んでないことを教えた。輝幸から又聞きした話だが、彼は仲間内でも一歩離れた所にいたようで、猥談に参加することもなく、放課後は専ら自宅や学校の道場で素振りをすることが多かったという。

「問題ない。1度でも魔物と交わればその快感は忘れられないから、そこまで持ち込めたら後はどうとでもなる」

「生憎と竜哉はそういうことに実質興味ないからな。いくら色仕掛けしてみせても、適当に流されて終わりだろ」

内容は身も蓋もない話だが、割り込むように答えたのはケリー。だがそれも素振りをやめ戻ってきた輝幸から、色恋沙汰に疎い竜哉には意味がないだろうと返されてしまう。

「ふぅむ、それは厳しいな…。となれば強引に襲うしかないが、策もなく無闇に行けば、さっきの如く返り討ちに遭うだけだろうな…」

「っかあ〜、そこまで言われちゃ打つ手なしじゃねえのよ。なあテルユキ、アンタはタツヤと付き合い長いわけだし、何かアイツがアタシ等を抱いてくれるようないい案ないか?」

上を向いて少々大げさに困り果ててみせるアリスティアだったが、直後に名指しされた輝幸は何も知らんと否定しようとして、ふとおかしな点を感じた。

「おいちょっと待て、何で俺の名を知ってる?俺はまだアンタ等に名乗ってないはずだぞ?

そう、神楽や竜哉と違い、輝幸だけはまだアリスティア達に自己紹介をしていなかった。それに竜哉と交友があることも話していないから、彼女達は知らないはずだ。二人が勝手に教えるようなこともないのに、なぜ彼女が自分の名前や交友を知っているのか?笑って見逃せるレベルではない不気味な流れを感じた輝幸はハルバードをアリスティアに突き付け、強く問い詰める。

「おー怖い怖い、ちょいと口を滑らせちまったかねぇ。まあアタシも詳細は理解しちゃいないけど、説明はタツヤが戻ってくるまで待ってくれや。同じこと説明するのは面倒だし」

だがアリスティアはそれだけ答えると、「もう何も言うことはない」と言わんばかりに口を閉じ、ジャネットやベリムも竜哉の名が出ると、さっきまで騒いでいたのが嘘の様に大人しくなった。

「ちいっ、何だってんだよ…」

「まぁまぁゆき君、落ち着いて」

何がそこまで魅力的なのか不明だが、彼女たちが竜哉へと向ける信頼に、輝幸は理由もなくイラついてくるばかりだった。それを必死に宥める神楽も、いつ輝幸の怒りが爆発するかと肝を冷やしながら、竜哉の帰還を待つしかできなかった。


竜哉が馬を駆り戻ってきたのは、それから30分ほど過ぎた頃だった。ただし1人ではなく、後ろに修道女を1人乗せ、ベリアハルトも並んで馬を走らせこちらへときた。大方変な行動を起こさないよう、監視するために同行してきたのだろう。尤も魔物達はベリアハルトも修道女もどうでもいいようで、竜哉の姿を見た途端各々反応し騒ぎ立てた。

「お願いタツヤさん!早く助けて!」

「ご主人様、はやくこれ取ってよぉ〜!」

「おい、早くこれ外せよ!指1本動かせねえぞ!」

「マスター、早くこの邪魔な拘束を破壊してください。このままではご奉仕に支障が生じます」

「主、術者の女に拘束を解除するよう言ってくれ。緊縛プレイも悪くないが、私はまだ処女だから期待に応えきれんと思うぞ」

「ZZZZzzz…ふぐぇっ?

「うにゃ〜、足しびれてきた…」

「おぉ、やっと戻ってきたか!新手の焦らしプレイかい?」

だが竜哉は賑やかな彼女達の喚声を無視し、荷車の少し後ろで止めた馬から降り輝幸と神楽の元へ駆け寄っていく。当然ベリアハルトと修道女もそれを追いかけ、5人はちょうど荷車を牽く馬の前で合流した。

「遅れてすまない、報告の際一悶着起きてな…」

「遅かったな。まあお前のことだから、向こうの挑発に乗っちまったんだろうが、何があった?」

「お帰り竜哉君。って、あの子達のことも少しは気にかけてあげなよ。ずっと怖がってた子もいたんだし…」

竜哉は輝幸に聞かれ早速事情を話そうとしたが、流石に目もくれないのは非情過ぎやしないかと思った神楽にたしなめられ、渋々といった形相で魔物達の方へと向かったため、代わりにベリアハルトと修道女が二人の前に出る。

「初めまして輝幸様、神楽様。私は司教様方から竜哉様のお付を命じられた修道女で、シンディ・フィアと言います。以後お見知りおきを」

そして修道女―シンディが自己紹介を終えると、ベリアハルトが説明に入った。

「では、私が報告の際何があったのかと、魔物等に下された処遇のご説明を…。まず魔物への処遇の方ですが…速やかに粛清せよ、つまり… 抹殺の命が下されました

「っ!」

「そんな…酷い」

かなり言いにくいようで何度も言葉を詰まらせ、チラチラと横目で魔物達を見ていたベリアハルトから小声で伝えられた処遇に輝幸は絶句し、神楽は静かに呟く。だがベリアハルトの報告は続く。

「異世界からきたお二方には残酷に思えるかもしれませんが、これがベルガンテだけでなくボルゼック国内、ひいては反魔物領全域での一般的な、魔物への処遇です。しかし竜哉様もこれに反対らしき意思を示されて・・・」

そこから竜哉がここに戻ってくるまで、何があったかを語り始めた。




教会に帰還した竜哉はすぐさま修道女達から治癒魔法を施され、安置の為十数分寝かされた後、お偉方の元へと呼び出された。彼等の待つ聖堂には指定された者以外武器の持込を禁じられていたため、シンディに武器を預けてからベリアハルトの案内で聖堂に赴くと、魔物が出現したため伐採作業を中断し、兵と木こり全員を速やかに逃がした後、満身創痍となりながらも、それを単騎で撃破したことを報告した。

「それで、わざわざ依頼された作業をそのままにして帰ってきたわけだが、現れた魔物達はちゃんと討伐したのかね?」

事前に証拠としてベリムのハンマーを提出していたが、予め預けていた護衛の一人がそれを見せると、一先ず司祭達は魔物が現れたとする報告には納得したらしい。しかし竜哉が一通り報告を終ると、今まで報告を聞いていた壮年の高位司教が、嫌味ったらしく尋ねてくる。普通なら単なる質問ととれるが、その深部には有無を言わせない圧力が込められているも、竜哉にしてみればそんな何ともなく、済ました顔で報告に結末を後付けする。

「あぁ、それでしたらどう対処すればいいか判らなかったので、現在拘束して逃走や抵抗を封じた上で、適当な場所に保留しております。自分はあくまで『魔物』を倒せと言われましたし、女性を切るのは流儀に反しますので。彼女等の待遇はどう致しましょうか?」

さも当然のように敬意の全くない笑顔で訊ねる竜哉に、神官の面々の怒りは爆発した。魔物を、そしていずれは魔王を討ち、人が魔物に脅かされることのない、安息をもたらすと言う―彼等神職者に言わせれば―崇高な役目を持つはずの勇者が、執拗に教え込まれたことを無視し、尚且つわざとらしく「どうすれば?」などと訊いてきたのだから、当然だろう。大半が席を立ち、聖職者の権威を欠片も感じさせない野次を飛ばす。

「何を考えておるのだ貴様は!」

「それでも選ばれし勇者か!」

「嘆かわしい!主神様の御意思をなんと心得る!」

「やれやれ、指示を仰いだのに罵倒されるとはね…。まあ元々貴方方には期待してなかったから、彼女達については、こちらの独断で処分させていただきますよ」

次々と止むことなく浴びせられる野次を意に介することなく、竜哉は呆れるようにため息をつくと、神官方に背を向け無言で退室しようとするが、それを引き止める者がいた。護衛隊長を勤めており、ベリアハルトと共に輝幸をベルガンテへと案内したエーデリアルだ。

「貴様神官様に向かってその態度は何だ!貴様と言い輝幸と言い、神官様だけでなく主神様さえ蔑ろにする不謹慎さには初めて会ったときから不快だったが、今この場で粛清してやる!」

この場での帯刀を認められている彼は遠慮なく得物を鞘から引き抜くと、そのまま駆け出し竜哉を後ろから斬り捨てようとするが、竜哉は再度向き直りエーデリアルへと進んで行き、擦れ違い様に膝蹴りを彼の腹に決めた。

「がっ…!」

そして再度背を向けると、足元に崩れるエーデリアルを蔑む様な目で睨みながら、低く小さな声で忌み嫌うように呟いた。

「生憎貴族のお遊びにわざわざ付き合うほど、俺は世渡り上手じゃない。これでも剣に命懸けてるんだ、自分の腕に嘘はつきたくないんでな」

それだけ言うと竜哉は呆然とする神官や護衛兵等を後に、今度こそ聖堂を後にしたのだった。


「以上がベルガンテでの顛末にございます」

今さっき目の当たりにした緊迫間溢れる空気のせいか、説明を終えたベリアハルトはふう、と一息つくと、その場で糸が切れた人形の様にしゃがみ込む。一方話を聞いた輝幸と神楽は、複雑な表情で今後どうするか話していた。

「まあ竜哉が怒ったのは向こうが悪いとして、問題は今後どうするかだな。竜哉が問題起こした以上、それを咎めず向かわせた俺達も同罪扱いだろうから、まさかこのまま何食わぬ顔で戻る訳にもいかないだろうし…」

「どっか逃げるにしても、当てなんてないし…う〜ん」

ベルガンテでの安定した暮らしと竜哉の身柄。どちらが大切かと問われれば迷うことなく後者だが、そうなると当然ベルガンテを出なければならない。だが異世界から来た3人がそれ以外に知る土地などなく、他のところで事情を話しても、今までのように受け入れてもらえる保証はない。このまま行けば明日の朝にはどうなっているも分からない様な状態に、二人は途方にくれる。


一方当の竜哉と魔物達はというと…。

「なあ、いい加減これ何とかしてくれよぉ。アンタの剣ならこんくらい切れるだろ?」

「だめだ。ここで解放してお前等が大人しく撤収する確証がない。逃げると装って街を襲いでもしたら、庇いきれんぞ」

「我々はマスターを置いて、勝手に奔放する様な薄情者ではございません。常時マスターのおそばに控え、精さえ頂ければ可能な限りあらゆる命に従いましょう」

「それはそれでまた鬱陶しいんだが…できれば大人しく魔界にでも帰れ」

「そればかりはどうしようもないな。私達リザードマンやケリー等ワーウルフ、それからベリム等オークは種族柄、自らを倒した異性を夫や主と認め、生涯付き従い求めるように定められているんだ。それより主が望むなら、私はいつでもこの体を捧げる準備はできているぞ?」

「生憎と、血迷っても俺がそんなことを望むことは皆無だ。色事に現を抜かす時間があれば、竹刀の素振りでもする方が有意義に過ごせる。それよりもアリスティア、さっきは俺について何か知ってるようだったが、話してもらおうか。一応言っとくが、見返りにやましい事はしないぞ?」

何としても解放と性交を望む魔物達と、それを拒む竜哉との間では互いに主張を通そうと問答を繰り広げていたようだが、ひとまず竜哉が強引に押し切り、アリスティアに詰め寄った。寄られたアリスティアは竜哉が黙っているからと無闇に拷問することはないとは考えたが、このまま平行線では埒が明かないと考え、捕縛された以上こちらが折れるのは仕方ないと内心肩を落としながらも、表面上は涼しい顔をする。

「オッケー、さっきテルユキからも同じ事を聞かれたし、丁度アンタが来るのを待ってところだったから、話すとしようかね。ただあんまり詳しいこたぁ知らないから、過度な期待はしないでくれよ?」

「安心しろ。情報は多いに越したことはないが、まず核心さえ掴めれば、後は推測である程度補充できる。それじゃ二人を呼んでくるから」

一先ずアリスティアから何かしら聞く目処がついた竜哉は、ちょうど今後について話していた輝幸と神楽を呼び寄せると、荷車の縁に腰掛けアリスティアの話を待つ。

「そんじゃ、ちゃっちゃと済ませちまおうかね」

そう切り出し、アリスティアは話し始めた。
12/07/10 09:01更新 / ゲオザーグ
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■作者メッセージ
結局1月近く経ってるよ・・・

ほんとはもう少し書くつもりだったけど、こんままだと長くなりそうだったところに区切りついたんで、ひとまず間を濁すのもあってここらで投稿。
次回から(こそ?)いよいよ核心に入るようにします

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